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夏至

ベトナム

夏至

 

A LA VERTICALE DE LETE

監督:トラン・アンユン
出演:トラン・ヌー・イエン・ケーほか
日本公開:2001年

2016.3.10

雨と緑が映える、
絵筆で書いたようなベトナム映画

旅先で雨が降ると少し憂鬱になってしまうこともあるかもしれません。しかし、この映画を見ると雨の降る音にも色々あり、雨粒が落ちる場所によって音が違うことに気付かされます。ストーリーは三姉妹を主人公として、夫婦間の愛憎などヘビーな内容も含んでいるのですが、そうした展開も劇的にはならずにさらりと流れていきます。流れていくというよりも、ハロン湾の奇岩の中に大の字で浮かぶ登場人物のように、ストーリーはどこに行くでもなく、ただ浮かんでいるだけなのかもしれません。雨がたくさん降り、草花が茂って、湿度で人々は汗をかき、暑さを和らげるかのように簾が風にかすかに揺れる…というように、登場人物たちが過ごす環境が綿密に構成された映像・音響で表現され、映画に浮力をもたらしているのでしょう 。東南アジアの湿度が伝わり、冬に観ても知らないうちに体があたたまっているような不思議な鑑賞体験ができるかもしれません。

世界遺産ハロン湾2泊3日の豪華クルーズと陸のハロン湾ニンビン訪問の旅

豪華客船AUCO号でハロン湾クルーズ楽しむGW企画。2014年新たに世界遺産に登録された古都ホアルー、チャンアンも訪問。ニンビンでは古民居風ホテル「エメラルダ・リゾート」に宿泊。

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ハロン湾

ベトナム北部、トンキン湾北西部にある湾。大小3000もの奇岩や島々が存在する。中国がベトナムに侵攻してきた時、竜の親子が現れて敵を破り、口から吐き出した宝石が湾内の島々になったと伝えられている。

馬々と人間たち

(C) Hrossabrestur2013

アイスランド

馬々と人間たち

 

HOSS I OSS / OF HORSES AND MEN

監督:ベネディクト・エルリングソン
出演:イングバール・E・シーグルズソン
日本公開:2014年

2016.3.9

アイスランド人監督ならではの
馬中心映画

アイスランドと聞くと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。大自然・オーロラ・温泉・間欠泉・音楽などたくさんの魅力があるかと思いますが、今回はアイスランドの馬の映画についてご紹介したいと思います。馬と人の関係は太古にさかのぼります。馬は移動手段であるだけでなく兵器でもありました。皆さんも旅先で馬に関する歴史的なエピソードをよく耳にされるのではないでしょうか。この映画は、人間ではなく馬を中心に物語が展開していく個性的な作品です。アイスランド馬は、9世紀末にノルウェーから渡来して以来、アイスランドでのみ1100年以上も交雑することなく保たれてきた純血種であるそうです。アイスランドの牧畜農家は夏に馬を放牧し、秋の初め頃に村中総出で集めるそうですが、映画の中にはその様子もおさめられており、広大な自然の中で暮らす馬と人々の様子がうかがえます。この映画の特徴的な点は、題名に「馬々」のほうが先にきていることでも表現されている通り、人間も馬同様に動物だという一貫した視点です。観ている途中で馬と人間のどちらが「動物っぽい」のだろうかと思えてきます。アイスランド人の自然・動物に対する独特の距離感が生みだした不思議な雰囲気にどうぞふれてみてください。

初夏のアイスランド ヴァトナヨークトル氷河ハイキングと
インサイド・ボルケーノ

ヨーロッパ最大の氷河ヴァトナヨークトルでの氷河ハイキング。 スリフヌカギーグル火山の中へと降り立つインサイド・ボルケーノ。氷河と火山が造り出す驚異の自然を体感。

>アイスランド大周遊

オーロラ鑑賞に適したホテルに計4泊。迫力の氷河湖クルーズを楽しむ。グトルフォスの滝や間欠泉ゲイシールなど南部の見どころに加えて北部のミーヴァトン湖やアークレイリまで訪れる充実の内容。

山の郵便配達

中国

山の郵便配達

 

