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トロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)

しばらく更新できず、申し訳ありませんでした。
2023年もまもなく終わりが近づく中、「もうやらないの?待ってるのに!」とお客様からもご意見をいただき、久々に更新させていただきます。

 

この1年、私の中でより一層強い想いが生まれた花が1つ、長年の念願が叶い出会うことができた花が1つありました。
本日は、より一層強い想いが生まれた花『トロリウス・リラキヌス』(Trollius lilacinus)をご紹介します。

 

トロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)

被子植物 双子葉類
学名:Trollius lilacinus
旧学名:ヘゲモネ・リラキナ(Hegemone lilacina)
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:キンバイソウ属(Trollius)

 

いつだったか、とある雑誌で今回ご紹介する『トロリウス・リラキヌス』(Trollius lilacinus)が群生している写真を見た瞬間、心を奪われたことを覚えています。その後、添乗員としてキルギスへ訪れた際に現地フラワーガイドに伺ったところ「6月にキルギスでも観察できるよ」と教えてくれ、「真っ白なトロリウス・リラキヌスを観察するツアーを作りたい」という想いが芽生えました。
それから数年が経ち、コロナウィルスによる悪夢の3年を経て、2023年に弊社ツアー『初夏のキルギスへ 純白のトロリウス・リラキヌスをもとめて』を発表させていただきました。

 

トロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)は、キンポウゲ科キンバイソウ属に属します。
キンポウゲは漢字で書くと「金鳳花」、キンバイソウは漢字で書くと「金梅草」。読んで字の如く、花の色は『金=黄色』をイメージされる方が圧倒的多数かと思いますが、トロリウス・リラキヌスは純白の花を咲かせます。

 

シベリア西部~キルギス、カザフスタンなど、北方寒冷域に分布し、日本では観察できない花の1つです。
草丈は低いもので10cm未満、高いもので30cmほどになり、葉は基部まで裂け、ロゼット状に小さな葉を広げます。
花弁のような純白の部分は花弁を包み込む萼片で15~20枚ほどの萼片を付け、花全体の大きさは直径5cmほどです。純白の萼片の中央部分に確認できる黄色い部分が花弁となります。
弊社ツアーでは「純白のトロリウス・リラキヌス」と紹介しているとおり、純白の花弁が印象的ですが、同種には薄紫色やバラ色の種もあります。

 

この花をさらに印象深いものとする要因が『光の加減による色合いの変化』です。
萼片の根元がほんの少し青白いことで、観察した日の天気や光の加減で若干青白い花に見えることが特徴です。
『Trollius lilacinus』で画像検索すると、時折青白い印象の写真が検索できますので、是非ご覧になってください。

 

ここまでご紹介した『トロリウス・リラキヌス』ですが、実は私自身観察したことがありません。
2023年にツアーを発表し、最初のツアーへ添乗するために意気揚々と準備を進めていたのですが、急遽別ツアーの添乗に行くこととなり観察することができていません。
2024年は是非とも『純白のトロリウス・リラキヌス』に出会いたいものです。

 

<トロリウス・リラキヌスに出会えるツアー>
初夏のキルギスへ 純白のトロリウス・リラキヌスをもとめて
※今シーズンも多くのお問い合わせをいただいております。お問い合わせはお早めに!

 

キルギスに咲くトロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)
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シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)

我が家の周辺では、春の楽しみの1つであるコブシや桜も例年より早く咲き誇り、WBC日本代表の活躍に夢中になり過ぎて今シーズンはこぶしの満開時期を逃してしまいました。現在ではシャガの花が見頃を迎えています。

 

本日は、シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)をご紹介します。今回使用する写真は、弊社東京本社・村上が北海道・羊蹄山で撮影したものを拝借しております。

 

シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Glaucidium palmatum
別名:ハルフヨウ(春芙蓉)、ヤマフヨウ(山芙蓉)
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:シラネアオイ属(Glaucidium)

 

シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)は、キンポウゲ科シラネアオイ属に属する多年草です。
以前は、シラネアオイ科として独立し1属1種として分類されていましたが、現在ではキンポウゲ科に分類されています。

 

本州・中部地方以北から北海道にかけて分布し、多雪地の山地や亜高山帯などの草地や明るい林内で地下茎を伸ばして自生・群生します。

 

