ヒマーチャル・プラデーシュ州の魅力①  高山植物の名所 サチ・パス

インド北西部ヒマラヤ山脈の西側に位置するヒマーチャル・プラデーシュ州。

(ヒム=雪、アチャル=山)「万年雪をいだく山々」という意味で、平らな土地がヒマラヤの高山へと姿を変える一帯で、州の最高峰はレオ・パルギャル山(6816m)です。

 

「ヒマーチャルは世界の花かご」と、言われるほど花があります。

古代この地はチベットや中央アジア、カシミールへの交易ルートの十字路で、ラージャ(藩主)やラナ(王)、タクル(貴族)が、ラフン族やタクライ族と対抗し、ヒマーチャルは小さな国々の寄せ集めのようなところでした。

カーングラー王国とクルー王国、そして後のチャンバ王国のみがささいな争いから脱却する力を持っていました。

植民地時代には、多くの藩主が英国軍と運命をともにしましたが、自らの王国も自立権も失うことになってしまいました。初めて訪れた西洋人は、伝説に残るプレスター・ジョンの王国を探しに来たイエズス会の宣教師たちです。

英国人がヒマーチャルを「発見」したのは、シク教徒とグルカ族の戦争の後で、19世紀後半にシムラー、ダルハウジー、ダラムサラーに小英国が造られました。20世紀初頭には狭軌鉄道が建設され、一本はシムラー方面へ、もう一本は、カーングラー渓谷を貫くように敷かれました。

1948年ヒマーチャル・プラデーシュ州が形成され、大勢の農民が封建制度から解放されました。州としての地位は1971年に確立されています。

手つかずの自然から、イギリス統治時代の趣を残す町並みまで、魅力沢山のヒマーチャル・プラデーシュ州。

今回ご紹介するのは、フラワーウォッチングにおすすめのサチ・パスです。

 

チャンバ渓谷からパンギ渓谷へ抜けるサチ・パス(4,420m)。このルートは、冬は深い雪に覆われるため6月末から10月頃までしかオープンしません。

 

3,000m以上の山の斜面では放牧キャンプで暮すグジャールの人々との出会いもあります。

3,500m付近からはブルーポピーをはじめとする高山植物の花が現れ始めます。

 

ここで通過するパンギ渓谷はピール・パンジャール山脈とザンスカール山脈に挟まれた谷で、ヒマーチャル・プラデーシュ州の中で最も“閉ざされた谷”です。積雪のため、1年の半分以上が他の地域から隔絶されます。

バイラガルから出発し、つづら折りの道をぐんぐん進んでいきます。

 

峠付近は7月でも雪が残ります。

途中、ブルーポピーをたくさん見つけることができました。

 

そして峠付近では一面のお花畑。

インド人観光客もおらず、まさに『手つかずの自然』というのにふさわしい場所です。

こんな道も通ります。

簡単には難しいですが、アドベンチャールートがお好きな方にはおすすめの場所です。

 

 

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気軽にフラワーウォッチング ロータンパス

前回までご紹介したデリーからレーへの陸路旅。実は、もっと短い時間で行く方法があります。

それが、ロータンパスという峠を越えて行く方法です。

まずは、デリーからヒマーチャルプラデーシュ州のマナリまで。車で移動すると約12時間ほどでしょうか。デリーから長距離バスも出ているので、比較的アクセスしやすい町です。

ツアーでは、途中のチャンディガルにて1泊することが多いです。

 

■マナリ Manali

マナリはクル渓谷の北部、標高約2,050mの大自然の中に位置する人気の保養地です。特にインド人の避暑客やハネムーン旅行で訪れる新婚夫婦が多く、ハイキングやパラグライダー、ラフティングや釣りなどを楽しむ人々で賑わっています。伝説によると、ヒンドゥー教の創造神話で「ノア」にあたる「マヌ」が、世界が洪水で破滅した後にマナリで船を降り、人間の生命を再創造したといわれています。「マナリ」とは「マヌがいる場所」という意味で、マヌを祀る寺院もあります。

 

木造のハディンバ寺院

この、マナリとキーロンの間にあるのがロータンパスです。この峠を越え、キーロンを通過してラダック・レーへと繋がっています。以前は未舗装で、雨季になるとぬかるみも多く、とても時間のかかったこのルートですが、2015年南西の道路工事が終了し快適な舗装道路となりました。

未舗装の時は、雨季はぬかるむことも多く、渋滞もひどかったです。

 

2015年以降、快適に!

この峠は、マナリに遊びに来たインド人ももれなくロータンパスにやってきますので、ハイシーズンはインド人観光客でも賑わいます。

 

毎年雨季(6月後半~7月後半頃)に入ると、標高約3,980mのロータンパス付近では、様々な高山植物を目にすることができます。キンポウゲ、サクラソウ、フクロソウ、ウルップソウ、アヤメ、エーデルワイス、ツリフネソウなど、時期が合えばまさに一面のお花畑です。標高3,500m以上になると、ヒマラヤの青いケシとして知られるブルー・ポピーも見られます。この辺りで見られるブルー・ポピーは「メコノプシス・アクレアタ」と呼ばれる種類のもので、岩陰などにひっそり咲き、淡く儚い水色の花びらが印象的です。晴れると、峠付近では迫力ある5,000m級のラホールやスピティ渓谷に連なる山々、コクサールピークなどを目前に仰ぐことができます。

 

峠のトップまで車で行き、車道からそれると、すぐ近くに高山植物をたくさん観察できるので、比較的気軽にフラワーウォッチングが楽しめるお勧めのスポットです。

 

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インドヒマラヤ冒険行② デリーから陸路で行くラダック

前回はデリーからタボへと移動しました。

タボの観光で外せないのが『ヒマラヤのアジャンタ』と言われるタボゴンパ。

残念ながら内部の写真撮影は禁止です。

 

