誰がアイベックスの死骸にやってきたのか?

冬の上部フンザの山で見つけたヒマラヤアイベックスの死骸。ユキヒョウに襲われたもので、すで数日が経過しているものでした。5日間のカメラトラップに映し出されたカラコルムの野生動物の姿をまとめました。

 

Who came on Carcass of Ibex?

 

現れた野生動物:ユキヒョウ、キバシガラス、ベニハシガラス(ビデオには映っていませんが)、アカギツネ、ワタリガラス、ヒゲワシ

 

狩りから数日(おそらく一週間くらい)経っていると聞いていたアイベックスの遺骸はまだ肉が残っていました。狩りの際に川に転落したものをユキヒョウが引き上げたもので、カチカチに凍ってしまったようです(気温はマイナス20度)。映像の中でもユキヒョウは確認してまわっており、食べてはいません。狩りをした個体と異なる個体かもしれません。

 

カメラトラップとしてはうれしい、しっぽまで全身が入った写真。時間は18時08分で暗くなってからすぐに現れました。

 

夜も日中もアカギツネがやってきて食べていました。毛並みの感じから2個体は来ていたようです。

 

 

うれしかったのはヒゲワシが写っていたこと。ワタリガラスと一緒にアイベックスに乗っていて、すぐに飛び立ちました。

一頭のアイベックスが、いろんな動物の糧となっていく、自然の営みに感動です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Ovservation : Jan 2023, Gojar, Gilgit-Baltistan

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ユキヒョウ、狩りの後

ユキヒョウの鳴き声を聞きその姿を探していたガイドが戻ってきて、「おめでとう」と。彼が双眼鏡を向けた方向に見たものは、仕留めたばかりのアイベックスと片目を傷めたユキヒョウの姿。息を飲む瞬間でした。

 

youtubeの動画「ユキヒョウ Injured Snow leopard, after the hunt」

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特集記事:パキスタンの野生動物

 

アイベックスの頭が割れている様子や切り立った崖の下にいたことから、かなりの高さからアイベックスとユキヒョウが落ちたことが想像されます。そこからこの岩のくぼみまでアイベックスを運んできたユキヒョウ。引きずった跡が残っていました。

 

片目が腫れていて、動きが非常に不自由な様子でした。ユキヒョウもこの狩りで大きなけがを負ったようです。ガイドが、このユキヒョウは死んでしまうのではないか、と心配し始めました。骨が折れている可能性があり、もう次の狩りができないのでは、と。

厳しい肉食獣の野生の現場を目の当たりにした瞬間でした。

 

それでも寝ている姿は猫らしい表情を見せてくれたりもしました。

 

狩りで疲れている+お腹いっぱい=爆睡です。

 

私たちのことはお構いなく、寝ています。

 

スコープでも観察。この春にHobby’s Worldさんで購入したばかりのKowa(TSN-663)のスコープにiphoneをつけて撮影しました。

 

肉球が・・・。

 

大きな猫です。

 

ドキッとする、ユキヒョウの灰色グレーの目。

この後、ユキヒョウは一度起き上がると穴の奥のほうへと行ってしまいました。歩くこともままならない傷ついたユキヒョウの姿に動揺しました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation :Apr 2022, KVO area, Gilgit-Baltistan, Pakistan

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カラコルムの自然を守る – クンジェラブ峠清掃活動を実施

この4月のパキスタンのユキヒョウツアーはサイティングにも恵まれ素敵な旅となりましたが、訪れたクンジュラブ峠付近はごみが散乱しマーモットがごみを巣穴に運ぶ姿もみかけました。ツアーご参加のみなさまのご支援を受け、アブル・ハーン氏とモルホン村のボーイスカウトが5月4日にクンジュラブ峠付近の清掃活動を行いました。行政へお願いしても迅速な対応は期待できず、パキスタン国内観光客のごみに対する意識改革にも時間を要します。今シーズンはあと2回の清掃活動を行う予定にしています。

 

ごみを巣穴へ運ぶマーモット

 

冬眠明けのお腹を空かせたマーモットがごみを食べる姿はつらいものでした。

 

モルホン村のコミュニティホールで清掃活動についての説明をするアブル氏。

 

中国との国境付近は観光客の最終目的地で一番ごみが多い場所です。標高4,600mを越える高所での作業は地元の人々の協力が強力が必要です。

 

カラコルムハイウェイ添いの溝を清掃。お菓子のパッケージ、ペットボトル、オムツ、マスクなどが落ちていました。どうして車窓からごみを投げ捨てることができるのでしょうか。

 

ごみ拾いに参加した子供。

 

集めたごみは、峠で焼却処分しました。

今年はシーズンの前と後の2回の清掃を行いたいと思っています。今なら美しい自然を取り戻すことができます。「世界の尾根」と称されるカラコルム山脈、パミール高原の自然と野生動物の環境を守るため、微力ですができるとことからやっていきたいと思います。

