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インディアン・ペイントブラシ(Castilleja miniata)

今年も10月末になり、北海道や山形県の月山で初雪・初冠雪のニュースを見たかと思えば、翌日には全国的に夏日に近い気温となり、何とも不思議な天気が続いています。このブログも半袖シャツを着ながら作成しています。

 

本日はカナディアンロッキーで観察した『インディアン・ペイントブラシ』(Castilleja miniata)をご紹介します。

 

インディアン・ペイントブラシ(Castilleja miniata)

 

被子植物 単子葉類
学名:Castilleja miniata
和名:インディアン・ペイントブラシ
英名:Great Red Paintbrush
科名:ハマウツボ科/ゴマノハグサ科(Orchidaceae)
属名:カスティレア属(Castilleja)

 

インディアン・ペイントブラシ(Castilleja miniata)は、北米大陸西部とカナダ中部に分布する多年草で、湿った川岸や草地、林床など、様々な生息環境に適応して自生します。
6月末に訪れたカナディアンロッキーでも各所で観察することができました。ある資料では、カナディアンロッキーの中で最も色の種類の多い花と紹介されています。確かに、現場で観察をした際に濃い色合い~淡い色合いまで、観察するたびに「ここのは少し色が濃いね」などとお客様とお話ししながら観察を楽しんでいました。

 

ペイントブラシという名のとおり、その姿が「絵筆」に見立てられて名付けられたそうです。日本でも女性の口紅を塗る筆に見立てられて「ケショウヤナギ」がありますが、それらと発想は同じようです。

 

草丈は20~70cm、濃い紫色の花茎を真っすぐに伸ばし(分岐しないそうです)、茎頂付近(花序の付近)に若干の繊毛が確認できました。葉は切れ込みなどのない披針形で花茎の根元付近から茎頂まで規則正しく付けています。

 

花期は6~8月。まっすぐに伸びた茎頂に鮮やかな赤色~淡い橙色の色合いが特徴的です。ただ、赤色~淡い橙色に見える部分は花弁ではなく、萼片でもなく『苞葉』(芽やつぼみを包んでいる特殊な形をした葉)です。よく観察すると苞葉には切れ込みが確認でき、苞葉の根元部分に花茎と同様に若干の繊毛が確認できます。

 

この苞葉の色合いには変異が多く、ピンク色やウエスタン・ペイントブラシと呼ばれるクリーム色の個体もあるそうです。ある資料には、「カスティレア属はインディアン・ペイントブラシの総称」と紹介され、200種ほどあるそうです。また、そのほとんどが北米西部に分布するとのことです。

 

花は苞葉の内側に黄緑色の筒状花があり、花弁のくちばしは徐々に苞葉の左記へ突き出てくるようです。写真をご覧いただくと淡い橙色の苞葉から黄色い筒状の花(蕾かな?)が突き出ているのが判るかと思います。

 

インディアン・ペイントブラシは、他の植物の根に自分の根を規制して栄養を取っているそうです。そのため、資料によっては「半寄生性」と紹介されています。そういった特性もあり、インディアン・ペイントブラシは異種交配しやすく中間種が生まれやすいため、分類を困難にしているそうです。観察する場所によって色合いに変化があったのも頷けます。

 

これまでカナディアンロッキーの花をいくつか紹介してきました。
現在2025年シーズンのツアー造成を進めており、まもなく弊社ホームページにて発表予定です。ロッキー山脈の風景と共に可憐に咲くカナディアンロッキーの花々に興味のある方は・・・もう少しお待ちください。

 

インディアン・ペイントブラシ(Castilleja miniata)