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コケモモ(苔桃:Vaccinium vitis-idaea)

先日、出勤途中に桜の木に数輪の花を咲かせているのを見つけました。ネットニュースなどでは、今年は桜などの開花が早まる可能性があるとのことでした。
また、三重県松阪市の湿原では、春の訪れを告げる「ザゼンソウ」が例年より1週間ほど早く見頃を迎えたというニュースがありました。

 

本日は「コケモモ(苔桃:Vaccinium vitis-idaea)」をご紹介します。

 

コケモモ(苔桃:Vaccinium vitis-idaea)

 

被子植物 双子葉類
学名:Vaccinium vitis-idaea
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:スノキ属(Vaccinium)

 

コケモモ(苔桃)は、ツツジ科スノキ属に属する常緑小低木です。
日本では、北海道から九州まで幅広く分布し、海外ではユーラシア大陸北部や北アメリカの森林など温帯から北極圏に近い地域まで分布します。
亜高山帯~高山帯のハイマツ帯や草地、岩場、砂礫地などに自生し、酸性の土壌を好みます。多くのツツジ科の植物と同じく、栄養分の少ない土地でも耐えることができ、-40℃以下という極寒地でも耐えることができる耐寒性をもちます。

 

樹高は5~30㎝ほど、直立した幹は密集しています。地中の根茎を広げることで株を増やします。
葉は楕円形で互生し、1~2㎝ほどの小さな葉は少し硬く(革質と表記される資料もあります)、光沢が目立ちます。
葉の縁に鋸歯はあるのですが、ほとんど確認できないくらい僅かなものです。
寒冷地に自生する広葉樹ですが、冬でも葉は落としません。

 

花期は5~7月。枝先に白色~淡いピンク色(淡紅色)で5㎜ほどの鐘型の花を3~8個ほど総状に付け、花は下向きに咲かせます。
花弁の先端は浅く4裂、少し外に開いている印象です。また、萼も4裂し、先が尖った三角形をしています。
雄しべは鐘型の花の中に確認ができ、上の写真では少し判りづらいですが、雌しべ(花柱)は花の中央から少し花柱の先端が顔を出しています。

 

果実は5㎜ほどの球体で、真っ赤に熟します。
コケモモの実は、酸味が強く、生のまま食すより、ジャムやコンポート(砂糖煮)、果実酒が有名です。また、日本ではあまり見かけませんが、海外へ行くとビタミンC、βカロチンなどが豊富なため、ジュースで販売されているのをよく見かけます。また、コケモモの葉は、利尿効果や尿路殺菌作用もあるそうです。

 

「苔桃」という和名の由来は、地面を這うように自生する様子が「苔」に例えられ、「モモ」は方言で「木の実」を意味します。また、種小名の vitis-idaea はギリシャ神話に出てくる「クレタ島のIda山のブドウ」という意味です。

アカモノシラタマノキエゾノツガザクラアオノツガザクラなど、ツツジ科で鐘型の小さな花を咲かせる植物はいくつかあり、花の色以外で見分けが難しいものもあります。ただ、ゆっくりと特徴を確認しながら観察を楽しんでいると、それぞれの良さを見つけることができます。
コケモモは、白色~淡紅色の色合いが色鮮やかで光沢のある葉と非常にマッチし、葉の光沢と色合いが花の可憐さがより際立っているように感じます。
コケモモの実に手を伸ばすのも楽しいかもしれませんが、花咲くコケモモの前でも是非足を止めてみてください。

 

コケモモ(苔桃:Vaccinium vitis-idaea)②

 

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