7月のデオサイ高原はワイルドフラワーが咲き乱れ、天気が良ければナンガパルバットも望める「天空の花園」。
デオサイ高原で出会ったハマヒバリ Horned Larkのレポートです。
ハマヒバリ Horned Lark は、ユーラシア大陸北部や北米で夏に繁殖し、冬は南へと渡り越冬する野鳥ですが、パキスタンの北部では一年を通じて観察することができます。チトラール付近、デオサイ高原、そしてクンジュラブ峠など標高3,300~5,000mの山岳地帯の開けた場所で見られます。
デオサイ高原(デオサイ国立公園)はパキスタンの北西、インドとの国境に近い平均標高4,200mの高原で、無数の小川が走り高原湿地が広がるまさに「天空の花園」と呼ぶにふさわしい場所です。
ハマヒバリはこの山岳地帯の岩陰や地面のくぼみに巣を作って繁殖しています。
7月上旬にはワイルドフラワーの花盛り。
ハマヒバリのオスです。英名Horned larkの通り、角のような冠羽が左右にあるのがオスの特徴。地域によっては顔からのどにかけて黄色になるハマヒバリもいるそうですが、パキスタンでは白~クリーム色です。
正面から見たオスのハマヒバリ。
後ろから見たオスのハマヒバリ。両サイドから出た「角」のような冠羽が本当にかわいらしいです。
ハマヒバリの幼鳥です。親鳥と同じくらいの大きさになっていました。
草の実をつつくハマヒバリ。
ツーリストの残したパンくず?を給餌。キャンプ地付近は食事のおこぼれがあるため、一番観察しやすい場所で、パキスタン人の観光客も一緒にバードウォッチングを楽しんでいました。
早く育って、冬に備えなくてはなりません。厳冬期には高原の麓の畑や谷に降りてきます。
デオサイ高原を「天空の花園」と表現しましたが、その状況も変わってきました。夏になると大挙して観光客が訪れ、無意識にごみを放置し、オフロードで草原を走ったりしている現状があります。
短いデオサイ高原の夏に、繁殖の大切な時期を迎える野生動物や野鳥がいることを知ってもらいたいです。
Photo & text : Mariko SAWADA
Observation : July 2016, Deosai National Park, Gilgit-Baltistan
※この記事は2017年の「世界の野生動物観察日記~ワイルドライフ」の記事に加筆したものです。
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