本日もニュージーランドの花を1つ、変わった形をしたランの一種である「グリーンフード・オーキッド(Greenhood orchid)」をご紹介します。
被子植物 双子葉類
学名:Pterostylis banksii
英名:グリーンフード・オーキッド(Greenhood orchid)
マオリ名:TUTUKIWI
科名:ラン科(Orchidaceae) 属名:プテロスティリス属(Pterostylis)
グリーンフード・オーキッド(Greenhood orchid)は、マオリ語で「TUTUKIWI(トゥトゥキウィ)」と呼ばれ、和名ではその形状から「頭巾ラン」などと呼ばれているランの一種です。
プテロスティリス属は、ニュージーランドをはじめ、オーストラリア、パプアニューギニア、ニューカレドニアなどに分布し、100種近くが確認されています。ニュージーランドでは20種ほどが確認されており、樹林帯から亜高山帯まで生育しています。
掲載した写真は、ニュージーランド南島のルートバーン・トラックのキーサミットへ向かう樹林帯の中で観察したものです。
グリーンフード・オーキッドは、その形状もユニークなものですが、受粉方法もユニークなのが特徴です。何と、動く唇弁によって虫を柱頭に寄せ付けるのです。
主にコバエなどの小さな虫は、グリーンフード・オーキッドの香りに引き寄せられるように風下からは花に近づき、花の入口にある舌のような部分に虫が停まり、舌のような部分がバネのように虫を奥の柱頭に向けて弾き飛ばします。
その後、花弁を閉じ(現地ガイドから10~15分近く閉じると解説がありました)、その間にその虫が持ってきた花粉で受粉します。
その後、花が開き虫が逃げ出す際にはグリーンフード・オーキッドの花粉を付け、出ていくという仕組みです。
開花時期は11~2月、主に樹林帯の湿った草地やコケが覆う場所などに生育するため、花の色合いからすぐに目に飛び込んでくる花ではありませんが、草丈10~15㎝のグリーンフード・オーキッドは、ユニークな形状であるため、すぐに気付かれる方もいらっしゃるかもしれません。
ニュージーランドの樹林帯で観察の機会がありましたら、是非そのユニークな形状もゆっくりと観察していただきたいラン科の花の1つです。