カガン渓谷:夏のヒマラヤバードウォッチング

パキスタンのバードウォッチングで「ヒマラヤの野鳥」が見やすいのは、冬の時期のマルガラ丘陵と夏の時期のカガン渓谷。冬をマルガラ丘陵やパンジャーブ平野、遠い場所ではインド南部やスリランカで過ごした野鳥が、5月ごろになるとカガン渓谷の2,000~2,800 m付近のヒマラヤの湿潤温帯林(ほとんどが常緑針葉樹で一部に落葉樹)にやってきて繁殖し夏を過ごします。

 

5月下旬のカガン渓谷でのバードウォッチングの記録です。カガン渓谷には、ナランをはじめ、国内観光客向けに発達した(正直、オーバーツーリズム気味)場所が多く、バードウォッチャーは繁忙期や週末を避けて訪問するのがお勧めです。

松の巨木がある針葉樹林の斜面を歩き、ところどころに現れる小川、そして耕作地で探鳥します。今回の訪問では、野鳥のほか、2種のムササビ(カシミールムササビとオオアカムササビ)、希少種カシミールラングールも観察できました。

 

2泊3日の探鳥で出会った(写真が撮れた)野鳥の一部をご紹介します。

 

オオゴシキドリ  Great Barbet

何度も遭遇した種です。オオゴシキドリ Great Barbetは東南アジア~南アジアに広く分布しますが、パキスタンではカガン渓谷やマリーなど限られた地域で見られる鳥です。32~35cmと、ゴシキドリの仲間で一番大きな鳥です。

 

ロクショウヒタキ  Verditer Flycatcher

ロクショウヒタキ(雄) Verditer Flycatcher(Male)は高い木の上に留っていることが多く、観察しやすい夏鳥です。

 

キバシサンジャク  Yellow-billed Blue Magpie

キバシサンジャク Yellow-billed Blue Magpie は雑食でいろんな場面で出くわします。ヒマラヤ山麓で通年見られるカラスの仲間です。

 

ホオジロヒヨドリ  Himalayan Bulbul

ホオジロヒヨドリ Himalayan Bulbul は スワート渓谷からチトラールにかけての地域、マルガラ丘陵からカガン渓谷にかけて通年見られるヒヨドリの仲間です。

 

ムナフガビチョウ  Streaked Laughingthrush

ムナフガビチョウ Streaked Laughingthrush は パキスタン北部で通年見られる鳥で、カガン渓谷でも毎日観察できました。

 

ヤマザキヒタキ  Grey Bushchat

ヤマザキヒタキ(雄) Grey Bushchat(Male)  です。ヒマラヤの1900m~3000mの間で短い渡りをする種で、カガン渓谷ではいたるところで見ることができました。メスはバフ色(クリーム色~うす茶色)です。

 

ニュウナイスズメ  Russet Sparrow

ニュウナイスズメ(雄) Russet Sparrow(Male)  はカガン渓谷では通年見られるようですが、冬はパンジャーブ地方へも移動します。

 

モンツキイソヒヨドリイ  Blue-capped Rock Thrush

モンツキイソヒヨドリイ(繁殖期の雄) Blue-capped Rock Thrush(Breeding Male)  は北部パキスタンの夏鳥。美しい繁殖期の雄の写真が撮れるととても嬉しいものです。

 

ウスゴシムシクイ  Lemon-rumped Warbler

ウスゴシムシクイ Lemon-rumped Warbler はヒマラヤ山麓で冬と夏に短い渡りをする鳥です。

 

キバラシジュウカラ  Green-backed Tit

キバラシジュウカラ Green-backed Tit  が枯れたマツの大木の穴で繁殖していました。通年見られますが、一部は冬にマルガラ丘陵へ下ります。

 

ニシセンダイムシクイ Western Crowned Warbler

ニシセンダイムシクイ Western Crowned Warbler は パキスタン北部の夏鳥で冬はインド半島部へと移動します。

 

