お坊さまと鉄砲

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ブータン

お坊さまと鉄砲

 

The Monk and the Gun

監督: パオ・チョニン・ドルジ
出演: シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップほか
日本公開:2021年

2024.12.4

ブータンらしいピースフル・クライム・サスペンス

2006年。長年にわたり国民に愛されてきた国王が退位し、民主化へと転換を図ることが決まったブータンで、選挙の実施を目指して模擬選挙が行われることに。

周囲を山に囲まれたウラの村でその報せを聞いた高僧は、なぜか次の満月までに銃を用意するよう若い僧に指示し、若い僧は銃を探しに山を下りる。

時を同じくして、アメリカからアンティークの銃コレクターが“幻の銃”を探しにやって来て、村全体を巻き込んで思いがけない騒動へと発展していく⋯

以前ご紹介した長編監督デビュー作『ブータン 山の教室』がアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされて、世界的に注目を集めた監督の第2作目。

100年以上国王を中心とする絶対君主制だったブータンが議会制民主主義へ移行し、憲法が公布され、首相が選出されるなど立憲君主制に移行したのは2008年のことでした。そのひとときを描いた映画です。

物語の中で、さりげなくチベット仏教国・ブータンならではの文化が紹介されていきます。映画をやっている僕からすると、物語本筋もさることながら、素晴らしくプロデュースされていて「上手いな」と唸ってしまいました。

1980年代半ば以降に教育を受けた人々(2006年時点で20代後半〜30代前半)は、英語が公用語となった後なので、英語が流暢に喋れる点。

議会制民主主義が導入されようとも、秘密の任務をこなそうとしていようとも、お坊さんへの敬意や不徳を避ける精神が勝ってしまい「ブータンらしい葛藤」が生まれる点。

儀式・お祭りにおいて、男性器をかたどった祭具(家の壁にもときどき描いてあります)が使われたり大事にされていることを、映画の文法において男性性を象徴する「銃」という小道具が自然に引き出して終盤の展開に活きてくる点。

そして、そこまで計算していたかどうかわかりませんが、アメリカという国でドナルド・トランプが再選された直後にこの映画が公開になるというのは、タイミングが完璧すぎると思いました。

政治のことを描いているけれどもほのぼの平和すぎてブータンらしい映画『お坊さまと鉄砲』は、12月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか、全国順次ロードショー。詳細は公式ホームページをご覧ください。

幸せの王国 ブータン

ヒマラヤ東端の小さな王国ブータン。インドやネパール、チベットとも全く異なった雰囲気を持ち、のんびりとしたやすらぎを与える国です。「おとぎの国」、「桃源郷シャングリラ」と呼ばれるブータンを知りつくした西遊旅行が自信をもっておすすめするコースです。
民族衣装の試着、焼き石のお風呂「ドツォ」の入浴、ブータン料理の試食など、実際の体験を通してより深くブータンの文化にふれることができるでしょう。また、ご希望の方はツアー期間中ブータン衣装ゴ(男性)・キラ(女性)を貸し出しいたします(無料)。伝統的な民家を訪問。ご希望の方は民家にご宿泊いただき、食事支度のお手伝いや本場の家庭料理、地酒アラに舌鼓を打つひとときをお楽しみください。