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キバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)

北海道・旭岳で、その後に富士山でも初冠雪が観測されました。
先日北海道・旭岳に初冠雪直後に訪れ、チングルマの葉紅葉と共にうっすらと積もる雪や葉先が凍るハイマツ帯の風景を楽しむことができました。

 

本日はキバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)をご紹介します。

 

キバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Rhododendron aureum
和名:黄花石楠花
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:ツツジ属(Rhododendron)

 

キバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)は、高山帯の自生する常緑低木。
日本では北海道から中部地方にかけて分布し、北海道では標高1,000~2,000m、本州では2,500~3,000mに自生します。北海道は高緯度に位置していることから本州の3,000m級の山岳に匹敵する自然環境があるため、自生標高に差が生じます。
海外ではシベリアの東部、朝鮮半島北部、カラフト、千島列島、カムチャツカなどの寒冷地に広く分布します。
私は、木曽駒ケ岳の千畳敷カールから険しい岩山である宝剣岳を登頂後、別ルートを周遊するかたちで極楽平へ向かった際に大群落とはいきませんでしたが、たくさんのキバナシャクナゲを観察したのを覚えています。

 

樹高は20~100㎝、風の強い稜線などに自生するものは枝が地面をはう様に広がるため樹高が低くなり、風の弱い山腹に自生するものは枝が斜上するため樹高が少し高くなります。エリア、自然環境によって樹高に差が生じます。今回掲載した写真は弊社森田が北海道の大雪山系・銀泉台で観察したもののため、樹高が低くなっています。

 

葉は長さが5㎝ほどで厚みがあり、細長い楕円形をし、少し光沢が確認できます。葉は無毛で、葉の縁が葉裏に向かって少し巻き込んでいるのが特徴的です。

 

花期は6~7月。「キバナシャクナゲ」という名前ですが、白色に近い淡黄白色をしており、花は直径3~4㎝ほどで漏斗型で5中裂し、枝先に2~5個ほど密集して花をつけます。
上写真でも判る通り、花冠の基部付近に茶色い斑点が多数確認できます(私も気に掛けたことがなかったので、次回観察の際には確認してみたいと思います)。
10本の雄しべが花弁から突き出ており、雌しべの子房に少し毛が生えているのが確認できます。
キバナシャクナゲという名の通り、黄色となるのは開花前のつぼみの状態のときだけです。
花の終わりには赤みがさし、花後には長さ1.5㎝ほどの蒴果を付けます。

 

「しゃくなげ」という名の由来は、枝が曲がっていて真っ直ぐな部分が1尺(約30.3cm)にもならないことから「シャクナシ」、これがなまった言葉が「しゃくなげ」となったという説が有力と言われています。

シャクナゲと言えば、真っ先にネパールやブータンを思い出しますが、今回キバナシャクナゲのブログを作成しているうちに、日本でゆっくりシャクナゲを観察してみたいと感じました。

キバナシャクナゲ(黄花石楠花)の群落