弊社では、現在夏から秋にかけて実施する国内ツアーの造成に励んでおり、随時ホームページ上で発表しております。3度目の緊急事態宣言が発令され、旅行しづらい日々が続いていますが、気分転換で「世界の花だより」のブログと共に、ツアーページも是非ご覧ください。
この日は「シャガ(射干:Iris japonica)」をご紹介します。
被子植物 単子葉類
学名:Iris japonica
科名:アヤメ科(Iridaceae)
属名:アヤメ属(Iris)
シャガ(射干)は、アヤメ科アヤメ属の多年草です。5月以降に咲くイメージのあるアヤメ科の花ですが、その中でも先陣を切って花を咲かせるのが「シャガ(射干)」の花です。
北海道、沖縄以外の本州全体に分布し、森林周辺の木陰や山地など、やや湿ったところに自生、群生します。学名の種小名に「japonica(日本の)」とついていますが、実際は中国原産で帰化植物です。
実は、我が家のマンションの敷地内では、春になるとツツジが満開となる前にシャガの花をたくさん咲かせ、春の訪れの目安となり、毎年の楽しみの1つになっています。
草丈は30~60㎝で直立し、葉は少し厚みがあり、光沢も確認できます。
葉の幅は2~3cm、長さが30~50㎝となり、アヤメ科では珍しく常緑で越冬性をもちます。形状は剣形で、葉が中央で2つに折りたたまれ、両面葉裏となる葉の形状である「単面葉(たんめんよう:葉身が普通の葉(両面葉)の裏側に相当する組織しかもたない葉)」となります。
花期は4~5月。茎に5~10つほどの花をつける総状花序で、直径5㎝ほどの花を咲かせます。
上写真は、極限まで拡大していますので、花の構造を確認してみてください。
花弁は、ユリの仲間と同じく、3枚の花弁と3枚の萼片に分かれています。
外花被(萼)は、全体的には白~淡紫青色をしており、紫色の斑とオレンジ色の斑がついており、シャガの花を印象付ける色合いです。中央のオレンジ色の斑の上部のオレンジ色が斑より濃くなっているのが確認できます。これもシャガの外花被片の特徴でとさか状の突起が付いています。
花弁(内花被)も全体的には白~淡紫青色をしていますが、外花被片のように斑はありません。
外花被(萼)、花弁(内花被)ともに縁が細かく切れ込みが入っている点は同じですが、斑の有無が外花被(萼)と花弁(内花被)の見分け方となります。
花の中央にも注目してみてください。
花の中央に3本、イソギンチャクのような形状のものが伸びていますが、これが雌しべです。
3本伸びているように見えますが、1本の雌しべが3つに分かれ、さらに先端部分が花被と同様に細かく切れ込みが入っている形状となります。内部で分かれるため、観察すると3本の雌しべに見えるのです。
雌しべの切れ込みが入っていない部分の下(背面)に雄しべが隠れています。
シャガの花は群生して見られることが多いですが、種子で増やすのではなく、横に長く伸びる地下茎から匍匐枝を出し、その先端に新芽を作って増えるそうです。
非常に色合いが印象的なアヤメ科の仲間の花ですが、是非花の構造にも注目して観察してみてください。
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