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オーストリアからオーストラリアへ~ふたりの自転車大冒険

A2A_poster©Aichholzer Film 2020

オーストリア(ロシア・カザフスタン・キルギス・中国・パキスタン・インド)

オーストリアからオーストラリアへ~ふたりの自転車大冒険

監督・出演:アンドレアス・ブチウマン、ドミニク・ボヒス
日本公開年:2022年

2021.12.15

カラフルで滋味あるスムージーのような、つぶつぶ感のある映像旅行記

オーストリアからオーストラリアまで、陸路1万8000キロを自転車で走破するべく旅に出た2人の青年、アンドレアスとドミニク。

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モスクワの赤の広場、カザフスタンのステップ砂漠、カラコルム・ハイウェイなどを経ながらユーラシア大陸を横断して、目的地のオーストリア・ブリスベンまでVlog(ビデオ・ブログ)を撮りながらの旅が始まる。

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カメラは豪雨、水・食料の枯渇、灼熱、日射病、ケンカなど、道中で起きる様々な出来事を記録していく・・・

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旅に出る理由というのはいわば「何でもあり」なわけですが、その中で最もオーソドックスな手法は、「宮殿ホテルでマハラジャ気分を味わいたい」「ウユニ塩湖が鏡面状になっている景色を見たい」「ヒマラヤでブルーポピーの花が咲いているのを見たい」など、何かしらの形で「ゴール地点を定める」ということでしょう。

ゴール地点が定まると、いわゆる「あてのない旅」ではなくなるわけですが、そのゴール地点に必ずしも意味付けがあるとは限りません。たとえば、僕は大学のときに青春18切符(JRの在来線5日間乗り放題)で「とにかく遠くまで行こう」と、特段具体的な理由なしに、ひたすら在来線で東京から鹿児島の指宿まで行きました。若い発想だな、と自分の行動ながらに思います。

本作は「オーストリアはオーストラリアと名前が似ているから、オーストラリアに行こう(しかも陸路 かつ オーストラリアもしっかり横断する)」という若々しい発想にもとづく旅で、目的地はしっかり定まっているものの、旅内容の具体性の無さが、旅先で多くの人々・現象を引き寄せていきます。

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たとえば、カザフスタンやパキスタンで、彼らは偶然出会った現地人に食事・結婚式に誘われたり、歓迎の宴を催してもらったりします。もし、何か急ぐべき理由があったら、このような現象は起きていないはずです。

僕自身も規模はかなり違いますが、同じようなやり方で旅をしたことがあります。器のように、何かを受け止められるような態勢を保ちながら旅をする、とでもいえばいいでしょうか。そのような「受け」あるいは「待ち」の姿勢は、なかなか普通の社会勉強では会得し難いものではないかと思います。

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本作には、西遊旅行のお客様であれば、場所が判別できるシーンがたくさんあるはずです。特に僕がドキリとしたのはパキスタンのカラコルム・ハイウェイです。「あの断崖絶壁の悪路を、自転車で行ったとのか・・・」と、想像するだけで怖くなり、主人公の2人を尊敬しました。

オサマ・ビン・ラディンが暗殺されたカラコルム・ハイウェイの入り口の町・アボッタバード、中国の新疆ウイグル自治区・カシュガルの市場、インド・パンジャーブ地方 アムリトサルのゴールデン・テンプル(シク教の聖地)など・・・
様々な町の様子が主観的映像を中心に映し出され、本当に現地を旅をしているかのような心地になるはずです。

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リアルな映像の連続で、GoProなどウェアラブル・カメラが欲しくなってしまうかもしれない『オーストリアからオーストラリアへ~ふたりの自転車大冒険』は、2022年2月11日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ有楽町・アップリンク吉祥寺ほか全国順次上映。詳細は公式ホームページをご確認ください。

天山の真珠 キルギスとカザフスタン 6日間

イシク・クル湖畔に宿泊し、紺碧の湖と雪を頂くテルスケイ・アラ・トー山脈の美しい景観をお楽しみください。
約1時間のボートクルーズにもご案内。近郊に残る古代サカ族の刻画が残る野外岩絵博物館も見学します。