草丈は花の咲くころには20cmほどで直立し、頂に薄紫色の花冠を1つ付けます。
葉は葉はカエデに似た形で、根生葉1枚と花冠付近に茎葉を3枚付け、茎葉は下2枚、上1枚に分かれます。
下の2枚は茎から長い柄を伸ばし、掌状に葉を広げ7~11中裂し、幅が20cm前後となります。上の1枚(最上部の茎葉)は柄を持たず葉が茎を取り囲むように付けます。花冠付近の3枚の葉は、柄の有無で見分けることができます。
根生葉も長い柄を持ち、掌状に5-11裂、裂片の先が鋭く尖り、不揃いな鋸歯が確認できます。

 

花期は5~7月。花茎の頂に直径5~10cmほどの薄紫色の花を1つ咲かせます。
4枚の花弁に見える薄紫色の部分は萼片で、花弁はありません。これらはキンボウゲ科の特徴の1つと言えます。
中央には雄しべを多数つけ、雌しべ(花柱)が2つ確認できます。
花後には扁平な果実をつけ、秋になると弾けて種子を飛ばします。

 

花名は日光白根山に多く生息し、タチアオイ(立葵:アオイ科の多年草)に似ているところから『シラネアオイ(白根葵)』と名付けられたとされています。「シラネアオイなのに薄紫色?」と思われていた方も、和名の由来を聞くと納得いただけるかと思います。
因みに、この種には白花種もあり『シロバナシラネアオイ』(白根葵:Glaucidium palmatum f. leucanthum)と呼ばれます。

 

花は比較的大きく、草丈も20cmと高いこともあり、登山道の片隅に淡い紫色のシラネアオイが群生して咲く姿を見ると疲れが一気に吹っ飛びます。
シラネアオイに出会った際、葉の付き方や中央部の2本の雌しべなどに注目して観察してみてください。

 

群生するシラネアオイ(白根葵)

 

<シラネアオイに出会えるツアー>
花の羊蹄山とニセコ縦走トレッキング・樽前山&オロフレ山

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シナノキンバイ(信濃金梅:Trollius japonicus)

現在、10月に発行予定の西遊通信で発表予定のツアー造成に励んでいます。冬さらには春に向けて新たなツアーを発表しますので、お楽しみに。一足先に確認されたい方は、是非弊社ホームページへアクセスを。

 

本日は「シナノキンバイ(信濃金梅:Trollius japonicus)」をご紹介します。

 

シナノキンバイ(信濃金梅:Trollius japonicus)

 

被子植物 双子葉類
学名:Trollius japonicus
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:キンバイソウ属(Trollius)

 

シナノキンバイ(信濃金梅)は、以前紹介したハクサンイチゲと並ぶ高山植物の代表種として紹介されるキンボウゲ科の多年草です。
北海道から中部地方以北に分布し、高山帯などの湿った草地に自生する日本固有の花です。
花の名は、信濃地方で多く観られ、他のキンバイソウ属の花と同様に黄金色で梅に似た花を咲かせることから「信濃金梅」と呼ばれています。

 

草丈は20~80cmで直立します。背丈に差がありますが、南・北アルプスなどでは背が低い傾向にあると記載する資料もあります。
葉は、円心形で直径が5~10cmで3全裂、側裂片が2深裂し、縁には不揃いな鋸歯があります。手のひら状に5裂するギザギザな葉とも紹介されています。
下部の葉には長柄がありますが、茎の上部の葉は葉柄が短く(または無し)、茎を抱くように付けています。
根生葉と株の葉の表面には光沢が確認できるという資料もありますが、上部の葉は個人的にはあまり光沢を感じることはありません。

 

花期は7~9月。茎頂に1~2つ、直径3~4cmほどの黄橙色の花を咲かせます。
黄橙色の花弁が5~7枚・・・と言いたいところですが、花弁に見える黄橙色の部分は「萼片」です。萼片が変化したもののため、花が開く前は縁が緑を帯びています(一番下の写真をご覧ください)。

ただ、シナノキンバイには花弁がない訳ではありません。シナノキンバイの花弁は、雄しべや雌しべが密集している花の中央にあります。雄しべより短く、濃いオレンジ色の線形の花弁が確認できます。真ん中の写真で上のアップ写真で確認できるでしょうか。

 

シナノキンバイの花弁は確認できますか?(雄しべより短く、濃いオレンジ色の線形)

 