■タボゴンパ

996年にリンチェンサンポによって築かれた壮大なゴンパ。「ヒマラヤのアジャンタ」と形容されるそのタボ僧院を中心としてタボの街が広がっています。西チベット・グゲ王国から当時の仏教の中心地であったカシミールに派遣されたリンチェンサンポは、グゲ王国に帰国する時に絵師や工芸師など、多くの技術者を連れて帰りました。リンチェンサンポの指揮の下、その彼らによって建てられたゴンパ。入口を入ると目の前に土の固まりが飛び込んできますが、一歩お堂の中に入ってみると、そこには当時の最先端であったカシミール様式の仏教芸術が、素晴らしい保存状態で残されています。特に惹きつけらるのは大日堂のご本尊、四方向に向かって静かな微笑をたたえる大日如来と、そのご本尊を取り巻くように造られた数多くの尊格の像は必見です。

 

ダライ・ラマ14世は1996年にこの僧院を訪れ、カーラチャクラ大灌頂を行いました。その後、ダライ・ラマ14世はご自身のダライ・ラマとしての最後の瞬間を、この僧院のこのお堂で迎えたいとおっしゃられたといわれています。

リンチェン・サンポは2 度目にカシミールへ赴いたとき 32 人の建築家、画工、仏師を連れて帰国し、翻訳のみならず西チベット、ラダック、スピティの各地に108の寺院を建造したといわれていますが。このような建築様式、壁画の画風はカシミール様式・リンチェン ・サンポ様式と言われます。現在このカシミール様式の仏教芸術が残されているのは、 ラダックのアルチ 、 グゲ(チベット)トリン 、そしてこの スピティのタボの3か所です。

 

近くには歩いて行ける高台があり、そこからタボ・ゴンパを臨むことができます。

 

タボから北西に移動し、スピティ谷の中心地・カザへ。この辺りにはスピティ最古の歴史を持つキ・ゴンパがあります。

まずはスピティ川の合流ポイント

 

キ・ゴンパ

ゴンパからも絶景。特に7~8月にかけては小麦畑の緑がきれいです。

 

更に西へと移動し、クンザン・ラ(峠)を越えてラホール谷の中心地キーロンへ。

 

余裕があればキーロンから少し南下して3980mのロータンパスへフラワーウォッチングに出かけることも可能です。

 

西チベットの交易路として栄えていたキーロンでは、バザールの散策も楽しめます。この先、設備の整った宿は少ないエリアです。キーロンで宿泊し、翌日から更に北上、ついにジャンムー・カシミール州へと入ります。

 

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インドヒマラヤ冒険行① デリーから陸路で行くラダック

インド国内の観光客はもとより、外国人にも大変人気のエリア・ラダック。

ラダックの中心地レーへ行くには、デリーから毎日国内線の運航があり、1時間程で着いてしまうので意外とアクセスは容易です。

では、デリーから陸路で行くとどうでしょうか。

 

実はこの、デリーから陸路でラダックまで行くルートは、道中絶景の連続! そしてデリーのヒンドゥー教の濃厚な世界から、だんだんとチベット仏教世界へと人々の信仰や、また文化慣習も変わっていく様も体験できる、本当に魅力的なルートなのです。

 

ルートはいくつかありますが、少し時間をかけながらレーまで行ってみましょう。

 

【世界遺産 カルカ・シムラ鉄道に乗車】

早朝、薄暗いデリーの町を抜けて駅へと向かいます。まずは、ニューデリーからカルカまで約6時間の列車の旅。チェアカーと呼ばれる座席タイプのシートで中々快適です。

デリーで荷物を運んでもらう際は料金交渉もお忘れなく!

 

 

カルカ到着後、トイ・トレインのホームへと移動します。

カルカからシムラまでは約5時間。少しずつ標高をあげる列車はゆっくりゆっくり進みます。

※カルカ・シムラ鉄道

インド北部・ハリヤナ州のカルカから、避暑地として知られるシムラ(ヒマーチャル・プラデーシュ州の州都)までを結ぶ登山鉄道。イギリス統治時代の1903年、夏の首都だったシムラの交通の便のために開設されました。区間は総延長 96 km 、両端の駅の標高差は 1,420 m(カルカは 656mシムラは 2,076 m)。途中には険しい地形を反映して103ヶ所のトンネルと864ヶ所の橋があります。軌間は 762 mm のナロー・ゲージ(狭軌)で、いわゆる「トイ・トレイン」。2008年、世界遺産として「インドの山岳鉄道群」を拡大する形で登録されました。

 

 

夕方、列車は避暑地シムラ駅に到着。明るいうちに到着すればバザールの散策も可能です。

カラフルなシムラの街並み↓

 

シムラで1泊し、翌日はカルパまでの移動です。

シムラから北東にサトレジ川へ進んでいき、キナール地方へと入ります。この辺りから緑のフェルトをつけた独特の帽子(キナウル帽)をかぶった方々が増えてきます。

 

14の地区に分かれているヒマーチャル・プラデーシュ州ですが、シムラ、キナール、ラホール・スピティの3つの地区、谷を越えてラダックのあるジャンムー・カシミール州へと北上します。

レコンピオの町を過ぎカルパに向けてグネグネと坂を上がります。

天気が良ければシバ神が冬場にこの地にやってきて、瞑想したという伝説のあるキナール・カイラスを展望できます。

 

翌日、さらに北上してタボまでの移動です。標高もグッと上がります。

サトレジ川とスピティ川の合流ポイントを過ぎたあたりから、道は細くなります。ここからスピティ谷へと入ります。

 

3つの谷を抜けていくルートには、道中、大翻訳官リンチェン・サンポ創建、又は由来のある寺院(ゴンパ)が複数あります。

そのうちの一つ、標高3,600M程のナコゴンパへと立ち寄ります。

 

この日はタボでの宿泊。

デリーから陸路で移動する場合、時間をかけ徐々に高度を上げていくのも高山病対策の一つです。

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ウダイプル④ チットールガル城に伝わる悲劇の女王パドマーワト

ナマステ!

