「バルトロ氷河からブロードピークB.C.を経てK2B.C.へ」前編

 

2024年シーズン「バルトロ氷河からブロードピークB.C.を経てK2B.C.へ」のフォトレポートが、紙谷哲平ツアーリーダーより届きました。トレッキング前半部【アスコーレ→ジョラ→スカム・ツォク→パイユ→コボルツェ→ウルドゥカス】までを写真で辿ります。

まずはイスラマバートからトレッカーの玄関口スカルドゥの街へ国内線で移動します。天気が良ければナンガパルバットをはじめとする絶景の山岳フライトですが、今回は曇っていて見ることはできませんでした。しかし、フライトがキャンセルになると陸路で2日間かかるため、無事に到着したことがなによりです。

 

トレッカーの玄関口であるスカルドゥの街

翌日はスカルドゥ滞在またはデオサイ高原にオプショナルツアーで訪問する日程でした。その翌日にトレッキングのスタート地点、アスコーレへと向かいます!道中はシガール渓谷のビューポイントや、砂丘が広がるサルフランガ寒冷地砂漠を眺めながら谷の奥へと進んでいきます。アスコーレへと近づくにつれ道は険しく、川沿いスレスレのアップダウンが多くなっていきます。車酔いしやすい方には試練の道です。

 

ジープでアスコーレに向かう

●トレッキング1日目 (アスコーレ → コラフォン → ジョラ)

いよいよ緑豊かなアスコーレ村からトレッキング開始!途中、この近辺で人が住む最後の集落であるテステ村前のオフィスで手続き。この先は人の住まない広大な道が始まります。

 

緑豊かなアスコーレ村からスタート
人の住まない荒涼とした大地をゆく

出発から約4時間半後、ラトック山群から流れるビアフォ氷河のエンドモレーン内のキャンプ地コラフォンで昼食。腹拵えの後も引き続き川沿いを歩いていき、ドモルド川の対岸にジョラキャンプが見えて来ました。ここで最近開通した、スノーレオパルド橋を渡りnewジョラキャンプへ到着しました。

 

ビアフォ氷河内のコラフォンでランチ
河原沿いのNewジョラキャンプ

●トレッキング2日目 (ジョラ → スカムツォク)

ブラルドゥ川沿いにジープ道を緩やかにアップダウンしながら進み、後半は山道を崖沿いに歩いて行きます。遠くにスカムツォクが見えてきたところで山間に世界第12位の高峰ブロードピーク(8051m)を確認。本日の天気では見れない可能性が高いと思っていたので、ラッキーでした。

 

彼方に8000m峰ブロードピークが見えます

スカムツォクに着いたのは11:20ということで、出発から約4時間半後でした。昼食後、ティータイムを挟んでのんびりとした時間を過ごしました。この日と翌日の午後は休養をしながら、鋭気を養いました。

 

スカムツォクキャンプと大きな虹
スカムツォクキャンプではカレーの夕食でした

●トレッキング3日目 (スカムツォク → パイユ)

この日は氷河前の憩いのキャンプ、パイユまでの半日行動を歩く日となります。スカムツォクより緩やかなアップダウンを過ぎて2時間半ほどすると、バルトロ氷河が見え始めます。トランゴキャッスルやカテドラルなど、バルトロを代表する山々も展望できました。

 

本日も崖道をアップダウンしながら奥へと進みます
バランスをとりながら丸太橋を通過
バルトロ氷河がついに見えてきます

ルート後半は山肌のトラバース道を歩き、ポプラの生い茂るパイユキャンプ(3450m)に到着。水も綺麗な山水がジャバジャバ出ており、洗濯される方もたくさんいらっしゃいました。ダイニングテントの椅子をテント前に持ってきてリラックスする、昼下がりの時間でした。翌日はコボルツェまでの1日行程なので、昼食後は休養の時間とさせて頂きました。

 

パイユ直前は再び崖道に入り、アップダウンが少し増えます
木陰が嬉しいパイユのキャンプ地。氷河上は日陰が全くありません。

●トレッキング4日目 (パイユ → コボルツェ)

いよいよバルトロ氷河に入っていく長い1日です。気合いを入れて出発しました。バルトロ氷河へと歩いて行き、90分もすれば氷河舌端部に到着。

 

いよいよバルトロ氷河舌端部へ

最初こそ少し晴れ間が見えましたが、パイユの下の方から雲が上がってきて雨が降り始めました。氷河の出口から山肌を緩やかに進み、谷が作り出した台地のようなリリゴにて昼食。ここから土砂崩れの恐れのある斜面をヘルメットをつけながら通過し、氷河川の対岸に見えてきたキャンプがまさにとコボルツェ(3940m)です!