 

<ご支援のお願い>

西遊旅行の取り組み ”持続可能なツーリズムを目指して” カラコルムの自然を守る クンジェラブ国立公園 クリーンナップ募金のご案内

Image & text : Mariko SAWADA , dated on 10May

 

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モルホン村のワシミミズク Eurasian eagle-owl at Morkhun village

モルホン村のフセインさんの家を訪問。そこで出会ったのが、ワシミミズク Eagle owl。自然と野生動物を大切にするフセインさんとアブルさん、傷ついて動けなくなっているフクロウがいると村人から聞き、保護したのがこの個体です。

 

ワシミミズク Eagle owl, Eurasian eagle-owlと呼ばれるこの大きなフクロウはユーラシア大陸に広く分布するフクロウで、日中は森や岩場で休み、夜間に狩りなどをする夜行性のフクロウです。

標高3,000m近いこの地域に生息するワシミミズクは、亜種 Himalayan eagle-owl 、Bubo bubo hemachalanus でブータンからインド北部、パキスタン北部まで広がるヒマラヤ山脈の高地に生息しています。

 

ワヒ族の民家で。子供とワシミミズクとの微妙な距離。

 

餌は鶏肉をもらっていました。

 

ワシミミズク、保護してくれているアブルさんには懐いているようにさえ見えました。でも、今日はリリースする日です。

 

庭に出てワシミミズクを離します。まっすぐ飛んで、茂みの近くに降り中へ入ってきました。

 

ワシミミズクの暮らすモルホン村の山の斜面はポプラが色づいています。

 

自由になったワシミミズク。元気にもとの縄張りに戻っていきますように。

 

その後は、ブハリ(ストーブ)を囲んでのランチです。ちょうどじゃがいもの収穫の季節。たっぷりのフライドポテトと乳製品から作られるワヒ族の伝統料理、チャウメン(焼きそば)にサラダ。とれたてのジャガイモで作ったフライドポテトに手が止まりません。

 

そして食後はチャイ(ミルクティー)。パキスタン北部では、お砂糖ではなくヒマラヤ岩塩をそのまま入れてかきまぜ、塩味のミルクティー「ナムキンチャイ」を飲みます。

 

はるかパンジャブ地方から運ばれてくる岩塩。「ピンクソルト」や「ヒマラヤ岩塩」の名で市場に出ている岩塩です。

ワシミミズクを見送り、ナムキンチャイでくつろいだモルホン村のひと時でした。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Oct 2021, Morkhun village, Gilgit-Baltistan

Special Thanks to Hussain Ali and Abul Khan

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秋の上部フンザ、夕方のモルホン村とガラパン村

10月の半ば、家畜たちが夏の長期の放牧を終え村に戻ってきます。その後は毎日、村のヤギ・羊たちが集められて放牧へ出かけます。上部フンザのガラパン村で、夕方のヤギ・羊の到着を待ちました。

 

この時期の上部フンザはポプラが最も美しい季節です。周囲を高峰に囲まれている谷に位置するため、陽に輝くポプラの黄葉が見られる時間は限られます。

 

山の斜面をヤギ・羊が放牧を終えて下ってきました!

 

↓↓ モルホン村とガラパン村で、一日の放牧を終えて家畜が村へ向かう様子の動画です。ポプラがきれいで、ドローン空撮も含めました!

 

Morkhon & Ghalapan in Autumn|秋の上部フンザの村にて

 

村人たちがヤギ・羊たちが下ってくるのを待ちます。

 

自分の家畜を素早く見つけます。中にはドライアプリコットを持ってきて、自分の羊に与えながら誘導している村人も。

 

自分の家畜がすぐわかるんですね!

 

群れから離すために抱っこされている羊。

 

それぞれの家畜小屋へと戻っていくヤギ・羊たち。15分ほどの出来事でしたが、北部パキスタンの素敵な村の時間でした。

 

Image : Mariko SAWADA

Visit : Oct 2021, Ghalapan village, Upper Hunza, Gilgit-Baltistan

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(Tour Vlog) ユキヒョウ・エクスペディション Snow Leopard Spring Expedition 2021

 

Tour Vlog SNOW LEOPARD EXPEDITION SPRING2021

 

パキスタンのユキヒョウに通って何回目でしょう、これまでの苦労が報われた、感謝の気持ちでいっぱいの出会いでした。

 

Videography : Mariko SAWADA
Observation : April 2021, Khunjerab National Park, Gilgit-Baltistan
Special Thanks : Hussain Ali Khan, Khunjerab National Park

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ユキヒョウ遭遇 vol.04(クンジュラブ国立公園 )- SNOW LEOPARD EXPEDITION

朝、目撃したユキヒョウの親子を一日中追った記録です。

早朝に仕留めたと思われるアイベックスの朝食を邪魔されたユキヒョウの親子は、獲物からそう遠くない山の斜面にいました。はじめは山肌に寝転がっていましたが、陽が強くなってくると草の中や岩陰を転々と移動。決してずっと寝ているのではなく日陰を求めて苦労していることがわかりました。

下記の映像はかなり遠方から日中のユキヒョウを撮影したものです。

 

Snow leopards during the daytime

 

そしてようやくお待ちかねの日没。はじめは親子3頭で一緒の場所にいましたが、夕刻時にはバラバラになっていました。お母さんユキヒョウが歩き始め、朝仕留めたアイベックスの元へ!