POSTMEN IN THE MOUTAINS

監督:フォ・ジェンチー
出演:リィウ・イェ
日本公開:2001年

2016.3.9

遠ざかっていく時間を引き止める
優しい眼差し

舞台は1980年代の中国・湖南省。長年郵便配達の仕事を続けてきた男が、息子とともに2泊3日の最後の郵便配達に出かけ、道中で息子に仕事を引き継いでいく姿を描いた作品です。中国語タイトルを直訳すると「あの山、あの人、あの犬」。「あの」という少し距離感を感じさせる言葉が示す通り、失われていきつつある伝統文化や原風景への憧憬が、作品全体にやさしく満ちています。それは、作中の見所でもある美しい田園風景、自然の厳しさ、少数民族であるミャオ族の村やトン族の踊りなど、伝統文化をとらえた映像が随所に入っているからでしょう。重い郵便袋は、郵便を渡すだけではなく配達した人からの郵便も受け取るので、いっこうに軽くなりません。しかし、作品の途中からまるで郵便袋が息子の身体になじんできているように見えてきて、郵便物の受け渡しが見えない心のやりとりであることに気付かされます。序盤では父に距離を感じていた息子も、そうしたやりとりを通じて心が満たされ、配達の道を歩きながら父との感情の距離を一歩一歩縮めていきます。とても素朴な作品ですが、まるで昔の旅の写真を見て懐かしい思い出を振り返るような、見た人にゆっくりとした時の流れをもたらしてくれる作品です。

ミャオ族・トン族の里めぐりと
春の恋愛祭り 姉妹飯節見学

山深い貴州省にくらす人々を訪ねて。一度で満喫!少数民族の「祭り見学」と「村訪問」をゆったり楽しむ旅。

星の旅人たち

(C) The Way Productions LLC 2010

スペイン

星の旅人たち

 

THE WAY

監督:エミリオ・エステベス
出演:マーティン・シーン
日本公開:2012年

2016.3.9

聖なる巡礼の道が呼び寄せた
それぞれのストーリー

旅に出る理由は人それぞれ。アメリカ人の眼科医・トムは、息子の死をきっかけに「星の平原」サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を知り、息子の遺灰をまきながら巡礼の道を歩む決意をします。道中の素晴らしい風景を見ているだけでもちょっとした旅行気分になるこの映画。スペインにおけるバスク文化や言語の多様性、ヨーロッパにおけるジプシーに対する偏見など、デリケートな問題をさりげなく鑑賞者に意識させるタッチで描かれています。トムが出会う巡礼者たちの旅の理由は、禁煙やダイエット、スランプからの脱出と様々。それぞれ目的の違った巡礼者が同じ聖ヤコブの祀られた大聖堂を目指すからこそ面白いドラマが生まれていき、自分が旅したらどんなドラマになるだろうかと思わず想像してしまいます。もう行くと決心された方も、検討中の方にも、「星の平原」に足を踏み出したくなるオススメの作品です。

聖地サンティアゴ巡礼

巡礼者に最も人気のある「フランス人の道」ラスト約114㎞を行く。少人数グループで歩き、ペリグリーノ(巡礼者)たちとの交流も楽しむ。

ポルトガル人の道から聖地サンティアゴへ

聖地サンティアゴ巡礼 第二弾。サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路、「ポルトガル人の道」を歩く。巡礼ルートのラスト約115㎞を歩きます。

きっとうまくいく

インド

きっとうまくいく

 

3 IDIOTS

監督:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン
日本公開:2013年

2016.3.9

笑いあり、涙あり
新世代のマサラムービー

インド国内外で大ヒットしたこの作品は、お調子者の3人の青年たちが織り成す青春・友情を描いた映画です。3時間を長く感じさせない練られたストーリー展開、インド映画の醍醐味であるダンスに加え、インドの広大さ・多様さがよく表れている映画です。舞台は首都デリーから始まり、避暑地で植民地時代の教会などが立ち並ぶシムラ、そしてチベット文化圏のマナリ、ラダックと北に移っていきます。登場人物は役者本人の出自も含めて細かな人物造形がなされています。出身地や名前のジョークがあったり、ヒンディー語が得意でない生徒がいたりして、そうしたやりとりの中から「多様性の国」とも呼ばれるインドの一部が垣間見られます。同時に、劇中に登場している場所がインド全体のごく一部であることが説明されずとも分かり、残りのインドがどのようになっているのかという想像力も沸き立ちます。インドに行ったことがある方にもない方にもおすすめの一本です。

ヌブラ谷とパンゴンツォ

2つの峠を越えて ヌブラ谷とパンゴン・ツォ。貴重な立体曼荼羅が残る奥地の里、スムダも歩いて訪れます。カルドゥン・ラ(5,602m)の先に広がる「緑の園」ヌブラ谷と チャン・ラ(5,360m)を越えて「紺碧の湖」パンゴン・ツォを訪れます。

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パンゴン・ツォ

ラダックの東部からチベットへと、国境を越えて約130km横長に広る湖。標高は4,300mに位置し、澄んだ空気が生み出す青い空を映すこの湖の色は、鮮やかなターコイズブルーです。

地平線のキックオフ

エチオピア

地平線のキックオフ

 

