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ミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)

本日は、春に観察できる「ミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)」をご紹介します。

 

ミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)

 

被子植物 双子葉類
学名:Menyanthes trifoliata
英名:Bog-bean, Buckbean
生薬名:スイサイヨウ(睡菜葉)
科名:ミツガシワ科(Menyanthaceae)
属名:ミツガシワ属(Menyanthes)

 

ミツガシワ(三槲)は、日本では北海道、本州、九州に分布し、日本を含めた北半球の寒冷地に分布します。山地の湿地帯や沼地など浅い水中に自生する水生植物です。

 

草丈は30cmほどの花茎をまっすぐに伸ばし、葉と花茎とは別々に立ち上がります。花茎より若干太めの地下茎を横に伸ばして、その自生エリアを広げます。

葉は長柄があり、3つの小葉からなります(1回3出複葉)。
小葉は菱形状(楕円形)をしており、長さは5~8cmほどです。葉をよく観察してみると、縁に波状の浅い鋸歯が確認できます。光沢、毛などは確認できません。
3つの小葉からなる点が、ミツガシワの名の由来であり、3枚の葉が「カシワ」の葉に似ていることから「三槲」と書くと言われています。別の説は、家紋に取り入れられている三柏の文様に似ていることから「三柏」と書くという説もあるようです。

 

花期は5~8月。ミツガシワは湿地植物カテゴリーでは最も開花が早い植物の1つと紹介されています。
資料によっては、スプリング・エフェメラルに含まれたり、含まれなかったりしますが、ある資料には「一般にスプリング・エフェメラルとして知られる植物よりは草体の寿命が長いが、盛夏にはほぼ草体が枯れる。広義のスプリング・エフェメラルとも言える。」とあります。

 

花はまっすぐ伸ばした花茎の上部に直径1~1.5cmほどの小さく真っ白な花を総状花序に多数付けます。
真っ白で小さな花の花冠は漏斗形で深く5裂し、色合いが非常に印象的ですが、最も特徴的なのが1つ1つの裂片の内側(こちら側)に確認できる密生した縮れた毛です。
こう書くと妙な姿と思われがちですが、縮れた毛も真っ白であるため、可愛らしく印象的な花の姿をしています。
花冠の中央には雌しべの花柱が1つ長く伸び、雌しべより短い雄しべが5~6本伸びています。

 

ミツガシワは、多くの資料で氷河期残存植物の代表的な存在(最後の氷河期は約1万年前に終了)として紹介されています。
その反面、近年では「ニホンジカの食害」が問題になっています。ミツガシワはニホンジカの大好物、特に根っこが好物のようなので、湿地に入り込んで根を掘り起こして食べてしまうそうです。ミツガシワそのものも被害を受け、湿地へのダメージも深刻であると、尾瀬に訪れた際に伺いました。
人間にとっては、ミツガシワの葉や葉柄を煎じて複葉すると胃もたれや腹痛に効く苦味健胃薬として用いられ、葉を食べるとよく眠れるので、睡菜(すいさい)と呼ばれていたそうです。

 

今回掲載したミツガシワの写真は、尾瀬で観察したものです。
ミツガシワが群生する風景を楽しみに長野県・親海湿原を訪れましたが、2020年シーズンは観察できませんでした。
現地の観光局の方より群生したら非常にキレイと伺っているので、2021年シーズンこそは是非観察したいものです。

 

尾瀬で観察したミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)

 

<春~夏の花の観察ツアー>
まもなく催行!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

6月26日出発 まもなく催行!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング

 

先日、ツアーを発表!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
https://www.saiyu.co.jp/itinerary/new/GJNA31/
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

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信州に咲くスプリング・エフェメラルの魅力 ~白馬・鬼無里・戸隠へ

2021年最後のブログ投稿も私がおすすめしたい場所をご紹介します。第4弾は「信州」です。

 

■関連ツアー
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる
桜咲く信州 雪の北アルプス大展望

 

■ブログ『世界の花だより』
スプリング・エフェメラル

 

春の咲く花には「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」と呼ばれる花があります。
スプリング・エフェメラルとは、落葉樹林で木々が芽吹く前の春先に花を咲かせ、夏までの間に光合成を行い、木々に葉が生い茂り、林床が暗くなる夏には地上部を枯らして地中で過ごす草花の総称のことを言います。代表的な花はカタクリをはじめ、イチリンソウやニリンソウ、フクジュソウなどがあります。