コチャバラオオルリ  Rufous-bellied Niltava

コチャバラオオルリ Rufous-bellied Niltava  はマリーやカガン渓谷など限られた地域で観察される夏鳥です。

 

クリハラゴジュウカラ  Chestnut-bellied Nuthach

クリハラゴジュウカラ Chestnut-bellied Nuthach  もマリーやカガン渓谷などパキスタンの限られた地域に通年いる落葉樹林の鳥です。

 

オナガベニサンショウクイ  Long-tailed Minivet

オナガベニサンショウクイ(雄) Long-tailed Minivet(Male)  です。夏はヒマラヤ山麓、冬はインダス水系に沿ってパンジャーブ平野中部まで移動します。メスは背中が灰色でお腹が黄色です。

 

アカハラコルリ  Indian Blue Robin

アカハラコルリ(雄) Indian Blue Robin(Male) はヒマラヤ温帯林の夏鳥。観察中も美しいさえずりが森に響いていました。冬はインド半島部、スリランカへと渡り、森だけではなくお茶畑などでも見られるそうです。

 

ヒゲホオジロ  Rock Bunting

ヒゲホオジロ Rock Bunting は北部パキスタンの夏鳥で冬はパンジャーブ平野、バロチスタン北部に移動します。

 

キンクロシメ  Black-and-yellow Grosbeak

キンクロシメ(雄) Black-and-yellow Grosbeak (Male) 、これは写真が取れてうれしかった鳥です。ヒマラヤ温帯林で通年見られるようです。

 

ヒマラヤルリビタキ Himalayan Bluetail

ヒマラヤルリビタキ Himalayan Bluetail は パキスタン北部の夏鳥で冬はヒマラヤ山麓へ移動します。以前はルリビタキの亜種として扱われていましたが、移動距離の違いや成鳥のオスの青色がより濃いなどの違いがあり、独立種となったそうです。

 

ヒガラ Spot-winged Tit /Black-crested Tit

ヒガラ Spot-winged Tit またはBlack-crested Titと呼ばれるヒマラヤ針葉樹林帯で通年見られる鳥で、以前は種として独立して扱われていましたが、今はヒガラ Coal Titの亜種とされているそうです。

 

ヒマラヤアカゲラ  Himalayan Woodpecker

ヒマラヤアカゲラ(雄) Himalayan Woodpecker(Male)  は パキスタン北部のヒマラヤの森で通年みられるキツツキの仲間です。

 

ニシコクマルガラス  Eurasian Jackdaw

昼食をとったバラコットBalakot の食堂の駐車場から観察したニシコクマルガラス Eurasian Jackdaw。パキスタンでこのカラスが現在確認されているのはこのバラコットだけだそうです。白い目がとても特徴的です。バラコットではカワリサンコウチョウ Asian Paradise-flycatcherも観察できました。

 

最後に、野鳥以外に出会ったワイルドライフもご紹介します。希少なカシミールラングールとの遭遇は探鳥そっちのけで夢中になってしまいました。そして夜はムササビ2種の観察。おかげで早朝から夜中まで大変忙しい3日間となりました。

 

カシミールラングール Kashmir gray langur

生息地の減少から国際自然保護連合ICUNの「絶滅危惧種」に指定されています。移動距離が大きく、遭遇するのが難しいラングールの仲間です。

 

ムササビは猛禽類に狙われなくなる夜を待って活動を開始します。2晩でオオアカムササビ Red giant flying squirrel、カシミールムササビ Kashmir flying squirrelの2種を観察しました。

 

オオアカムササビ Red giant flying squirrel
カシミールムササビ Kashmir flying squirrel

そして一緒にバードウォッチングを楽しんだメンバー。パキスタンのバーダー人口も増えてきているようです!

