カタスラージ寺院 Katas Raj Temple、パキスタンのヒンドゥー寺院

パキスタン・イスラム共和国には意外とヒンドゥー教の巡礼地があります。以前にご紹介したバロチスタン州のナニ・マンディールチャンドラグプ泥火山もそうですが、1947年にインドとパキスタンが分離独立するまでは同じ国(イギリス領インド帝国)でパキスタンにも多くのヒンドゥー教徒が暮らしていました。

カタスラージ寺院はパンジャブ州のソルトレンジ(塩の山脈)のポトハル高原にある、ヒンドゥー寺院コンプレックスです。アムリトクンド Amrit Kundと呼ばれる聖なる池の周りにいくつかの寺院が建てられています。アムリトクンドの水は大変美しく、神話ではシヴァ伸が最初の妻サティが死んだ時に流した涙でできたとされています。

 

Baradari パビリオンから見たAmrit Kund

2005年、インドの副首相L.K.アドヴァニ氏が訪れ、その時のカタスラージ寺院の朽ち果てた姿を嘆いたと言います。それを受け、パキスタン政府は2006年から聖なる池の清掃や建物の修復が行いました。ところが2012年、せっかくきれいになった池の水位が下がってしまいました。近くにあるセメント会社の採掘が原因とわかり大きな裁判となりました。水位は少しは回復したものの、以前のようには戻っていません。

 

 

Amrit KundのそばにあるBaradari(パビリオン)の天井は修復が行われていました。植物模様が描かれていますが、この修復はとてもイスラム風ですね。

 

聖なる池のそばにはシヴァ神を祀るシヴァ寺院がありました。司祭は「コロナで巡礼者は減ったが、次のシヴァラトリ祭にはパキスタン国内の多くの巡礼者が来ることを期待している」と。

 

コンプレックスの1つ、ハヌマーン寺院の内部。一部、古い壁画が残っています。

 

インド神話 「ラーマーヤナ」の一場面と思われる壁画。猿の軍隊が描かれているようです。顔の部分が削られていました。

 

ハヌマーン寺院の内部壁画のガネーシャ。

 

修復されたラマチャンドラ寺院 Shree Rama Chandra Temple。ただし、内部は荒れたままでした。

 

ラマチャンドラ寺院 Shree Rama Chandra Templeの2階部分に残る壁画。とってもインド的な壁画です。

 

ヒンドゥー寺院コンプレックスにはハリ・シング Hari Singh のハヴェリ Haveli があります。ハリ・シングはジャンムー・カシミール藩王国の最後の君主で、1947年の10月26日、印パ分離独立の後にジャンムー・カシミールのインドへの帰属を決めた人です。支配層はヒンドゥー教徒、住民の大多数はイスラム教徒というジャンムー・カシミールにおいて、帰属を決めるのは大変難しい決断でしたが、パキスタン軍が侵攻してきたためインドへの帰属を決意しました。

建物は中庭があるシンプルなもので、修復作業が行われていました。

 

コンプレックスの丘の一番上にあるのがサトガラ寺院 Sat Ghara Temple。石造の重厚な建築物です。

 

サトガラ寺院から丘を下る途中にあるのが「仏塔」跡です。「そうなの?」と疑問に思ったのですが、イギリスの考古学者アレキサンダー・カニンガムによる調査が行われており、紀元前3世紀のアショカ王の時代の仏塔ではないかとのことでした。カタスラージのヒンドゥー寺院群はガンダーラ文化が衰退した後、7~10世紀にヒンドゥー文化が栄えた時代に建築されました。

寺院群は自分たちで散策することもできますが、入り口でガイドをお願いすると鍵で閉められている寺院の内部も見学することができます。ぜひガイドをつけて見学しましょう!

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Jan 2022, Chakwal, Punjab

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ナニ・マンディール パキスタンのヒンドウ寺院(ヒンゴル国立公園、バロチスタン)

イスラム教徒のために作られた国、パキスタン。でもパキスタンにもヒンドゥ教徒がおり、ヒンドゥ寺院があるのです。シャルワールカミースを着た普通のパキスタン人に「え、私ヒンドゥ教徒ですよ」と言われると、最初は不思議に感じたものです。

 

バロチスタンのヒンゴル国立公園内にあるナニ・マンディール Nani Mandir (またはヒングラージ・マタHinglaj Mata)ヒンドゥ寺院は、パキスタンに暮らすヒンドウ教徒の間で人気の巡礼地です。毎年4月の巡礼シーズンには4万人の巡礼者がやってくるといいます。

 

1947年のパキスタンとインドの分離独立前まで、現パキスタン領の人口の14%がヒンドゥ教徒とシク教徒だったと言います。それが分離独立を機にインドへ移住し、1.6%まで減りました。