西遊インディアの橋本です。
前回、ウダイプル郊外に建つチットールガル城について、紹介しました(記事はこちら)。ウダイプル4回目となる今記事では、チットールガル城を舞台として起こったイスラム王朝との攻防と、その戦に巻き込まれた悲劇の王妃・パドミニ―の伝説についてご紹介します。

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グーマルのシーンのため、ディーピカーはラージャスターンの踊りのトレーニングを毎日3時間、計12日間続けた。指先足先まで繊細な動きが要求されるこのダンスで身に着けた衣装や装飾品の重さが30キロ!彼女はこのダンスで66回も回ることになったという🌀💦
#パドマーワト

映画「パドマーワト 女神の誕生」さんの投稿 2019年5月20日月曜日

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メーワール王国と、北インドの猛威・ハルジー朝との攻防

1303年、ラージプートの国として代々繁栄してきたメーワ―ル王国にて、ラタン・シン王が即位します。その王妃として、スリランカからパドミニ―が迎えられました。
同じ時、北インドではハルジー朝の第3代スルターン(王)であるアラーウッディーンが即位します。野心に満ちた彼は、第二のアレクサンダー大王と自称し、インド各地に次々と遠征し、その勢力を広げていきました。

 

アラーウッディーンは、グジャラート侵攻に向けメーワ―ル王国内の通過を求めましたが、王のラタン・シンはこれを拒否します。その結果1303年、アラーウッディーンは、チットールガル城を包囲。メーワ―ル王国は約8か月にわたり籠城し激しい攻撃に耐えつつ応戦しましたが、最終的には陥落してしまいます。

 

 

ラージプートの風習ジョーハル

武勇と名誉を何よりも重んじていた誇り高きラージプート族の戦士たちは、最後まで戦い抜き、非業の死を遂げました。残された女性たちも、捉えられることを拒み、自ら、火の中に身を投じたといいます(このような、戦局において敗北が確実となったとき、女性たちが侵略・略奪されないように子どもや金目のものを持って集団焼身自殺を行うことを、ジョーハルといいます。この風習は、ラージプート諸王朝間の内紛に起源をもつとされています)。

 

チットールガル城は16世紀までに度重なる周辺国からの侵略を受けたことで、合計13000人を越える女性がなくなりました。15世紀に建てられた勝利の塔の周囲には、ジョーハルにより亡くなった女性たちの墓石があります。また、このエリアでは、一族の武勲をたたえジョーハルで落命した人々を悼むジョーハル・メーラ(Jauhar Mela)という追悼祭が年中行事として行われています。

 

 

悲劇の王妃パドミニーとインド映画の超大作「Padmaavat」

1540年に描かれた叙事詩「パドマーワト」は、多くのインド人が知る古典文学ですが、2017年12月、この悲劇の王妃パドミニーを主人公にした映画、その名も「Padmaavat」がインドをはじめ全世界で公開されました。

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グーマルのダンスシーンの撮影にあたっては、100人のラージャスターン職人がムンバイの撮影所に40日かけてセットを制作、照明等の撮影準備にさらに2日かかった😯バックダンサーはラージャスターンからムンバイに呼ばれ、4日間かけて撮影された。
#パドマーワト

映画「パドマーワト 女神の誕生」さんの投稿 2019年5月19日日曜日

 

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王妃パドミニ―は実在の人物ですが、その詳細については史実は残っておらず、分からない部分も多いです。叙事詩と映画は、パドミニ―を絶世の美女とし、美と愛を巡る義の戦いの物語にしたものといわれています。
しかし、「パドマーワト」の中では絶世の美女とされ、女性の尊厳を守るため悲劇的な最期も遂げたことから、インド歴史上の女傑のひとりとして、ラージャスターン地方では女神のように信仰されています(映画「パドマーワト 女神の誕生」http://padmaavat.jp/ プロダクションノートより一部抜粋)。

 

・―・―・―・―・― 簡単なあらすじ ・―・―・―・―・

 

女王・パドミニー(Padmini, Padmavati)は、その美貌ゆえにインド国全体で大変な評判になっていた。また、パドミニーは、美しさだけでなく、賢く聡明でもあった。北インド・デリーに構えるハルジー朝の王・アラーウッディーンは、メーワール王にパドミニーの姿を一目見せてくれたらメーワールへの侵略を諦めて撤退すると言った。メーワール王は水面に映るパドミニーの姿をさらに鏡に映してアラーウッディーンに見せたが、鏡に映る姿でもパドミニ―の美しさを確認したアラーウッディーンは、その美しさをどうしても自分のものにしたいと考え、猛攻を仕掛ける。応戦しつつも苦境に立たされるメーワ―ル王国のその後と、パドミニーの判断とは…。

 

・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・

 

この映画、インド映画史上最高額の制作費がかけられ人々の期待も最高潮のなか公開が待たれていましたが、直前に上映禁止を求めて大規模な反対運動が起こりました。パドミニーとアラーウッディーンのロマンスが描かれているとの噂が流れ、「夫の為に殉死したパドミニーのイメージを汚す」と行った意見が起こり、また他方イスラム指導者側からは「アラーウッディーンの描写が誤っている」として映画の上映中止を求め監督の家の前でデモがおこったり、主演女優に危害を加えるといった脅迫や、映画館が襲撃を受けたり等などが起こったためです…(実際、当時映画館の周辺に警備の人や警官が配置されていたのを見ました…)。