 

 

日本全国でスプリング・エフェメラルの花々の観察を楽しめる場所はいくつもありますが、そんな中、私自身が真っ先に思い浮かんだのが信州でした。信州と言っても広大なエリアです。その広大な信州の中から春の花の観察を楽しめる場所を選別し、白馬・鬼無里・戸隠を巡るツアーとして「花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる」を造成しました。
2021年5月に添乗をさせていただいた際も各所でスプリング・エフェメラルの花々を楽しむことができたため、2022年も引き続きツアーを発表させていただきました。

 

本日は、3つのエリアで訪れたスポットをご紹介します。

 

1.白馬村・姫川源流自然探勝園(姫川源流・親海湿原)
姫川源流自然探勝園は、白馬村の最南端の佐野地区にある姫川源流自然探勝園は、大きく流出入する河川のない隔絶された親海湿原(およみしつげん)姫川源流のエリアに分かれます。
低温・弱酸性・貧養という厳しい環境条件のため亜高山帯から高山にかけて生息する湿原植物が豊富で、学術的にも価値の高い類稀な場所の1つあり、一帯は、貴重な⾃然環境を形成しているとして昭和53年に長野県の自然保護条例に基づき、自然環境保全地域に指定されています。
親海湿原も姫川源流も観察用の木道が設置されているため、起伏もなく、気軽に植物観察を楽しむことができ、清らかな流れの中に咲くミズバショウやリュウキンカ、周囲の土手などにはニリンソウ(キンポウゲ科)、ヤマエンゴサク(ケシ科)、ミヤマキケマン(ケシ科)、エンレイソウ(シュロソウ科)、フクジュソウ(キンポウゲ科)など多種多様なスプリング・エフェメラルの花を観察することができました。

 

その他、白馬村では白馬三山の展望と桜やハナモモの観察が楽しめる大出公園やミズバショウの群落地としても有名な落倉自然園、カタクリの群生地として知られる五竜かたくり苑にもご案内します。

 

2.鬼無里・奥裾花自然園
奥裾花自然園(おくすそばなしぜんえん)は、長野県鬼無里(旧鬼無里村)の裾花川上流域にあるブナ林に囲まれた自然公園。長野県が明治百周年記念事業として、県の代表的な優れた大自然を末永く保護し、自然を探勝し学べるように昭和44 年11月に開園した自然公園です。
新潟県との境に位置し、自然景観地域として保護されている裾花川の源流、日本の温帯林を代表するブナの原生林や、本州有数のミズバショウの大群生地も有します。
奥裾花自然園では湿原の1つである今池湿原へ足を伸ばします。
奥裾花自然園の今池湿原ではミズバショウの観察だけですが、その数は圧巻です。
2021年5月に訪れた際には、残雪が残る遊歩道(ミズバショウの花は雪融けの頃に花開くので仕方ありません)を専門ガイドさんと共にゆっくりと一周しました。
一周数十分で回れるエリアでしたが、可愛らしい小ぶりのミズバショウ、雪に覆われたミズバショウ、清らかな水の流れの中に咲くミズバショウ、群生する見事なミズバショウなど、1つ1つのミズバショウの姿には魅了されっぱなしでした。
気が付くと、1時間以上も今池湿原で滞在していました。

 

この日は、戸隠に到着する前に長野県飯綱町に位置するむれ水芭蕉園にもご案内します。ここはその名のとおりミズバショウも素晴らしかったですが、リュウキンカやニリンソウも群生しており、木道遊歩道を散策しながら、ゆっくりと花々の観察を楽しめます。

 

3.戸隠・戸隠森林植物園
戸隠森林植物園は、昭和39年に長野県で開催された、第15回国土緑化大会及び全国植樹祭を記念し、県民のレクリエ-ションや自然探索、自然や森林に関する知識の普及を図る場として昭和43年8月に開園されました。園内には⽊道が整備されており、湿地帯には約50万株のミズバショウが自生します。
専門ガイドさんと共に森林内をのんびりと歩きながら、ミズバショウやリュウキンカの観察を楽しみました。前日には奥裾花自然園でミズバショウ、むれ水芭蕉園でリュウキンカの群生を楽しみましたが、不思議と「見飽きることのない風景」でした。その他、キクザキイチゲ(キンポウゲ科)やアズマイチゲ(キンポウゲ科)、カタクリ(ユリ科)などのスプリング・エフェメラルの花の観察を楽しむことができました。

