Shimshal Pamir 夏の”クッチ=移動”に参加
シムシャールの夏と言えば「パミール」の暮らし。そして「パミール」に家畜をつれて大移動をするのことが「クッチ」。5月末、シムシャール村から最初の夏村シュイジェラブへ、そして6月末「パミール」の夏村シュウェルトへと「クッチ」がおこなわれます。
あなたもクッチ?私もクッチ。
2009年の6月のある日。シムシャールの「ヤクの道」をシュイジェラブへと歩いていました。足の遅い私をどんどん追い抜くシムシャールの村人。みんな口々に「クッチ」。この大移動を手伝うために町に行った若者や村の男性が手伝いにシュイジェラブを目指していました。シュイジェラブにつくと既に集められた、あふれんばかりのヤギ・羊が。
「クッチ」の日まで待つ間も、朝・夕に私のテントの横を通っていく羊・ヤギたちを眺め、乳絞りに参加し、シムシャールの夏の暮らしを体験。
「パミール」を目指す
昨日の晩、「明日はクッチだ」と決定。朝から荷造りがはじまります。
オスのヤクに家財をつみ、家をかたづけ、そして9時、最初の荷ヤクの群が出発。続いてヤクの囲いが開けられいっせいにパミールへ歩き出しました。羊・ヤギは足が遅いので遅れてやってきます。高原に出ると6000m峰ミングリクサールの麓をとおり美しい湖ルップゾーイをすぎ、いよいよシムシャール峠へ。
シムシャールの6,000m峰ミングリクサールの麓を通過する荷を運ぶヤク。ヤクの背にあるのはブハリ(ストーブ)でその中に歩けないヤギが入って運ばれています。
ここから後方を振り返るとたくさんのヤクが押し寄せるパノラマが広がりました。標高4,900mの高所であることも忘れてヤクと一緒にパミールの村「シュウェルト」まで一気に歩く幸せ。
シムシャル峠を越えるメスのヤクと子供の群れ
クッチの無事終了と夏の暮らしを祈る儀式
シュウェルトの夏の始まり
シムシャールの女性たちが放牧と乳製品づくりをして3ヶ月を暮らす村がシュウェルト。クッチが終わるとすぐにこの夏の無事と収穫を祈る儀式が行なわれ、人々は家の準備、家畜の世話をします。そして夕方にはいつも通りの「乳搾り」の光景。
シュウェルトの家畜小屋。朝・夕の乳絞り。
お世話になった人々に別れを告げ、シュウェルトを出発するとき、この景色が惜しく、何度も振り返りました。
Photo & Text : Mairko SAWADA
Visit : Jun 2009, Shimshal Pamir, Shimshal, Gilgit-Baltistan
※この記事は2011年3月にアップしたブログ「サラームパキスタン」の記事を加筆・訂正したものです。シムシャールのクッチの伝統は急速になくなりつつあります。2018年、2019年と村の女性の参加する姿はほとんど見られなくなったと聞いています。