 

この小さな木製橋のおかげで渡渉せずに済みました。橋を渡りコボルツェキャンプへ

コボルツェキャンプの夜、北極星とトランゴキャッスル、ビアレ、カテドラル

●トレッキング5~6日目 (コボルツェ → ウルドゥカス)

半日行程で、4時間かけウルドゥカス(4050m)へ。本日はバルトロ氷河には入らず、その支流にある無名氷河を二つ渡って行きます。緩やかな山肌のアッパダウンを進みながら、ひとつ目の無名氷河に入ったあたりでブロードピーク、ガッシャーブルムII,III,IVなどが見えるポイントがありますが、今回は雲で見えずでした。

 

コボルツェからの朝焼けを展望。正面の岩峰はトランゴキャッスル(5753m)
バルトロ氷河には入らず、側面斜面のトラバース。アップダウンが続いていきます

ウルドゥカスは『割れた大岩』という意味で実際に巨岩が散見される、山肌のキャンプになります。真正面はバルトロ氷河、そしてその奥にはトランゴ山群、カテドラル、またビアレから流れ落ちる ビアレ氷河など、名だたる名峰&氷河のパノラマが広がっていました。

 

2連泊するウルドゥカスはバルトロ氷河を見下ろす高展望地です
ウルドゥカスの大岩から望むバルトロ氷河と岩峰群
これから進む方面のバルトロ氷河と名峰群

水道もあるこのキャンプでは休養日含め2泊します。気持ち的にもだいぶ楽だったのではないでしょうか。旅を支えてくれている現地のスタッフさんたちも一息ついて、アリさんの音頭でポーターさん達が歌っていました。

 

アリさんの音頭でポーターさん達が歌っていました。彼らの支えなくしてこの旅は実現できません。

 

後編に続く…

Photo & text : Teppei Kamitani

 

▼関連記事

Youtube : CONCORDIA 360 DEGREE

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.01 スカルドゥからパイユへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.02 パイユからコボルツェへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.03 コボルツェからウルドゥカスへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.04 ウルドゥカスからゴレⅡへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.05  ゴレⅡからコンコルディアへ

コンコルディア滞在、K2、ブロードピーク、ガッシャーブルム山群、カラコルムの高峰群に囲まれて

★★★★★

>>西遊旅行のパキスタンツアー一覧はこちら

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行 /  Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook

カテゴリ:◆ギルギット・バルティスタン州の動画 > ■ vlog / 動画 - 絶景パキスタン > バルトロ氷河トレッキング > バルトロ氷河/コンコルディア > ■ギルギット・バルティスタン州 > K1マッシャーブルム > K2 > ブロードピーク > ◇ パキスタンの山
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

デオサイ高原の5,000m峰、シャトゥン・ピーク登頂

2020年の夏に出発予定だった「デオサイ高原、シャトゥン・ピーク登頂」企画、コロナ禍でキャンセルとなって以来、念願のツアーを2023年夏に実現することができました。ガレ場続きのルートは大変でしたが、無事5名のメンバーと登頂を果たすことが出来ました。手厚いサポートをしてくれた登山ガイドやサトパラ村からのポーター達に感謝です。

 

山頂からの360度のパノラマビュー。気分は高所クライマー!