 

戸隠森林植物園でもそれなりの数のカタクリの花が観察できたのですが、専門ガイドさんが教えてくれたカタクリの群生地にも訪れ、紫色の絨毯を敷き詰めたように咲くカタクリの群生地の風景は心癒される風景でした。
その場所とは・・・、是非とも西遊旅行のツアーへご参加いただければ幸いです。

 

 

厳選して選んだ3ヶ所の名所でゆっくりとスプリング・エフェメラル(春の妖精)の花の観察を楽しめる日程としておりますので、是非とも来春は信州へ、是非弊社ツアーにて訪れていただければ幸いです。

 

今年一年もブログ『世界の花だより』をご覧いただき、誠にありがとうございました。
弊社も海外ツアーの再開に向けて動いており、いくつかホームページ上で発表しておりますので、是非そちらもご覧ください。
一日でも早く世界各地で花の観察が楽しめる日が訪れることを願い、また、日本各地でも安心して花の観察が楽しめる日が訪れることを願い、2021年最後のブログを締めさせていただきます。

来年もよろしくお願いいたします。

 

 

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フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)

今回のブログが公開される頃、私は「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」へ同行し、お客様とともに尾瀬に咲く高山植物を楽しんでいる頃です。どんな花が観察できたか、後日報告させていただきますので、お楽しみに。

 

本日は「フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)」をご紹介します。

 

フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pachysandra terminalis
英名:Japanese spurge
科名:ツゲ科(Buxaceae)
属名:フッキソウ属(Pachysandra)

 

5月に信州へ訪れる前、色々と調べている際に観察できる花の1つとして「フッキソウ(富貴草)」が紹介されていました。その時は「フッキソウ(富貴草)」という花のことは知りませんでした。
実際、信州へ訪れると白馬村の姫川源流自然探勝園では雨水に濡れたフッキソウを、飯綱町では土手下に群生するフッキソウなど、その他鬼無里や戸隠などでも観察することができ、非常に印象深い花の1つとなりました。

 

フッキソウ(富貴草)は、ツゲ科フッキソウ属の常緑小低木で、常緑の葉が生い茂る様子が「繁栄」と表すとされ「富貴草」と名付けられたのが由来とのことです。
日本の北海道から九州に、海外では東アジアに分布し、低地から山地の林内などに自生します。
草丈は20~30㎝の低木で、茎の上部は地面を這い、上部は斜上し立ち上がります。
葉はほんの少し厚みと硬さを感じ、やや光沢のある革質。葉柄を持ち、長さ3~5㎝ほどで倒卵形、先端部にほんの少し鋸歯が確認できます。写真をご覧いただくと多数の葉が輪生しているように見えますが、葉の付き方は互生。ある資料には「葉がらせん状につく」とあり、その表現はぴったりかもしれません。

 

花期3~5月。茎頂に長さ3~5㎝穂状花序をつけ、上部に雄花、基部に雌花を咲かせます。
フッキソウ(富貴草)は、雄花・雌花とも花弁はありません。
雄花には3~4本の白く太めの雄しべが伸び、雄しべの先端がピンク~茶褐色の葯が確認できます。写真で確認できる大半の部分が雄花です。
雌花は、基部につきますが、花柱の先端が2裂しているのが特徴です。下の写真が唯一雌花が映りこんでいた写真です。

 

信州では、ニリンソウやカタクリ、リュウキンカなどの観察がメインとなり、フッキソウは目立たず、少し地味に感じる花でしたが、何度も観察しているうちに見分けもつくようになり、次第に可憐な花に感じ始めた、印象深くも不思議な魅力をもつ花でした。

 

フッキソウ(富貴草)の雌花、どこにあるか判りますか?