以前、ミヤマキンバイ(深山金梅)をご紹介した際にも記載しましたが、「ミヤマ~」と名のついた花、「~キンバイ」と名のついた黄色い花など、黄色い花は似ているものが多く、見分けが本当に困難です。
今回も、シナノキンバイのことを調べていると、尾瀬ではシナノキンバイによく似たリュウキンカと共に咲いているとあり、春の訪れを告げる花の1つして紹介されていました。見分け方は丸い葉がリュウキンカ、ギザギザの葉がシナノキンバイだそうです。

 

その他、黄色い花の見分け方のポイントは「葉の違い」です。
・シナノキンバイ(信濃金梅:キンポウゲ科):葉は掌状で切れ込みが深い
・キンバイソウ(金梅草:キンポウゲ科):葉の切れ込みは信濃金梅より浅い
※キンバイソウは、信濃金梅より標高の低い山地に自生
・ミヤマキンバイ(深山金梅:バラ科):小葉は3個で切れ込みが浅い
・ミヤマダイコンソウ(深山大根草:バラ科):葉は丸い心形
・ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花:キンポウゲ科):葉は深く3裂、信濃金梅に比べ裂片が細かい

 

黄色い花の見分け方は非常に困難ですが、1つ1つ観察して覚えていくしかありません。
来年こそは、しっかり見分ける方法を身に付けたい・・・毎年言っている気もします。

花弁状の萼片は、花が開く前は縁が緑を帯びています
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ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

本日は、「ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)」をご紹介します。高山植物と調べると、よくハクサンイチゲが群生する写真が掲載されていたり、様々な資料で「高山植物の代表種」として紹介される花の1つです。

 

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone narcissiflora
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

ハクサンイチゲ(白山一花)は、本州の中部以北から東北地方に分布し、亜高山帯から高山帯の湿った草地に自生する日本固有のキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草です。
7月の「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」に同行させていただいた際、中央アルプスの宝剣岳の麓にある千畳敷カール、北アルプスの乗鞍岳の麓にある乗鞍・畳平にて観察することができました。

 

草丈は15~60㎝で直立し、葉は無柄で4枚の葉が輪生し、それぞれが手のひら状に2~3回深裂し、裂片の先が尖っているのが特徴です。ハクサンイチゲは、茎、葉柄、葉、花柄に粗い毛が確認できます。

 

花期は6~8月。花茎の先端は数本に分かれて各々に1つずつ、2~5個の花を散形状に、直径2~2.5cmほどの花を咲かせます。
「イチゲ」とは、通常は1株に1つの花をつける花のことですが、ハクサンイチゲなどイチリンソウ属の植物に多く付けられる名前のため、花が一輪でなくてもイチゲの名前が付いています。

 

真っ白な花弁が印象的・・・と言いたいところですが、ハクサンイチゲには花弁はありません。
花弁に見える真っ白の部分は花弁ではなく「萼片」で、少し先端が尖った形状の萼片は5~7枚付けます。花の中央部には黄色の雄しべ、緑色の雄しべが密集します。

 

近縁種や変種として、エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花:北海道から東北地方北部の高山帯に分布し、葉の幅が広く先端が尖らない)やシコクイチゲ(四国一花:四国山地の岩場(石鎚山など)に分布し、複散形に咲く)があります。
また、日本第二の高峰・北岳にしか咲かないキタダケソウに似ていると紹介されることもあり、キタダケソウは花弁の先端が尖らず、窪んでいる点が違いです。
また、私も知りませんでしたが、萼片が緑色に変わった「ミドリハクサンイチゲ( f. viridis )」と呼ばれるものもあるそうです。是非一度観察してみたいものです。

 

ハクサンイチゲをはじめ、「ハクサン」という名のつく花が多いですが、ご存知の方も多いと思いますが、石川県の白山のことです。
色々と調べていると、興味深い資料があったのでご紹介します。
日本の植物研究は古くからあったようですが、西欧文化を受け入れ、植物学として発展したのが明治時代。その後、高山が研究対象となり、登山道があり山の案内人のいる山で調査が始まったそうです。白山は江戸時代から山岳信仰として登られてきた歴史があるため、当時の植物研究家は白山で多くの植物を発見し、植物に白山の山の名を付けたことが理由とのことです。
その後、日本中の高山が登られるようになり、白山以外でも同じ高山植物が発見されましたが、一度つけた名前は簡単には変えられず、ハクサンという名のつく花が多く残っているとのことです。
因みに「ゴゼン」という名の付く花も多いですが、白山の御前峰のことです。

