カイバル峠 The Khyber Pass 2019

入域許可証の取得が難しい場所の一つが、カイバル峠 Khyber Pass。アフガニスタンの国境トルハム Torkham へと続く道で、旧トライバルエリアに位置します。2018年にカイバル・パクトゥンクワ州へ編入されましたが、今も訪れることが難しい場所の一つです。

 

「カイバル峠」は古くから東西の文化圏を結ぶ交易路として重要な峠でした。国境の山々はスレイマン山脈と呼ばれ、アレキサンダー大王の軍隊、玄奘三蔵が越えた場所です。ムガール朝時代にインドからアフガニスタンのカブールへの幹線道路=グランド・トランク・ロードとして発達し、近代では第一次英ア戦争からパキスタンの独立まで戦場となった場所であり、 独立後はトライバル・エリア=部族地域となっていました。

 

旅人にとってはこの峠の歴史や「中央アジア世界」と「インド世界」を繫ぐ峠としてロマンいっぱいの場所です。

 

 

ペシャワールからカイバル峠へ向かう最初のモニュメントがこの、カイバルゲート Bab-e- Khyber。ペシャワールはただでさえも交通量が多い町でしたが、メインロードの真ん中にトラムができたたことでさらに道が狭くなり、渋滞が深刻な状態です。

 

巨大なシャーガイ・フォート Shagai Fort は 1920年にイギリス軍によって作られた要塞で、現在はパキスタン軍が使用しています。

 

途中、すれ違った学生さんたち。旧トライバルエリアで見る通学風景は新鮮です。

 

カイバル峠の道で両サイドを山に挟まれた一番狭い場所で、戦略上重要な位置となったため、戦争の際には激戦地となりました。アリー・マスジッド(モスク)があり、丘の上にはパキスタン軍の要塞、アリー・マスジッド・フォートAli Masjid Fortがあります。

 

今回一番ショックだったのが、これです。2~5世紀頃のものとされるクシャーナ朝時代のストゥーパのそばに要塞が建てられていました。

 

このストゥーパは ソファラ仏塔 Sphola Stupaと呼ばれるガンダーラの遺跡で、仏塔が3層の基壇の上に乗っていて20世紀初めの発掘では仏像も出土しています。

 

そうしてもうひとつのショックがこの「カイバル鉄道」の線路の無残な姿。国内ツーリズムのために蒸気機関車による「カイバル鉄道」が復活するのではないかと期待していただけに残念です。

 

この鉄道はイギリス統治下の1926年に軍事物資運搬の目的で開通されました。 ペシャワールからランディ・コタールまで34キロ、高低差600メートルの道のりを34のトンネルと92の鉄橋を渡っていくというもので、ここを走る蒸気機関車の旅は観光のハイライトのひとつでした。

 

この地を通過した様々な時代・様々な国の軍隊が、その記念として自分たちの紋章を岩肌に刻んだものだそうです。

 

そしてランディ・コタール Landi Kotal の市場を通過。ここはかつては密輸ビジネスで有名な場所でした。

 

アフガニスタンとの国境を望む峠に位置する、ミチニ・チェックポスト Michni Checkpost , “The Guadians of Khyber Pass”。アフガニスタンを望む展望台があります。

 

ミチニ・チェックポストから望むアフガニスタン国境の景色です。この峠を下ったところに両国のイミグレーション、税関があり、そこを通り抜けるとトルハムです。

 

カイバル峠の情報はこちら (2008年ごろの写真をもとに書いています。昔の写真と比較してみてください)

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Nov 2019, Khyber Pass, Khyber Pakhtunkhwa

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ランディ・コタルの市場

ランディ・コタル Landi Kotal はペシャワールからアフガニスタン国境トルハムへ向かう途中にある小さな町。旧トライバル・エリア(連邦直轄部族地域、Federally Administered Tribal Areas / FATA )に位置し、かつては「密輸バザール」でその名を馳せました。アフガニスタンとパキスタンの間で行われる密輸品、電化製品・車の部品から武器、麻薬までそろう市場。初めて訪れた1992年ごろは普通にチョコ状のハシシが店頭にならんでいて驚いたものです。

今は「密輸バザール」のステイタスは消え、田舎のパシュトゥーンの部族が集まる普通の市場です。

 

「ハロー、ハロー」と声をかけてくれる八百屋さん。

 

外人が通るとものすごい注目です、昔のパキスタンを思い出します。

 

同行のパシュトゥーンの警官が、ランディ・コタルのドンバ羊を食べさせたい、と肉屋へ。お尻の大きなドンバ羊の油はこの地域の人々のご馳走です。

 

肉の部位を買って、炭火焼に。

 

ランディ・コタルのドンバ羊のランチ。この地域の緑茶カフア・ティー Kahwa Tea とともに!

