ダージリン③ 世界遺産 ダージリン・ヒマラヤ鉄道

ナマステ、西遊インディアです!
ダージリンを紹介する第3回目の記事では、「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」を紹介します。

「インドの山岳鉄道群」として、インド国内3か所の鉄道が世界遺産登録されていますが、ダージリン・ヒマラヤ鉄道はその中でも1番初めに登録された、アジア最古の登山鉄道です。

  

■ダージリン・ヒマラヤ鉄道とは?

トイ・トレインという愛称で知られるダージリン・ヒマラヤ鉄道は、西ベンガル州の交通の要衝であるシリグリのニュー・ジャルパーイーグリー駅から、ダージリン駅までの約88Km、高低差2000mをつなぐ登山鉄道です。

ダージリン・ヒマラヤ鉄道は、1999年に世界遺産に登録されましたが、その後、南インドのニルギリ山岳鉄道(2005年登録)、カールカー・シムラー鉄道(2008年登録)も追加となり、現在は世界遺産「インドの山岳鉄道群」として登録されております。

ダージリン・ヒマラヤ鉄道は、鉄道における世界遺産としては世界で2番目の登録でした(1番目はオーストリアのゼメリング鉄道です)。

 

 

ダージリン・ヒマラヤ鉄道

 

■開通に至るまで

1879年、紅茶の輸送と避暑客の便宜を図るためにイギリス人が建設を開始しました。レール幅を610mmとかなり狭くなっておりますが、これは現地に既に存在していた山道や地形を流用しやすいようにしたためです。

 

機関部分には小回りの利く小型タンク機関車を採用しました。トンネルを掘ってレールを敷くとコストがかかってしまうため、山間を縫うように路線を設定しました。そのため全行程の約70%がカーブ区間となっています。イギリス産業革命により発明された当時の最新技術を駆使して造ったと言われています。

 

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レール幅61センチ! なんとも可愛らしい!

蒸気機関車は、イギリスのグラスゴー製で、最も古いもので130年、最も新しいもので120年経っているとのこと(いずれにしても古いですね)。

お客様用の車両は、1車両約40席ほどですが、古い機関車であまりパワーが無いので、2両までしか牽引できません。

実際に乗ってみると、古い機関車がよいしょ、よいしょと一生懸命坂道を登っていく感じが、なんとも応援したくなります。

 

 

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100年以上使われている蒸気機関
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ダージリン・ヒマラヤ鉄道の車両

 

 

■トイトレインに乗ってみよう!

ダージリン・ヒマラヤ鉄道は本来始発駅から乗車すると7時間程かかりますが、観光客用に、ダージリンから出発する「JOY RIDE」という列車が走っています。このJOY RIDEに乗れば、ダージリン駅からグーム駅までの往復2時間の乗車を楽しむことが出来ます(ご希望であれば片道のみの利用でグーム下車も可能です)。

グーム駅は、標高2,258mと、世界で2番目に標高が高い場所に位置する駅です。

 

ダージリン駅

ちなみにこのJOY RIDEの列車チケットを予約の際に、蒸気機関か、ディーゼルかは予め分かるようになっておりますが、蒸気機関車はよく調子が悪くなり、メンテナンスに入ることもしばしば。そのため折角蒸気機関で予約が取れていても、当日ディーゼルが来た…ということも少なくありません。乗車日当日は、ダージリン駅で蒸気機関が目の前に登場するまでは油断できませんのでご注意ください。

 

乗車していよいよ出発!

 

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街中を走るダージリン・ヒマラヤ鉄道
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街中に敷かれているトイトレインの線路。

 

蒸気機関車は大量の煙と灰を吐き出しながら、ダージリン駅からグーム駅までの8kmを時速約10kmでゆっくりと走っていきます。

駅を出発して前半は、ダージリンの街中を走ります。線路ぎりぎりまで家や商店が建てられていますので、ぶら下がっている売店のスナックや洗濯物にも手が届きそうな距離です。時速10キロというゆっくりなスピードですので、車はもちろん、途中自転車にも追い抜かれました。

こうして人力に近いスピードで、地元の人々の生活風景の一部を見ることが出来るのは他の世界遺産登録されているニルギリ鉄道、カルカ・シムラ鉄道にはなく、独特の面白さがあります。

煙を上げて走っていく間、窓が開いている車内には煙の匂いが漂い、煤が顔にあたり少し黒くなっている人もいました。日本ではなかなか珍しくなってきた機関車の旅、やっぱりいいものですね。

