シムシャール・パミールトレッキングとミングリク・サール(6,050m)登頂 Part-1

シュイズへラブで放牧されるヤクたち
シュイズへラブで放牧されるヤク

2024年8月下旬から9月にかけてシムシャール・パミールの6,000m峰を目指した山旅の記録です。場所は「カラコルムの空白地帯」とも称され、トレッカーが訪れることも稀なシムシャール・パミール。私自身、2011年の夏に初めて訪問して以来、毎年のように“帰省”している場所です。

 

この地域は厳しい自然の中で放牧地を移動しながら、ワヒ族がヤギ、羊、ヤクを放牧しています。かつては移動しながら女性達が夏を過ごし乳製品を作っていましたが、暮らしの近代化が進み今は行われなくなてしまいました。(過去のシムシャールの夏の暮らしはこちらの記事をご覧ください。Shimshal Pamir シムシャール・パミール ある夏のクッチ

 

「シムシャール・パミール」の旅では、ワヒ族の夏の放牧地の暮らしにふれることができます。実際のところ、シムシャール村を出発しこの「夏の放牧地」を訪れるだけでも十分ハードなトレッキングですが、さらにその先に待つ6,000m峰への登頂は達成感が大きく、とても満足度の高いルートです。

 

トレッキングルート
トレッキングルート

■トレッキング1日目 シムシャール村(3,100m)→ガーレ・サール(3,670m)

初日はシムシャール村からガーレ・サール (3,670m)を目指します。小さな吊り橋(Michael Bridge)を渡り、ヤズギール氷河のエンドモレーンを眼前に望みながらシムシャール川沿いを直進。平坦な道ではありますが、川岸の大きい石がゴロゴロしていて歩きにくい箇所もあります。今回は川の水量が多く、ヤクは対岸からロープを渡して、引っ張って渡らせていました。

 

ヤクに乗って移動することもできます。「ヤク・サファリ」と呼ばれています。
ヤクに乗って移動することもできます。「ヤク・サファリ」と呼ばれています。
ヤズギール氷河のエンドモレーンを眼前に望みムシャール川沿いを直進
ヤズギール氷河のエンドモレーンを眼前に望みムシャール川沿いを直進

シムシャール川と支流のパミール・タング川が合流するポイントの橋で川を渡り、その先の小屋で昼食。この後から急登が始まります。まだ登り慣れていない足腰には堪えます…。

 

急登が始まります
急登が始まります

徐々にヤズギール氷河を見下ろす角度が変わり、しばらくして展望のよいキャンプ地に到着です。日が落ちると、シムシャール村の夕景を見ることができました。

 

展望のよいキャンプ地に到着
展望のよいキャンプ地に到着

■トレッキング2日目 プリエン・サール(3,850m)へ

ここからは絶壁、ランドスライド地帯など少々危ない箇所を歩きます。緊張感が高まると一層疲労が増します。やがて、急な谷を下りるとパスト・フルズィン(3,550m)のキャンプ地がみえてきました。さらに崖道を進み、休憩場所となるウッチ・フルズィン(3,365m)に到着。

 

谷を見下ろしながら歩く
谷を見下ろしながら歩く
ウッチ・フルズィンにて休憩
ウッチ・フルズィンにて休憩

吊り橋を対岸へ渡り、危険なトラバースを進みプリエン・ベン(3,596m)へ。緊張が続くルートですが、無事に谷を見下ろすポイントまで辿り着きました。

 

吊り橋をわたり対岸へ
吊り橋をわたり対岸へ
危険なトラバース
急な斜面のトラバース
プリエン・ベンを見下ろす展望地から、右上のコル(パスト・ダルワザ)まで ジグザグに急斜面を登る先行ポーター組を眺める
プリエン・ベンを見下ろす展望地から、右上のコル(パスト・ダルワザ)まで ジグザグに急斜面を登る先行ポーターを眺める

いよいよ、高低差約320mの急な登りに差し掛かります。足を滑らすことのないよう、スタッフと共にマンツーマンで一歩一 登ります。

 

標高差約320mの登り
高低差約320mの登り

無事に登りきった先は、石で作られた門のあるパスト・ダルワザ(下の門)。さらに石と木の階段を手を使いながら登り、ウッチ・ダルワザ(上の門)へ。宿泊地プリエン・サール(3,850m)に到着です!アプローチの核心部を無事に越えました。そして前方にはミングリク・サールの頭が見えてきました。

 

パスト・ダルワザ(下の門)
パスト・ダルワザ(下の門)
プリエン・サールのキャンプ地 左奥にはミングリク・サール(6,050m)の頂上がみえる
プリエン・サールのキャンプ地 左奥にはミングリク・サール(6,050m)の頂上がみえる

■トレッキング3日目 シュイズへラブ(4,350m)へ

今日は夏村シュイズヘラブを目指します。朝、ホワイトホルン(6,400m 左)とディスタギル・サール(7,885m)が太陽の光を浴びて、輝いていました。

 