 

チラスからアストール渓谷を走りデオサイ高原へと上がります。途中、ナンガパルバットの圧巻の景色。デオサイ高原に上がると美しいショーサル湖畔でキャンプ。大変美しい場所ですが、標高4,200m近いキャンプ地で深夜まで騒々しい音楽で騒いでいるパキスタン国内観光客に驚きました。が、メイン道を外れると他に誰もいない秘境エリアに入り本来のデオサイ高原のが広がります。ベースキャンプからも世界第9位の高峰ナンガパルバット(8,126m)が見えます。

 

登山の序盤はのんびりしたルート、キンポウゲやサクラソウの群生に目を癒されながら歩いて行きます。後に困難なガレ場続きのルートが待っているとはつゆ知らず。

 

ルート上は山上湖が点在しています。とても美しい谷です。前方の雪山が今回目指すシャトゥン・ピーク!

 

サクラソウの群生地を歩きキャンプ1を目指します。楽なのはこの辺りまで。

 

ガレ場のキャンプ1に到着。さてどこにテントを張ろうか。

 

ガレ場の上で寝るよりは、雪の上がずっと快適です。雪渓が残っていてよかった、いよいよ明日早朝山頂アタックです!

 

キャンプ1から山頂までは95%がガレ場のルート。永遠に続くように思える急登をただひたすらに登ります。

 

立ち止まって振り替えると素晴らしい展望が広がります。

 

山の向こうはインド側のカシミール地方。シュリーナガルもすぐ近くです。インドヒマラヤの名峰ヌン峰・クン峰も見えました。

 

世界第9位峰ナンガパルバット8,126mも見えます。

 

ガレ場の急登もあと少し。稜線が近づいてきました。

 

稜線に出ると後は雪渓を登るだけです。日も高くなってきました。

 

5名のメンバーとガイド、ポーター達とシャトゥンピーク(5,260m)登頂に成功です!バックはナンガパルバット!

 

山頂からはK2をはじめバルトロ山群も展望する事が出来ました。つまりここからはパキスタンにある8,000峰5座、ナンガパルバット(8,126m)、K2(8,611m)、ブロードピーク(8,051m)、ガッシャーブルムⅠ(8,068m)、ガッシャーブルムⅡ(8,034m)のすべてを展望できるという事になります。天気に恵まれ、風もなく好天。この後、急なガレ場の下りが待っていることはとりあえず忘れて、約1時間近く山頂に滞在して至福の時を味わいました。

 

Image & text : Tomoaki TSUTSUMI

Tour conducted in July 2023, Deosai National Park, Gilgit-Baltistan

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

西遊旅行のパキスタントレッキング・登頂ツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook

 

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > ◇ パキスタンの山 > デオサイ高原
タグ: , , , , , , , , , , , , ,

コンコルディア360度! CONCORDIA 360 DEGREE

6月半ば、本当に雲一つない、クリスタルクリアーな朝を迎えたコンコルディア滞在。手動パーンでガタついた映像ですが、コンコルディアからの360度の映像をまとめてみました。

CONCORDIA 360 DEGREE

 

Image by Mariko SAWADA

A big thank you to the the whole Baltoro Glacier trekking team for working with us!

 

関連記事

Youtube : Our Baltoro Trek in 1 Min !

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.01 スカルドゥからパイユへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.02 パイユからコボルツェへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.03 コボルツェからウルドゥカスへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.04 ウルドゥカスからゴレⅡへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.05  ゴレⅡからコンコルディアへ

コンコルディア滞在、K2、ブロードピーク、ガッシャーブルム山群、カラコルムの高峰群に囲まれて

★★★★★

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

 

カテゴリ:◆ギルギット・バルティスタン州の動画 > ■ vlog / 動画 - 絶景パキスタン > バルトロ氷河トレッキング > バルトロ氷河/コンコルディア > K2 > ブロードピーク > ガッシャーブルム(Gグループ) > ◇ パキスタンの山
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

コンコルディア滞在、K2、ブロードピーク、ガッシャーブルム山群、カラコルムの高峰群に囲まれて

コンコルディア Concordia。バルトロ氷河トレッキングの到着地。360度をK2とカラコルム高峰群に囲まれた憧れの場所。

コンコルディア Concordiaとは「合流・調和」を意味するラテン語で、バルトロ氷河とゴドウィン・オースティン氷河の合流点にこの名がつけられました。登頂を目指す人々はここからK2、ブロードピーク、ガッシャーブルム山群のベースキャンプへ、ゴンドゴロ・ラ(峠)へと向かいます。

