今回の岩絵は、シャティアール(Shatial)の岩絵です。一般のフンザを訪れるツアーでも訪問する場所で、巨大な仏塔の岩絵があることから「仏教サイト」として知られるシャティアール。時間をかけてゆっくり見学したところ、仏塔以外にも様々な珍しい絵が描かれているのがわかりました。
最新の記事:シャティアールの岩刻画 失われるインダス河畔の岩刻画・シルクロードの遺産 をご覧ください(2023年6月UP)
インダス河沿いに残る失われゆく岩絵① カラコルムハイウェイ沿い
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この場所もまた、古来からインダス川を渡るポイントだったため、仏教徒以外も、商人、巡礼者、旅人がここを通過し、色々なものを刻んでいきました。珍しい岩絵の数々をご紹介いたします。
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この右手を上げた人物は、一見すると怒って手を上げているように見えますが、顔の後ろに丸い光背が描かれていることから、仏陀なのかもしれません。
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これは卍を表しています。法輪と共に仏教のシンボルです。
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これは三又です。武具として使われたのか、宗教的なシンボルなのか、農業用なのか想像を搔立てられますが、いずれにしても古来から使われていたものです。
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絵だけではなく、様々な文字も刻まれています。カロシュティ文字、ソグド文字、アラム文字等が見つかっているとのことです。
何であるか判別できないものもありました。
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これは爪のある三本の指のように見ますが、植物でしょうか。
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これはナーガのように見えますが、炎が燃えている姿のようにも見えるので、拝火壇という説もあるそうです。
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これは角が付いた丸い仮面を被った人です。スカートのような衣装も印象的でした。
動物も沢山描かれていました。
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駱駝はやはり、シルクロードを行き来した旅人の重要な動物だったのでしょう。
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インドの象も、ここまで来ていたんでしょうか。
小さな絵でしたが、レイヨウのような動物も描かれていました。シャティアールには、古来の人々が使ったもの、見たもの、そして信仰したもの、様々なものが岩絵に刻まれて残されていました。岩絵を見ているだけで、古き時代のシルクロードの喧噪に触れた気持ちになりました。
Photo & text : Koji YAMADA
Visit : Nov 2021, Shatial, Khyber Pakhtunkhwa
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