 

列車は街を抜け、標高を上げながら走っていきます。どんどん緑が多くなってきました。

 

 

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グーム駅に向けて走っていきます

 

グーム駅に到着する手前、バタシア・ループで10分程停車します。バタシアは、ネパール語で「風が強い」という意味があり、実際に風の強い場所のようです。ループとは、急こう配の坂を登る際に、高度調整をするために大きく円を描くように線路が回る所のこと。このバタシア・ループは、数か所あるループの中で最も美しいとされている所です。

 

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バタシアループ
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バタシアループの広場。いいお天気でヒマラヤの展望もバッチリ
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グルカ兵戦没記念碑

バタシア・ループはちょっとした広場となっており、ネパールの山岳民族から構成されるグルカ兵の慰霊碑も建てられています。

 

そして天候に恵まれれば、カンチェンジュンガとトイ・トレインのツーショットをカメラに収めることもできます!

 

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白く美しいヒマラヤと青い空と黄色いマリーゴールドの花と鉄道

 

世界遺産の鉄道に乗って、一味違うダージリンの街並み、ヒマラヤの展望を味わってみてはいかがでしょうか。

鉄道好きな方は、ぜひ「インドの山岳鉄道群」の3つ制覇を目指してみてください!

 

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≪西遊インディアのツアー紹介≫

世界遺産トイ・トレインに乗車 ヒマラヤと紅茶の里ダージリン2泊3日 英語ガイド同行

 

カテゴリ:■インド東部・極東部 , ダージリン , 西ベンガル州
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ダージリン① 美しきヒマラヤと紅茶の里 

「ダージリン」という単語は、紅茶の名前として聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。最高級の紅茶として世界中で飲まれているダージリンティーは、その生産地「ダージリン」から名付けられています。

今回は、インド北東部に位置する西ベンガル州ダージリン地方について紹介いたします。

 

 

ダージリン・ヒマラヤ鉄道と美しいヒマラヤ山脈  これぞダージリンという1枚!

 

■成り立ち

ダージリンは、現在西ベンガル州の一都市ですが、もとは隣接しているシッキム州の一部でした。17世紀にチベット人がシッキム王国を建ててからインドに併合されるまで、ネパールとブータンの間に存在したシッキムは、3世紀続いたヒマラヤの小国でした。

19世紀になると、インド亜大陸で植民地支配を広げていたイギリスが進出し、シッキムを保護国にしました。クーラーのなかった時代、日中40度を上回るようなインド平野部の夏の暑さはイギリス人にとっては耐え難く、ダージリンのような涼しい高原が保養地として必要だったのです。

 

イギリスの植民地時代、ダージリンは涼しい山の気候が好まれ、在印英国人の避暑地・学校の街として人工的に開発されました。そのため、今も英国風の建物や街並みが残っています。ダージリンという名も、昔この町にあった「ドルジェ・リン(DorjeLing)」という仏教僧院の名を、イギリス人が呼びやすい呼称にしたと言われています。主要産業である紅茶の栽培を始めたのも、当時ダージリン地区長官を務めていたキャンベル博士でした。

 

1947年にインドがイギリスから分離独立すると、インドがシッキム王国を引き継ぐことになり、一時はインドの保護国となります。しかし、王国の民主化が進む中、選挙制度を巡る暴動をきっかけにインドが軍事介入し、シッキム国会は「民主主義発展の妨害者である国王の廃止と責任感の強い政府であるインドへの併合」を満場一致で決議し、1975年に正式にインドに合併されました。こうしてシッキム州が成立し、ダージリンはインドの西ベンガル州の一都市となりました。

 

茶摘みの様子

 

■ダージリンの民族

イギリスがシッキム王国を保護国とする前、ダージリンはネパールを統一したグルカ王国の支配下にありました。その後、19世紀後半からこの地で紅茶の栽培を始めたイギリス人は、紅茶園で働く安価な労働者が大量に必要となり、ネパールからたくさんの人々を移住させました。このような背景から、現在ダージリン住民の多数をネパール系民族が占めています。

ダージリンは西ベンガル州に属していますが、西ベンガル州の州都・コルカタと北の山間部にあるダージリンとでは位置、言語、歴史的背景、また文化的にも全てがかけ離れています。西ベンガル州の公用語はベンガル語です。一方でダージリンでは学校でもネパール語や英語で授業が行われています。2017年、西ベンガル州政府は州内でのベンガル語の教育を義務化することを決定しました。ダージリンはこの決定に対し「言語、文化の押し付けである」と大反発し、その後大規模なストライキへと発展しました。