 

コンコルディアに到着した翌朝、キャンプ地は雪に覆われました。雲が切れ好天が予想される状態で、せっかくの機会に撮影準備。

 

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.01 スカルドゥからパイユへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.02 パイユからコボルツェへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.03 コボルツェからウルドゥカスへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.04 ウルドゥカスからゴレⅡへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.05  ゴレⅡからコンコルディアへ

 

キャンプ地の向こうのK2が雲の間から現れます。雲の切れ目から見えるK2、最も見たかった瞬間です。

 

K2がクリアーになってきました。エベレストに次ぐ、世界第2の高峰で8,611m。大変カッコイイ山です。

 

ブロードピーク Broad Peak (8,051m)はK2より先に全貌を現しました。ブロードピークはその山容の通り、頂上部の幅が広く、「広い頂」を意味する英名「ブロードピーク」と名付けられています。世界第12位の高峰で、初めての8,000m峰登頂チャレンジにも選ばれる山です。

 

雲一つない一日となりました。キャンプ地から少し歩いてエンジェルピーク Angel Sar (6,858m)の見える場所から撮影。ここからは東にガッシャーブルム山群 Gasherbrum Group、南にバルトロカンリ Baltoro Kangriやチョゴリサ Chogolisa もすべて見えるポイントです。

 

エンジェルピーク Angel Sar(6,858m) 、K2の北西すぐそばの美しい山です。

 

コンコルディアから見る、バルトロカンリBaltoro Kangri。西から東へといくつかのピークがあり、最高所は7,312mと言われています。

 

左にVigne Peak(6,195m)、右にKhmal Gri(6,851m)。中央の氷壁の奥に見える平らな山がチョゴリサ Chogolisa(7,668m)。この谷を西へ進むと有名なゴンドゴロラ峠 Gondogoro-laがあり、フーシェ谷へぬけることができます。

 

日中、キャンプ地でくつろぐポーターさんたち。歌い、踊って、過ごします。彼らはひと夏をアスコーレからコンコルディア&ベースキャンプの往復を繰り返し、シーズンが終わるまで村には戻りません。長年一緒に働いてくれているありがたいメンバーです。

 

バルティの人が「プランタ」と呼んでいる揚げパン。プラタのことかな?と思ったのですが、揚げパンです。揚げたてのプランタの美味しいこと。

 

そしてお決まりの記念撮影。2022年6月13日、コロナ・パンデミック以降、西遊旅行の初のバルトロ氷河トレック、コンコルディア到着です。ガイドもポーターも私たちも仕事が戻ってきたことに感謝です。今シーズンのコンコルディア入り、2隊目でした。

 

せっかくなので、ガモウバッグ講習。

 

今年のコンコルディアはなんと4Gネットワークがあるのです!SCO(パキスタン山岳地帯の携帯ネットワーク会社)の4GがゴレⅡあたりから入り、コンコルディアからライブ配信。一番のメリットはお天気予報が見れることですね!

 

夕日があたる、ガッシャーブルム Gasherbrum Ⅳ(7,925m)。コンコルディアにそびえるガッシャーブルム山群のピークです。

 

月が上がりきる前に夜のK2とブロードピークを撮影。

 

3日滞在して唯一撮れた星空K2。暗くなるとすぐにK2に月明かりがあたってしまいます。

 

キャンプ地の南側のミトレピーク Mitre peak (6,010m)から月が上がります。日の出ではありません。

 

ガッシャーブルム山群から、上がる太陽の光。

 

ガッシャーブルムⅣ峰の肩から朝日が昇りました。

 

コンコルディアで迎えた朝日。

 

本日も、快晴。

 

晴天が続くと余裕が出てきてスタッフがいろんな記念撮影をします。K2を背後に脱ぎ始めたり。

夢のような時間も終わり、翌日、コンコルディアを後にしました。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Trek Date : Mid-JUN 2022

※各キャンプ地の高度・移動距離は自身の一般的なGPSでの計測によるものを使用しています。既存の本やサイトと誤差がありますので予めご了承ください。

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook

カテゴリ:バルトロ氷河トレッキング > バルトロ氷河/コンコルディア > ■ギルギット・バルティスタン州 > K2 > ブロードピーク > ガッシャーブルム(Gグループ) > ◇ パキスタンの山
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