 

Snow leopard at dusk

 

獲物との微妙な距離の岩場から「早く行けよ」と言わんばかりのお母さんユキヒョウ。子供たちは上の岩場からその様子を見ていました。そして暗闇が訪れ、彼らの時間が始まります。

翌朝訪れると、アイベックスは「完食」されていました。

 

 

Videography & text :Mariko SAWADA

Observation : April 2021, Khunejrab National Park, Gilgit-Baltistan

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ユキヒョウ遭遇 vol.03(クンジュラブ国立公園 )- SNOW LEOPARD EXPEDITION

春のユキヒョウ・エクスぺディションも残り2日となった日の朝の出来事です。クンジュラブ国立公園を走行中、至近距離でユキヒョウを発見。母と子供2頭、3頭のユキヒョウがアイベックスを食べていました。

もちろんユキヒョウの親子は我々を見て驚いて、崖を登っていきます。時間にして3分くらいでしょうか、誰もが息をのみ、シャッター音だけが響き渡りました。

 

Snow leopards sighted from the Karakoram highway

 

親子が視界から消えた後、角度を変えてこの親子を探し、この日は一日彼らを追うことにしました。

 

Videography & text :Mariko SAWADA

Observation : April 2021, Khunejrab National Park, Gilgit-Baltistan

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(動画)杏の花咲くカイバル村

4月下旬、例年より遅れて杏の花が満開となった上部フンザのカイバル村の景色です。上部フンザにも開発の波が押し寄せています。いつまでもこの美しい村の景色が続くことを望みます。

 

Apricot Blossom in Khyber / 杏の花咲く北部パキスタン

 

Videography : Mariko SAWADA

Visit : April 2021, Khyber, Gilgit-Baltistan

Special Thanks : Hunza Hill-Gah – Khyber

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ユキヒョウ遭遇!カラコルム・ハイウェイ

ユキヒョウを求めてやってきたパキスタン北部。アイベックスやハゲワシの観察をしながらカラコルム・ハイウェイを移動していました。

クンジュラブ国立公園内では道路上にも、河原の雪原にもたくさんのパグマークが。カラコルム・ハイウェイ上で、親子のユキヒョウが寝ていた跡や子供がかじって遊んでボロボロになったペットボトルも見つけました。人が通らない夜間や早朝のカラコルム・ハイウェイにユキヒョウがやってくるようです。

 

ユキヒョウの足跡だけがある吊り橋です!ユキヒョウは川幅が狭い場所や凍った場所を使って川を渡りますが、橋があるなら当然利用します。

 

昼頃、カラコルム・ハイウェイを走行していると、ガイドが「レオパード(Leopard)!」と叫び、車を止めて外へ。「ビスミッラー、ビスミッラー(Bismillah、Bismillah:神の御名において)」と見つめるその先にはユキヒョウの姿が。

 

道路のすぐそばの岩の上に座っていましたが、我々を見て歩き始めました。

ガイドが「シャウバシ、シャウバシ(Very goodとかWell doneという意味のワヒ語)」と喜んでいます。ユキヒョウガイドのプレッシャーが解けた瞬間です。

 

それにしても歩くのが早く、移動するユキヒョウに追いつくのが大変です。標高3,300mほどですが、興奮もあり息切れ。カメラを持つ手も震えます。

 

雪の上を歩くユキヒョウ。ユキヒョウの観察は、意外と岩が背景であることが多いので、雪の上のユキヒョウを観察できるのはうれしいものです。

 

どんどん登って遠くなっていきます。

 

さらに移動を続けます。草と重なると見失ってしまいそうになります。

 

数秒、こちらに顔を見せてくれました。これが最後の姿。岩場を歩き始め、姿が見えなくなりました。

 

最後の最後まで、ユキヒョウの姿を追った私たち。

 

スストに戻ったのは午後2時30分。遅いランチです。この日はスタッフたちの祝杯で(お酒はありません!)、ヤク肉メニューのオンパレード。ヤクのマントゥ(スストと接する新疆ウイグル自治区、中央アジアの料理)にヤクのニハリ(インド亜大陸の料理で牛のスネ肉と骨髄と煮込んだ料理)など、ヤク肉のフュージョン料理をみんなで楽しみました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2020, Khunjerab National park, KVO area, Gojar, Gilgit-Baltistan

Special Thanks :  TOMO Akiyama and  Hussain Ali, Abul Khan

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