 

ハクサンイチゲは、その色合い、花の美しさから群生すると見事な花畑の風景となります。群生したハクサンイチゲをのんびり眺めるだけでも幸せな気持ちになります。

 

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

 

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キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環:Aquilegia buergeriana var. buergeriana f. flavescens)

先日、オオヤマオダマキ(大山苧環)をご紹介しましたが、本日はヤマオダマキの黄花種である「キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)」をご紹介ます。
6月「花の尾瀬フラワートレッキング」で宿泊した草津温泉のホテル敷地の森、さらに7月「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」では駒ケ岳ロープウェイの山麓・しらび平駅周辺や奥上高地自然探勝ハイキング時(明神エリア周辺)に観察することができました。

 

草津で観察したキバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aquilegia buergeriana var. buergeriana f. flavescens
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:オダマキ属(Aquilegia)

 

キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)は、ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana var. buergeriana)の黄花種です。キバナノヤマオダマキとヤマオダマキは花の色以外、基本的な部分は同じです。

 

草丈は30~60cmで直立し、上部でいくつかに枝分かれし、直径3~4cmの花を下向きに咲かせます。
葉は、根生葉が2回3出複葉(葉柄から三つの小葉を出し、その小葉がさらに3つの小葉に分かれるもの)、小葉は2~4cmの扇形で2~3裂します。

 

花期は6~8月。枝分かれしたそれぞれの茎の先端部に直径3~4cmほどの花を下向きに付けます。
形状は前回ご紹介したオオヤマオダマキ(大山苧環)と同じですが、キバナノヤマオダマキも花弁状の萼片(横に広がる5枚の萼片)、中央部の花弁(長さ1~1.5㎝、花弁も5枚)に分かれ、花弁状の萼片はやや白に近い淡黄色、花弁の方が若干濃い黄色という印象です。

 

先日、ヤマオダマキとオオヤマオダマキの違いをご紹介しましたが、少し追記です。
・オオヤマオダマキ(大山苧環)
→萼と距が赤茶色、花弁は淡黄色、距の先端が下向きのもの
・キバナノオオヤマオダマキ(黄花の大山苧環)

→オオヤマオダマキの黄花種。
 萼、距、花弁ともに淡黄色、萼の先端が下向きのもの

 

・ヤマオダマキ(山苧環)
→萼と距が赤茶色、花弁は淡黄色、距の先端が真っすぐのもの
・キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環

→ヤマオダマキの黄花種
 萼、距、花弁ともに淡黄色、萼の先端が真っすぐのもの

 

写真をご覧いただくと、「距」(花の後ろに突き出した中空の角状のもの、花弁や萼が変化したもの)が真っすぐに伸びているので、「ヤマオダマキの黄色種」であることが判ります。
また、上写真の距のあたりをご覧いただくと、少し赤味の残る部分が確認できます。中にはもう少し濃く残る個体もありますが、ヤマオダマキやオオヤマオダマキの萼片(赤茶色)の色合いに比べると明らかに濃淡の差がありますので、見分けるにあたり、ややこしい点ではありません。

 

苧環という和名は、距が伸びた花の様子が苧(カラムシ)や麻(アサ)などの繊維を巻いた管に似ていることが名の由来です。

 

前回に続き、ヤマオダマキの仲間をご紹介しましたが「ヤマオダマキ(山苧環)」「オオヤマオダマキ(大山苧環)」「キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)」「キバナノヤマオダマキ(黄花の大山苧環)」など、見分け方は難しくはないので、次回しっかりと観察してみてください。
因みに「ミヤマオダマキ(深山苧環)」は・・・また機会(撮影ができれば)があればご紹介します。

 

上高地で観察したキバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)
オオヤマオダマキ(山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

 

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※9月18日出発、19日出発とも間もなく催行!
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黒岳、旭岳、十勝岳、三国峠など大雪山山系の原生林と紅葉の名所を巡る5日間。

 

※10月5日出発、10月10日出発ともまもなく催行!
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オオヤマオダマキ(大山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

本日も尾瀬で観察した「オオヤマオダマキ(大山苧環:Aquilegia buergeriana)」をご紹介します。
尾瀬でフラワートレッキングを終え、ゴール地点の大清水周辺に広がるニッコウキスゲの群落で観察することができました。

 

オオヤマオダマキ(山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aquilegia buergeriana var. oxysepala
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:オダマキ属(Aquilegia)