クンジュラブ峠越え パミール大横断12日間

イスラマバードからカシュガルへ、パキスタンと中国を結ぶ1,300㎞のカラコルム・ハイウェイを大走破!峻険な山々や美しい名峰、雄大なパミール高原やカラクリ湖、迫力の大自然を間近に望めるアドベンチャー・ロードです。上部フンザ・アッタバード湖沿いにトンネルが開通したことにより、移動時間が大幅に短くなった新しいカラコルム・ハイウェイをお楽しみください。シルクロードの要衝カシュガルも訪問します。

印パ国境越え ムガール帝国・王の道を行く

パキスタンのイスラマバードから、ラホール、アムリトサル、デリー、アグラへとかつての「王の道」を辿って国境を越えます。アムリトサルからアグラまでは一部王の道に併走する列車の旅をお楽しみいただきます。

馬を放つ

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キルギス

馬を放つ

 

CENTAUR

監督:アクタン・アリム・クバト
出演:アクタン・アリム・クバト、ヌラリー・トゥルサンコジョフ、ザレマ・アサナリヴァ他
日本公開:2018年

2018.3.7

誰よりもキルギスに誇りを持つ男が起こす、理由なき反抗

中央アジア・キルギスのある村。村人たちから”ケンタウロス”と呼ばれているものの、物静かで穏やかな男は、妻と息子の3人でつつましく暮らしている。

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ケンタウロスには、誰にも明かせない秘密がある。彼はキルギスに古くから伝わるある伝説を信じ、夜な夜な馬を盗んでは野に放っているのだ。次第に馬泥棒の存在が村で問題になり、犯人を捕まえる為に罠が仕掛けられる・・・

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国土の40%以上が高度4000m以上にあるキルギス。私はキルギスには行ったことがありませんが、天山山脈を隔てた中国・新疆ウイグル自治区のいくつかの都市に訪れたことがあります。映画の中の風景は、新疆側の天山山脈で乗馬をしたことや、バスや電車の車窓にひたすら広がる景色をずっと眺めていたことを思い出させてくれました。

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本作のストーリーには、キルギスにどのような価値観が存在しているのかという説明が分かりやすく組み込まれています。中東とはまた違った形で、土着のシャーマニズムと混じって根付くイスラーム文化。そして、キルギス人としての意識を村民たちが問い合う議論の場面など。現代キルギスに生きる人々の葛藤は、日本に生きる私たちとそう遠くないものなのだという普遍性を、観客に感じさせてくれるでしょう。

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加えて、はっきりと理由は説明されませんが、ソ連時代に映画館だった場所が、現在はモスクとなっているという、歴史の片鱗が見える場面があります。主人公・ケンタウロスの前職は映写技師の設定で、物語の中に登場する映画はキルギスの誇りを表現するのに一役買っています。

混在した価値観の中で何を掴みとっていくか。そうした葛藤を象徴するように、ある場面で馬がケンタウロスに砂埃を舞わせる様子を遠くから映すシーンが印象的です。一見正直すぎるともいえるケンタウロスの性格は、キルギスの人々が声を大にしてなかなか言えない気持ちが代弁されているのでしょう。

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雄大な自然だけでなく、キルギスの伝統・文化の未来に対する様々な憂慮が童話のような形でこめられている『馬を放つ』は、3/17(土)より岩波ホールほかにてロードショー。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。

春のキルギスへ ワイルドチューリップを求めて

4月下旬から5月上旬にかけては野生のチューリップが花を咲かせる季節。まだまだ観光客が訪れる事は少ないサリチェレック自然保護区とベシュタシュ渓谷へ野生のチューリップを求めて訪れます。

キルギス・カザフスタン 天山自然紀行

壮大な天山山脈と草原に暮らすキルギス族、エーデルワイス咲く美しきシルクロードを行く