HORIZON BEAUTIFUL

監督:ステファン・イェーガー
出演:ステファン・グブサー
日本公開:2014年

2016.3.9

1万㎞彼方の国
エチオピアを引き寄せる

メッシに憧れるサッカー少年・アドマス。彼が暮らすエチオピアの首都アディスアベバにサッカー業界の大物・フランツがやって来る。身寄りのないアドマスはプロサッカー選手になる夢を叶えるために、フランツになんとか自分をアピールしようとする…。エチオピアのサッカー少年が主人公という珍しさだけでもどんな話なのだろうとわくわくしますが、少年役の子役には劇中の設定と同じく、実際に身寄りのない少年がキャスティングされたとのこと。ポジティブなパワーを持ちながらもどこか孤独を内に秘めたような少年の存在感は必見です。ストーリーの展開以外にも、アディスアベバの街の日常を覗けるという楽しみもあります。カメラは裏路地まで入り込み、実際に現地に訪れて歩きまわっているかのようです。エチオピアというと距離が離れていて別世界のように感じてしまいますが、純粋な少年の目線で物語が展開されるので、歴史や文化を知らなくても十分に楽しんで見ることができます。
監督のステファン・イェーガーは現在次回作を準備中で、力士を夢見るスイスと日本のハーフの少年が日本を旅する映画とのこと。国境を軽々と飛び越えてくる監督の想像力をぜひ体感してみてください。

私が女になった日

イラン

私が女になった日

 

THE DAY I BECAME A WOMAN

監督:マルズィエ・メシュキニ
出演:ファテメ・チェラゲ・アザル
日本公開:2002年

2016.3.9

イランの青い海、そして黒いチャドル

「カンダハール」などの作品で有名なイランの巨匠モフセン・マフマルバフ監督の妻であるマルズィエ・メシュキニ監督の作品。イスラーム社会の女性をテーマに、少女・女性・老女を主人公とした三つのエピソードで物語が構成されています。映画の舞台はペルシャ湾に浮かぶキシュ島という青い海と白い砂浜がとても綺麗な島です。この場所を映像でみるというだけでも、イランという国のイメージが一新されるような風景です。そうしたイスラームらしさがない風景の中で、自然現象や人々のセリフ・行動などを通じて、イラン社会に根付く伝統が示されます。第一部では、少女が9歳の誕生日を迎えて、チャドルをかぶらなければいけない瞬間が近づくのが日時計で表現されます。第二部は夫が自転車レースに参加している妻を追いかけてくる話で、夫は自転車を「悪魔の乗り物」と呼んでいます。第三部は、老婆が有り余った遺産を手にして、今までの人生の抑圧を解放するかのように現代的なショッピングモールで花嫁道具を買う話です。セリフも最小限で静かなタッチの映画ですが、終始映画で響いているキシュ島の波の音のように、「なぜ慣習に従わなければいけないのか」という思いが力強く映画から流れてきます。

リトル・ブッダ

ネパール・ブータン

リトル・ブッダ

 

LITTLE BUDDHA

監督:マルズィエ・メシュキニ
出演:ファテメ・チェラゲ・アザル
日本公開:1994年

2016.3.9

ブッダを追い求めて、
映画のような街並みへ

アメリカに住むある少年が、ブータンから来た僧に「高僧の生まれ変わり」であると突然告げられることからドラマが展開。少年が父とともにブータンを訪れる現代の物語と、シッダールタ王子が悟りを開き仏陀となる過去の物語が、極彩色の映像美で交互に描かれます。そんな映画の雰囲気をそのまま味わえる場所が存在します。ひとつはブータンのパロ・ゾンで、そのままの設定で劇中に登場します。そして釈迦が育ったカピラヴァストゥに見立てられているのがカトマンズ近郊のバクタプルで、ドイツの援助で古き良き街並がきれいに保存されており、二千五百年前の設定でそのまま映画の撮影に使われたのも納得です。「ラストエンペラー」も監督したベルナルド・ベルトルッチはこの作品でも終始独特な視点で物語を見つめています。物語の中でチベット仏教の世界観がうまく説明されており、チベット仏教圏にこれから行こうと思っている方には特におすすめです。

ネパール大紀行

ヒマラヤからタライ平原までネパールの全て、ゆとりの旅。山岳遊覧飛行で空から、ハイキングで丘から、絶景ロッジで部屋から、 至るところでヒマラヤの雄姿をお楽しみいただきます。

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バクタプルの旧市街

ロケ地の一である、ネパールのカトマンズ盆地にあるバクタプル。889年にアナンダ・デヴ王によって築かれ、12世紀~18世紀の間、首都の一つとして栄えました。ネワール族の美しい建築物や彫刻、赤レンガ造りの趣ある中世の街並みを残す古都です。