西遊インディアです。
引き続き、ウダイプルを紹介する記事・第二弾です。
ウダイプル市内の見どころは集中しており、かなり効率的に巡ることができます。今回はウダイプル市内の代表的な訪問地と、郊外に建つインド建築最高峰ともいわれるジャイナ教寺院について、ご紹介いたします。
▮シティパレス(City Palace)
街の創設者である、マハーラーナー・ウダイ・シン2世によって建設が始められた、ピチョラ―湖の湖畔に建つ白亜の宮殿です。増改築が繰り返され、今の姿になるまでに約400年かかったといわれています。パレスの本殿は博物館となって一般公開されておりますが、南側は、今も王族の居住区となっています(また、一部はホテルとして改装されております)。
内部にはマハーラーナーがかつて使用していた輿やゆりかご、武器や全世界から集められた装飾品など、たくさんの宝物が展示されています。当時、マハーラーナーの体重と同じ重さの金が民衆に与えられていたという逸話からも、藩として非常に豊かであり、豪華な暮らしぶりであったことが想像できます。
テラスからは湖と街の美しい眺めを見晴らすことができます。非常に気持ちの良い場所ですので、お天気が良ければぜひ行ってください。
▮ロークカラマンダル博物館 (Bhartiya Lok Kala Museum)
ラージャスターンの伝統芸能の1つ、操り人形劇の博物館です。ラージャスターンだけでなくインド全土の人形・化面・楽器などが集められた素朴な展示物を見学したあとは、実際に人形劇のショーを楽しむことができます。 ショーの最後には人形の動かし方を種明かししてくれることも。この人形劇は、お祭りや人通りの多い街角などラージャスターン各地で見られます。
▮サヘリーヨーン・キ・バーリー 侍女たちの庭園(Sahelyon Ki Bari)
緑が眩しいたくさんの樹々と、色とりどりの花が植えられた、噴水のある公園です。1710年に時の王様・マハーラーナ―・サングラーム・シンが侍女たちのために建てました。こちらも、噴水の建築にあたり高度な水利システムが用いられております。緑と水が大変豊かなこの公園には、今も昔も癒しと涼を求めてたくさんの人が集まっています。
▮ジャグディーシュ寺院(Jagdish Temple)
1651年創建のウダイプル最大のヒンドゥー寺院です。ヴィシュヌ神を祀る寺院で、本堂の前にはヴィシュヌ神の乗り物であるガルーダ像が置かれております。他、お堂の周りには、四方それぞれガネーシャ、スーリヤ(太陽神)、シャクティ(シヴァの神妃)、シヴァが祀られています。寺院の外壁は細かな彫刻がびっしりと施されており、とても見ごたえのある装飾です。
▮ラナクプルのアーディナータ寺院 (Adinatha temple at Ranakpur)
ウダイプル市内から北西90㎞程行った場所にラナクプルという村があり、その村からさらに奥へと進んだ場所に建つ巨大なジャイナ教の寺院が、アーディナータ寺院です。アーディナータというジャイナ教の一番目の預言者を祀っています。15世紀創建です。
寺院内部はほとんどが白大理石でできています。固い大理石への彫刻は至難の業ですが、一度施した彫刻はその後一切朽ち果てることはありません。寺院内には緻密で美しい彫刻が至る所に施されています。
また内部には444 本の見事な装飾の柱が並んでおり、一本として同じ装飾の柱はなく、全て異なる彫刻が施されています。
(インドの建築について多数の著書がある神谷武夫氏は、「ジャイナ教の建築」という本のなかで、このアーディナータ寺院を「インド建築の最高傑作だ!」と述べています)。
仏教と同時代に成立したというジャイナ教ですが、5つの戒律(不殺生、虚偽の禁止、盗みの禁止、性的行為の禁止、不所有)を持ち、不所有の考えから、商業で大成功している商人たちの寄進によって見事な寺院がたくさん建てられています。
こんな小さな村のさらに奥にこのような立派な建造物があるとは…驚きです。アーディナータ寺院は、アクセスは非常に悪い場所にありますが、訪問にはちょっとした秘境感も味わえます。見ごたえ十分、必見の建造物です!
その他、郊外にはチットールガル城という、2013年に「ラージャスターンの丘陵城塞群」の一つとして世界遺産に登録された城塞も残っています。
次回は、このチットールガル城についてご紹介します。
ウダイプル③ かつての難攻不落の城・世界遺産チットールガルフォートへ!
Text :Hashimoto