 

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

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カラバーグにパンジャーブウリアル Punjab urial を求めて

1月のパンジャーブ平野、ジャヴァの山にあるカラバーグ・プライベート・ゲームリザーブにパキスタン固有種のパンジャーブウリアル Punjab Urialを探しに行きました。

Kalabagh Private Game Reserveはハンティングのための野生動物保護区ですが、トロフィーハンティングのためには個体数を増やす必要があり、銃を持ったレンジャーが密猟を防いでいて保護区内は野生動物が結構いるのです。

 

ウリアル Urialは偶蹄目ウシ科ヒツジ属の哺乳類。雄の角は弧を描いて大きく巻き、首の下に長い毛の房がある野生のヒツジです。南アジアから中央アジアにかけての山岳地帯に生息。パキスタンのパンジャーブ地方に生息するウリアルはインドのラダックウリアル Ladakh Urialと同じ扱いをされていましたが、2016年に発刊された “BOVIDS of the World” (世界のウシ科動物)ではパンジャーブウリアル Punjab Urialとして独立種になりました。

 

車を降りて、パンジャーブウリアルの群れの近くへ。風向きに気をつけてアプローチします。

 

あまり近寄りすぎるとすぐに距離をあけられてします。2時間くらいの滞在で、大きな角を持つオスを含め30頭以上を見ることができました。

 

そしてお待ちかねのランチタイム。さすがハンティングロッジ。そのセッティングもサービスもとても心地よいものでした。

 

地元食材をふんだんに使ったランチ。そしてオレンジの季節!!

 

ハンティングロッジの内装。「トロフィー」が飾られていました。パンジャーブウリアルのハンティング・オークションでの価格は1頭 15,000~16,000 USドルと高価なもの。1年にパンジャーブ平野全体で15頭ほどがハンティングの対象となっています。

 

ロッジの周りには人になついてしまったパンジャーブウリアルの子供が何匹かいました。私たちとは距離を置いていましたが、ロッジの人には寄り添っていました。

 

ガイドのアブルとパンジャーブウリアルの子供。

Kalabagh Private Game Reserveで出会った生き物をご紹介します。

 

ソルトレンジ・チンカラ Salt Range Chinkara。以前はインド・チンカラの亜種とされていましたが、2016年発行の図鑑によると種として独立しました。パキスタンの塩の山脈~インドの首都デリー付近まで分布しています。

 

インドノウサギ Indian hare

 

オオバンケン Greater Coucal、 インド・パキスタンの平野部、農村の鳥。

 

シロエリハゲワシ Eurasian Griffonの若鳥。大人になると翼が白くなります。

 

シマシャコ Grey Francolin インド・パキスタンの平野部の鳥です。

 

すぐに藪に入ってしまいます、とてもかわいらしい鳥。

 

イノシシ Wild Boar

 

ムナグロシャコ Black Francolin。美しいオスです。

 

午前中2時間、昼食をはさんで午後2時間の観察をし、もうイスラマバードに戻る時間です。きっと朝と夕方にここにいれたら、もっと素敵なワイルドライフ遭遇があるはずです。

 

最後に、案内してくださったGame Reserveのレンジャーさんの雄姿。ハンティングのために保護するって、最初は驚きましたが、どうぞしっかり守ってください!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2023, Kalabagh Private Game Reserve, Punjab

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特集記事:パキスタンの野生動物

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誰がアイベックスの死骸にやってきたのか?

冬の上部フンザの山で見つけたヒマラヤアイベックスの死骸。ユキヒョウに襲われたもので、すで数日が経過しているものでした。5日間のカメラトラップに映し出されたカラコルムの野生動物の姿をまとめました。

 

Who came on Carcass of Ibex?