Pakistan Hindu Council によると現在、パキスタンには800万人のヒンドゥ教徒がいます。パキスタンの総人口2億人の4%で、パキスタンで2番目に大きな宗教集団です。そしてその94%がシンド州に暮らしています。

 

ナニ・マンディールを訪問すると、ヒンドゥの信仰、寺院の歴史や春の大巡礼の話を聞かせてくれました。パキスタンのヒンドゥ教・・・新しい発見でした。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Visit : Nov 2018, Nani Mandir / Hinglaj Mata – Hingol National park , Balochistan

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北部パキスタン・秋の風物詩 秋のパスーで家畜の移動と出会う

秋の北部パキスタンの風物詩、家畜たちの大移動です。10月になると夏の間を標高の高い牧草地で過ごしたヤギ・羊・ヤクなどの家畜たちが一斉に村へ帰ってきます。

 

カラコルムハイウェイを北上していたら、パスーの山並みを背景に家畜たちを連れた村人が現れました。

 

夏を高地の放牧地で過ごした家畜たちを運ぶ村人たちです。

 

村中のいろんな家から集められたヤギ・羊たちがまとまめられ一緒に移動し、村に到着するとそれぞれの家へ分けられ、冬の準備です。

 

通り過ぎる家畜の群れ、元気な羊、ヤギの姿。

 

家畜たちを送り届ける村人たち、村はもう近くです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Visit : Oct 2014, Passuパスー, Gilgit-Baltistan ギルギットバルチスタン州

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印パ国境越え・ワガに到着!

印パ国境の続きです。<印パ国境越え・アタリからワガへ はこちら>

国境の門をくぐるとジンナーさんの肖像画をかかげたフラッグセレモニーのスタジアムです。インドとパキスタンの時差は30分。国境で忘れずに時計を合わせ、スーツケースを引きずって歩きました。

 

振り返ったインド側。続々と人が越えています。ちょうどインドとパキスタンの関係が悪化していた時ですが私が国境にいた短い時間だけでも50人ほどのの往来を見ました。中にはガッツリ国境を撮影していた欧米からのグループ客の姿も。

 

パキスタン建国の父、ジンナーの肖像画。

 

ちなみにこの国境は普通は歩いて越えますが、デリー・ラホール間を走る「インド・パキスタン友好バス」は車両を変えることなく、バスが国境を越えていきます。

国境の空いている時間をよく聞かれるのですが、最近はフラッグセレモニーの時間をのぞけば夕方も開いているようです。それでも3時までに国境越えを済ませるのが賢明です。

 

フラッグセレモニーのスタジアムから出てまっすぐ進むとまもなく右手にイミグレーションオフィス。この付近では「両替」をあっせんする人もいます。

イミグレーションオフィスでは、空港の入国カードとは違いずいぶん詳しく書かなくてはならないA4サイズの入国カードを書きました。(2019年3月現在)

荷物をX線に通し、税関を抜けます。ここからまださらにラホール側に歩いていくと、ようやく出迎えに来てくれた西遊パキスタン支店(Indus Caravan)のスタッフが。ここからラホールまであと1時間です!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Visit : Mar 2019, Wagha Border, Punjab

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印パ国境越え・アタリからワガへ

印パの緊張が高まった2019年3月に越えた、印パ国境。これまでに比べて、確かに軍人の顔つきが厳しかったかな?と感じる以外は本当に平和な国境越えでした。
朝8時50分のアムリトサル行き国内線。1時間で到着し、空港から国境のアタリまでは車で30分。

 

アタリが近づくと正面に大きなインドとパキスタン国旗掲揚ポールが見えてきます。この時はパキスタン側だけ旗が上がっていました。

 

こういう標識を見ると国境情緒が盛り上がります!

国境の施設につくと入口でエントリーを済ませ、イミグレーションと税関のある建物へ。ここからは写真撮影禁止です。荷物のセキュリティーチェックを終えイミグレへ。ここではパスポートを提出するだけ。そして荷物をX線にかけ、カスタムフォームを記入。税関は国境を越える人で少し時間がかかりました。ちなみに、デリー・ラホール間を走る「印パ国境越えフレンドシップバス」と重なると、先が見えないくらい時間がかかることがあります。

 

カスタムを越えると国境のフラッグセレモニーのスタジアムがあるところまでバスで移動します。

 

フラッグセレモニーのスタジアムに到着するとここからは写真撮影が可能。ちなみに、荷物を運ぶポーターを利用するとかなり高くに要求されますので覚悟して下さい。

 

ゲートでパスポートのチェックを受け、歩いていよいよパキスタンへ!

 

目の前にパキスタン

 

パキスタン側の国境では記念撮影する旅行者たちの姿が。

国境警備の人が、Welcome to Pakistan, please show me your passport、と。パキスタンへ到着したのはインド時間の12:00、パキスタン時間の11:30でした。

 

Photo & Text :Mariko SAWADA

Visit : March 219, India-Pakistan border crossing, Attari to Wagha

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