 

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ラタン・シン役のシャーヒド・カプールは、これまで演じてきた役とは異なり得意のダンスシーンが無かったものの、「身体的・精神的に最も挑戦的な役のひとつでありキャリアのターニングポイントになった」とインタビューで答えている👍✨

映画「パドマーワト 女神の誕生」さんの投稿 2019年5月11日土曜日

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そんな上映までに一波乱あった映画ですが、タイトルが変更されたうえで無事公開となりました(以前は、「Padmaavati」というタイトルでした)。日本でも上映されたのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。当時の城塞の様子や人々の衣装などがものすごく豪華で、映画の宣伝文句のとおり、まさに「究極の映像美」!(衣装やジュエリーの制作には、時代や地方の伝統を徹底的にリサーチのうえ、約2年程をかけて作成されたそうです)。

 

#パドマーワト の豪華な衣装制作には何人もの職人が携わり、メインキャストの衣装だけで150着近くを制作👗装身具もパドマーワティとラタンはラージャスターン風、アラーウッディーンはアフガニスタン風のデザインに仕上げられた✨

映画「パドマーワト 女神の誕生」さんの投稿 2019年5月14日火曜日

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内容的に一部の州では上映禁止となったそうですが、最終的には興行収入は58億ルピー越えを記録しており、最終的にはインド映画史上最も興行的に成功した映画の一つとなりました。

 

ちなみに絶世の美女・パドミニーを演じたのは「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」に出演、最近ではハリウッドにも活躍の場を広げている、ディーピカー・パドゥコーンです。パドミニー役の彼女は美しすぎて直視できないほどでした…!!

映画は既にDVD化もされていますので、ぜひご覧になってみて下さい。

 

 

映画の撮影自体は他の城塞ならびにセットで行われ、チットールガル城での撮影は行われなかったそうですが、ウダイプルならびにチットールガル城訪問予定の方は、この映画をご覧になったうえで訪問いただくと、より旅の面白さが増すこと間違いなしです!

 

 

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ウダイプル③ かつての難攻不落の城・世界遺産チットールガルフォートへ!

ナマステ! 西遊インディアの橋本です。
今回は、ウダイプル郊外に建つチットールガル城について、紹介します。
(前回:ウダイプル市内観光とラナクプルのジャイナ教寺院の紹介はこちら

 

チットールガルは、ウダイプル中心部から東に約110㎞行った場所にある小さな村です。ウダイプルから車両で行くと片道2時間程かかり、往復すると結構大変ですが、チットールガル城はウダイプル観光と併せ、ぜひ訪れていただきたい名所のひとつです。

 

チットールガル城全景(ビューポイントから撮影)

 

▮誇り高き勇敢な戦士ラージプートとラージャスターンの丘陵城塞群

まずはラージプート族のおさらいです。過去、こちらの記事でも詳しく紹介しました。
ラージプート族は、インド西部のラージャスターン州を拠点としており、誇り高き勇敢な戦士として知られています。ラージプートの起源は定かではありませんが、5〜6世紀ごろ中央アジアからやって来た騎馬遊牧民という説が濃厚です。

 

かつて西インドにはラージプートによる様々な王朝が栄えました。街ごとに堅牢な城塞が建てられ、今でもその城塞群は健在です。2013年にはこれらのうち6つの城が「ラージャスターンの丘陵城塞群」として世界遺産登録されました。ジャイプルのアンベール城、ジャイサルメール城、ランタンボール城、クンバルガール城、ガグロン城、そしてチットールガル城です。

 

ジャイサルメール城
ランタンボール城

これらはそれぞれ、8世紀から18世紀までのラージプート諸王国の繁栄を伝える建物であり、その建築様式や文化的伝統上の意義が見出されての登録でした。

 

 

▮メーワ―ル王国の難攻不落の城・チットールガル城

チットールガル城は、かつてメーワール王国というラージプート族の王国の首都として栄えていました。難攻不落の城としてその名を轟かせており、ラージャスターンの城塞のなかでも最強といわれていました。

 

チットールガル城は1303年にデリーのイスラム王朝のアラーウディーン・ハールジー、1535年にグジャラート・スルターン朝のバハードゥル・シャーによって侵攻され一時占領されますが、その度に奪回します。

しかし1567年、ムガル帝国のアクバルへの服従を拒否したことで攻め入られ、長期に渡る包囲戦にしばらくは耐えたものの、落城。メーワール国王ウダイ・シング2世はチットールガル城を去りウダイプルへ都を移しました。この時、武勇と名誉を何よりも重んじるラージプートの兵士たちは死兵となって殉死し、多くの女性たちは自害したとされています。

 

チットールガル城は長年メーワール王国の首都であったと同時に、ラージプートとイスラム王朝との度重なる戦いの舞台でもあった場所なのです。

 

チットールガル城の訪問は、オートリキシャでの移動がおすすめ!
城内へ!