 

オオヤマオダマキ(大山苧環)は、北海道~九州、海外では朝鮮、中国、シベリア東部に分布し、温帯~亜寒帯の山地の草地や林縁などに自生する多年草です。

 

草丈は40~80cmほどで直立し、茎頂付近で枝分かれし、それぞれの先端に直径3~4cmほどの花を下向きに咲かせます。
葉は、根生葉が2回3出複葉(葉柄から三つの小葉を出し、その小葉がさらに3つの小葉に分かれるもの)、小葉は3~4cmの扇形、先端が2~3中裂し、さらに2~3浅裂します。

 

花期は6~8月。枝分かれしたそれぞれの茎の先端部に直径3~4cmほどの花を咲かせますが、その花の形状は非常にユニークです。
花弁のように広がるのは萼片で赤茶色で5枚。花の中央の先端部が淡黄色(クリーム色)のものが花弁で長さが1~1.5㎝、花弁も5枚です。
オダマキの仲間で最も特徴的な部分は後ろ方向に突き出す花弁の一部である「距(きょ)」と呼ばれる部分です。距の先端部が球状になっているのも面白い形状です。
※距とは、花の後ろに突き出した中空の角状のものをいい、花弁や萼が変化したもの。

 

オオヤマオダマキは、ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana var. buergeriana)の変種ですが、形状はほとんど変わりません。「大(オオ)」という頭文字がつきますが、大きさもほぼ同じです。
この2つは、花が開いた時の「距」の部分に違いあり、そこが見分けるポイントとなります。

 

・距の先端が下を向いたまま→オオヤマオダマキ
・距の先端が真っすぐ伸びたもの→ヤマオダマキ

 

下の写真をご覧いただくと、オオヤマオダマキの距が下を向いたままという状態がよく判ります。資料によっては、内側に巻き込んだ状態と表記するものもあります。
6月の尾瀬では「ヤマオダマキ」と紹介し、終了後にお送りした旅日記でも「ヤマオダマキ」と記載してしまいましたが、今回花のブログを作成する際に色々と調べていると、この2つの見分け方を知りました。

 

花弁の中央に雄しべ(先端部が黒い)を多数つけ、よく見ると中央に雌しべが1つ伸びているのも確認できます。

 

オオヤマオダマキ(オダマキ属の仲間全般)は、下向きに花を咲かせるので観察・撮影に苦労します。
細く背の高い茎の先端部に、比較的大きめの花を咲かせるので、どうしてもお辞儀したように花を咲かせるので仕方ありませんが、こちらを向いて、程よい角度のオダマキを探すのも大変ですが、次回観察する機会がありましたら、是非細かい部分もじっくりと観察してみてください。

 

オオヤマオダマキの距は、下を向いたままの状態

 

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リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

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本日は「リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)」をご紹介します。

 

リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Caltha palustris var. nipponica
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:リュウキンカ属(Caltha)

 

リュウキンカ(立金花)は、日本では本州と九州に分布し、海外では朝鮮半島や中国にも分布します。
湿地や水辺などに自生するリュウキンカ(立金花)は、雪融けのシーズンにミズバショウの傍らで咲くことも多く、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」では水辺に咲く水芭蕉とリュウキンカ、さらには群生するニリンソウの傍らにリュウキンカが群生する素晴らしい光景を楽しむことができました。

 

草丈は15~50㎝ほどで少し太めの茎が直立します。茎は中空ですが、なかなか観察時に確認することはできません。ナイフを入れて確認してはいけませんよ。
葉は長い葉柄(葉柄を持たないものもあるという資料もあり)を持ち、長さ5~10㎝ほどで丸い葉で少し光沢が確認でき、縁には少し鋸歯も確認できます。茎の上部(茎葉)になるにつれて少し小型のものを付けます。

 

花期は5~7月。茎頂や葉腋から少し長めの花柄を伸ばして、光沢はありませんが非常に鮮やかな黄色い花を咲かせます。ミズバショウの傍らに咲くとより黄色が鮮やかに感じます。
リュウキンカ(立金花)には花弁はなく、花弁に見えるのは萼片で「花弁状の萼片」と紹介されます。花弁状の萼片は5~7枚で、雄しべは多数つけ、雌しべは4~12本と変化が多いのが特徴です。

 

