星空

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台湾

星空

 

星空

監督:トム・リン
出演:シュー・チャオ、リン・フイミン、レネ・リウほか
日本公開:2017年

2017.10.11

旅先の星空のように、忘れられない思い出を求める少年少女の旅路

モネ・ゴッホなどの絵に囲まれて、台湾の都会で広々とした家に暮らす13歳の少女・シンメイはいつも孤独を感じていた。美術商の両親は出張で家を留守にすることが多く離婚寸前で、優しかった祖父も亡くなってしまったからだ。そんなある日、シンメイの学校にスケッチブックを抱えてさまよう不思議な少年・ユージエが転校してくる。

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孤独を共鳴させたシンメイとユージエは、この世でもっとも美しい星空を見るため、一緒に家出をする・・・

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日本でも素晴らしい星空に出会うことはありますが、海外の旅行先で出会う星空は、時に強烈に心に焼き付くものです。私がよく覚えている星空は、中国・青海省のまわりに何もないゴビ砂漠で見た満天の星空。そして、インドヒマラヤの懐深くに位置するザンスカールで、夕方から夜にかけて吹く谷風に吹かれる雲混じりの星空です。花火を間近で見た時のような、自分のところに降ってくるかのような大迫力の星空は、今でもはっきりと周囲の状況とあわせて思い出すことができます。

彗星群が近づいた時、花火を見る時・・・人々は足を止めて空を眺めます。地球が丸いとわかるずっと前から、人は夜・暗闇に畏怖の念を抱いていて、星空は守り神でした。『星空』の物語の中でも、現代社会の抱える孤独・不和・焦燥感・怒りを、星空がそっとかき消していきます。

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しかし、いくらきれいな星空を見て幻想的な気分になっても、必ず朝が来て現実に戻らなければいけません。そうした意味で、劇中で何気なく映し出される、シンメイが友だちとクレープを食べるシーンは印象的です。ただのファンタジー映画ですまさず、少女がクレープを食べるという日常のささやかな楽しみの中にも星空の美しさが宿っているということを伝えてくれる、とても美しいシーンです。

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日本から楽曲提供で参加しているworld’s end girlfriendと湯川潮音の、旅情をかきたてられる懐かしさを秘めたサウンドトラックも必聴の『星空』。10月28日(土)よりK’s cinemaにてロードショーほか全国順次公開。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。