 

現れた野生動物:ユキヒョウ、キバシガラス、ベニハシガラス(ビデオには映っていませんが)、アカギツネ、ワタリガラス、ヒゲワシ

 

狩りから数日(おそらく一週間くらい)経っていると聞いていたアイベックスの遺骸はまだ肉が残っていました。狩りの際に川に転落したものをユキヒョウが引き上げたもので、カチカチに凍ってしまったようです(気温はマイナス20度)。映像の中でもユキヒョウは確認してまわっており、食べてはいません。狩りをした個体と異なる個体かもしれません。

 

カメラトラップとしてはうれしい、しっぽまで全身が入った写真。時間は18時08分で暗くなってからすぐに現れました。

 

夜も日中もアカギツネがやってきて食べていました。毛並みの感じから2個体は来ていたようです。

 

 

うれしかったのはヒゲワシが写っていたこと。ワタリガラスと一緒にアイベックスに乗っていて、すぐに飛び立ちました。

一頭のアイベックスが、いろんな動物の糧となっていく、自然の営みに感動です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Ovservation : Jan 2023, Gojar, Gilgit-Baltistan

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夏のデオサイ高原、キャンプで出会うワイルドライフ

夏のデオサイ高原、キャンプ&ウォーキングで出会ったワイルドライフと景色。2022年の夏のデオサイ高原は例年になく乾燥していました。いつもは水があふれ高山植物の花が咲き乱れるデオサイは、乾燥し水がないため秋と同じような色をしている植物がたくさん見られました。理由は冬の降雪の少なさです。このことは、別の記事にも書きますが、ヒマラヤヒグマの生態に大きな影響を与えました。

 

これまでのデオサイ高原に関する記事

 

晴れた日のデオサイ高原は本当に美しく、透き通った水の流れる川、湿原、山が迎えてくれます。

 

オナガマーモット Long-tailed Marmot

オナガマーモット Long-tailed Marmot(またはGolden Marmot)です。クンジュラブ峠付近で見られるのと同じ種ですが、その毛皮の色はだいぶ落ち着いた色です(クンジュラブ峠のものはまさにGolden Marmotという色)。

 

キガシラセキレイ Citrine Wagtail

キガシラセキレイ Citrine Wagtailの雄。繁殖期で美しい。川沿いの藪で繁殖しており、朝・夕に雛に虫を運ぶ姿が観察されます。

 

ハマヒバリ Horned Lark

こちらはハマヒバリ Horned Larkの雄。こちらも雛に餌を運ぶのに大忙しでした。滞在していた7月半ばはちょうど雛の巣立ちの季節のようで、まだあまり飛べない雛が車道付近にいるのをドキドキして見ていました。

 

ムネアカイワヒバリ Robin Accentor
ムネアカイワヒバリ Robin Accentor

ムネアカイワヒバリ Robin Accentor です。キャンプ地の周りにはいませんでしたが、シャトゥン地区の家畜の放牧エリアで見かけました。パキスタンではデオサイ高原から北にかけての限られた地域でのみ見られる鳥です。

 

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bearを求めて毎日歩きました。今夏の例外的な乾燥のため、いつもいるはずの場所にヒグマがいませんでした。夕方まで探しても見られない日がありました。

 

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear

歩いて歩いて、ようやくであったヒマラヤヒグマ、大きな子供です。そばに母グマがいたのか、独り立ちした後なのか。

 

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear

草を食べまくっている大きなヒマラヤヒグマもいました。風向きに助けられ、近づいて観察することができました。

 

キャンプ地に戻ると、大きなマスが(注:ちゃんと国立公園の許可証をとってスタッフが捕まえたものです)。デオサイ高原には、もともといたマスとイギリス人が植民地時代に釣りのために放流した外来のマスがいます。このマスがどちらなのかはわからないのですが、もともといるマスはIndus Snow Troutと呼ばれる珍しい種だそうです。

 

マスを見たら、喉が渇きます。パキスタンのビール、マリービールで乾杯です(注:標高4,000mありますのでマネしないでください)。この缶はMurree BreweryのMILLENNIUMというビールで、個人的に一番おいしいと思っているビールです。イギリス植民地時代の遺産で一番感謝しているものです。

 

デオサイ高原の星空・・・明かりのないデオサイ高原の空の撮影はおすすめ。

 

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear

そしてキャンプ地に現れたヒマラヤヒグマ・・・キャンプ地のゴミを目当てにしている個体がおり、しょっちゅうやってくるそうです。カメラトラップにしっかり映っていました。