和名「立金花」は、直立した茎に黄金色の花をつけることが由来です。
ブログを作成の際に色々と調べていると、「球磨焼酎」でおなじみの熊本県球磨郡にある「あさぎり町」がリュウキンカを町の花に指定しており、町の天然記念物にしていされているそうです。また、日本における自生の南限も球磨郡あさぎり町と紹介されていました。

 

雪融けの季節、水辺や湿地で色鮮やかなリュウキンカの群生に出会うと思わず気持ちが高揚します。5月に長野県飯綱町のむれ水芭蕉園に訪れた際、それまでも幾度かリュウキンカを観察できたツアーだったのですが、3日目にしてようやく晴れ間が広がったタイミング、これまで以上の群生だったので、皆さんと共にリュウキンカの群生を楽しむことができました。

 

ミズバショウの傍らに咲くリュウキンカ
リュウキンカとニリンソウの群生地

 

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屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

一旦満席!
花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
※高山植物の宝庫・千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキングと静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。
※7月12日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

130

フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

先日、弊社ツアー「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング(8月23日出発)」の催行が決定しました。屋久島の固有種、固有変種の観察ができ、「ヤクシマ」と名のついた高山植物の観察が楽しみです。まだ残席もありますので、是非ご一緒しませんか?

 

本日は「フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)」をご紹介します。
フクジュソウ(福寿草)といえば、個人的には三重県の鈴鹿山脈・藤原岳へ雪解けの頃に訪れ、泥だらけになりながら福寿草を求めて登山したこと、泥だらけになってでも登った甲斐があり素晴らしい群生を観察できたことを今でも覚えています。

 

フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

 

被子植物 双子葉類
学名:Adonis ramosa
別名:ガンジツソウ(元日草)、エダウチフクジュソウ
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:フクジュソウ属(Adonis)

 

フクジュソウ(福寿草)は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。これまでご紹介したカタクリキクザキイチゲなどと同じくスプリング・エフェメラルとして紹介される花の1つです。
春を告げる花の1つであり、元日草朔日草(ツイタチソウ)という別名をもります。また、和名「福寿草」というのが信州を祝う意味もあり、縁起物として古くから栽培されてきました。
ある資料では、江戸時代から続く古典園芸植物と紹介されており、ミチノクフクジュソウとかけ合わせた「福寿海」など、緋色や緑色の花をつけるものなど多数の品種があるそうです。

 

草丈は15~30㎝。やや太めで紫褐色の茎が直立します。フクジュソウの茎は中実(ちゅうじつ)と解説されることがあり、茎の中身が詰まった断面をしており、ミチノクフクジュソウとの見分け方との事ですが・・・実際の観察時には断面を見るためにナイフを入れないようにして下さい。
葉は長めの葉柄を持ち、3~4回羽状複葉で細裂しています。葉裏には若干の毛が確認できるものもありますが、無毛のものもあります。

 

花期は早春の3~4月。花弁は20~30枚と多く、鮮やかな光沢があるのが特徴、資料によっては金属光沢という表現もありました。
直径3~4㎝ほどの小さな花を枝先に1~数個、上向きに咲かせます。
下の写真で若干判るかもしれませんが、花の一番外側に紫緑色の萼片が5~10枚あり、花弁より少し長い印象です(花弁と同じ長さという資料もあり)。

 

フクジュソウは、日当たりの良い時は良く開き、日当たりの悪い時は花を閉じ、また「向日性(こうじつせい)」を持つ花の1つで、花、葉、茎が太陽光の動きに合わせて動きます。
パラボラアンテナのような形状の花は、太陽の熱を効率よく集めることができ、花弁内は外気温より温かくなります。そうすることで花弁に集まった虫へ熱と花粉を与えます(ホットカーペットのような役割)。その結果、虫も体温があがり、受粉活動を活発に行うことができる仕組みです。
ある資料には、蜜腺を持たないフクジュソウが受粉活動を行う虫をおびき寄せるために発達した仕組みであると紹介されていました。

 

以前、「フクジュソウの向日性」について、社内で説明する機会があったのですが、ある社員から「自宅にある福寿草が見るタイミングによって向いている方向が違うことが疑問だった点が解消された」と言ってくれ、説明した甲斐がありました。それにしても、自宅で毎年フクジュソウを観察できるのは羨ましいい限りです。

 

フクジュソウについては、エダウチフクジュソウの事を指しますが、下記のフクジュソウ4種の総称である場合もあります。
違いに関しては、非常に難しく、実際に見分けるのは・・・簡単にご紹介します。

