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ブロッキニア(Brocchinia)

先日、嫁さんと買い物へ行った際、近所の公園で花咲く「のだふじ」を観賞しました。
外出自粛と言われている時期でしたが、淡い藤色や鮮やかな白色ののだふじの花を観て、少し心が癒された瞬間でした。1日でも早く、気兼ねなく散歩を楽しめる日に戻ることを願うばかりです。

 

前回に引き続き、ギアナ高地の植生の1つ「ブロッキニア(Brocchinia)」をご紹介します。

 

ブロッキニア(Brocchinia)

 

被子植物 単子葉類
学名:
・ブロッキニア・レズクタ (Brocchinia reducta)
・ブロッキニア・ヘクチオイデス(Brocchinia hectioides)
科名:パイナップル科(Bromeliaceae) 属名:ブロッキニア属(Brocchinia)

 

ブロッキニア(Brocchinia)は、ギアナ高地に自生する食虫植物の1つです。
あまり聞き慣れない「パイナップル科(Bromeliaceae)」の植物で、葉腋に水を溜める特徴を持ち、その中でも上記で記載したブロッキニア・レズクタ(Brocchinia reducta)とブロッキニア・ヘクチオイデス(Brocchinia hectioides)の2 種のみが、食虫習慣があるとして、1984 年に食虫植物の仲間入りをしたそうです。

 

葉は上に向かって真っすぐに伸び、形状は長い剣状、断面はU字型にカーブしているため、葉が重なり合って筒状になっています。高さは50㎝から1mにも及ぶものもあります。

 

筒状のブロッキニアを真上から撮影

 

数枚の葉が重なり合い、その中心に水を溜め、その水は甘い香りを放ち虫を誘引するようです。葉の内側はクチクラ質(植物においては表皮の外側を覆う透明な膜で蝋を主成分とするもの)のため、中に入りこんだ虫が逃げられないような構造になっています。
黄緑色の葉の色合いが、広いグラン・サバンナでは非常に目立ち、虫をたくさん捕らえられているとも言われています。

 

溜まった水は強い酸性であり、その水で昆虫を殺し、液中に共生しているバクテリクテリアが捕まった昆虫を分解し、それを栄養源にしているようです。ギアナ高地では、ブロッキニアを分解して中に溜った昆虫(大半が蟻でした)も観察し、その量に驚かされました。

 

ブロッキニアを分解すると、中には蟻など昆虫の死骸がたくさん確認できました

 

筒の内側には、消化液を分泌する腺毛(無柄腺)があり、消化液は分泌せず、消化酵素の分泌も確認されていないと認識していたのですが、このブログを作成している中で色々と調べていると、ブロッキニア・レズクタ(Br.reducta)には「ホスファターゼ」という消化酵素を分泌していることが最近の研究で報告されているそうです。まだまだ勉強の余地があるようです。

 

私はこれまで幾度となくギアナ高地へ添乗させていただきましたが、2018年11月以来訪れていません。ベネズエラの情勢が安定し、1日でも早くギアナ高地の絶景と植生を楽しめるようになってほしいものです。

 

ブロッキニアの群生の向こうにはロライマ山
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ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)

先日、天気予報サイトにて「のだふじ前線」のニュースが掲載されていました。
私の近所ののだふじも開花が始まり、淡い紫の藤の花が何とも言えない美しさです。今年の花見は諦めないといけない状況なのが残念です。
藤の花は春の終わりから夏の初めにかけて咲きます。新緑のシーズンを迎えるころ、気兼ねなく外出を、散歩を楽しめるよう、1日でも早い終息を願うばかりです。
※天気サイト「tenki.jp」は日本各地の花の開花ニュースや興味深い花の話なども掲載されており、オススメです。

 

本日は南米の中でも「秘境の代名詞」ともいえる場所であり、独特の植生が観察できるギアナ高地の花の1つ「ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)」をご紹介します。

 

ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)

被子植物 単子葉類
学名:ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)
科名:ラパテア科(Rapateaceae) 属名:ステゴレピス属(Stegolepis )

 

ギアナ高地には約4,000種の植物が分布し、うち75%が固有種とも言われています。
有名なガラパゴス諸島の固有種が53%とも言われ、いかにギアナ高地が独自の進化を遂げてきたのかが解ります。

 

ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)は、ラパテア科の一種。
ラパテア科(Rapateaceae)は、単子葉類の1つであるイネ目(Poales)に属します。南米と西アフリカの熱帯地帯に約100種が分布し、西アフリカの一種を除き、南米に自生し、多くの属はギアナ高地の固有属です。
ステゴレピス・ガイアネンシスも「ガイアネンシス(guianensis)」の名前からも解るとおり、ギアナ高地の固有種です。

 

ステゴレピス・ガイアネンシスの多くは湿地帯や岩場の隙間などに生息し、高さは60㎝~1mほどで、大きいものになると2m近くまで成長するものもあるそうです。

葉は長楕円形で少し肉厚、葉は根元で重なり合い、茎を包む葉鞘(ようしょう:葉の基部が鞘状になり茎を包む部分)になる葉が多数あり、長いもので1m以上のものもあります。

花茎の頂部に頭状に集まった花序をつけ,花序は2枚の発達した苞葉(ほうよう:蕾を包むように葉が変形した部分)に包まれています。

花は1~2㎝と小型で,3枚の萼と3枚の花弁を有しています。

 

2018年11月、ブラジルとの国境に位置するサンタ・クルスとエンジェル・フォールとの間に位置するチマンタ山塊の山上で植生の観察を楽しむツアーに同行させていただいた際、今回掲載した写真を撮影しました。
手元には苞葉に包まれた状態の写真しかなく、当日には開花したものも観察したのですが・・・撮影できる状況ではなかったので、開花したステゴレピス・ガイアネンシスの写真を掲載できないのが残念です。
現在、ベネズエラの情勢悪化の影響でツアー実施ができない状況ですが、ツアーが再開され、ステゴレピス・ガイアネンシスの花の撮影ができた際、改めてご紹介したいと思います。

 

ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)②