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トロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)

しばらく更新できず、申し訳ありませんでした。
2023年もまもなく終わりが近づく中、「もうやらないの?待ってるのに!」とお客様からもご意見をいただき、久々に更新させていただきます。

 

この1年、私の中でより一層強い想いが生まれた花が1つ、長年の念願が叶い出会うことができた花が1つありました。
本日は、より一層強い想いが生まれた花『トロリウス・リラキヌス』(Trollius lilacinus)をご紹介します。

 

トロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)

被子植物 双子葉類
学名:Trollius lilacinus
旧学名:ヘゲモネ・リラキナ(Hegemone lilacina)
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:キンバイソウ属(Trollius)

 

いつだったか、とある雑誌で今回ご紹介する『トロリウス・リラキヌス』(Trollius lilacinus)が群生している写真を見た瞬間、心を奪われたことを覚えています。その後、添乗員としてキルギスへ訪れた際に現地フラワーガイドに伺ったところ「6月にキルギスでも観察できるよ」と教えてくれ、「真っ白なトロリウス・リラキヌスを観察するツアーを作りたい」という想いが芽生えました。
それから数年が経ち、コロナウィルスによる悪夢の3年を経て、2023年に弊社ツアー『初夏のキルギスへ 純白のトロリウス・リラキヌスをもとめて』を発表させていただきました。

 

トロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)は、キンポウゲ科キンバイソウ属に属します。
キンポウゲは漢字で書くと「金鳳花」、キンバイソウは漢字で書くと「金梅草」。読んで字の如く、花の色は『金=黄色』をイメージされる方が圧倒的多数かと思いますが、トロリウス・リラキヌスは純白の花を咲かせます。

 

シベリア西部~キルギス、カザフスタンなど、北方寒冷域に分布し、日本では観察できない花の1つです。
草丈は低いもので10cm未満、高いもので30cmほどになり、葉は基部まで裂け、ロゼット状に小さな葉を広げます。
花弁のような純白の部分は花弁を包み込む萼片で15~20枚ほどの萼片を付け、花全体の大きさは直径5cmほどです。純白の萼片の中央部分に確認できる黄色い部分が花弁となります。
弊社ツアーでは「純白のトロリウス・リラキヌス」と紹介しているとおり、純白の花弁が印象的ですが、同種には薄紫色やバラ色の種もあります。

 

この花をさらに印象深いものとする要因が『光の加減による色合いの変化』です。
萼片の根元がほんの少し青白いことで、観察した日の天気や光の加減で若干青白い花に見えることが特徴です。
『Trollius lilacinus』で画像検索すると、時折青白い印象の写真が検索できますので、是非ご覧になってください。

 

ここまでご紹介した『トロリウス・リラキヌス』ですが、実は私自身観察したことがありません。
2023年にツアーを発表し、最初のツアーへ添乗するために意気揚々と準備を進めていたのですが、急遽別ツアーの添乗に行くこととなり観察することができていません。
2024年は是非とも『純白のトロリウス・リラキヌス』に出会いたいものです。

 

<トロリウス・リラキヌスに出会えるツアー>
初夏のキルギスへ 純白のトロリウス・リラキヌスをもとめて
※今シーズンも多くのお問い合わせをいただいております。お問い合わせはお早めに!

 

キルギスに咲くトロリウス・リラキヌス(Trollius lilacinus)
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コドノプシス・クレマティデア(Codonopsis clematidea)

先日購入した旭山桜が日に日に花の数が増えていき、嫁さんとのんびりコーヒーを飲みながら鑑賞を楽しんでいます。来週あたりには大阪城にでも花見に出掛けようと計画中です。

前回に引き続き、高山植物の宝庫である中央アジア・キルギスで観察した「コドノプシス・クレマティデア(Codonopsis clematidea)」をご紹介します。

コドノプシス・クレマティデア(Codonopsis clematidea)①

被子植物 双子葉類
学名:コドノプシス・クレマティデア(Codonopsis clematidea)
科名:キキョウ科(Campanulaceae) 属名:ツルニンジン属(Codonopsis)

 

キキョウ科・ツルニンジン属の花は日本、中国、ロシア極東、カザフスタン、インド亜大陸、イラン、インドシナ、インドネシアなどを含む東アジア、南アジア、中央アジア、東南アジアに広く分布しています。

 

コドノプシス・クレマティデア(Codonopsis clematidea)は、中央アジア周辺からインド・ヒマーチャル地方、チベット西部などの亜高山帯の草原で観察できる多年草、花期は7~9月です。

 

乾燥地帯の亜高山帯の低木疎林や灌漑された草地に多く、葉は大きく光沢が若干見られ、長さは2~3㎝ほどです。
花冠はツルニンジン属らしいふくらみのある釣鐘型で、長さは2~3㎝ほどの可愛い花を咲かせます。花茎は上部で分枝し、高さは30cmほどから60cmまでに成長するものもあります。

 

私がこのコドノプシス・クレマティデアを初めて観察したのが、キルギスでも花の谷と称されるカルカラ谷でした。それまでに同ツアー中に幾度もツルニンジン属の花を観察していたので通り過ぎそうになりましたが、足を止めて釣鐘型の花の内部を覗き込んでみると、その色合いに驚いたのを今でもハッキリと覚えています。
淡い薄紫の花弁の内側に濃い紫色の縞模様のような色合い、また雄しべの奥には鮮やかなオレンジ色が確認でき、一気に心を奪われた花でした。
ツルニンジン属の花らしく釣鐘型のため、下向きに咲く花でしたが、カルカラ谷の草地で懸命に腹ばいになって撮影したのが最初の写真です。
キルギスの青空にも生え、我ながらキレイに撮影できたと思っております。

コドノプシス・クレマティデア(Codonopsis clematidea)②
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シュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)

日本各地で桜の開花宣言を伝えるニュースが聞かれるようになりましたが、今年の桜の開花・満開は例年より早く、東京からスタートした桜前線でしたが、満開のトップも東京で連休明けの23日の予想だそうです。
先週末、嫁さんと出掛けた際に旭山桜という品種の桜の鉢植えの桜を購入しました。まだ花は開いていませんが、今年は我が家で花見ができるかと思うと、これからが楽しみです。
※ブログ投稿の翌日に小さな八重咲きの桜が咲きました!