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! 8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

 

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リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

「西遊通信」はお手元に届きましたでしょうか。日本国内の新企画ツアーも続々と発表しており、ホームページにも掲載しております。ご興味あるツアーがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング 
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
秋色に染まる尾瀬・奥日光・谷川岳を撮る

 

本日は「リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)」をご紹介します。

 

リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Caltha palustris var. nipponica
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:リュウキンカ属(Caltha)

 

リュウキンカ(立金花)は、日本では本州と九州に分布し、海外では朝鮮半島や中国にも分布します。
湿地や水辺などに自生するリュウキンカ(立金花)は、雪融けのシーズンにミズバショウの傍らで咲くことも多く、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」では水辺に咲く水芭蕉とリュウキンカ、さらには群生するニリンソウの傍らにリュウキンカが群生する素晴らしい光景を楽しむことができました。

 

草丈は15~50㎝ほどで少し太めの茎が直立します。茎は中空ですが、なかなか観察時に確認することはできません。ナイフを入れて確認してはいけませんよ。
葉は長い葉柄(葉柄を持たないものもあるという資料もあり)を持ち、長さ5~10㎝ほどで丸い葉で少し光沢が確認でき、縁には少し鋸歯も確認できます。茎の上部(茎葉)になるにつれて少し小型のものを付けます。

 

花期は5~7月。茎頂や葉腋から少し長めの花柄を伸ばして、光沢はありませんが非常に鮮やかな黄色い花を咲かせます。ミズバショウの傍らに咲くとより黄色が鮮やかに感じます。
リュウキンカ(立金花)には花弁はなく、花弁に見えるのは萼片で「花弁状の萼片」と紹介されます。花弁状の萼片は5~7枚で、雄しべは多数つけ、雌しべは4~12本と変化が多いのが特徴です。

 

和名「立金花」は、直立した茎に黄金色の花をつけることが由来です。
ブログを作成の際に色々と調べていると、「球磨焼酎」でおなじみの熊本県球磨郡にある「あさぎり町」がリュウキンカを町の花に指定しており、町の天然記念物にしていされているそうです。また、日本における自生の南限も球磨郡あさぎり町と紹介されていました。

 

雪融けの季節、水辺や湿地で色鮮やかなリュウキンカの群生に出会うと思わず気持ちが高揚します。5月に長野県飯綱町のむれ水芭蕉園に訪れた際、それまでも幾度かリュウキンカを観察できたツアーだったのですが、3日目にしてようやく晴れ間が広がったタイミング、これまで以上の群生だったので、皆さんと共にリュウキンカの群生を楽しむことができました。

 

ミズバショウの傍らに咲くリュウキンカ
リュウキンカとニリンソウの群生地

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! 8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

一旦満席!
花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
※高山植物の宝庫・千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキングと静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。
※7月12日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

先日、弊社ツアー「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング(8月23日出発)」の催行が決定しました。屋久島の固有種、固有変種の観察ができ、「ヤクシマ」と名のついた高山植物の観察が楽しみです。まだ残席もありますので、是非ご一緒しませんか?

 

本日は「フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)」をご紹介します。
フクジュソウ(福寿草)といえば、個人的には三重県の鈴鹿山脈・藤原岳へ雪解けの頃に訪れ、泥だらけになりながら福寿草を求めて登山したこと、泥だらけになってでも登った甲斐があり素晴らしい群生を観察できたことを今でも覚えています。

 

フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

 

被子植物 双子葉類
学名:Adonis ramosa
別名:ガンジツソウ(元日草)、エダウチフクジュソウ
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:フクジュソウ属(Adonis)

 

フクジュソウ(福寿草)は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。これまでご紹介したカタクリキクザキイチゲなどと同じくスプリング・エフェメラルとして紹介される花の1つです。
春を告げる花の1つであり、元日草朔日草(ツイタチソウ)という別名をもります。また、和名「福寿草」というのが信州を祝う意味もあり、縁起物として古くから栽培されてきました。
ある資料では、江戸時代から続く古典園芸植物と紹介されており、ミチノクフクジュソウとかけ合わせた「福寿海」など、緋色や緑色の花をつけるものなど多数の品種があるそうです。

 

草丈は15~30㎝。やや太めで紫褐色の茎が直立します。フクジュソウの茎は中実(ちゅうじつ)と解説されることがあり、茎の中身が詰まった断面をしており、ミチノクフクジュソウとの見分け方との事ですが・・・実際の観察時には断面を見るためにナイフを入れないようにして下さい。
葉は長めの葉柄を持ち、3~4回羽状複葉で細裂しています。葉裏には若干の毛が確認できるものもありますが、無毛のものもあります。