①フクジュソウ(エダウチフクジュソウ):自生地が北海道から九州。茎が中実。
②キタミフクジュソウ:自生地が北海道東部のみ。多毛。茎が中実。花は一株1輪。
③ミチノクフクジュソウ:自生地が東北~九州。茎が中空。萼が花弁の半分程度。
④シコクフクジュソウ:自生地が四国及び九州の一部。全草無毛。茎が中空。

 

今回掲載した2枚の写真は長野県の「姫川源流自然探勝園」にて観察したものです。当日は天気が悪く、花の開きがイマイチでしたが、それでも鮮やかな黄色いフクジュソウ(福寿草)をみつけた際には、雨など気にせず観察を楽しむことができました。

花弁の外側に暗紫色の萼片が確認できます。蟻ではありませんよ。

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
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※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
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※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)

現在、西遊通信の作成をすすめており、月末には発表予定です。私もいくつかツアーを造成させていただきました。是非ご検討ください。

屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング 
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅 
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
※秋の尾瀬、奥日光、谷川連峰の撮影ツアーも造成中

 

本日は「ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)」をご紹介します。

 

ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)※根元に2輪目の蕾があります

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone flaccida
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

ニリンソウ(二輪草)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。以前ご紹介したキクザキイチゲアズマイチゲと同様、イチリンソウ属の仲間です。
また、カタクリやフクジュソウと合わせて、スプリング・エフェメラルと称される花の代表的な花として紹介される花の1つです。

 

日本では北海道、本州、四国、九州と幅広く分布し、海外ではサハリンや朝鮮半島、中国の北部や東北地方にも分布します。湿潤な山地や林床などに自生し、群生して見られることも多い花です。

 

草丈は15~30㎝で直立。葉に関しては、3全裂の根生葉を持ち、茎葉は茎頂に3枚輪生しており、こちらも3深裂。
ニリンソウの葉の特徴の1つが「葉柄を持たないこと」です。下の写真でも判るように、茎を包み込むように生えているのが確認できます。
もう1つの特徴が、根生葉、茎葉ともに「葉に白い斑をもつこと」です。
イチリンソウ(一輪草)の葉と形状は違いますが、この2点が見分け方のポイントです。

 

葉柄を持たないニリンソウの葉 ※2つの蕾があり、花の数が計3つ

花期は4~5月。ニリンソウ(二輪草)の和名の由来は、1つの茎から2輪の花を咲かせることに由来しますが、実際は茎頂に花茎を2~3つ伸ばし、花茎の先端に直径2~3cmほどの白い花を咲かせます。まれに1輪のもの、3輪のものもあり、資料によっては4輪咲かせるものもあるとのことで、ここがイチリンソウとニリンソウを見分けるややこしい点です。じつは、サンリンソウというのもあるのですよ。

 

花柄の頂に白い花を咲かせるニリンソウには、花弁はなく、花弁のように見える部分は「花弁状の萼片」で、通常5~7枚です。
「花弁状の萼片」である点は、同じイチリンソウ属のキクザキイチゲやアズマイチゲと同様です。

 

ニリンソウの仲間には花弁状の萼片の部分が緑色のものもあり「ミドリニリンソウ(Anemone flaccida f. viridis)」があり、さらにピンク色に染まるものは「ウスベニニリンソウ(Anemone flaccida f. rosea)」と呼ばれます。
ウスベニニリンソウは観察したことはありますが、ミドリニリンソウは観察したことが無く、是非一度観察したい花の1つです。5月に信州に訪れた際、隅々まで探しましたが、見つかりませんでした。

 

<イチリンソウとニリンソウの見分け方>
①花茎につける花の数
イチリンソウは主に1つ、ニリンソウは1~4つ
②花茎につく葉柄の有無
イチリンソウは葉柄を持ち、ニリンソウには葉柄はなく襟巻の様に葉柄を包む
ニリンソウの葉には白い斑がある
③花の大きさ
イチリンソウは直径4㎝ほど、ニリンソウは2~3cm

 

いつかイチリンソウ(一輪草)の花もご紹介しますので、お楽しみに。

 

花弁状の萼片が少しピンク色に染まるニリンソウ

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
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アズマイチゲ(東一華:Anemone raddeana)

