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パキスタン北部、中国との国境近くシムシャール村の女性と家畜が”パミール”へ大移動する「クッチ」。2011年6月20日に行なわれた「クッチ」の記録です。
2010年はカラコルムハイウェイ上にアッタバード湖が誕生し、この交通規制を受けて参加できなかったクッチ。2011年は西遊旅行の「シムシャール・パミール」のツアーのお客様、手配旅行のお客様・現地スタッフが参加。シムシャール村始まって以来最大級の“ヤク・サファリ”グループで最大の難関ショポディン峠 5,346mは 52頭のヤクと61人が峠越えをするという、私達のグループ自体がまさに「大移動、クッチ」そのものでした。
2011年のクッチ当日の様子です。2018年、2019年と村の女性の参加者数が激減し、もう過去の伝統となってしまったのではないか心配です。
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クッチの朝、5月20日~6月20日までを過ごしたシュイジェラブの夏村の家を戸締りして出発の準備。年配の女性が手を回して尊敬の念で皆を見送ってくれます。
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シュイジェラブの羊とヤギの囲いが開けられ、大きな群が最初の峠を登ってきます。村の女性は手にランタンとまだ歩けない生まれたてのヤギの赤ちゃんを抱いています。
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シュイジェラブの丘をあがったところで村人の記念撮影。家族、仲良い村人が協力し合って行う伝統的なクッチ。
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子供と子ヤギを抱いて歩くシムシャールの女性たち。ヤギ・羊は歩くのが遅いので別動隊として女性が面倒を見ていました。
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ヤクのメスと子供の群とともにヤクに乗って進む私たちのグループ。クッチの日のヤクは、後ろから追われているためさらにスピードを出して歩きます。標高4,500mを越える高地をこのスピードで歩くシムシャールの女性達の強さに驚かされます。
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振り返ると、後ろから家畜の群れが押し寄せてきます。シムシャール峠(4,735m)からはメスと子供のヤクの群、村人と共に歩いて目的地“シュウェルト”を目指しました。標高の高さを忘れてしまうほどの興奮のひと時です。
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シムシャールの女性が6月20日から3ヶ月を暮らすシュウェルト(4,670m)の夏村。シムシャールの人々の言う“パミール”とは豊かな牧草地、人と家畜が一緒に暮らせる場所のことです。その“パミール”に無事に到着した神への感謝の儀式に参加させてもらい、村人とともにシムシャールのチーズをいただきました。
数え切れない、ヤギ、羊、ヤクの群。メーメー(羊、ヤギの鳴き声)、ブーブー(ヤクの子供の泣き声)の喧騒の中、一緒に“パミール”を目指して歩く臨場感。一生の宝物です。
Photo & text : Mariko SAWADA
Visit : Jun 2011, Shimshal Pamir, Shimshal, Gilgit-Baltistan
※この記事は2011年7月にアップしたブログ「サラームパキスタン」の記事を加筆・訂正したものです。シムシャールのクッチの伝統は急速になくなりつつあります。2018年、2019年と村の女性の参加する姿はほとんど見られなくなったと聞いています。
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