 

花期は早春の3~4月。花弁は20~30枚と多く、鮮やかな光沢があるのが特徴、資料によっては金属光沢という表現もありました。
直径3~4㎝ほどの小さな花を枝先に1~数個、上向きに咲かせます。
下の写真で若干判るかもしれませんが、花の一番外側に紫緑色の萼片が5~10枚あり、花弁より少し長い印象です(花弁と同じ長さという資料もあり)。

 

フクジュソウは、日当たりの良い時は良く開き、日当たりの悪い時は花を閉じ、また「向日性(こうじつせい)」を持つ花の1つで、花、葉、茎が太陽光の動きに合わせて動きます。
パラボラアンテナのような形状の花は、太陽の熱を効率よく集めることができ、花弁内は外気温より温かくなります。そうすることで花弁に集まった虫へ熱と花粉を与えます(ホットカーペットのような役割)。その結果、虫も体温があがり、受粉活動を活発に行うことができる仕組みです。
ある資料には、蜜腺を持たないフクジュソウが受粉活動を行う虫をおびき寄せるために発達した仕組みであると紹介されていました。

 

以前、「フクジュソウの向日性」について、社内で説明する機会があったのですが、ある社員から「自宅にある福寿草が見るタイミングによって向いている方向が違うことが疑問だった点が解消された」と言ってくれ、説明した甲斐がありました。それにしても、自宅で毎年フクジュソウを観察できるのは羨ましいい限りです。

 

フクジュソウについては、エダウチフクジュソウの事を指しますが、下記のフクジュソウ4種の総称である場合もあります。
違いに関しては、非常に難しく、実際に見分けるのは・・・簡単にご紹介します。

①フクジュソウ(エダウチフクジュソウ):自生地が北海道から九州。茎が中実。
②キタミフクジュソウ:自生地が北海道東部のみ。多毛。茎が中実。花は一株1輪。
③ミチノクフクジュソウ:自生地が東北~九州。茎が中空。萼が花弁の半分程度。
④シコクフクジュソウ:自生地が四国及び九州の一部。全草無毛。茎が中空。

 

今回掲載した2枚の写真は長野県の「姫川源流自然探勝園」にて観察したものです。当日は天気が悪く、花の開きがイマイチでしたが、それでも鮮やかな黄色いフクジュソウ(福寿草)をみつけた際には、雨など気にせず観察を楽しむことができました。

花弁の外側に暗紫色の萼片が確認できます。蟻ではありませんよ。

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! 8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)

現在、西遊通信の作成をすすめており、月末には発表予定です。私もいくつかツアーを造成させていただきました。是非ご検討ください。

屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング 
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅 
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
※秋の尾瀬、奥日光、谷川連峰の撮影ツアーも造成中

 

本日は「ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)」をご紹介します。

 

ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)※根元に2輪目の蕾があります

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone flaccida
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

ニリンソウ(二輪草)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。以前ご紹介したキクザキイチゲアズマイチゲと同様、イチリンソウ属の仲間です。
また、カタクリやフクジュソウと合わせて、スプリング・エフェメラルと称される花の代表的な花として紹介される花の1つです。

 

日本では北海道、本州、四国、九州と幅広く分布し、海外ではサハリンや朝鮮半島、中国の北部や東北地方にも分布します。湿潤な山地や林床などに自生し、群生して見られることも多い花です。

 

草丈は15~30㎝で直立。葉に関しては、3全裂の根生葉を持ち、茎葉は茎頂に3枚輪生しており、こちらも3深裂。
ニリンソウの葉の特徴の1つが「葉柄を持たないこと」です。下の写真でも判るように、茎を包み込むように生えているのが確認できます。
もう1つの特徴が、根生葉、茎葉ともに「葉に白い斑をもつこと」です。
イチリンソウ(一輪草)の葉と形状は違いますが、この2点が見分け方のポイントです。

 

