本日より8月に同行させていただきました「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング」で観察した花々をご紹介します。
本日は、屋久島では「ツバキラン」とも呼ばれる「サクララン(Hoya carnosa)」をご紹介します。
被子植物 双子葉類
学名:Hoya carnosa
英名:Wax vine
別名:ツバキラン(屋久島)、Wax vine
科名:ガガイモ科(Asclepiadaceae)
属名:サクララン属(Hoya)
サクララン(桜蘭)は、九州暗部以南の南西諸島や琉球諸島に分布するつる性常緑多年草です。サクラランの仲間は200種ほどあるとされており、海外ではオーストラリア、アジア東部に分布し、日本にはカルサノ種だけが分布するという資料もありました。
茎はつる性で、樹幹や岩肌を這うように伸び、途中から気根(植物の地表に出ている茎や幹から出て、空気中に現れている根)を出し、樹木や岩肌などに張り付き成長します。
葉は常緑で肉厚、光沢があり(蝋質と表現する資料もあります)、長さ5~10㎝で先の尖った長楕円形の葉が対生します。肉厚な葉は、日陰でも光合成をためやすくするためとも言われています。
花期は5~9月。葉の付け根あたりから花柄を伸ばし枝先に1つずつ花をつけ、直径2㎝ほどの小さな花を密集して咲かせます。50個ほどの花を半球状にまとまって咲く姿は非常に印象的です。
花冠は5裂し、真っ白な星形の花冠のように見え、中央部分が淡紅色をしており、よく見ると中央の淡紅色の部分も星形になっているようにも見えます。
花も多肉質で蝋質をしており、英名「Wax vine」は、蝋質の花(や葉)をつけるつる性の植物という意味から来ているようです。意外とそのままの英名でした。
因みに、学名の種小名「carnosa」は「肉質」という意味を持ちます。色々調べていると、学名と属名の「Hoya」はイギリスの園芸家であるT.Hoy氏の名前に因んだものだそうです。
花の色がサクラ、葉がランに似ていることが名の由来ですが、屋久島では葉が椿に似ていることで「ツバキラン」と呼ばれているそうです。
花後の果実は袋果で、果実が熟してくると自然に果皮が裂け、種を放出する仕組みとなっているそうです。
サクララン(桜蘭)は8月に訪れた屋久島の西部林道を散策している際、お客様が発見しました。
私の背丈(174cm)の何倍もの高さの木に花を咲かせており、真上に咲く花を皆さんと共に観察・撮影させていただきました。
その時、サクラランにキレイな蝶、リュウキュウアサギマダラ(マダラチョウ科)が飛んでおり、ちょうどサクラランに止まってくれました。真上の方向を見ながら撮影をしていたため、木々の合間から陽光が射しこみ、サクラランもリュウキュウアサギマダラも程よく輝き、思いがけないキレイな写真を撮ることができました。
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