 

それにしても女性には一人も出会いませんでした。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Oct 2019, Landi Kotal, Khyber-Pakhtumkhwa

 

カテゴリ:ペシャワール / カイバル峠 > ■カイバル・パクトゥンクワ州
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ラホール旧市街ウォーク

ラホール旧市街ウォーク Lahore Walled City Bazaar

 

スイスとメキシコから来た友人がラホール旧市街を散策している様子です。

“Walled city of Lahore”  と呼ばれるラホール旧市街は1000年程前に泥レンガの城壁と門で囲まれた要塞の町として発達し、ムガール帝国時代には都として栄えました。

現在は城壁などは一部が残るだけになりましたが、2012年以降、ノルウェーやアメリカ政府の協力を受け旧市街を観光地として発達させるべく整備が行われています。デリー門からワジールハーンモスクにかけては観光客が情緒たっぷりの「旧市街ウォーク」を楽しめるようになりました!

 

Video & text : Mariko SAWADA

Visit : Mar 2020, Lahore, Punjab

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ナンガ・パルバット大展望!PIAパキスタン航空★スカルドゥ・フライト


イスラマバードからスカルドゥへ向かうフライトからのナンガ・パルバット山塊全景

 

パキスタンの北部山岳フライトはキャンセルが多い。理由はもちろん山岳地帯の天候です。それでもここ数年、運航率はだいぶ良くなりました。特にスカルドゥ・フライトは陸路なら丸2日の長距離移動がわずか1時間の「絶景フライト」になるのです。

めでたくスカルドゥ便が運行したときの景色をご覧ください。スカルドゥ便の場合、通常ルートを運航する場合は(天候により異なります)、往路は右にナンガ・パルバット、左がスカルドゥ到着前に(運がよければチラっと)K2が見えます。K2は見えないことが多いし最後のちょっとだけなので、ナンガ・パルバット側をとったほうが、山を楽しむ時間は長くなります。

イスラマバードを離陸すると、パンジャブ平野を旋回しながら高度を上げていきます。そして間もなくヒマラヤ山脈西端部の山の景色へ。下を良く見ると、インダス川とそのそばを走るカラコルム・ハイウェイも見えてきます。

 

ナンガ・パルバットが大きな山の塊として登場です。8,126m、世界第9位の高峰ナンガ・パルバットです。

 

個人的に好きなのは、インダス川とナンガパルバットの両方見えることです。写真ではわかりにくいですが、下にインダス川とカラコルム・ハイウェイがあります。インダス川はインドのラダックから国境を越えパキスタンに入りスカルドゥを経てアラビア海まで注ぐ大河。

パキスタンの山岳地帯はインダス川を境に、川の南がヒマラヤ山脈でインダス川の北がカラコルム山脈です。太古のインド・プレートとユーラシア・プレートの衝突した地域でもあります。

 

そしてこの写真、下のインダス川の河原の標高は1,100~1,200m、上のナンガ・パルバット山頂部は8,126m。直線距離にして23Kmほどの間に7,000mもの高低差が写っているのです!

 

ナンガ・パルバットの景色が見えなくなると間もなくスカルドゥ渓谷に入ります。カラコルムの山々に囲まれ、開けたスカルドゥの谷。インダス川が削り作り出した壮大な景色です。

 

パキスタン航空はポプラ並木の並ぶオアシスのようなスカルドゥの町を旋回。サトパラ湖が見え、いよいよスカルドゥの空港へ着陸です。

 

無事にスカルドゥへ到着。

 

窓側が取れなかったら山は見えないの?・・・その通り。みんなで小さな窓を譲り合うしかありません。そしてフライトキャンセルの場合は、気持ちを切り替えてカラコルムハイウェイ、インダス川沿いの景色を存分に楽しみましょう!

 

Photo & text : Mariko SAWADA

※写真は実際のパキスタン航空スカルドゥ便・右側席からの撮影です。

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(動画) 夜のラホール城へ – Lahore, History by Night

週末のラホール城 Lahore Fort で行われる、History by Night。

 

パキスタンの一般向けでウルドゥ語での開催ですが、ライトアップされたラホール城の至宝、シシュマハル Sheesh Mahal に入るにはこの手しかありません。

 

Video & text : Mariko SAWADA

Visit : Mar 2019, Lahore, Punjab

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インダスハイウェイのトラック野郎、収穫の季節!

11月、小麦や雑穀の収穫が始まるシンド州。ナショナルハイウェイ(N5)やインダスハイウェイ(N55)では収穫した小麦満載のトラックを見かけます。

インダスハイウェイを南下していると、ダドゥ地域からの収穫物を乗せたたくさんのトラックが集まっていました。

 

トラックの運転手の話によると、荷物は小麦ではなく、小麦を収穫した後の藁(わら)。ダドゥ地区からトラック1台に8000キロを積んでカラチの家畜の飼料工場へと運ばれていきます。トラック1台につき250万ルピーで販売されるとのこと。

 

延々とチェックポストで待つトラック。

 

中には日本人のお客様をトラックの中に入れてくれて記念撮影をさせてくれるトラックドライバーさんも。パキスタンのトラックは外見だけでなく内装のデコレーションも素敵です。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Nov 2019, Indus Highway, Dadu, Sindh