朝日に輝くディスタギル・サール(7,885m)とディスタギル・サール(7,885m 影がついている奥の峰)
朝日に輝くディスタギル・サール(7,885m/左)とディスタギル・サール(7,885m/影がついている奥の峰)

前日とはうってかわって広々としたルートを進んでいきます。アルバ・プリエン(復路のキャンプ地)を経て進み、シュイズヘラブの川とガンジ・ドールの川との合流地点を越えていきます。

 

川の合流地点を目指す
川の合流地点を目指す

柳の木が生えるチコールで昼食。シュイズへラブ川沿いに進み、夏村が近付いてくると放牧されているヤクたちの姿が現れました。シュイズへラブはシムシャール村から移牧して登ってきたヤギや羊、ヤクが放牧されながら夏を過ごす村です。

 

チコールでパスタランチ
チコールでパスタランチ
ヤクの親子
ヤクの親子

■トレッキング4日目 シュイズヘラブ(4,350m)滞在

休養日です。ヤクの乳絞りや夏の住居の訪問などワヒ族の夏のパミールの暮らしを見学。ヤクは、ヤギ、羊とは異なり迫力があります。

 

家畜とともに生きるワヒ族の暮らしを見学
家畜とともに生きるワヒ族の暮らし
ヤクの乳絞り体験
ヤクの乳絞り
ヤクミルク
ヤクミルク

その後高所順応も兼ねて、隣丘のグルチンワシュク・サム(4,600m)までハイキング。標高差250mの登りです。上部では登頂日のガレ場登りの練習になりました。

 

グルチンワシュク・サムの丘にて
グルチンワシュク・サムの丘にて
登頂日のアンザイレン下山練習を兼ねて高所順応
登頂日のアンザイレン下山練習を兼ねて高所順応

■トレッキング5日目 シュイズヘラブ(4,350m)→ミングリク・サールB.C.(4,730m)

ミングリク・サールB.C.まで約3~4時間の道のりです。途中、ミングリク・サールを左手に通り過ぎます。角度によってはなだらかな山に見え、山麓にはザック・ゾーイ(小湖)とルップ・ゾーイ(大湖)の2つがあります。今回はザック・ゾーイ沿いにB.C.を設置しました。

 

ザック・ゾーイ沿いにB.C.を設置
ザック・ゾーイ沿いにB.C.を設置

天気予報では翌日から回復に向かうとのことだったので、もう1日高所順応日を設けることとしました。その間、シュウェルトで4万ルピーで購入してきた羊を捌き、日本風カレーでいただきました。

■トレッキング6日目 ミングリク・サールB.C.(4,730m)滞在

夜から雪が降り積もり、ベースキャンプは雪景色へと様変わりしました。気温も氷点下となり冷え込んできました。今日は動けないかと思っていましたが、雪が止んだので登頂ルートの視察も兼ねて高所順応トレッキングに出かけました。太陽が出て、どんどん天気が回復に向かっている様子が見てとれます。地面の雪もどんどん融けてゆきました。

 

高所順応トレッキングに出発!
高所順応トレッキングへ
高所順応途中(約4,000m)にB.C.方面を振り返る。
約4,000m付近でB.C.方面を振り返る。

午後は、装備チェックをしたり、ゆったりと過ごしました。体を動かしたいメンバーはさらに奥の村シュウェルト(4,670m)まで訪問しました。

 

ウスユキソウ属の花も逞しく咲いている
ウスユキソウ属の花
B.C.(4,730m)から望んだミングリク・サール(6,050m)
B.C.(4,730m)から望んだミングリク・サール(6,050m)

ミングリク・サールもはっきりと確認でき、士気も高まります。

後編へつづく。

 

 

Photo & Text : Osamu KUSUNOKI

Visit : Aug-Sep 2024, Shimshal Pamir, Shimshal, Gilgit-Baltistan

 

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誰がアイベックスの死骸にやってきたのか?

冬の上部フンザの山で見つけたヒマラヤアイベックスの死骸。ユキヒョウに襲われたもので、すで数日が経過しているものでした。5日間のカメラトラップに映し出されたカラコルムの野生動物の姿をまとめました。

 

Who came on Carcass of Ibex?