K2・バルトロ氷河トレッキング2022 (vol.3) コボルツェからウルドゥカスへ

コボルツェ(3,834m) からウルドゥカス(4,061m)のキャンプへと移動するおよそ7kmと短い行程の一日です。途中、ウルドゥカスピークス(Urdukas Peaks)から発する氷河を2つ渡り、ついに今晩から4,000m以上でのキャンプです。

 

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.01 スカルドゥからパイユへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.02 パイユからコボルツェへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.03 コボルツェからウルドゥカスへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.04 ウルドゥカスからゴレⅡへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.05  ゴレⅡからコンコルディアへ

コンコルディア滞在、K2、ブロードピーク、ガッシャーブルム山群、カラコルムの高峰群に囲まれて

 

コボルツェを出て間もなくウルドヵスピークスからの氷河を渡ります。足元は大きな岩ごろごろ。

 

遠征隊の荷物を積んだラバが続々と通り過ぎます。ポーターに聞いたところ、2つの遠征隊がパイユからウルドゥカスを目指していると。キャンプ場が混雑しそうです。

 

氷河の水を飲む、バルティ族のポーターさん。

 

ウルドゥカスが近づくと緑が増え、高山植物の花が咲いていました。これ以降のキャンプはすべて氷河上になるため、荷を運ぶ動物たちにとってフレッシュな草が食べられるのはここが最後です。

 

それにしてもキャンプ地とその上の動物たちが放牧されている付近は花が沢山咲いていました。

 

7月上旬まで花が見られるとのこと。花だけでなく、野鳥も一番多くの種類がいられました。

 

キバシガラス yellow-billed Chough、Pyrrhocorax graculus。雑食でキャンプ場の周りで人間が出発するのを待っています。

 

ベニハシガラス Red-billed Cough、 Pyrrhocorax pyrrhocorax。木の実や昆虫などを採餌しますが、ここでは雑食のキバシガラスと一緒に残飯を狙っていました。こんなに厳しい環境下ですから何でもご馳走です。バルトロ氷河トレッキング中は、キバシガラスの方が多く、ベニハシガラスの方が稀です

 

上記2つのカラス科の野鳥に加え、ワタリガラスの姿も。この地域のワタリガラスは亜種C. c. tibetanus(英名でTibetan ravenと呼ばれることも)で、ワタリガラスの中で一番大きくゴージャスです。このキャンプ地以降、コンコルディアまでいずれのキャンプ地でもこの3種のカラスの仲間を見ることになります。

 

撮影できてうれしかったのが、このムネアカマシコ Red-fronted Rose finch、Carpodacus puniceus。分布図によるとチベット高原周辺の高山に生息している鳥です。

 

我々がキャンプ地に到着したときは自分達だけでしたが、そのあと続々と2隊が到着。

 

夕方までにキャンプ場はとても賑やかになりました。ウルドゥカスのキャンプ地の問題は常設トイレが非常に遠いこと。欧米人はともかく、トイレの近い日本人にはつらいものです(うまくいくと、管理人にお願いしてMyトイレテントを建ててもらえます)。我々は1泊でしたが、パイユから1日でウルドゥカスまで来るグループは2泊してまる1日休養をとったりする場所です。

 

この日、渡したちが連れてきたヤギが解体され、我々には「レバーの炭火焼」が提供され、スタッフは腸を使った煮込み料理を楽しみました。このヤギの肉は最終日まで私たちの糧となりました。ちなみに登頂隊のグループはヤクやゾ(ヤクと牛の交雑種)を連れていました。

 

夕食前のキャンプ場からの景色。バルトロ氷河とその向こうにトランゴキャッスル(Trango Catsle)とウリビアホ(Uri Biaho)。

 

日が落ちたウルドゥカスのキャンプ場西側。背後にウルドゥカスピークス(Urdukas Peaks)の一部が顔を出し、間もなくここから月が上がりました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Trek date : early JUN, 2022

 