現在は、ダージリンを「ゴルカランド」州として西ベンガル州からの独立を望む動きも起こっており、定期的に活発化しています。

 

Darjeeling
ダージリンの街並みとカンチェンジュンガ連山

 

■ダージリンのみどころ

標高2,134mという高地にあるため、夏は日中でも涼しく過ごしやすいダージリン。インド国内外から多くの避暑客・観光客が訪れます。

おすすめの時期は、雨季が明け乾季に入る10月後半から12月上旬頃です。晴天率も上がり、ヒマラヤが展望できる確率もぐっと上がります。ダージリン観光のみならず、カンチェンジュンガ周辺のトレッキングにも多くの人が訪れる時期です。

 

それではダージリンの見どころについて、簡単にご紹介いたします!

 

みどころ①:紅茶工場

 

お土産で買って帰るだけでなく製作工程も見てみたいという方には、紅茶工場の見学がお勧めです(茶葉を摘み終わった冬季は工場は休業します)。

収穫期にあたる4~10月は、茶畑で茶摘みをしている風景も見ることが出来るので、紅茶の王様であるダージリンティーがどのように摘まれ、加工され、紅茶葉として製品になるかを見学することが出来ます。
紅茶工場のなかには、見学不可であったり事前申請制であったりする工場があるので、お目当ての銘柄がある場合は事前にチェックが必要です。

 

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紅茶工場<Happy Valley Tea Factory>
ホテルでのハイティーの様子。美味しい焼菓子とダージリンティーで優雅な時間をどうぞ

11月ダージリン中心部からほど近い、ハッピーバレー紅茶園を訪問しました。工場内での作業は全て終了しており機械は止まっていましたが、まだ紅茶の香りが工場内に立ち込めていて今すぐに美味しい紅茶を飲みたい!という気分になりました(工場に小さな売店があり試飲も可能です!)。

 

 

みどころ②:ダージリン・ヒマラヤ鉄道

 

収穫した紅茶の輸送と避暑客のために開通したダージリン・ヒマラヤ鉄道は、トイ・トレインとして親しまれ、ユネスコ世界遺産にも登録されています。現在は、観光用蒸気機関車もあり、約1時間の乗車を楽しむことが出来ます。

詳しくはダージリン③の記事で紹介します。

 

トイトレイン

 

みどころ③:タイガーヒル
(世界第3位の高峰カンチェンジュンガのビューポイント)

 

ダージリンの街周辺には、たくさんのヒマラヤビューポイントがあります。晴れていれば世界第3位の高峰・カンチェンジュンガをはじめ、美しいヒマラヤの山々を望むことができます。

なかでも一番整備され、よく訪れられているのは標高2,590mの展望台タイガー・ヒルです。天気が良ければ、遠くにエベレストの姿を眺められることも!

なお、ヒマラヤを望むには早朝の時間帯が圧倒的におすすめです。日の出前にダージリンを出発して、タイガーヒルにてご来光と朝日で輝くカンチェンジュンガをご覧ください。

 

 

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タイガーヒルから望むカンチェンジュンガ。朝日が当たり薄く赤く色づいています。
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インドヒマラヤの王者カンチェンジュンガ(8,586m)。「カンチェンジュンガの意味は五つの宝庫をもつ偉大な雪山」

 

みどころ④:ヒマラヤ動物園・ヒマラヤ登山学校

 

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ヒマラヤ動物園・登山学校

同じ敷地内に動物園とヒマラヤ登山学校が併設されています。

ヒマラヤ地方の動物の研究、保護、保存を目的に建設されたヒマラヤ動物園では幻の動物と言われるユキヒョウや、インドではここでしか飼育されていないシベリアン・タイガーを見学することが出来ます。

ヒマラヤ登山学校は、インドの登山家を訓練するために建設され、併設されている登山博物館ではエベレスト登頂者たちの写真、1953年のエベレスト初登頂時に使用された装備等が展示されています。

 

ユキヒョウ
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ヒマラヤ登山学校の正面広場にはイギリスの登山家ジョージ・マロニーとともにエベレスト初登頂したテンジン・ノルゲイの銅像が

 

ダージリン②の記事へ続きます!

 

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