チットールガル城は標高180mの丘の上に建ち、城内に入るには7つの城門をくぐります。42 の宮殿、84 の貯水池、113の寺院(ヒンドゥー教、ジャイナ教)があり、建築的に価値の非常に高い2つの塔も残っています。

 

▮クンバパレス (Kumbha Palace)

15世紀に建てられたクンバ王の王宮は、非常に大規模で多くの建物跡が残り、当時の王の権力の強さを感じさせます。宮殿の建築様式や装飾は、ラージプート様式の最初期のものと言われています。

今は廃墟化していますが、写真映えするスポットとして、最近では若い人達にも大変人気のスポットだそうです。ここからは城下町を見渡すことができます。

 

クンバパレス

 

▮パドミニー宮殿 (Padmini Palace)

城内の南側に残る、王妃パドミニーのために建てられた宮殿です。ゴームク(牛の口の意味)という名前の貯水池と中庭も有しています。

 

パドミニパレス
水の宮殿

ラーニー・パドミニーは、ラーワル・ラタン・シンの妻で、叙事詩に残るように、非常に美しく聡明であったと伝えられています。池の中央には、3階建ての通称・水の宮殿(Jal Mahal)が建ち、ここでパドミニ妃が沐浴していたそうです。

 

▮勝利の塔 (Kirti Stambha)  、名誉の塔 (Jaya Stambha)  

 

勝利の塔 中に入って登ることもできます

勝利の塔は、1448年ラーナー・クンバ王がムスリム軍に勝利したことを記念して建てられました。高さ37m、9階建ての塔で、イスラーム建築であるミナレットがインドで建てられ始める前に出来た塔としては非常に珍しい例です。

 

名誉の塔とジャイナ教寺院

12 世紀に造られた 22mの「名誉の塔」は、1301年にジャイナ教の始祖アディナートにささげて建てられたものです。こちらは24m、7階建。隣にはジャイナ教の寺院が建っています。ヒンドゥー教寺院に形が似ていますが、その当時は建築家が宗教にかかわらず同じだったので、似たような建築になってしまったのだそうです。

 

メーワ―ル王国は代々ヒンドゥー教を信仰しておりましたが、チットールガル城内にあるジャイナ教寺院をみても分かる通り、宗教に非常に寛容的であったことが分かります。

 

次回は、チットールガル城にて伝説となっている悲劇の王妃パドミニについてご紹介します。

ウダイプル④ チットールガル城に伝わる悲劇の女王パドマーワト

 

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ウダイプル② 市内観光へ! 古都ウダイプルと奥地に佇む圧倒的存在感のジャイナ教寺院

西遊インディアです。
引き続き、ウダイプルを紹介する記事・第二弾です。

前回:ウダイプル① 美しき湖と白亜の宮殿タージレイクパレス

 

ウダイプル市内の見どころは集中しており、かなり効率的に巡ることができます。今回はウダイプル市内の代表的な訪問地と、郊外に建つインド建築最高峰ともいわれるジャイナ教寺院について、ご紹介いたします。

 

▮シティパレス(City Palace)

街の創設者である、マハーラーナー・ウダイ・シン2世によって建設が始められた、ピチョラ―湖の湖畔に建つ白亜の宮殿です。増改築が繰り返され、今の姿になるまでに約400年かかったといわれています。パレスの本殿は博物館となって一般公開されておりますが、南側は、今も王族の居住区となっています(また、一部はホテルとして改装されております)。

 

シティパレス外観。あまりに壮大でカメラに収まりません
シティパレス内の美しいステンドグラスのお部屋

内部にはマハーラーナーがかつて使用していた輿やゆりかご、武器や全世界から集められた装飾品など、たくさんの宝物が展示されています。当時、マハーラーナーの体重と同じ重さの金が民衆に与えられていたという逸話からも、藩として非常に豊かであり、豪華な暮らしぶりであったことが想像できます。

テラスからは湖と街の美しい眺めを見晴らすことができます。非常に気持ちの良い場所ですので、お天気が良ければぜひ行ってください。

 

旧市街が広く見渡せます

 

▮ロークカラマンダル博物館 (Bhartiya Lok Kala Museum)

ラージャスターンの伝統芸能の1つ、操り人形劇の博物館です。ラージャスターンだけでなくインド全土の人形・化面・楽器などが集められた素朴な展示物を見学したあとは、実際に人形劇のショーを楽しむことができます。 ショーの最後には人形の動かし方を種明かししてくれることも。この人形劇は、お祭りや人通りの多い街角などラージャスターン各地で見られます。

 

 

▮サヘリーヨーン・キ・バーリー  侍女たちの庭園(Sahelyon Ki Bari)

緑が眩しいたくさんの樹々と、色とりどりの花が植えられた、噴水のある公園です。1710年に時の王様・マハーラーナ―・サングラーム・シンが侍女たちのために建てました。こちらも、噴水の建築にあたり高度な水利システムが用いられております。緑と水が大変豊かなこの公園には、今も昔も癒しと涼を求めてたくさんの人が集まっています。

 

ブーゲンビリアと噴水の広場。天気もよく、ピクニックに来ている地元のファミリーの方でいっぱいでした
大理石製の象のモニュメント
ウダイプルの伝統的な衣装を着た女性(お土産物屋の店員さんですが…)

 

▮ジャグディーシュ寺院(Jagdish Temple)

1651年創建のウダイプル最大のヒンドゥー寺院です。ヴィシュヌ神を祀る寺院で、本堂の前にはヴィシュヌ神の乗り物であるガルーダ像が置かれております。他、お堂の周りには、四方それぞれガネーシャ、スーリヤ(太陽神)、シャクティ(シヴァの神妃)、シヴァが祀られています。寺院の外壁は細かな彫刻がびっしりと施されており、とても見ごたえのある装飾です。

 

ジャグディーシュ寺院 正門
本堂
彫刻がびっしりと施された本堂の外壁

 

▮ラナクプルのアーディナータ寺院 (Adinatha temple at Ranakpur)
ウダイプル市内から北西90㎞程行った場所にラナクプルという村があり、その村からさらに奥へと進んだ場所に建つ巨大なジャイナ教の寺院が、アーディナータ寺院です。アーディナータというジャイナ教の一番目の預言者を祀っています。15世紀創建です。

 

ジャグディーシュ寺院外観 こちらも壮大過ぎてカメラに収まらない
ジャイナ教寺院の場合、細長い旗が掲げられています(ヒンドゥー教寺院の場合は三角の旗です)

寺院内部はほとんどが白大理石でできています。固い大理石への彫刻は至難の業ですが、一度施した彫刻はその後一切朽ち果てることはありません。寺院内には緻密で美しい彫刻が至る所に施されています。

 

見事な大理石の装飾

また内部には444 本の見事な装飾の柱が並んでおり、一本として同じ装飾の柱はなく、全て異なる彫刻が施されています。

(インドの建築について多数の著書がある神谷武夫氏は、「ジャイナ教の建築」という本のなかで、このアーディナータ寺院を「インド建築の最高傑作だ!」と述べています)。

 

全ての柱にびっしりと彫刻が!

