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エゾオヤマリンドウ (蝦夷御山竜胆:Gentiana triflora var. japonica f. montana)

先日、西遊通信を発行させていただき、弊社ホームページでも12月から冬にかけてのツアーを次々と発表しております。
私も春の訪れを感じる花々を観察を楽しむことができるツアーを現在造成中です。

 

本日は、9月末に訪れた北海道の大雪山・層雲峡で観察した「エゾオヤマリンドウ (蝦夷御山竜胆)」をご紹介します。

 

エゾオヤマリンドウ (蝦夷御山竜胆)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gentiana triflora var. japonica f. montan
科名:リンドウ科(Gentianaceae)
属名:リンドウ属(Gentiana)

 

エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)は、日本原産のリンドウであり、北海道と本州では山形県より以北に分布します。主に亜高山~高山帯、湿った草地などに生育します。
同じリンドウ科の花で似た名称のエゾリンドウ(蝦夷竜胆:Gentiana triflora var. japonica)がありますが、エゾオヤマリンドウはエゾリンドウの高山種となります。また、同じくオヤマリンドウ(御山竜胆:Gentiana makinoi)もありますが、これら3つの区別は非常に難しいです。

 

エゾオヤマリンドウの草丈は20~40㎝で直立し、低地に生育するエゾリンドウに比べて少し草丈が低くなります。
葉は長さが5~8cmほどで披針形、長楕円形、先端が尖った形状をしており、茎に対生し、葉の裏面は表面に比べて若干白色を帯びています。鮮やかな緑色の葉ですが、秋になると葉は少し紅葉を思わせる色合いへ変化していきます。

 

花期は8~9月、茎頂や茎上部に少数の花を束状に咲かせます。秋の訪れを知らせる花ですが、7月中旬頃から咲きだす個体もあるそうです。
花はリンドウらしい濃青紫色の色合いで長さ3~5㎝弱の釣鐘型の形状で、先端が浅く5裂していますが、私が観察したときは先端が閉じてしまっていたので5裂している部分は確認することができませんでした。他のリンドウ科の花のように目一杯花が開くわけではなく、開花時は先端部がほんの少しだけ開く程度です。黒岳ロープウェイの係員さんに伺ったところ「花が咲くのは晴れた日の日中だけで、雨や曇りのときは日中でも花は閉じてしまっています」とのことでした。
花を支える萼片が濃紫色で長さはバラバラでした。

 

今回エゾオヤマリントウを観察していると周囲に白色のリンドウが咲いており、別のリンドウ科の種類かと思っていましたが、前述の黒岳ロープウェイの係員さんに伺ったところ「エゾオヤマリントウは時折白花種も咲かせる」とのことでした。

 

高山に咲く「リンドウ」は漢名で「竜胆」と書きますが、リンドウの根が非常に苦く、熊の胆よりももっと苦いことから、熊よりランクの高い竜(架空の動物)の胆の苦さにあて、竜胆という漢字名がついたと言われています。

 

今回、北海道の層雲峡で黒岳ロープウェイへ乗車し、その後リフトへ乗り換えて黒岳7合目を目指しながら、秋の紅葉を楽しむツアーでした。今年は色付きが非常に遅く、想像していたような紅葉ではありませんでしたが、それでも所々の紅葉・黄葉は素晴らしいものでした。
また、リフト乗車時や黒岳7合目周辺には秋の訪れを告げるエゾオヤマリントウがたくさん咲いており、北海道の秋を楽しむことができました。

 

エゾオヤマリンドウ (蝦夷御山竜胆)の白花種