 

今年は乾燥していたため、ヒグマの観察には苦労し、高山植物の少ないシーズンとなってしまいましたが、この異常気象が生態を狂わさないことを祈るばかりです。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : JUL 2022, Deosai National Park, Gilgit-Baltitstan

パキスタンの野生動物特集

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夏のデオサイ高原にヒマラヤヒグマを求めて

2022年の夏のヒマラヤヒグマの観察は苦労しました。国立公園のスタッフと歩き、探し、「どうしていつもの場所にいないのか」と頭を抱えました。

最初に思いついた原因は「観光客の増加」。しかしそれは今年だけのことではありません。次が、遊牧で暮らす人々がデオサイ高原のヒグマエリアに家畜を持ち込んだこと。これはさすがに影響があるはずです。しかし、ヒグマのコアゾーンにもいない・・・大きな理由はやはり、積雪の少なさによる「乾燥」に起因すると考えられます。ヒグマの好物の草が、いつもの場所に育たず、餌をもとめて移動してしまった・・・というのが国立公園スタッフの意見でした。

残念ながら、ヒマラヤヒグマはその生態についてほとんど研究されていません。正直なところ、発表されている個体数も正確なものではないでしょう。

 

一番楽して見れる可能性がある場所が、バラパニの国立公園詰め所の奥にある「ウォッチング・ポイント」。運がいいと近くの丘を歩くヒグマの親子の姿を見ることができますが、距離は遠く、双眼鏡かスコープがあったほうがいい場所です。

 

今回の滞在中、ヒマラヤヒグマを求めて4か所のヒグマエリアを歩きました。途中、デオサイ高原のあちこちから見える世界第9位の高峰、ナンガパルバット Nanga Parbat (8,216m)の南東からの山容です。

 

ヒグマがねぐらに使っていたくぼみです。大きなくぼみと小さなくぼみ。親子ヒグマのもののようです。

 

糞も大きな糞(母グマ)と小さい糞(子熊)が大量にありました。ただ、国立公園スタッフによると、一番新しいものが3~4日くらい前でその後の新しいものはないと。この親子ヒグマもこの場所を去ってしまったようです。

 

コアゾーンと呼ばれるエリアで、スキャン。ようやくヒマラヤヒグマを見つけました。

 

とっても若いヒマラヤヒグマです!

 

私たちのにおいがしたのでしょう、立ち上がって、私たちを探し始めました。

 

もう、私たちの存在に気が付いてしまいました。この後は、遠ざかる一方です。

 

草原を走って見えなくなってしまいました。まだかなり若い個体なので近くに母グマがいたのか、それとも別れたばかりなのか。無事に育ってくれることを祈ります。

 

別の大きなヒマラヤヒグマがいました、夢中で食べています。

 

食べるのに夢中でなかなか顔を上げてくれません。食べている間に少しづつ距離を詰めていきました。風向きは反対、チャンスです。

 

ヒマラヤヒグマ撮影中。

 

こちらのことは気づくことなく草を食むヒマラヤヒグマ。高山植物の花に囲まれ、キガシラセキレイがヒグマの周りで虫を捕食する、自然な光景を見ることができました。

 

これまでも何度かヒマラヤヒグマの観察チャレンジしてきましたが、今回が一番歩き、探すのに苦労し、そして異常気象がデオサイ高原の乾燥とヒマラヤヒグマに与える影響が恐ろしくなりました。

 

いつもはみずみずしい緑と花で覆われたデオサイ高原が、この夏は乾いた大地が露出し、そこを無数の観光客の車が砂埃をあげながら走る光景は、デオサイがいつか砂漠になってしまうのではないかと心配させられる光景でした。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Observation : JUL 2022, Deosai National park, Gilgit-Baltistan

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ユキヒョウ、狩りの後

ユキヒョウの鳴き声を聞きその姿を探していたガイドが戻ってきて、「おめでとう」と。彼が双眼鏡を向けた方向に見たものは、仕留めたばかりのアイベックスと片目を傷めたユキヒョウの姿。息を飲む瞬間でした。