天井

仏教と同時代に成立したというジャイナ教ですが、5つの戒律(不殺生、虚偽の禁止、盗みの禁止、性的行為の禁止、不所有)を持ち、不所有の考えから、商業で大成功している商人たちの寄進によって見事な寺院がたくさん建てられています。

 

こんな小さな村のさらに奥にこのような立派な建造物があるとは…驚きです。アーディナータ寺院は、アクセスは非常に悪い場所にありますが、訪問にはちょっとした秘境感も味わえます。見ごたえ十分、必見の建造物です!

 

巡礼に来ていたジャイナ教徒のおじいちゃん

その他、郊外にはチットールガル城という、2013年に「ラージャスターンの丘陵城塞群」の一つとして世界遺産に登録された城塞も残っています。

 

次回は、このチットールガル城についてご紹介します。

ウダイプル③ かつての難攻不落の城・世界遺産チットールガルフォートへ!

 

Text :Hashimoto

 

 

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ウダイプル① 美しき湖と白亜の宮殿タージレイクパレス

ナマステ!!西遊インディアの橋本です。
今回は、ラージャスターン州の街・ウダイプルをご紹介します。

 

青く美しいピチョラー湖と周囲の乾いた山々、湖に浮かぶ豪華な宮殿。他のラージャスターン州の街とはちょっと異なる雰囲気のウダイプル。最後までムガル帝国に対して独立を守り通した誇り高き古都でもあります。

 

ウダイプルは市内の観光に加え、郊外にもかなり見ごたえのある城塞跡等あり、1泊2日でかなり楽しめます。
また、インド有数のホテルである「レイクパレス」があり、こちらのホテルでの宿泊を目的に訪れる方も少なくありません。

 

夕刻のレイクパレス (www.tajhotels.com/taj-lake-palace-udaipur/より)

 

ウダイプルは、ラージャスターン州の南側に位置しています。デリーから飛行機で約1時間30分のフライト、その後空港から車で約30分でウダイプル市内に到着します。街の中心にはピチョラー湖が広がり、その周辺には王宮・シティパレスや、寺院、ホテル等白い建物が並びその景観の美しさから「ホワイト・シティ」と称されています(雰囲気が似ていることから「東洋のヴェネチア」とも言われています)。

 

街の中心にあるピチョラ―湖は、16世紀に造られた人造湖です。ムガル帝国の攻撃を受けてチットールガルを追われたウダイ・シン2世が、現在のウダイプルの地に移住。ウダイ・シン2世の名から「ウダイプル」と名付け街を築き、水の確保のために川をせき止め湖を造りました。非常に高性能な水利システムがとられており、ピチョラ―湖の横にファテ・サーガル湖もつなげて築くことで、隣の湖と相互に水量を調節できるようになっています。

 

ピチョラ―湖遠景。湖の周りほとんどは山に囲まれおり落ち着いた雰囲気
シティ・パレス
ピチョラ―湖・湖畔に並ぶ建物は白色で統一されています

 

▮レイクパレスに宿泊
ウダイプルは、ピチョラ―湖に浮かぶ白亜の宮殿です。もともとは、1746年にマハーラーナの離宮として建てられました。その後1963年にウダイプル初の高級ホテルとして改装されました。1983年に公開された「007 オクトパシー」の舞台にもなった有名な宮殿ホテルです。

 

真っ白!なレイクパレス

レイクパレス行のボート乗り場は、湖畔のシティパレスの近くにありますが、ここからボートに乗ることができるのはホテル宿泊者のみ! 赤い絨毯が敷かれた発着所でボートを待つ間、特別感を味わえるとともに期待が高まります!

 

赤い絨毯の敷かれた船着き場

宿泊者専用のボートに乗っている間、ボートのスタッフがホテル周辺の説明をしてくれます。ホテルの船着場に到着すると、大きな日傘を持ったドアマンと真っ赤なサリーを着たホテルのスタッフが出迎えてくれます。ホテル入口では屋上から赤いバラの花びらが舞い降りてきました。

パレス内部は、さすがマハラジャの宮殿を改装したホテルだけあって、造りが大変豪華で、中庭も湖の上とは思えない程の美しさでした。

 

ホテルでは、ホテル主催のプログラムが用意されており、時間が合えば参加できます。夕方、湖を巡るサンセットクルーズなどおすすめです! ロイヤルファミリーが住んでいるというシティ・パレス、ジョグマンディル宮殿やその他宮殿ホテルを眺めながら優雅なひとときを過ごすことができます。

 

美しい中庭
Palace Room Lake View
Grand Royal Suite (www.tajhotels.com/taj-lake-palace-udaipur/より)
Luxury Room Lake View (www.tajhotels.com/taj-lake-palace-udaipur/より)

全てのサービスは文句なしで、お食事もインド料理だけでなく、コンチネンタル料理もお楽しみいただけます。今回宿泊したお部屋は窓からシティ・パレスを眺望できました。特に夜のライトアップされたシティ・パレスはとても美しかったです。

 

都市の喧騒を離れ、優雅にのんびりとマハラジャ気分を味わいたい方、レイクパレスでのご宿泊はいかがでしょうか。大変お勧めです。

 

パレスでの食事一例(www.tajhotels.com/taj-lake-palace-udaipur/より)

 

ウダイプル訪問は年中おすすめできますが、乾期の終わりごろ(4-5月頃)に訪れる場合、ピチョラ―湖の水が結構干上がってしまっていることがあるので、要事前確認です。また、5~9月末頃は、観光オフシーズンのため、通常料金よりかなりお安くご宿泊いただけます!!

