先日「姫島にも泊まる大分周遊」に同行させていただきました。
大分の見どころを凝縮した6日間では非常に天候にも恵まれ、耶馬渓では見事な紅葉を観賞することができ、各所での名物料理・郷土料理も満喫できる充実したツアーでした。春にも設定させていただく予定にしております。
本日は、先日に引き続き熊野古道・中辺路で観察した「アケボノソウ(曙草:Swertia bimaculata) 」をご紹介します。
被子植物 双子葉類
学名:Swertia bimaculata
別名:キツネノササゲ
科名:リンドウ科(Gentianaceae)
属名:センブリ属 (Swertia)
アケボノソウ(曙草)は、リンドウ科センブリ属に属する二年草です。
二年草(二年生植物)とは、1回の生活環を完了するのに2年を要する植物のこと。
二年草は、1年目に茎や葉、根などの栄養器官を形成し、休眠して越冬します。2年目の春または夏に開花し、種子を生産して枯れ、生活環を終えます。
日本では北海道、本州、四国、九州と広く分布し、伯耆富士とも呼ばれる鳥取県では代表的な花として紹介されることもあります。海外では中国、朝鮮半島の温帯地方に分布します。
草丈は60~90㎝で直立し、非常に鮮やかな緑色の茎の色合いが印象的です。
葉は長さ5~10㎝程度、披針形または卵型で先が尖っているので少し細長い卵型という印象を受ける形状です。光沢はほとんど確認はできません。
根生葉は茎葉に比べて大きく、花が開くと落ちてしまうと資料にありましたが、私が観察した際には根生葉も残っていました。
花期は9~10月。茎から枝分かれして伸びる長さ1~5㎝程度の花柄に、直径1.5~2㎝ほどの真っ白な花を数個ずつ咲かせます(集散状円錐花序)。
花弁が5弁のように見えますが、実際は花冠は深く5裂しており、基部で合着している形状です(今回観察するまで5弁の花弁と思っていましたが、観察して驚きました)。
花弁のように見える裂片に緑色の斑点が2つずつ付いていることが確認できます。
これは「蜜腺」です。ここから蜜を分泌し、昆虫(特にアリ)が蜜を採取しているのも観察することがよくあります。
また、アケボノソウ(曙草)の最大の特徴ともいえる裂片につく斑点が多数ついており、この斑点を「夜明けの空」に見立てたことが「曙草」という名前の付いた所以です。
まれに花冠に斑点がない品種として「ホシナシアケボノソウ(フナシアケボノソウ)」という名のアケボノソウもあります。
果実は蒴果で花冠より少しだけ長く裂開し、黒褐色で長さ1 mmほどの表面に細かい粒状突起で黒褐色の種子を出します。発芽後の1年目はロゼットのまま過ごします。
今回は熊野古道・中辺路ルートでの道中、牛馬童子に到着する間際に咲いていたアケボノソウを観察しました。
10月末であったため、花の観察は期待していませんでしたが、先日紹介したアサマリンドウや今回のアケボノソウなどの花々に心癒される時間もあり、1000年以上にわたって多くの人々が歩んだ中辺路を、熊野古道の魅力を感じながら語り部と共に歩く旅は本当に充実した旅でした。