 

youtubeの動画「ユキヒョウ Injured Snow leopard, after the hunt」

「ユキヒョウ」に関するその他の記事

特集記事:パキスタンの野生動物

 

アイベックスの頭が割れている様子や切り立った崖の下にいたことから、かなりの高さからアイベックスとユキヒョウが落ちたことが想像されます。そこからこの岩のくぼみまでアイベックスを運んできたユキヒョウ。引きずった跡が残っていました。

 

片目が腫れていて、動きが非常に不自由な様子でした。ユキヒョウもこの狩りで大きなけがを負ったようです。ガイドが、このユキヒョウは死んでしまうのではないか、と心配し始めました。骨が折れている可能性があり、もう次の狩りができないのでは、と。

厳しい肉食獣の野生の現場を目の当たりにした瞬間でした。

 

それでも寝ている姿は猫らしい表情を見せてくれたりもしました。

 

狩りで疲れている+お腹いっぱい=爆睡です。

 

私たちのことはお構いなく、寝ています。

 

スコープでも観察。この春にHobby’s Worldさんで購入したばかりのKowa(TSN-663)のスコープにiphoneをつけて撮影しました。

 

肉球が・・・。

 

大きな猫です。

 

ドキッとする、ユキヒョウの灰色グレーの目。

この後、ユキヒョウは一度起き上がると穴の奥のほうへと行ってしまいました。歩くこともままならない傷ついたユキヒョウの姿に動揺しました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation :Apr 2022, KVO area, Gilgit-Baltistan, Pakistan

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ヒマラヤアイベックス Himalayan Ibex fighting for the dominance

クンジュラブ峠近くで見た、ヒマラヤアイベックスの角合わせの動画です。ヒマラヤアイベックスが優位を競って争う様子は繁殖期の12~1月をピークに行われますが、春のある雪の日、大きな舞台のような岩の上で角合わせをするヒマラヤアイベックスのグループを見ました。

クンジュラブ峠近くで見た、ヒマラヤアイベックスの角合わせの動画です。アイベックスが優位を競って争う様子は繁殖期の12~1月をピークに行われますが、春のある雪の日、大きな舞台のような岩の上で角合わせをするアイベックスのグループを見ました。

 

Himalayn Ibex fighting for the dominance ヒマラヤアイベックス

 

2021年の12月~2022年の2月にかけて、クンジュラブ国立公園では違法なハンティングが行われ多数のアイベックスが殺されました。これまではクンジュラブ国立公園とKVO(Khunjerab Villagers Organization)が管理し、KVOエリア内のトロフィーハンティング以外の狩猟は厳しく取り締まられていましたが、ここにきて一部の心無い人々の不正により、ようやく回復してきたアイベックスの数が減り、それがユキヒョウへも影響し家畜の被害例が増えた冬となってしまいました。

 

すでにこの事件は担当者の処分が行われ、解決したことになっていますが、失われた個体数は戻りません。次の冬シーズンも心配されます。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Apr 2022, Khunjerab National Park

 

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カラコルムの自然を守る – クンジェラブ峠清掃活動を実施

この4月のパキスタンのユキヒョウツアーはサイティングにも恵まれ素敵な旅となりましたが、訪れたクンジュラブ峠付近はごみが散乱しマーモットがごみを巣穴に運ぶ姿もみかけました。ツアーご参加のみなさまのご支援を受け、アブル・ハーン氏とモルホン村のボーイスカウトが5月4日にクンジュラブ峠付近の清掃活動を行いました。行政へお願いしても迅速な対応は期待できず、パキスタン国内観光客のごみに対する意識改革にも時間を要します。今シーズンはあと2回の清掃活動を行う予定にしています。

 

ごみを巣穴へ運ぶマーモット

 

冬眠明けのお腹を空かせたマーモットがごみを食べる姿はつらいものでした。

 