葉柄を持たないニリンソウの葉 ※2つの蕾があり、花の数が計3つ

花期は4~5月。ニリンソウ(二輪草)の和名の由来は、1つの茎から2輪の花を咲かせることに由来しますが、実際は茎頂に花茎を2~3つ伸ばし、花茎の先端に直径2~3cmほどの白い花を咲かせます。まれに1輪のもの、3輪のものもあり、資料によっては4輪咲かせるものもあるとのことで、ここがイチリンソウとニリンソウを見分けるややこしい点です。じつは、サンリンソウというのもあるのですよ。

 

花柄の頂に白い花を咲かせるニリンソウには、花弁はなく、花弁のように見える部分は「花弁状の萼片」で、通常5~7枚です。
「花弁状の萼片」である点は、同じイチリンソウ属のキクザキイチゲやアズマイチゲと同様です。

 

ニリンソウの仲間には花弁状の萼片の部分が緑色のものもあり「ミドリニリンソウ(Anemone flaccida f. viridis)」があり、さらにピンク色に染まるものは「ウスベニニリンソウ(Anemone flaccida f. rosea)」と呼ばれます。
ウスベニニリンソウは観察したことはありますが、ミドリニリンソウは観察したことが無く、是非一度観察したい花の1つです。5月に信州に訪れた際、隅々まで探しましたが、見つかりませんでした。

 

<イチリンソウとニリンソウの見分け方>
①花茎につける花の数
イチリンソウは主に1つ、ニリンソウは1~4つ
②花茎につく葉柄の有無
イチリンソウは葉柄を持ち、ニリンソウには葉柄はなく襟巻の様に葉柄を包む
ニリンソウの葉には白い斑がある
③花の大きさ
イチリンソウは直径4㎝ほど、ニリンソウは2~3cm

 

いつかイチリンソウ(一輪草)の花もご紹介しますので、お楽しみに。

 

花弁状の萼片が少しピンク色に染まるニリンソウ

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! あと1名で催行決定!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

一旦満席!
花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
※高山植物の宝庫・千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキングと静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。
※7月12日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)

我が家の周辺や通勤路などで様々な色合い、品種のアジサイが目に留まるようになりました。ぼんぼりのように咲くアジサイを見ると、通勤中でも思わず足を止めてしまい「会社を休み、弁当でも食べながらアジサイ観察を楽しもうかな~」という気持ちが芽生えてしまいます。

 

前回はエンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)をご紹介しましたが、本日は「シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)」をご紹介します。

 

シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)

 

被子植物 単子葉類
学名:Trillium tschonoskii
別名:ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)
科名:シュロソウ科(Melanthiaceae)
属名:エンレイソウ属(Trillium)

 

シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は、その名のとおり「白い花を咲かせる延齢草」です。
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地から山地帯の林床に自生する多年草です。海外では、東アジアやサハリンに分布します。

 

草丈は20~40㎝となり、エンレイソウ(延齢草)とほぼ同じで、太めの茎で直立します。葉は茎頂で3枚輪生し、菱状卵形で長さが5~15㎝、先が尖り、基部が広いくさび型の形状をしています。

 

ここまでは前回紹介したエンレイソウと似ていますが、花の形状、色合いに若干の違いあります。
エンレイソウは、花弁(内花被片)はなく、花弁のように見えるのは全て萼(外花被片)ですが、シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は異なります。

 

花期は4~5月。シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は、3枚の白い部分は花弁(内花被片)、緑色の部分が萼(外花被片)です。外花被片(萼)はエンレイソウ(延齢草)より長く、2~2.5㎝、内花被片・外花被片とも先が尖った形状です。
雄しべは6本で、葯は花糸とほぼ同じ長さ、クリーム色で先は尖った形状です。花柱は花の中央に球形の子房の上で基部から短く3裂しており、上の写真をご覧いただくと、葯や3裂した花柱などが確認できます。

 

花は葉の中央から花柄を伸ばし、花柄の頂に花を1つ咲かせますが、エンレイソウ(延齢草)に比べて花柄が短い印象です。

 

先月、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」で水芭蕉やリュウキンカの群落を歓声を挙げながら観察していると、木道脇に数輪のシロバナエンレイソウを見つけ、観察を楽しみました。同ツアーで褐紫色のエンレイソウを幾度か観察したあとだったため、淡い白色のシロバナエンレイソウを見つけた際にはさらなる歓声が挙がり、お客様と共に順番に観察・撮影を楽しむことができました。

 

