秋、冬眠前のヒマラヤヒグマを求めてデオサイ国立公園へ。秋深まる高原のワイルドライフレポートです。
アストール側のチラム・チェックポストからデオサイ国立公園へ入りました。入り口にはとても美しい夏のヒマラヤヒグマの写真が。
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チラムの国立公園入口から高原までどんどん高度を上げていきます。途中、野鳥の観察。今回、高原で観察できた野鳥は少なく、一番種類が多かったのがチラムからシェオサル湖までの登り途中でした。
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ナンガパルバットが見えシェオサル湖に近づいたとき、前方に犬らしき動物の姿が。同行スタッフに「ここって犬が来る?」と聞くと、「いや、民家は遠いしここには来ないでしょう、見間違いじゃない?」と。しばらくあたりを探しましたが見つかりません。やはり見間違いかと思い、シェオサル湖畔へ。そこに、この動物がいました。オオカミです。デオサイ高原ではヒグマを見るより難しい、チベットオオカミ!
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このオオカミは群れではなく一匹で行動していたようです。この後、デオサイ高原滞在中に2回チベットオオカミを遠くに観察する機会がありましたが、いずれも単体でした。国立公園スタッフも、5日間の滞在で3回もオオカミを見るのは異例で、冬眠前のマーモットを狙って活発に動いているのではないかと推測していました。
デオサイ高原に入ると、シェオサル湖、カラパニを経てバラパニのキャンプ地へ。
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シェオサル湖付近はパキスタン国内観光客が多く、餌を期待するオナガマーモットが現れます。相当人に慣れている個体もおり、国立公園当局は野生動物に人間の食べ物を与えないようにもっと厳しく注意するべきです。
バラパニの私たちのキャンプ。レンジャースタッフの施設エリアに設立したプライベートキャンプです。夏は山で活躍しているIndus Caravanのキャンプチームがテント、ダイニングテント、トイレテントを設立してくれました。テントの前には川が流れ大自然の中での滞在です。
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ヒマラヤヒグマの観察はその確率が高い場所が何か所かありますが、いずれの場所も歩かないと近くで見ることはできません。標高4,000mを越える高原を歩くのは決して楽ではありません。そしてヒマラヤヒグマは大変臆病で、2キロ先に見つけても風向きが悪いと私たちの臭いを感知し、あっという間に遠ざかっていきます。
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ヒマラヤヒグマの雄の姿を確認。気づかれないように遠くから撮影。この個体は風向きが良くなく遠くからの観察だけになりました。そしてこの個体の奥にいた親子グマにすこし近づいてみることにしました。
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高原を歩くのは大変です。湿地帯や草の下に隠れる凹凸に気をつけながら進まなければなりません。
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ヒマラヤヒグマはヒグマの亜種でインド・パキスタン・アフガニスタンの北部山岳地帯に生息し、デオサイ国立公園の最後のセンサス(2022年)で77頭が確認されています。2023年の秋に3頭に発信機が取り付けられ、それまで不明だった冬眠場所もわかってきました。3頭のうち2頭はアストール渓谷へ下り冬眠し、1頭はデオサイ高原のバラパニ付近で冬眠していました。
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風が味方してくれました、ヒグマの方からこちらへ近づいてきました。「何かがいる」とわかっているようで興味をもってこちらを見ています。
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観察チーム、高原でのランチ。おにぎりを作って行ったら「Japan’s アニメフード」と言われました。動物好きのスタッフは、日本のアニメも大好きでした。
ところで、ヒマラヤヒグマはとても臆病で遠くからしか観察することができないこともあります。下の写真の中央の小さな黒い点がヒマラヤヒグマです。でも、夜は大胆にもキャンプにやってくるのです。
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キャンプ地に現れたヒマラヤヒグマ。人がいないと食料を探してキャンプに近寄ってきます。ライトで照らしてもすぐに逃げることもなく、昼はあんなに臆病なのに夜はこんなに堂々として・・・。暗闇でこちらから見えていないと思っているのでしょうか・・・。4泊したすべての夜にヒマラヤヒグマはやってきました。しかも、毎日異なる個体でした。事故を防ぐために国立公園のキャンプ地の食料とゴミの管理が急務です。
Text & Photo: Mariko SAWADA
Visit: Sep 2024, Deosai National Park-Gilgit Baltistan
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カテゴリ:■ギルギット・バルティスタン州 > ヒグマ > デオサイ高原タグ:デオサイ高原 , パキスタン現地旅行会社 , Deosai Plateau , Indus caravan , インダスキャラバン , ヒマラヤヒグマ , パキスタン , デオサイ国立公園 , ムネアカイワヒバリ , Deosai National Park , bear , Himalayan Brown Bear , ヒグマ , パキスタンブログ , ヒグマ写真 , パキスタン・ブログ , Wildlife of Pakistan , パキスタンの野生動物 , パキスタン旅行ブログ