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インドの祝日のシステムについて紹介するシリーズ、2回目です。今回は、インドの祝日について、全国共通の祝日スケジュールなどをご紹介していきます。
ご存じの通りインドは、多種多様な地域文化、宗教などが入り混じっています。祝日はその土地の歴史、文化、信仰によって大きく異なるため、日本のように全国一律で祝日を敷くことは難しく、軋轢を生む原因になってしまいます。
そこで、インドでは中央政府が定める「全国一律の祝日(Gazetted Holidays)」と、各州政府が定める「選択制の祝日(Restricted Holidays)」の2種類が存在してます。さらに、同じ州といえど様々な人が暮らしていますので、各州政府が定める祝日にも独特の仕組みがあります。
まず「全国一律の祝日(Gazetted Holidays)」についてご紹介します。この祝日は各州政府では14日間、中央政府では17日間が設定されています。中央政府の17日間の設定は、中央政府直轄地であるデリー地区や、その他の土地の中央政府の職員に対して適用されるものです。
以下、中央政府が設定する17日間の祝日一覧です。実際にはこの17日間に加え、選択制の祝日リストからさらに2日間を加えたものがデリー在住者や中央政府職員の祝日となります。
<2021年の祝日リスト>
日付 | 祝日名と概要 |
1/26 | Republic Day [国民の祝日]
共和国記念日。1930年1月26日にインド独立宣言が宣言され、イギリスからの完全独立への契機となった日。その後インドは1947年8月15日に完全独立し、この日は独立記念日として別の祝日となっています。デリーでは各州の代表によって大規模な軍事パレードが開催されます。
インド公共放送による、2020年の共和国記念日パレードの様子(出典:Doordarshan -Youtube) |
3/29 | Holi ヒンドゥー暦の最後の月の最後の満月の日に行われるお祭り。元々は春の始まりや豊穣を祝う祭りですが、現在では水かけ祭りとして有名。色水やカラフルな粉を掛け合う行事が行われています。 |
4/2 | Good Friday 聖金曜日。キリスト教で、復活祭(イースター)前の金曜日のこと。「受難日」、「受苦日」などとも呼ばれます。インドではキリストが復活を遂げたイースターより、亡くなった日である聖金曜日が重要視されます。 |
4/21 | Ram Navami ヒンドゥー教の神で、叙事詩ラーマーヤナの主人公であるラーマの誕生日を祝う春のヒンドゥー教のお祭り。 |
4/25 | Mahavir Jayanti ジャイナ教の最後のティールカンタラ(最高指導者)であるマハーヴィーラの誕生日。 |
5/14 | Id-ul- Fitr イードゥル・フィトル。ラマダーン(断食)の月の終了を祝うイスラム教の祭り。イードはアラビア語で祝宴、フィトルは断食の終わりを意味し、単にイードと呼ばれることもあります。 |
5/26 | Buddha Purnima 仏陀の生誕日。ヒンドゥー教では、ブッダはヴィシュヌ神の8番目の生まれ変わりと考えられているため、この日はヒンドゥー教徒と仏教徒の両方によって祝われます。 |
7/21 | Id-ul-Zuha(Bakrid) イードゥル・アズハー。イスラム教の祝日で、聖者イブラーヒームが進んで息子のイスマーイールをアッラーへの犠牲として捧げようとした事を記念する日。 |
8/15 | Independence day [国民の祝日] インド独立記念日。 1947年8月15日、インドがイギリスから分離独立したことを記念する国民の祝日です。 デリーのラール・キラー(レッド・フォート)では祝賀行事の大規模パレードなどが行われます。
インド公共放送による、2020年の独立記念日パレードの様子(出典:Doordarshan -Youtube) |
8/19 | Muharram イスラム教の祝日。ヒジュラ暦の一年の最初の月の名前でもあり、イスラム教徒にとっての新年となる。 |
8/30 | Janmashtami ヴィシュヌの8番目の化身であるクリシュナ神の誕生を祝うのヒンドゥー教のお祭り。 |
10/2 | Mahatma Gandhi’s Birthday [国民の祝日] インド独立の父として称えられるマハトマ・ガンジーの生誕日。2007年6月に国連総会で採択された国際非暴力デーもこの記念日に由来します。 |
10/15 | Dussehra 叙事詩「ラーマーヤナ」の中で、ラーマ王子が魔王ラーヴァナとの10日間の戦いの末に勝利したことを祝う祭り。ダシェラー祭までの9日間はナヴラートリと呼ばれる祭りが行われ、10日目のダシェラー祭ではラーヴァナを象った巨大な人形を燃やす催しがインド各地で開かれます。
デリーのラール・キラーでのダシェラー祭の様子。10の顔を持つ魔王ラーヴァナを筆頭に巨大な人形が作られ、これを燃やすことで勝利を示します。(出典:Youtube : IndianExpressOnline) |
10/19 | Milad-un-Nabi or Id-e-Milad ムハンマド生誕祭。イスラム教の預言者ムハンマドの、ヒジュラ暦における誕生日に行われる祭礼。 |
11/4 | Diwali (Deepawali) ヒンドゥー歴の新年祭。光の祭典としても知られ、この日に地上に帰ってくるとされる先祖ならびに女神ラクシュミーを迎えるため、オイルランプ(ディヤー)やライトで家をともし、お花や色粉でランゴーリーといわれる装飾を施します。数年前までは、大量の爆竹・花火の打ち上げも行われていましたが、近年は大気汚染の件もあり、花火は制限されています。 |
11/19 | Guru Nanak’s Birthday グル・ナーナク生誕祭。シク教の創始者であり、最初のシク教のグル(指導者)であったグル・ナーナクの生誕を祝う祭り。シク教徒にとっての最大の祭りであり、祭りの2日前から様々な祈りの祭礼が行われます。 |
12/25 | Christmas Day クリスマス。特に西海岸のゴア、ムンバイ、ケララ州ではキリスト教徒が多く、盛大に祝われます。 |
一覧を見るだけでも非常に多様性に富んだインドの一年を感じられます。数えてみると、3日間の「国民の祝日」以外は、ヒンドゥー教の祝日が5日、イスラム教が4日、キリスト教が2日、他に仏教徒ジャイナ教・シク教がそれぞれ1日と、各宗教の祝日を取り入れています。もちろんこの祝日の採択は多数派であるヒンドゥー教、そしてそれに次ぐイスラム教の祝日が多く、これには批判もありますが、それぞれの宗教、文化への配慮が見えます。
これらの祝日に選択制の祝日も含めると更に多くの休日が加わりますが、詳細についてはまた次のブログでご紹介したいと思います。
Text by Okada
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