花被片が褐紫色のエンレイソウ(延齢草)
白い内花被片が印象的なシロバナエンレイソウ(白花延齢草)

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※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

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※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

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エンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)

先日、福島民報のWEBニュースにて、水辺の妖精”ミズバショウ”が見頃を迎え、5月29日に尾瀬の山開きがされたというニュースが発表されていました。一部残雪が残る中、ミズバショウの見頃は1週間ほど続くそうです。
また、福島県の尾瀬桧枝岐温泉観光協会によると、夏に咲くニッコウキスゲの見頃は7月20日前後になるということでした。
弊社ツアー「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」は、ニッコウキスゲの花咲く季節に合わせて7月17日出発に設定しており、尾瀬桧枝岐温泉観光協会の発表にぴったりの日付です。是非ご検討ください。

 

本日は「エンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)」をご紹介します。

 

エンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)

 

被子植物 単子葉類
学名:Trillium smallii
科名:シュロソウ科(Melanthiaceae)
属名:エンレイソウ属(Trillium)

 

エンレイソウ(延齢草)は、シュロソウ科エンレイソウ属の多年草で、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地や林床などの湿った場所に自生します。海外では、サハリン(樺太)、南千島などに分布します。

 

草丈は20~50㎝、やや太めの茎で直立します。葉は茎頂に3枚輪生し、形状は菱状卵形で10~15㎝のやや大きめ、葉の先端が尖り、基部が広めな形状をしています。

花被片が褐紫色のエンレイソウ(延齢草)

花期は4~5月。輪生する3枚の葉の中央から花柄を伸ばし、花柄の頂に花を1つ咲かせます。
エンレイソウ(延齢草)は、花弁(内花被片)はなく、花弁のように見えるのは全て萼(外花被片)です。
萼は1.5~2㎝ほどの長さの長楕円形で緑色または褐紫色。雄しべは6本で、葯は花糸より短く褐色、上の写真をご覧いただくと褐色の葯がよく判ります。また、花柱は花の中央に球形の子房の上で基部から短く3裂しており、上の写真で褐色の花柱がはっきりと判ります。
果実は「球形で黒色」という認識でしたが、エンレイソウの果実は通常は緑とのことです。黒色の果実をつける品種はクロミノエンレイソウと呼ばれるそうです。

 

エンレイソウは大きな葉に小さな花を1輪だけ咲かせるため、特に外花被片(緑)が緑の花だと見落としてしまいがちですが、5月に信州でキレイに咲くエンレイソウを見つけた際には歓声が挙がりました。
次回、飯綱町・むれ水芭蕉園で見つけたシロバナエンレイソウをご紹介します。

 

花被片が緑色のエンレイソウ(延齢草)

 

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ミヤマキケマン(深山黄華鬘:Corydalis pallida var. tenuis)

先日、「清流の国・岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング」を造成しました。
「岐阜の宝もの」と称される3つの景勝地で自然探勝ハイキングを楽しみ、その後、名勝・上高地へ訪れる5日間ツアーです。
8月は天生湿原にシラヒゲソウの花、9月はリンドウが咲き、10月は紅葉シーズンに合わせたツアーです。是非ご検討ください。
また、来週には長野県で伝統工芸品の和紙で御朱印帳作り体験をし、ご自身で作った御朱印帳を持って小菅神社や戸隠神社五社を巡る参拝ツアーを造成しております。こちらも乞うご期待!

 

本日は、白馬村の姫川源流自然探勝園にて観察した「ミヤマキケマン(深山黄華鬘:Corydalis pallida var. tenuis)」をご紹介します。

 

ミヤマキケマン(深山黄華鬘:Corydalis pallida var. tenuis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Corydalis pallida var. tenuis
科名:ケシ科(Papaveraceae)
属名:キケマン属(Corydalis)

 

ミヤマキケマン(深山黄華鬘)は、先日ご紹介したヤマエンゴサク(山延胡索)と同じくケシ科キケマン属の多年草で、本州の近畿以北に分布します。
同じ黄色いエンゴサクであるフウロケマン(風露華鬘)の変種と言われており、山地や低地の日当たりの良い場所に自生します。

 