モルホン村のコミュニティホールで清掃活動についての説明をするアブル氏。

 

中国との国境付近は観光客の最終目的地で一番ごみが多い場所です。標高4,600mを越える高所での作業は地元の人々の協力が強力が必要です。

 

カラコルムハイウェイ添いの溝を清掃。お菓子のパッケージ、ペットボトル、オムツ、マスクなどが落ちていました。どうして車窓からごみを投げ捨てることができるのでしょうか。

 

ごみ拾いに参加した子供。

 

集めたごみは、峠で焼却処分しました。

今年はシーズンの前と後の2回の清掃を行いたいと思っています。今なら美しい自然を取り戻すことができます。「世界の尾根」と称されるカラコルム山脈、パミール高原の自然と野生動物の環境を守るため、微力ですができるとことからやっていきたいと思います。

 

<ご支援のお願い>

西遊旅行の取り組み ”持続可能なツーリズムを目指して” カラコルムの自然を守る クンジェラブ国立公園 クリーンナップ募金のご案内

Image & text : Mariko SAWADA , dated on 10May

 

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冬眠前のヒマラヤヒグマ、10月のデオサイ高原

10月半ばのデオサイ高原のヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bearです。10月になるとデオサイ高原には雪が降ります。一度の降雪で野生動物が冬支度に入ります。例えばオナガマーモット Long-tailed Marmotは、驚くことに一斉に冬眠を開始。昨日まで日向ぼっこしていたのに今日は一匹も見かけない、という状況でした。

 

冬景色のデオサイ高原、バラパニ付近の景色です。国立公園のスタッフによるとヒマラヤヒグマは9月になると脂肪たっぷりのオナガマーモットを捕食し、冬眠に向けて脂肪を蓄えていきます。そのマーモットも冬眠すると、ヒマラヤヒグマも標高4,200mの高地から少し標高を下げた谷へと移動していくそうです。

 

デオサイ国立公園内の道路近くでヒマラヤヒグマを発見! ↓↓↓ ヒマラヤヒグマ動画です!

 

Himalayan Brown Bear in Autumn|デオサイ高原のヒマラヤヒグマ

 

冬眠前のヒマラヤヒグマは大きく、丸々しています。見ているだけで幸せな気分になります。

 

草地に座り込んでしまいました。

 

周囲の山はもう雪に覆われています。国立公園のスタッフによると、もう、本当にこの場所でヒマラヤヒグマが見れるのは最後だと。

国立公園のスタッフも2回目の雪の前に片づけをしてスカルドゥへと引き上げました。羊飼いも下山し、いよいよデオサイ高原の冬が始まります。

 

オナガマーモット Long-tailed Marmotは冬眠しましたが、アカギツネ Red Foxは厳しい冬を生き抜きます。人の往来がなくなった道沿いで何度もアカギツネの姿を見かけました。

 

デオサイ国立公園を訪れるパキスタン人国内客が増え、キャンプ場のごみの処理が問題となっています。2018年、ヒグマの糞の80%がプラチックだったという衝撃的な報告がなされました。その後、国立公園のスタッフが毎週一度の清掃活動を行うようになったと言います。また国立公園内のキャンプ場のゴミ捨て場にヒグマが現れることが知られており、対策が求められます。

この看板のヒマラヤヒグマは夏の写真です。夏でもしっかりモフモフですね。

 

Image  & Text : Mariko SAWADA

Observation : Oct 2021, Deosai National Park, Gilgit-Baltistan

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(Tour Vlog) ユキヒョウ・エクスペディション Snow Leopard Spring Expedition 2021

 

Tour Vlog SNOW LEOPARD EXPEDITION SPRING2021

 

パキスタンのユキヒョウに通って何回目でしょう、これまでの苦労が報われた、感謝の気持ちでいっぱいの出会いでした。

 

Videography : Mariko SAWADA
Observation : April 2021, Khunjerab National Park, Gilgit-Baltistan
Special Thanks : Hussain Ali Khan, Khunjerab National Park

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