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook

カテゴリ:バルトロ氷河トレッキング > ■ギルギット・バルティスタン州 > 北部山岳地帯 > バルトロ氷河/コンコルディア > ◇ パキスタンの山 > ◇ パキスタンの野鳥
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

K2・バルトロ氷河トレッキング 2022(vol.1) スカルドゥからパイユへ

西遊旅行としてはパンデミック後の最初のバルトロ氷河トレックとなった2022年6月の記録です。2019年のツアー以降、大きく変わったのはジープ道。アスコーレ(Askole)までだったジープ道はジョラ(Jhola)とスカムツォク(Skam Tsok)の間まで伸びていました。現在も断続的に工事が行われています。大きなグループはジョラのキャンプ地を利用していますが、小さなグループは道中のブラルドゥ川の河原でもキャンプが可能です。(注:パキスタンで言う「ジープ道」とは地元でTOYOTA JEEPと呼ばれている車種なら通れるレベルの、かなりラフな道のことです。)

 

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.02 パイユからコボルツェへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.03 コボルツェからウルドゥカスへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.04 ウルドゥカスからゴレⅡへ

K2・バルトロ氷河トレッキング vol.05  ゴレⅡからコンコルディアへ

コンコルディア滞在、K2、ブロードピーク、ガッシャーブルム山群、カラコルムの高峰群に囲まれて

 

今年のバルトロの大きな特徴は、3年間待った「登頂隊」がたくさんやってくること、でしょうか。バルトロエリアはインド国境に近いため、パキスタンへ入国のために必要な査証も、申請時から「トレッキング」または「登山」の査証を取得する必要があり、この査証に紐づいてスカルドゥでグループの許可申請を出し、認可後に出発することとなります。今年のシーズン最初はこの「トレッキング」「登山」査証の申請が急激に増えたため、取得にかなりの時間を要しました。バルトロエリアのトレッキングを計画の方は45日前には申請できるように準備しましょう。

 

最初のキャンプ地へと向かう我々のポーターさんたちを載せた車。6月は登頂隊の荷揚げが集中するため、ポーターさんもラバ(馬・ロバも)大忙しです。

 

シガール渓谷を走行中に、ドライバーさんの暮らす村ハイデラバード(Hyderabad)を通過。ドライバーさんの奥さんが収穫したての「桑の実」を持ってきてくれました。

 

信じられないくらい甘かった「桑の実」。

 

以前の車道最終地点のアスコーレ村(Askole)付近です。アスコーレはバルトロ氷河トレッキングのポーター/荷揚げなどで賑わうほか、宝石の採掘でも有名です。この写真の岩に空いている穴は宝石の採掘抗で、この時も大規模に作業が行われていました。

 

アスコーレから先は、今回初めて通るジープ道です。バルトロ氷河から始まるブラルドゥ 川(Braldu river)に沿って進みます。途中、かなり絶壁アップダウンも。

 

ジョラ(Jhola)に新しい橋ができており、そこを渡ってしばらく進むと現在も工事が行われている地点へ到着です。ここから少し歩いた河原で今晩はキャンプです。

 

翌日はブラルドゥ川 沿いに歩きます。スカムツォク(Skam Tsok)のキャンプ地を通過。

 

前方に、バルトロ氷河、雲の隙間にトランゴタワーズ( Trango Towers )の一部、バルトロカテードラル(Baltoro Cathedral)、そしてパイユ(Paiju)のキャンプ地が見えてきました。

 

パイユは水が豊富で緑の中のキャンプ地です。まだシーズン始まったばかりで往路の宿泊は貸し切りスティでした。

 

パイユではポーターさんたちがバルティ族のパン作りをしていました。明日からの氷河上トレッキングに持っていくパンです。

 

焼きあがったパン。

 

こちらは食事中のラバ。以前は家畜はほどんど使用されていませんでしたが、今はラバが主流で馬とロバも使われます。

 

明日からの氷河に備えて蹄鉄もを新しく。シーズンが始まった、という感じです。

 

パイユのキャンプ地から望むバルトロ氷河沿いの山、左がトランゴタワーズ(Trango Towes)の一部、真ん中がバルトロカテードラル(Baltoro Cathedral)、その右横がロブサンスパイア(Lobsang Spire)。

私たちしかいないパイユの夜は大変静かでした。

 

Text & photo : Mariko SAWADA

Trek Date : Early JUN 2022

追記:2022年7月初旬にアスコーレの先4km付近の橋が洪水により流されてしまい、それ以降はアスコーレからのトレッキングとなっています。

 

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行Indus Caravan へ!

