バラナシ ①ガンガー神話とプジャ

ナマステ!!

 

西遊インディアの岡田です。インドと言えばヒンドゥー教、ヒンドゥー教と言えばガンジス川、ガンジス川と言えばバラナシ。本日はヒンドゥー教の一大聖地:バラナシの街をご紹介します。

 

ガンガー(ガンジス川)とガート群
ガンガー(ガンジス川)とガート群

日本人にとっても知名度が高く、いつかはバラナシに行ってみたい、という方も多いのではないでしょうか。今回は「バラナシ前編:ガンガー神話とプジャ」としてご紹介します。「ガンガー」はヒンドゥー語での名称、後に英語ではガンジス川と表現されていきます。

バラナシの都市としての歴史は非常に古く、紀元前6世紀頃にはカーシー王国が都をバラナシに置き、ガンジス川中流域の経済・文化的な中心地として発展していました。紀元後5世紀頃のグプタ朝の下では政治的な安定のもとヒンドゥー教・仏教ともに大きく文化的に発展し、その中でバラナシはシヴァ信仰の中心地としての地位を確立していきます。ヒンドゥー教の隆盛に従い以降多くの寺院やガートが整備されていきますが、11世紀以降のイスラム王朝の侵略の結果寺院は徹底的に破壊されてしまいます。

 

しかし16世紀以降、ムガル帝国の凋落期には南部のマラーター同盟による寄進などにより寺院の再建が進み、現代のバラナシのガート群の姿が形作られていきました。現在でも聖地として、インド国内外から多くの巡礼者が訪れます。

 

18世紀前半にバラナシを統治したバルクント・シンの居城:ラームナガル城
18世紀前半にバラナシを統治したバルクント・シンの居城:ラームナガル城

 

■プジャ(礼拝)へ

インド全国から巡礼者が集まるバラナシでは、ガート群の丁度中央にあるダシャーシュワメード・ガートにて毎日プジャ(又はアルティ)と呼ばれる礼拝儀式を行っており、ヒンドゥー教徒以外でも参加することができます。夕刻、ガートにたどり着くと階段にはびっしりと巡礼者が詰めかけて座っており、会場は静かな熱気に満ちています。

 

プジャの会場:ダシャーシュワメード・ガート
プジャの会場:ダシャーシュワメード・ガート

この礼拝ではまず「ガンガーの降下」の神話で知られる聖者バギーラタへの礼拝が捧げられます。バギーラタは祖先の霊を浄化するために天上の聖なる河であったガンジス川を地上へ流そうと苦行に励んだ聖者。苦行の結果、川の女神ガンガーにその願いを認められますが、もしガンガーがそのまま地上へ流れてしまえばその衝撃で世界が壊れてしまい、その衝撃を受け止められるのはシヴァ神のみであると告げられます。

 

シヴァはこれを了承し、自らの髪でガンガーの流れを受け止めることを承諾しました。ついに地上へガンガーが流れるかと思いきや、その衝撃でシヴァに自らの強さを見せつけようと目論んでいたガンガーはその野望をシヴァに見破られ、怒ったシヴァはその髪にガンガーを封じ込めてしまいます。

 

これに困ったバギーラタはさらに苦行を重ね、シヴァの心を開いてようやくガンガーは地上へ流れることとなりました。そのため、今でもシヴァ神の肖像では彼の髪の間からガンガーが流れ出ています。この神話に由来し、プジャではバギーラタ、ガンガー、そして最後にシヴァ神への礼拝が行われます。

 

プジャの儀式
プジャの儀式

プジャの儀式はガートの先端部、川辺の部分で行われます。参加者はガートの階段部に座りますが、川の上のボートから参加している人もいます。団体の観光客の場合はガートに面したテラスから椅子に座って儀式を見ることのできる有料席を利用できる場合もあります。

 

プジャはまず7人の僧の礼拝席にヒンドゥー教のシンボルであるサフラン色のマリーゴールドの花びらを撒くことから始まります。準備が整うと両面太鼓や手押しオルガン、鐘による演奏に合わせて礼拝の祝詞が歌われ、バギーラタ、ガンガー、シヴァの順に3神に対してランプ、香炉、燭台を掲げ、礼拝をおこないます。

