ナマステ!西遊インディアです。
全5回に渡ってお送りする、「インドの階段井戸特集」、3回目の今回は、「世界で最も美しい」と謳われる、グジャラート州の階段井戸「アダラジ・ヴァヴ」、そして近郊のダーダ・ハリの階段井戸をご紹介します。
インドの階段井戸①階段井戸とは?
インドの階段井戸②世界遺産 ラニ・キ・ヴァヴ – 女王の階段井戸
インドの階段井戸③「最も美しい階段井戸」アダラジ・ヴァヴ
インドの階段井戸④「インド最大の階段井戸」チャンド・バオリ
インドの階段井戸⑤デリーの階段井戸 アグラーセン・キ・バオリ
アダラジ・ヴァヴ(Adaraj Vav)は前回ご紹介したラニ・キ・ヴァヴから車で2時間ほど、グジャラート州の中心都市であるアーメダバードの近郊に位置しています。アーメダバード空港からは車で30分程度。
俯瞰すると北側が長く伸びる十字構造になっており、十字の中心点に向かって東西・南の三方向から階段で内部に入る構造になっています。グジャラート州には数多くの階段井戸がありますが、3つの入り口を持つ構造はこのアダラジ・ヴァヴ特有のものです。南北方向の奥行きは70m、東西の幅25m、深さは30m以上。地下に5層の構造があり、各階層に踊り場のようなスペースが設定され、美しいレリーフや彫像が並んでいます。
このアダラジ・ヴァヴの最大の特徴は、イスラム教様式の草花文様を基本としながら、ヒンドゥー教・ジャイナ教様式の動物像や人物像が同時に混在している点です。このような独特の装飾が生まれた背景には、アダラジ・ヴァヴの建設に纏わる伝説があります。
15世紀末、この地はヒンドゥー教国のヴカラ朝の支配下にありました。ヴカラ朝は国土が小さく水資源を雨に大きく依存しており、当時の王ヴァイ・シンは水不足の解消のために井戸の建設を開始していました。しかしこの頃、グジャラートのイスラム系勢力のスルタン、モハメド・ベグム(ムハンマド・シャー1世)によりヴカラ朝は制圧され、ヴァイ・シン王も殺されてしまいます。
このヴァイ・シン王の妻:ルダ王妃は大変美しいことで知られていましたが、夫の死を深く悲しみ、サティ(ヒンドゥー教で伝統的に行われた、未亡人が夫の後を追って自死する風習)を行うことを望みました。占領者であるモハメド・ベグムはそれを阻止し、王妃に結婚を申し入れます。ルダ王妃は、亡き夫の建設していた階段井戸を完成させるという条件で結婚を承諾します。
王妃の美しさに夢中になっていたモハメド・ベグムは、あちこちから集めた大工たちに階段井戸の完成を急がせます。そのために、アダラジ・ヴァヴは途中までヒンドゥー教・ジャイナ教様式で建築され、その後イスラム様式の意匠が追加されるという、他に類を見ないスタイルで建築された貴重な階段井戸となったのでした。
アダラジ・ヴァヴが完成すると、モハメド・ベグムは改めてルダ王妃に結婚を申し入れました。井戸の完成という目的を達成したルダ王妃は、聖者たちが清めた井戸の水で沐浴し、その後この井戸に飛び込んで自ら命を絶ったのでした。
アダラジ・ヴァヴは別名「ルダの階段井戸」とも呼ばれ、井戸の最深部にはその建設の概要と共に、ルダ王妃の美しさがサンスクリット語で碑文につづられています。
宮殿のような美しさと形容されるアダラジ・ヴァヴの完成後、モハメド・ベグムは井戸を建設した6人の石工に「この井戸と同じくらい美しい井戸を作ることができるか」と尋ねます。石工たちは「王の命とあればもっと素晴らしい井戸を作ることができる」と応えますが、王はこのアダラジ・ヴァヴを唯一無二のものとするため、この6人の石工を処刑してしまいました。彼らは井戸のすぐそばに設けられた6基の墓に葬られています。
また、アーメダバード市内には同じくモハメド・ベグムの治世で作られたもうひとつの井戸ダーダ・ハリの階段井戸も残されています。こちらはモハメド・ベグムの乳母:ダーダ・ハリによって建設された、地下7層構造の大規模な階段井戸。アダラジ・ヴァヴより一回り小さいものの、観光客も少なく、階段井戸の静謐な雰囲気をより感じられる場所です。
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