インダス河畔に残る岩絵のご紹介の最後は、ゴナールファーム(GONAR FARM)です。チラスからカラコルムハイウェイを東に1時間程走り、車を降りてさらに30分程歩いて到着する村の外れに、岩絵が点在してます。まさに、知る人ぞ知る岩絵です。
インダス河沿いに残る失われゆく岩絵① カラコルムハイウェイ沿い
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行きは軽い登りで、最後は村の畑の中も歩いていくと到着です。
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村外れの開けた場所の大きな岩に、沢山の岩絵が残っていました。
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後ろは峻険な山並みです。
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この場所が不思議なのは、インダス河から少し離れた場所にあることです。かつて人々が渡河をしていたインダス河が流れを変えたのか、それとも元々河から離れた場所に人が集まった場所があったのか、想像を掻き立てながら岩絵を見て回ります。
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ゴナールファームの岩絵の特徴は、何と言ってもその保存状態の良さです。訪れる人が少ないためか、鮮明な岩絵ばかりでした。この仏陀も、微笑んでいるような表情、組んだ手、袈裟のひだが良く分かります。
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岩絵はほとんどが仏教に関する絵で、仏塔の絵も沢山残っています。
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足元の岩に描かれたこの仏塔も、踏みつける人が少ないため鮮明な状態で残っています。
仏教以外の絵もいくつか残っており、これは植物と手形の絵です。
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今までご紹介してきた岩絵は、2027年までにダム建設によりダムの底に沈む運命にあります。いくつかの岩絵は政府によって移設、保存される予定ですが、5万点を越えるそのほとんどは水没してしまいます。シルクロードを行き交った人々の営みや思い、信仰も刻まれたこれらの岩絵が、消えゆく前に少しでも多くの人の目に焼き付いて残ることを、願ってやみません。
Photo & text : Koji YAMADA
Visit : Nov 2021, Gonar Farm, Gilgit-Baltistan
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