 

現れた野生動物:ユキヒョウ、キバシガラス、ベニハシガラス(ビデオには映っていませんが)、アカギツネ、ワタリガラス、ヒゲワシ

 

狩りから数日(おそらく一週間くらい)経っていると聞いていたアイベックスの遺骸はまだ肉が残っていました。狩りの際に川に転落したものをユキヒョウが引き上げたもので、カチカチに凍ってしまったようです(気温はマイナス20度)。映像の中でもユキヒョウは確認してまわっており、食べてはいません。狩りをした個体と異なる個体かもしれません。

 

カメラトラップとしてはうれしい、しっぽまで全身が入った写真。時間は18時08分で暗くなってからすぐに現れました。

 

夜も日中もアカギツネがやってきて食べていました。毛並みの感じから2個体は来ていたようです。

 

 

うれしかったのはヒゲワシが写っていたこと。ワタリガラスと一緒にアイベックスに乗っていて、すぐに飛び立ちました。

一頭のアイベックスが、いろんな動物の糧となっていく、自然の営みに感動です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Ovservation : Jan 2023, Gojar, Gilgit-Baltistan

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絶景!バロチスタン・マッドボルカノ

バロチスタンのマッドボルカノ(泥火山)を訪れているツアーメンバーを空撮した動画です。泥火山は活動していたり・していなかったり、その姿はどんどん変化します。今シーズンはどんな姿を見せてくれるのでしょうか。

 

絶景!バロチスタン・マッドボルカノ MUD VOLCANO BALOCHISTAN 1

 

Videography : Mariko SAWADA

Visit : Feb 2020, Kund Malir, Balochistan

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(動画)恋するマーコール チトラル・ゴル国立公園 

繁殖の季節になると普段は高地で過ごすオスのマーコールは、「ホット」なメスを求めて山を降りてきます。

オスがメスを追いかけまわしている光景はよく見かけますが、メスのほうがオスにアタックしているカップルを発見。そこへもう1頭のオスがやってきて・・・。

スタッフと夢中で観察した「恋するマーコール」です。

 

恋するマーコール Markhor in love, Chitral Gol National Park|西遊旅行

 

Video & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec2020, Chitral Gol National Park, Khyber Pakhtunkhwa

Special Thanks : Wildlife Department of Khyber Pakhtunkhwa, WWF Pakistan, TOMO Akiyama

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(動画)スワート渓谷で出会った、気になるしっぽの羊たち

スワート渓谷で撮影した羊たちの動画です。

車で移動していたら次々と出会う、羊を連れて移動する人々。パキスタンの風物詩とも言える光景。

 

気になるしっぽの羊 Sheep in swat valley (Pakistan) | 西遊旅行

ヘンナで染められた尻尾はかなり気になります。

このエリアはパシュトゥーの人たちのエリア。彼ら独特のオシャレ表現です。

 

いろんなしっぽの羊

そしてこちらは尻尾の長い羊、短い羊などさまざま。

尻尾がなくお尻がハート形に膨らんでるのがドゥンバ羊です。お尻に脂肪がたまるタイプの羊で、パキスタン人のご馳走羊。ペシャワールのナマック・マンディという肉専門食堂街はドゥンバ料理で有名です。

 

そしてついでに毛をかられた羊・・・
毛が無いと、悲しい感じになります。

 

気になる羊のお尻ついでにこちらも。これはパキスタンから北に国境を越え、中国のカシュガルの家畜市でとったドゥンバ羊です。ウィグルの人たちもドゥンバ羊が好きなようです。

 

 

スワート渓谷もずいぶん変わりました。2019年秋には立派な道も延長されました。車道で出会った羊たち行進する風景が続いていますように。

 

Video/photo  & Text : Mariko SAWADA

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バロチスタン Adventure exploring the impressive mud volcanoes in Balochistan (お客様から届いたvlog)

今年の2月、スイス人とメキシコ人のカップル、ルーカス&パトリシア、そして写真家・中西敏貴氏と訪れたバロチスタン。パトリシアから旅のレポートビデオが届きました。スペイン語ナレーションに、英語字幕ですが、ツーリストから見たバロチスタン、ご覧ください。

 

 

パトリシアは本来、野生動物フォトグラファー。パキスタンに来る前はスイスの友人達に「パキスタン?何の動物を撮りに行くの?その前に危ないんじゃないの?」と言われ続けたたそうです。そして旅が終わった今、「みんなにパキスタンの旅の素晴らしさを知ってほしい」と、ビデオを作ってくれました。

 

そしてコロナで#STAY HOME … 「今は時間もある!」とパトリシア。ありがとうございます!

 

Text : Mariko SAWADA

Special Thanks to  SUMMERMATTER DIAZ ENRIQUETA PATRICIA. Please visit her web site :  https://elpadiro.ch/

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バロチスタン泥火山世界 ”BALOCHISTAN MUD VOLCANO EXPLORER”

昨シーズンに3度通ったバロチスタン。ドローン撮影を中心にバロチスタン、ヒンゴル国立公園の泥火山のまとめ映像をアドベンチャー仕立てで作ってみました。

 

 

今年の冬はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。

お問い合わせは西遊旅行のパキスタンチームまで。

 

バロチスタン原風景- True beauty of Balochistan – Pakistan

 

Videography & Text : Mariko SAWADA

Visit of Balochistan : Nov 2018, Feb & Mar 2019

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