 

 

 

ウダイプルその②に続きます。
②市内観光へ! 古都ウダイプルと奥地に佇む圧倒的存在感のジャイナ教寺院

 

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アクセス抜群の「野鳥の楽園」:ケオラディオ国立公園②

ナマステ!西遊インディアです。

前回はデリーからアクセスバッチリの国立公園・ケオラディオの概要についてご案内いたしました。
ケオラディオ国立公園①

 

今回は、実際にケオラディオで観察した内容をもとに、出会える動物たちについてご紹介いたします!

 

■ケオラディオ国立公園でみられる鳥・野生動物

375種を超える鳥類、また34種の哺乳類が確認されているケオラディオ国立公園では、メイン道路からだけでも様々な動物の観察を楽しむことができます。

 

▮インドクジャク

 

インドクジャク

 

インドの森のサファリでは一般的に見ることができます。ヒンドゥー教ではシヴァ神の息子:スカンダが乗る動物とされており、インドの国鳥にもなっています。インド、スリランカ、ネパール、パキスタンなどに広く分布。クジャクというと美しい羽根のイメージがありますが、これは成熟した繁殖期のオスにのみ見られるものです。腰の上部から生えており、「上尾筒(じょうびとう)」と呼ばれます。メスへの求愛の際、また他のオスに対しても自分の存在をアピールするために広げられることがあります。

 

▮ヘビウ

 

羽を乾かすヘビウ

 

木の枝の上で羽を乾かしています。首が長く、泳ぎが得意な鵜で、水面から首だけを出して泳ぐ様子が蛇のように見えるためこの名がついています。英語ではSnakebird、またはダーツの矢に例えてDarterと呼ばれます。水中を泳ぐ姿、また濡れた羽を広げて陽にかざし、羽を乾かしている様子もよく見ることができます。

 

▮ワカケホンセイインコ

 

インド、スリランカに広く分布しており、低地から標高2000m以下の森林、サバンナ、湿地、市街地などに生息しています。成熟した雄は首に首輪のように毛が黒色になるのが得量です。ペットとしても人気のあるインコですが、海外へ持ち出されてペットとされたものが逃げ出して野生化しており、日本でも野生化したワカケホンセイインコが繁殖を広げ、在来種のニッチを奪っていることが問題となっています。インド各地でよく目にすることができる鳥の一つです。

 

 

▮インドコキンメフクロウの雛

 

 インドコキンメフクロウの雛

 

木の洞で休んでいます。ジャストフィットしている様子が可愛いですね。インドコキンメフクロウは南アジアから東南アジアにかけて広く分布する小型のフクロウ。開けた草地や農地、村のそばでも見ることができ、木や岩にできた穴などに巣をつくります。夜行性のため、昼のサファリでは休んでいる姿を見ることが多いですが、昼間に活動している姿を見ることができることもあります。ヒンドゥー教では、フクロウはブラフマー神の妻、ラクシュミーが乗る動物ともされています。インドコキンメフクロウの学名は ”Athene brama” (ラテン語)ですが、この ”brama”はヒンドゥー教のブラフマー神に由来して名付けられたものです。

 

▮オスのチータル(アクシズシカ)

 

アクシズジカ

 

インドの森サファリで一般的に見られるシカの仲間。インドではチータル (chital) と呼ばれ、「斑点のある」という意味があります。インド、バングラデシュ、ネパール、ブータン、スリランカに生息しています。 体の白い斑点が特徴的で、角は毎年落ちて生え変わります。その際、古い角を食べる行動が見られますが、これはカルシウムを接種のためだと考えられています。また、オス同士の争いに角が使われます。アクシスジカの群れとハヌマンラングールの群れは一緒にいることが多く、樹上のサルが落とした実をアクシスジカが下で食べている等、仲の良い様子が度々観察されています。ベンガルタイガーやアジアライオンを見ると「アラームコール」を発します。

 

▮インドトキコウ

 

 

 

ケオラディオ国立公園は、アジア最大の営巣地です。

 

▮サンバー

 

 

水のなかを移動しています。サンバーは漢字で書くと「水鹿(すいろく)」です。

 

▮ニルガイ

 

 

インドの森に生息する、最大のシカ科の動物。頸がウマに似ていることから、「ウマシカ」などとも呼ばれることもあります。体毛は短く、オスとメスで色が異なります。オスは暗い灰色(青っぽいことからBlue Bull=青い牛ともよばれます。ニルガイの名前もニルが青、ガイが牛を意味します)、メスは灰褐色です。

 

 

ケオラディオ国立公園で観察できる野鳥、野生動物を紹介しましたが、これらはまだまだ一部です。他にもたくさんの野鳥たちが公園内では観察できます。

 

また、公園内には所々に湖があり、湖面に映る森の影、そして朝もやの中の日の出など、美しく幻想的な風景が広がっています。本当に、首都圏にあるとは思えない程、穏やかな時間が過ぎています。

 

ぜひアグラ、ジャイプルの観光とセットで訪問してください。もしくはデリーからの週末旅行としても大変お勧めです! インドの森の魅力・美しさを楽しんでいただけるはずです!