2021年の桜の開花は、観測史上最も早い開花日を更新する地域が多かった中、早くも梅雨入りのニュースが報道され始めました。私の住む近畿地方も、1951年の統計開始以来最も早い梅雨入りとなったそうです。早く梅雨入りしても良いですが、その分早く湿気の多い梅雨が終わってほしいものです。

 

前回に引き続き、この春に観察した花々を、この日は「アズマイチゲ(東一華:Anemone raddeana)」をご紹介します。前回ご紹介したキクザキイチゲ(菊咲一華)と見た目にもよく似ており、見分けが非常に難しい花ですが、違いなどを含めてご紹介します。

 

アズマイチゲ(東一華:Anemone raddeana):花弁状の基部が紫色

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone raddeana
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

アズマイチゲ(東一華)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、春先に花を咲かせ、夏には地上部は枯れてなくなり、翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種です。

 

アズマイチゲ(東一華)は、北海道から本州、四国、九州に分布し、山麓の日当たりの良い場所や落葉樹林の林床などに自生します。海外では、サハリンなどにも分布します。キクザキイチゲ(近畿以北~北海道)に比べ、分布域の広さに違いがあります。

 

「東一華」という和名の由来は、キクザキイチゲ(菊咲一華)と同様、茎頂に1輪の花をつけることに由来しますが、東日本で発見されたことから「東(あずま)」という名が付いたそうですが、その後に西日本でも発見されたそうです。

 

草丈は15~30cm、長さ2~3cmほどの茎葉をつけ、3輪生し3出複葉で小葉の先端には若干の鋸歯があります。葉も若干垂れ下がっているのも特徴です。
キクザキイチゲ(菊咲一華)に比べ、アズマイチゲ(東一華)の葉は切れ込みは浅く(非常に浅い)、楕円形に近い印象です。
根生葉も3出複葉ですが、小葉は茎葉に比べて深く切れ込んでいるため、この点がキクザキイチゲ(菊咲一華)と混同してしまう要因なのかもしれません。

 

花期は3~5月。茎頂に3~4cmほどの花を一輪咲かせ、キクザキイチゲ(菊咲一華)と同様に花弁に見える部分は「花弁上の萼片」で8~13枚です。花の色は白、キクザキイチゲ(菊咲一華)のように色に多様性はありません。
アズマイチゲ(東一華)を見分けるポイントとして花弁上の萼片の基部(花の中心部分)と裏面が少し紫色を帯びている点です。上の写真では少し判りづらいですが、よく見ると雄しべと雌しべが密集している基部の部分に紫色が少し確認できます。

 

アズマイチゲ(東一華)の花茎には毛はなく、花茎には短い軟毛があるのがキクザキイチゲ(菊咲一華)と良く紹介されます。
色々と調べていると、アズマイチゲ(東一華)にも開花前には軟毛があり、開花する頃にはなくなっているそうです。時折、残っていたりすることもあり、その場合は軟毛が長いとアズマイチゲ(東一華)、短いとキクザキイチゲ(菊咲一華)となるようです。

 

2種を見分けるポイントをまとめると、以下のとおりです。
<葉の違い>
◇「アズマイチゲ(東一華)」の葉は、垂れ下がり、切れ込みが非常に浅く楕円形に近い印象
◇「キクザキイチゲ(菊咲一華)」の葉は、横に広がり羽状に深裂し、先が尖っている

 

<花弁状の萼片の違い>
◇アズマイチゲ(東一華)は白色、白以外(紫、淡紫)はキクザキイチゲ(菊咲一華)
→ただ、キクザキイチゲ(菊咲一華)には白花もある
◇アズマイチゲ(東一華)は、花弁上の萼片の基部が紫色…これが最大の特徴。

 

<花茎の軟毛の有無>
◇アズマイチゲ(東一華)は軟毛はなく、キクザキイチゲ(菊咲一華)は短い軟毛がある
→アズマイチゲ(東一華)にも長い軟毛が残っているものもある
・軟毛が長いものがアズマイチゲ(東一華)
・軟毛が短いものがキクザキイチゲ(菊咲一華)

 

もう少し細かな見分け方もあるようですが、特に葉の違いと花弁状の萼片の基部が見分け方のコツではないでしょうか。皆さんも以前に観察・撮影したもので見比べてみてください。

 

アズマイチゲ(東一華):花茎に軟毛がなく、葉も垂れ下がる
キクザキイチゲ(菊咲一華):葉に切れ込みがあり、花茎に毛が確認できます

 

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