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エゾスカシユリ(蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)

早いもので2021年も1ヶ月が過ぎました。
今年は1897年(明治30年)以来、124年ぶりに節分の日が2月2日でした。毎年恒例の恵方巻も、例年より1日早く嫁さんと共に「無言」でいただきました。

 

本日は「エゾスカシユリ (蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)」をご紹介します。

 

エゾスカシユリ (蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)

 

被子植物 単子葉類
学名:Lilium pensylvanicum
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:ユリ属(Lilium)

 

エゾスカシユリと言えば、エゾキスゲ(蝦夷黄菅)の際にもお伝えしましたが、個人的に思い出されるのが北海道・小清水原生花園です。レモンイエローのエゾキスゲとオレンジ色のエゾスカシユリの両方を観察できたのが、良い思い出です。因みに北海道の小清水町がエゾスカシユリを町の花に指定しています。
また、北海道北部のサロベツ原生花園でも群生したエゾスカシユリを観察したのを覚えています。

 

エゾスカシユリ(蝦夷透百合)は、北海道の低地の原生花園に咲く代表的な花の1つです。海外では、シベリアやサハリンなどに広く分布します。海岸線の砂地・砂丘や産地の草地、岩場に自生し、北海道の道東や道北では原生花園以外の場所でも観察することができます。

 

草丈は30~100㎝と比較的大型で直立し、葉は先の尖った披針形で互生します。
花期は6~7月。茎頂に鮮やかなオレンジ色(橙赤色)で直径10cmほどの花を1~5個ほど、上向きに花を咲かせます。
花被片は6枚で、上部が外側に反り返っており、花被片の内側には濃紅色の斑点があるのが特徴的です。
※ユリの花は6枚の花被片のうち、外側の3枚が萼、内側の3枚が花弁です。
花被片内側の基部付近、花柄、蕾などには白い細かな毛が密集しています。

 

上の写真でも確認できますが、他のユリ科の花よりも花被片の根元が細くなっており隙間ができています。
この隙間(透かし)がある構造が和名の「スカシユリ」の由来となっています。

 

西遊旅行に入社する前、カナディアンロッキーのフラワーハイキングツアーに同行した際(確かボウバレー州立公園だったように記憶しています)、現地では「ウエスタン・ウッド・リリー」と呼ばれているエゾスカシユリに似た「Lilium philadelphicum」を観察しました。エゾスカシユリより赤みが強く、数は少なかったのですが、非常に印象深く、現地で「エゾスカシユリにそっくり」と大いに盛り上がりました。
その時のガイドさんが「日本のエゾスカシユリとウエスタン・ウッド・リリーは近縁種」と説明がありました。また、ウエスタン・ウッド・リリーの学名「Lilium philadelphicum」には、アメリカのフィラデルフィアの地名が、エゾスカシユリの学名「Lilium pensylvanicum」にはアメリカの州の1つであるペンシルベニア州の名が含まれているが、その理由は不明とのことでした。
エゾスカシユリは北米に分布しないはずなのに・・・。その時は解決できず、ブログを作成の際にも調べてみましたが、理由は判りませんでした。
ある資料には「エゾスカシユリにペンシルベニアの名が入っているのは腑に落ちない」とあり、原記載した研究者の勘違いかもとありました。

 

学名の不思議はありますが、色鮮やかで可憐な花であるのは間違いありません。
エゾスカシユリをはじめとするユリ科の花に出会った際は、是非細部までゆっくりと観察してみてください。

 

<これまでご紹介したユリ科の花々>
030.マルタゴン・ユリ(Lilium martagon)
031.ピレネー・ユリ(Lilium pyrenaicum)
054.クロユリ(Fritillaria camschatcensis)
070.カノコユリ(鹿の子百合:Lilium speciosum)
071.ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca)
080.エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)

 

エゾスカシユリ (蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)②

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地を巡る
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春をつげる雪割草を求めて 早春の佐渡島
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花の利尻・礼文島とサロベツ原生花園
※6月から7月にかけて高山植物の開花の季節となる利尻・礼文島。専門ガイドの案内で、フラワーウォッチングや様々な植物の観察を満喫する5日間。

 

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花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
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