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ニシオオノスリ Long-legged Buzzard (バロチスタン)

バロチスタン、クンドマリールの海岸で見たニシオオノスリ Long-legged Buzzardです。ニシオオノスリはアフリカ大陸、ユーラシア大陸に分布する鳥。中央アジアで繁殖し、冬にパキスタンの中・南部の開けた場所へ渡ってきます。

 

確かにバロチスタンは「開けた場所」だらけ。げっ歯類、トカゲ、小鳥などを狙っています。

 

バロチスタンではアラブの富豪が違法な野生動物のハンティングに来る場所として知られています。希少な鳥をEagle Huntingの趣味のために捕まえており、最近ようやくソーシャルメディアなどを通じて問題視されるようになってきました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Nov 2019, Kund Malir, Balochistan

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

※パキスタンでの旅行現地手配を承っております。お問い合わせ・ご相談は、西遊旅行/ Indus Caravan へ!

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(動画)スワート渓谷で出会った、気になるしっぽの羊たち

スワート渓谷で撮影した羊たちの動画です。

車で移動していたら次々と出会う、羊を連れて移動する人々。パキスタンの風物詩とも言える光景。

 

気になるしっぽの羊 Sheep in swat valley (Pakistan) | 西遊旅行

ヘンナで染められた尻尾はかなり気になります。

このエリアはパシュトゥーの人たちのエリア。彼ら独特のオシャレ表現です。

 

いろんなしっぽの羊

そしてこちらは尻尾の長い羊、短い羊などさまざま。

尻尾がなくお尻がハート形に膨らんでるのがドゥンバ羊です。お尻に脂肪がたまるタイプの羊で、パキスタン人のご馳走羊。ペシャワールのナマック・マンディという肉専門食堂街はドゥンバ料理で有名です。

 

そしてついでに毛をかられた羊・・・
毛が無いと、悲しい感じになります。

 

気になる羊のお尻ついでにこちらも。これはパキスタンから北に国境を越え、中国のカシュガルの家畜市でとったドゥンバ羊です。ウィグルの人たちもドゥンバ羊が好きなようです。

 

 

スワート渓谷もずいぶん変わりました。2019年秋には立派な道も延長されました。車道で出会った羊たち行進する風景が続いていますように。

 

Video/photo  & Text : Mariko SAWADA

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バルトロ氷河からゴンドゴロ・ラ越え

ゴンドゴロ・ラ(峠)から見た、夜明け前、静寂のカラコルムの峰。左からK2、ブロードピーク、GⅣ、GⅢ、GⅡ、GⅠ。

 

世界第2位峰K2を望むトレッキングの中でも究極とされるゴンドゴロ・ラ(峠5,680m)越えのルート。雪壁登りの技術を要する為、しっかりとロープワークの確認をします。

 

コンコルディアより間近に眺めたK2とブロードピークを時々振り返りながら、ゴンドゴロ・ラ越えのベースキャンプとなるアリ・キャンプ(5,010m)へと向かいます。衛星電話で下界とも通信し、天気をチェック。幸いにも今晩晴れとの事で、迷わず今晩未明のアタックとしました。

 

いつも重い共同装備を運んでくれるポーターさん。この初老の男性もゴンドゴロ・ラ峠越えの時は、さっさと私たちを抜いて行き、ほぼ丸腰で峠を越え、キャンプ地で私達の下山を待っていました。一番すごいのはいつも現地スタッフ達。頭が下がります。

 

早朝1時にベースキャンプを出発。ユマールを使い、平均傾斜50度の雪壁を登攀します。

 

2012年7月6日、5時20分、ゴンドゴロ・ラ登頂。若かりし日の自分と、背後の稜線の上に見えるのはK2とブロードピークの雄姿。

 

日が高くなると下り斜面が緩くなり落石のリスクが高まります。急いで下山を開始しました。

 

長く急な下山は登りよりもずっと堪えます。

 

下りきった場所はこれまでの氷雪の世界とは別世界。高山植物の花咲く緑豊かなキャンプ地のフスパンでキャンプ。

これまでの緊張もほぐれ泥のように眠りこみました。

 

Photo & text : Tomoaki TSUTSUMI

Expedition : Jun-July 2012,  Askore – Baltro Glacier – Concordia – Gondogolo  La – Hushe

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パキスタン鉄道でインダス川を渡る!

パキスタン鉄道・インダス川を渡る Pakitan Railway Crossing the Indus, Attock

 

パキスタンの鉄道はインドと比べると発達はしていませんが、逆に言うとイギリスが植民地時代に作った鉄道のシステム、駅の建物などがよく残されています。

 

特にアトック付近では、この鉄道がインダス川を渡るのです!

イギリス領インド帝国時代の鉄橋、駅だけでなく、車窓からはムガール帝国時代の要塞アトック城も望む、ヘリテージ・トリップです!

 

Video & text : Mariko SAWADA

(Video is from a trip in  Feb 2020)

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