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ミヤマキケマン(深山黄華鬘:Corydalis pallida var. tenuis)

先日、「清流の国・岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング」を造成しました。
「岐阜の宝もの」と称される3つの景勝地で自然探勝ハイキングを楽しみ、その後、名勝・上高地へ訪れる5日間ツアーです。
8月は天生湿原にシラヒゲソウの花、9月はリンドウが咲き、10月は紅葉シーズンに合わせたツアーです。是非ご検討ください。
また、来週には長野県で伝統工芸品の和紙で御朱印帳作り体験をし、ご自身で作った御朱印帳を持って小菅神社や戸隠神社五社を巡る参拝ツアーを造成しております。こちらも乞うご期待!

 

本日は、白馬村の姫川源流自然探勝園にて観察した「ミヤマキケマン(深山黄華鬘:Corydalis pallida var. tenuis)」をご紹介します。

 

ミヤマキケマン(深山黄華鬘:Corydalis pallida var. tenuis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Corydalis pallida var. tenuis
科名:ケシ科(Papaveraceae)
属名:キケマン属(Corydalis)

 

ミヤマキケマン(深山黄華鬘)は、先日ご紹介したヤマエンゴサク(山延胡索)と同じくケシ科キケマン属の多年草で、本州の近畿以北に分布します。
同じ黄色いエンゴサクであるフウロケマン(風露華鬘)の変種と言われており、山地や低地の日当たりの良い場所に自生します。

 

草丈は20~50㎝、茎は赤褐色で太くしっかりしており、茎や葉柄などは無毛です。
葉は、1~2回羽状複葉で深裂し、小葉は広卵形で欠刻(葉の縁にある大きな切れこみ)があります。今回観察した際には、葉の縁の色合いが紫褐色を帯びていました。

 

花期は4~6月。茎頂に長さ2㎝ほど黄色い花を多数、密集して花を咲かせます(総状花序)。
ヤマエンゴサク(山延胡索)と同様、花弁は上下に広がる2枚の外花弁と内側に隠れる2枚の内花弁の計4枚です。
外花弁は、上の花弁の後方に蜜の入った距(きょ:花弁や萼が変化したもの)が伸びており、距の部分も含めて全体的に黄色となります。
ある資料には、外花弁の先端は緑色で、時間の経過とともに褐色を帯びて反り返るとありました。
内花弁は、横向きに半球形に膨れている部分ですが、花の色合いに比べて少し黄緑色に近い色合いのため、判りやすいです。
※下写真は、目一杯アップにしてみましたが、外花弁と内花弁の違いは判りますでしょうか。

 

非常に色鮮やかな花を付け、ヤマエンゴサクに比べて1つの株につける花の数が多かったこともあり、非常に印象に残る花でした。
前回より2回に分けて、エンゴサクの仲間をご紹介しましたが、来春に観察する際には、是非外花弁と内花弁など、花の形状にも注目して観察してみてください。

 

外花弁と内花弁(横向きに半球形に膨れている部分)の違いは判りますか?

 

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ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)

本日も春の花、スプリング・エフェメラルの1つである「ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)」をご紹介します。

 

ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)

 

被子植物 双子葉類
学名:Corydalis lineariloba
別名:ヤブエンゴサク
科名:ケシ科(Papaveraceae)
属名:キケマン属(Corydalis)

 

ヤマエンゴサク(山延胡索)は、本州、四国、九州に分布する日本固有の多年草。山野の林床などに自生します。地中の塊茎が漢方薬の「延胡索」に似ていることから名付けられたとされています。

 

草丈は10~20㎝ほどで、地中に塊茎をもち、茎を1つ出します。
葉は柄をもち、2-3回3出複葉。長さ1~3cmの小葉は通常2~3裂するとされていますが、実際は葉の形状や枚数には変異があり、形状は線形、披針形、卵円形など様々です。
私が観察した際には楕円形の葉でしたが、私が持つ花図鑑には円形の小葉の写真も掲載されていました。この点は選別の際に頭を悩ましてしまいそうな部分です。

 

花期は4~5月。茎頂に長さ1.5~2.5㎝ほどの小さな花を5~10個ほど総状につけます(総状花序)。上写真では青紫色の花を咲かせていますが、色の変化が多く、青紫~赤紫色があります。
花弁は上下に広がる2枚の外花弁と内側に隠れる2枚の内花弁の計4枚となります。
上写真をご覧いただくと、上下に唇状に広がる部分が外花弁、真ん中に横向きに白く半球形に膨れている部分が内花弁です。

 

外花弁は2枚が上下から合わさり、上の方の花弁の後方に蜜の入った距(きょ:花弁や萼が変化したもの)が伸びており、花弁に比べて淡い色合いとなっています。

 

内花弁は内側に空洞を作り、この内部に雄しべと雌しべが収まっており、花粉や花柱を風雨から保護するための工夫とされています。また、ある資料には、雄しべと雌しべを包む左右の合着した花弁に吸蜜のために虫がとまると、その重みで下と横の3花弁が下がり、雄しべと雌しべが露出するとのことでした。

 

花の基部にある苞葉は3~5裂しており、同じエンゴサクの仲間であるエゾエンゴサク(蝦夷延胡索:Corydalis fukuharae)との見分け方のポイントとなります。上写真にほんの少しだけ苞葉が確認できます。

 

よく、エゾエンゴサクとカタクリは同じ場所、同時期に群生すると聞き、私もその場面に出会ったことはありますが、今回観察した信州(白馬村、鬼無里など)では同じ場所にカタクリはなく、単独で咲いていることが多かったですが、その分ヤマエンゴサクの淡い色合いが周りの緑とマッチし、興奮し過ぎず、心癒される花としてゆっくり観察することができました。

 

ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)

 

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