 

前回に引き続き、中央アジアの花である「シュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)」をご紹介します。

シュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)

被子植物 双子葉類
学名:シュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)
科名:キク科(Asteraceae) 属名:シュマルハウゼニア属(Schmalhausenia)

 

シュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)は、一見するとアザミのように見える花ですが、キク科の顕花植物のうち、アザミ亜科(Carduoideae)のシュマルハウゼニア属(Schmalhausenia)に属する中央アジア原産の一種です。

聞きなれないシュマルハウゼニア属(Schmalhausenia)という属名は、ドイツ系ロシア人の植物学者、古植物学者のヨハネス・テオドール・シュマルハウゼン(Johannes Theodor Schmalhausen)に献名されているそうです。

 

綿毛のような毛に覆われ、基部から太い茎が直立しており、高さは約30cmにもおよびます。葉は白がかった緑色で、葉も毛に覆われています。一つ一つ葉は先細りした楕円形をしており、少し硬さを感じ、アザミらしい葉をしています。枝から棘も見られますので、観察の際は十分お気を付けください。

茎が伸び始める前のシュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)

頭頂部に直径2~4cmほどの淡い紫の花を咲かせ、ふんわりと膨らんだ綿毛のような頭頂部に複数(10個近く咲かせるものも観察しました)咲かせているのがとても印象的な咲き方です。開花時期は7~9月です。

現地のフラワーガイドさんの説明では「5年程生きたのち花を咲かせて枯れるが、その際に綿帽子が飛び、新たな場所で芽を出す」ということでした。

 

私がこの花を初めて観察したのはキルギスへのツアーへ同行させていただいた時でした。ソン・クル湖周辺のクルマク峠周辺を走行していた際、車道脇の緩やかな傾斜、草地に突然姿を現したシュマルハウセニア・ニュドランスを観たときは「単なるアザミかな?」と思いましたが、バスを降りて観察を始めるとその形状、花の咲かせ方など、ゆっくり観察していると、どんどんその魅力に引き込まれていったことを今でも覚えています。

 

シュマルハウセニア・ニュドランスの群生は本当に見事なものです。

7月にシュマルハウセニア・ニュドランスの花が咲き始めます。キルギスは高山植物の宝庫でその他にもたくさんの花が開花時期を迎えます。

是非シュマルハウセニア・ニュドランスの群生を求めて、キルギスへ訪れてみてください。

シュマルハウセニア・ニュドランス(Schmalhausenia nidulans)の群生

 

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プルサチラ・カンパネルラ(Pulsatilla campanella)

引っ越しをして早一年。この時期には近所に咲くコブシの花が1つの楽しみでした。
週末に嫁さんと近所を散歩していた時、近所の学校の敷地内から歩道に乗り上げるように咲くハナモクレンの花を見つけました。
思わず足を止めて観察をしながら、新たな春の楽しみを1つ見つけたことに喜びを感じる週末でした。

 

本日は、中央アジアのキルギス共和国で観察したオキナグサの一種である「プルサチラ・カンパネルラ(Pulsatilla campanella)」をご紹介します。

プルサチラ・カンパネルラ(Pulsatilla campanella)

被子植物 双子葉類
学名:プルサチラ・カンパネルラ(Pulsatilla campanella)
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae) 属名:オキナグサ属(Pulsatilla)

 

プルサチラ・カンパネルラ(Pulsatilla campanella)はアルタイ山脈からパミール山脈に分布し、下向きにベル状の花を咲かせます。
属名の「Pulsatilla(パルサティラ)」は、花の形から「鐘」に例えられ、ラテン語の「pulso(打つ、鳴る)」が語源と言われています。

 

多年草で直立または斜上する太い根茎を持ち、根茎から根出葉を束生させます。
茎につく葉は3枚が輪生し、若い時の葉は長い白毛で被われています。
花茎の先に1つの花をつけ、花弁状の萼片は5~12枚あり、外面に長い白毛が生えています。花弁は無く、おしべが棍棒状に変形した仮雄蕊(かゆうずい:雌雄異花植物の雌花に見られる)が蜜を分泌するそうです。
キンポウゲ科なので、花後に花柱の長い白毛がさらに伸長し、羽毛状になります。

花柱の長い白毛がさらに伸長し、羽毛状になる

オキナグサ属の花は、北半球の暖帯以北に広く分布し、約45種が知られています。日本ではオキナグサ(Pulsatilla cernua)、ツクモグサ(Pulsatilla nipponica)の2種が分布します。

 

私がプルサチラ・カンパネルラを観察したのが、キルギスの名峰レーニン峰のベースキャンプ周辺でのんびりハイキングを楽しんでいる時でした。
レーニン峰の展望を楽しむはずのハイキングでしたが、このプルサチラ・カンパネルラをはじめ、数々の高山植物が観察することができ、レーニン峰の展望はそっちのけで高山植物の観察を楽しんでいました。

 

キルギス共和国は高山植物の宝庫です。特に7月は高山植物の観察のベストシーズンです。まだ見ぬ素晴らしい高山植物を求めて、是非キルギス共和国を訪れてみてください。

プルサチラ・カンパネルラ(Pulsatilla campanella)の穂