*Please follow us on YoutubeInstagram & Facebook

 

カテゴリ:バルトロ氷河トレッキング > ■ギルギット・バルティスタン州 > バルトロ氷河/コンコルディア
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

バルトロ氷河からゴンドゴロ・ラ越え

ゴンドゴロ・ラ(峠)から見た、夜明け前、静寂のカラコルムの峰。左からK2、ブロードピーク、GⅣ、GⅢ、GⅡ、GⅠ。

 

世界第2位峰K2を望むトレッキングの中でも究極とされるゴンドゴロ・ラ(峠5,680m)越えのルート。雪壁登りの技術を要する為、しっかりとロープワークの確認をします。

 

コンコルディアより間近に眺めたK2とブロードピークを時々振り返りながら、ゴンドゴロ・ラ越えのベースキャンプとなるアリ・キャンプ(5,010m)へと向かいます。衛星電話で下界とも通信し、天気をチェック。幸いにも今晩晴れとの事で、迷わず今晩未明のアタックとしました。

 

いつも重い共同装備を運んでくれるポーターさん。この初老の男性もゴンドゴロ・ラ峠越えの時は、さっさと私たちを抜いて行き、ほぼ丸腰で峠を越え、キャンプ地で私達の下山を待っていました。一番すごいのはいつも現地スタッフ達。頭が下がります。

 

早朝1時にベースキャンプを出発。ユマールを使い、平均傾斜50度の雪壁を登攀します。

 

2012年7月6日、5時20分、ゴンドゴロ・ラ登頂。若かりし日の自分と、背後の稜線の上に見えるのはK2とブロードピークの雄姿。

 

日が高くなると下り斜面が緩くなり落石のリスクが高まります。急いで下山を開始しました。

 

長く急な下山は登りよりもずっと堪えます。

 

下りきった場所はこれまでの氷雪の世界とは別世界。高山植物の花咲く緑豊かなキャンプ地のフスパンでキャンプ。

これまでの緊張もほぐれ泥のように眠りこみました。

 

Photo & text : Tomoaki TSUTSUMI

Expedition : Jun-July 2012,  Askore – Baltro Glacier – Concordia – Gondogolo  La – Hushe

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > K2 > ブロードピーク > ガッシャーブルム(Gグループ) > ◇ パキスタンの山 > カラコルム・トレッキング
タグ: , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,

フーシェ側からゴンドゴロ・ラ、現れたK2

ずいぶん前の記録ですが、雪が多かった年の6月にフーシェ側からゴンドゴロ・ラへ登りました。フーシェ側の急斜面を雪が舞い散る中ひたすら登り続け、さらには「きっと上がっても景色は見えないのだろう」と、期待しないよう自分に言い聞かせていました。

上がったゴンドゴロ・ラの上、やはり雲の中でした。明るくなると下山時の雪崩が心配されるため、あまりゆっくりもできません。そして間もなく・・・

アリキャンプ側を見に行くスタッフの前方の雲が切れ、K2が現れました。

ゴンドゴロ・ラから見るK2。本当にわずかな時間、「宇宙」を感じる景色でした。

登山中にカメラの設定も狂っていて色のおかしな写真になってしまいましたが、この数分の景色にすべてが報われました。

ゴンドゴロ・ラから見たアリキャンプサイド。

こちらはフーシェ側の下りです。このあとは一気に下山してフスパンのキャンプを目指しました。キャンプではコックさんが「天ぷら」を用意してくれていました。疲れた体にはヘビーでした。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Visit : Jun 2010, Gondogolo-la, Hushe Valley, Gilgit -Baltistan

 

カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > K2 > フーシェ谷 > カラコルム・トレッキング
タグ: , , , , , , , , , , , , , ,