 

 

 

カテゴリ:■インド北部 , インドで野鳥観察 , バーラトプル , ラージャスターン州
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アクセス抜群の「野鳥の楽園」:ケオラディオ国立公園①

ナマステ! 西遊インディアです。

 

インドの観光と聞くとタージ・マハルのような歴史的建造物や、バラナシのような聖地の観光を思い浮かべる、という方も多いかと思います。しかし、インドはその広い国土の中で100以上の国立公園を設定しており、サファリツアーの目的地としても世界的に非常に高い人気がある国です。

国内の全ての国立公園の面積を合わせると、なんと国土の1%以上が国立公園に指定されているほど。国立公園の設置はもちろん野生動物の保護が第一の目的ですが、現在では各地の国立公園が巨大な観光資源としての役割を果たしています。

 

今回は、デリーからのアクセスが大変よく、週末に気軽にバードウォッチングをお楽しみいただける国立公園・ケオラディオ国立公園についてご紹介します。

 

ケオラディオ国立公園ではこんなに可愛らしいインドコキンメフクロウの子どもたちと出会えるかも!

 

■ケオラディオ国立公園の概要

 

ケオラディオ国立公園付近の航空写真(Google mapより)

 

ケオラディオ国立公園は、ラジャスタン州バーラトプルの街の中に位置しており、タージ・マハルがあることで有名なアグラの街から約58㎞西に移動した場所にあります。アグラ、ジャイプル、そして首都デリーという通称”ゴールデントライアングル”の3都市からも比較的アクセスが良く、多くのバードウォッチャーが訪れる「野鳥の楽園」として知られています。周辺都市の観光にプラスして、手軽にインドの自然を楽しむことができるのが大きな魅力となっています。

 

ケオラディオ国立公園の面積は他の有名な国立公園と比較すると非常に狭く、僅か29平方キロメートルほどです。もともと付近を流れるヤムナー川の氾濫原だった公園の敷地はくぼ地になっており、美しい湖沼地帯が広がっています。ラムサール条約にも登録されている湿地帯は、375種を超える野鳥が飛来することで知られています。

 

ケオラディオ国立公園内の湿地帯
ケオラディオ国立公園内の湿地帯。バードウォッチャーでなくても自然を楽しめる美しい公園として多くの人が訪れます
ラダックから飛来するリュウキュウガモ(Lesser Whistling-Duck)

 

また、湿地帯の中に森林や草原といった陸地(ドライゾーン)がモザイク状に広がっており、このような場所ではサンバーやアクシズシカ、ニルガイなどの陸生の野生動物も観察することができます。園内には各所に遊歩道が設置されている他、メインの道路ではサイクルリキシャーを利用できるため、このメイン道路をサイクルリキシャーでのんびりと巡るお手軽なルートも人気です。

 

メイン道路を走るサイクルリキシャー
メイン道路を走るサイクルリキシャー

 

■ケオラディオ国立公園の歴史

先にも書きました通り、この場所はもともとはヤムナー水系の氾濫原の天然のくぼ地でした。18世紀半ばに当時のマハラジャにより堤防が築かれて湖が誕生し、そこに多くの水鳥が集まる様になっていきます。

ケオラディオは野鳥の飛来地として知られるようになっていきますが、1850年代から1965年までは現地のマハラジャ、そして入植してきたイギリス人の狩猟地として利用されていました。最盛期には一日に2000羽以上の鴨が狩猟された時もあったと伝えられています。その後1971年には鳥類保護区になり、1982年からは国立公園として整備が進められています。

 

公園は以前はバーラトプル鳥類保護区と呼ばれていましたが、現在は敷地内にあるシヴァ寺院の名にちなみ、ケオラディオ国立公園と呼ばれています。その後1981年にラムサール条約の登録湿地となり、1985年にはインドでは3つ目の自然遺産として、世界遺産に登録されています。

 

2004~2007年には干ばつ、そして付近住民の合意を得られず公園への水の供給が制限されたことにより生態系が激変する事態となりましたが、現在は水門によって人為的に給水量が調節され、公園内の環境は回復しています。公園は高さ2mの外壁で完全に覆われており、公園内での水牛の放牧を禁止するなど、野鳥の保護のための様々な対策が取られています。

 

早朝、ケオラディオ国立公園内の湖をボートで遊覧

 

ケオラディオには中央アジアや中国、シベリアから多くの野鳥が越冬にやってきます。アヒル、ガチョウ、ペリカン、サギなどをはじめ、オオワシやカタシロワシなどの絶滅危惧種も越冬地として利用しており、世界的にも重要な飛来地の一つとして1981年にラムサール条約にも登録されています。

 

 

間近での観察のチャンスも
間近での観察のチャンスも

サファリのシーズンは雨季の終わった10月から2月まで。早朝または夕方が観察に適しています。公園内はサイクルリキシャーで回ることができ、4WDやバスで移動する一般的なサファリとは異なり、静かな湖沼地帯の雰囲気を味わいながら野鳥を観察することができます。もちろん野鳥専門のガイドに案内をしてもらうことも可能ですが、サイクルリキシャーの運転手も簡単な英語を使って野鳥を教えてくれる方が多いようです。

 

サイクルリキシャーでケオラディオ国立公園を探索
サイクルリキシャーでケオラディオ国立公園を探索

 

来訪者の中には巨大な望遠レンズを何本も抱えて本格的に撮影をする方も多いです。公園はメインの道路の他に小さなトレイルがいくつも整備されており、時間をかけてゆっくりと回ることもできます。北インドの主要な観光地だけを巡るツアーではケオラディオ国立公園を訪れないツアーも多いのですが、賑やかな街や有名観光地とは対照的に、ゆっくりとインドの自然を楽しめるお勧めのスポットです。

 

次回の記事では、ケオラディオ国立公園で観察できる野鳥や動物について、ご紹介します。

 

「野鳥の楽園」:ケオラディオ国立公園②

 

 

Text by Okada

 

 

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