 

合計で1時間ほど続くプジャの最中では、会場の参加者が僧侶に合わせて祝詞をあげたり、拍手をしたりという場面もあります。会場が一体となって礼拝に向かう光景はまさに聖地のイメージそのものであり、まさに旅のハイライトにふさわしいような荘厳さを感じさせます。

 

 

 

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ジャイプル ブロックプリント編

インドの三大観光都市デリー・アグラ・ジャイプルはゴールデントライアングルと呼ばれ、インドで人気の周遊コースです。この3都市には世界遺産も7か所もあり、各都市間を車両でも移動できるため、短期間で効率よく観光ができるルートとして、世界中からたくさんの観光客が訪れます。

 

ジャイプル郊外・サンガネール村の工房にて

 

そのうちジャイプルは、ブロックプリント(木版染め)をはじめとするファブリック製品、ブルーポッタリー(陶器)、宝石(ジャイプールはインドで一番宝石が安く手に入る街です)などの手工芸品が有名で、お買い物目的で訪れる人も少なくありません。今回は、ジャイプルとその周辺の街にたくさんの工房がある、ブロックプリントの魅力についてご紹介いたします。

 

≪デリーからジャイプルへのアクセス≫
車:片道5時間
飛行機:片道1時間
特急列車:片道4時間半

 

 

■ブロックプリントとは

インドの伝統的な染色技術で、木版捺染とも呼ばれます。シンプルな技法で、手のひらサイズの木片に模様の彫り、インクを塗ってスタンプのように布を染めます。この技法の起源は中国で、世界最古の印刷物である、「金剛般若経(Diamond Sutra)868年」は中国で出土されています。しかし、綿の貿易はインドからイラクのあたりでゴータマ・ブッダが生きた時代から行われていたため、この技法で布を染める伝統については紀元前から存在していたと言われています。そして、15世紀に大航海時代が訪れると同時に、インドネシア、タイ、ヨーロッパ、そして日本など世界中に広まりました。

 

 

■ジャイプル/ジャイプル近郊 のブロックプリント産地

 

・バグルー村
ジャイプールから30キロほど離れた村で、天然の染料を使った草木染め・泥防染の産地として有名です。3つの家族から始まった染色業は、400年ほどの歴史を誇り、今では250世帯が染色業を営んでいます。

 

・サンガネール村
テキスタイルの一大産地として知られる、ジャイプル郊外の村。ジャイプルの中心地からは車で約1時間のアクセスです。茜の花柄のデザインが、サンガネールのプリントとして有名です。

 

 

■ブロックプリントの製作工程

①チャパイを彫る

木版工房で、チャパイと呼ばれる木版が作られます。堅く、伸縮率が低く、水に強い種類の木材である、チークやローズウッドという木を使い、たがねを木の棒で叩きながら手際よく彫っていきます。

 

チャパイ

デザインによっては、1つのブロックを彫るのにプロでも10日以上かかることもあるとのことです。

 

 

②コットンに捺染をする

プリント工房にて、チーパーと呼ばれる職人が布にブロックを押して捺染していきます。柄や色が複数あるデザインの場合は、乾かした後に上から別の木版を重ねてプリントしていきます。利用する染料は、一般的な化学染料を用いたものと、天然由来の染料を用いたものがあり、天然の染料を利用したバグルー村の生地は「バグループリント」と呼ばれます。天然由来の染料は、藍やターメリックといった草木が原料です。

 

 

③生地を洗い、乾かす

プリントが完成すると、次の工程は洗い場での水洗いです。色落ちしない程度まで洗ったら、太陽の下に干して乾かします。地面の上に広げ、太陽の日に当てて生地を乾かすことで、染料がしっかりと布に安定するそうです。

 

 

ジャイプルへは、デリーから週末に日帰りもしくは1泊旅行で気軽にご旅行いただけます。通常の観光内容を変更して、ブロックプリント工房訪問やショッピングを楽しむ等のアレンジも承ります。

 

<▼西遊インディアの現地ツアー>

■デリーから行くジャイプール日帰り観光:日本語ガイド同行
■デリーから行くジャイプール1泊2日:日本語ガイド同行

 

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