草丈は20~50㎝、茎は赤褐色で太くしっかりしており、茎や葉柄などは無毛です。
葉は、1~2回羽状複葉で深裂し、小葉は広卵形で欠刻(葉の縁にある大きな切れこみ)があります。今回観察した際には、葉の縁の色合いが紫褐色を帯びていました。

 

花期は4~6月。茎頂に長さ2㎝ほど黄色い花を多数、密集して花を咲かせます(総状花序)。
ヤマエンゴサク(山延胡索)と同様、花弁は上下に広がる2枚の外花弁と内側に隠れる2枚の内花弁の計4枚です。
外花弁は、上の花弁の後方に蜜の入った距(きょ:花弁や萼が変化したもの)が伸びており、距の部分も含めて全体的に黄色となります。
ある資料には、外花弁の先端は緑色で、時間の経過とともに褐色を帯びて反り返るとありました。
内花弁は、横向きに半球形に膨れている部分ですが、花の色合いに比べて少し黄緑色に近い色合いのため、判りやすいです。
※下写真は、目一杯アップにしてみましたが、外花弁と内花弁の違いは判りますでしょうか。

 

非常に色鮮やかな花を付け、ヤマエンゴサクに比べて1つの株につける花の数が多かったこともあり、非常に印象に残る花でした。
前回より2回に分けて、エンゴサクの仲間をご紹介しましたが、来春に観察する際には、是非外花弁と内花弁など、花の形状にも注目して観察してみてください。

 

外花弁と内花弁(横向きに半球形に膨れている部分)の違いは判りますか?

 

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ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)

本日も春の花、スプリング・エフェメラルの1つである「ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)」をご紹介します。

 

ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)

 

被子植物 双子葉類
学名:Corydalis lineariloba
別名:ヤブエンゴサク
科名:ケシ科(Papaveraceae)
属名:キケマン属(Corydalis)

 

ヤマエンゴサク(山延胡索)は、本州、四国、九州に分布する日本固有の多年草。山野の林床などに自生します。地中の塊茎が漢方薬の「延胡索」に似ていることから名付けられたとされています。

 

草丈は10~20㎝ほどで、地中に塊茎をもち、茎を1つ出します。
葉は柄をもち、2-3回3出複葉。長さ1~3cmの小葉は通常2~3裂するとされていますが、実際は葉の形状や枚数には変異があり、形状は線形、披針形、卵円形など様々です。
私が観察した際には楕円形の葉でしたが、私が持つ花図鑑には円形の小葉の写真も掲載されていました。この点は選別の際に頭を悩ましてしまいそうな部分です。

 

花期は4~5月。茎頂に長さ1.5~2.5㎝ほどの小さな花を5~10個ほど総状につけます(総状花序)。上写真では青紫色の花を咲かせていますが、色の変化が多く、青紫~赤紫色があります。
花弁は上下に広がる2枚の外花弁と内側に隠れる2枚の内花弁の計4枚となります。
上写真をご覧いただくと、上下に唇状に広がる部分が外花弁、真ん中に横向きに白く半球形に膨れている部分が内花弁です。

 

外花弁は2枚が上下から合わさり、上の方の花弁の後方に蜜の入った距(きょ:花弁や萼が変化したもの)が伸びており、花弁に比べて淡い色合いとなっています。

 

内花弁は内側に空洞を作り、この内部に雄しべと雌しべが収まっており、花粉や花柱を風雨から保護するための工夫とされています。また、ある資料には、雄しべと雌しべを包む左右の合着した花弁に吸蜜のために虫がとまると、その重みで下と横の3花弁が下がり、雄しべと雌しべが露出するとのことでした。

 

花の基部にある苞葉は3~5裂しており、同じエンゴサクの仲間であるエゾエンゴサク(蝦夷延胡索:Corydalis fukuharae)との見分け方のポイントとなります。上写真にほんの少しだけ苞葉が確認できます。

 

よく、エゾエンゴサクとカタクリは同じ場所、同時期に群生すると聞き、私もその場面に出会ったことはありますが、今回観察した信州(白馬村、鬼無里など)では同じ場所にカタクリはなく、単独で咲いていることが多かったですが、その分ヤマエンゴサクの淡い色合いが周りの緑とマッチし、興奮し過ぎず、心癒される花としてゆっくり観察することができました。

 

ヤマエンゴサク(山延胡索:Corydalis lineariloba)

 

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※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
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