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本日は大型のセリ科植物の「エゾニュウ(蝦夷ニュウ:Angelica ursina)」をご紹介します。
被子植物 双子葉類
学名:Papaver fauriei
科名:セリ科(Apiaceae)
属名:シシウド属(Angelica)
高山植物を観察していると一際大きな存在感を放つのがセリ科の植物です。
セリ科の植物を見つけた際に「あれはセリ科の花」「ウドの仲間」と認識されている方も多いのではないでしょうか。それだけ見分けが難しい植物でもあり、私も自身がなく前述のように説明してしまうことが多い植物です。
「エゾニュウ(蝦夷ニュウ)」はセリ科シシウド属で、北海道の沿岸部の原生花園などで観察する機会が多いですが、国内では北海道以外にも本州の中部地方以北に、海外では千島列島、サハリン、カムチャッカ半島に分布し、沿岸部の草地から山地と幅広く自生します。
草丈は1.5m~2m、大きいので3mにも達するものもあり、太い赤みを帯びた茎が直立します。この赤みを帯びた太い茎は中空で直径10㎝にも及ぶものもあるそうです。
葉は比較的大型、二回三出複葉で小葉は長楕円形です。
- 複葉とは、葉身(葉の平たい部分)が小葉と呼ばれる小さな部分に分かれている葉のことで、別々の小さな葉の集まりのように見えるものも、実は全てを合わせて1枚の葉と考えます。
- 複葉の中にもいくつか種類があり、中央の1本の軸の左右に小葉が並んでいるものを「羽状複葉」、羽状複葉が集まって全体としてさらに大きな羽状複葉を構成している場合、複葉の回数に合わせて「ニ回羽状複葉」、 「三回羽状複葉」と言います。
茎頂に大きな蕾をつけ、蕾を覆う苞は深い皺がはいり、少々薄気味悪い印象を与えます。この苞の部分は開花直後に剝がれ落ちてしまいます。
※エゾニュウの蕾の状態の写真はありませんでしたが、同じセリ科の植物の蕾の写真を見つけました(サハリンで撮影)ので、イメージとして掲載しておきます。
花期は7~8月。複散形花序(花軸から放射状に柄を伸ばし、その先に散形花序をつける)で、白色(クリーム色)の小さな花を多数つけます。
エゾニュウの大花序は50個近く柄を伸ばし、その先につく小花序は30~40個ほどの柄を放射状に出し球形となります。その姿は、まるで打ち上げ花火が大きく広がったようにも見えます。
それぞれの花はルーペがないと見えないくらいの大きさですが、花弁が4~5枚、その中央に長い雄しべが伸びます。ある資料に「雄しべがにゅーっと伸びる」とあり、可愛らしい表現で、エゾニュウの説明にピッタリな表現でした。
エゾニュウは、秋田県では「ニョウサク」「サク」「ニオ」などと呼ばれ、塩蔵して冬に食べる越冬山菜の代表として紹介されています。
また、アイヌ語では「シウキナ(若い草)」と呼ばれ、ある資料にアクが強くアイヌでは若い茎の皮を剥いて生のまま『エゾニュウ甘くなれ』とおまじないをかけながら食べていた地域もあったと紹介されていました。
見分けが非常に難しいセリ科の植物ですが、また別の機会にセリ科の植物をご紹介したいと思います。まずは見分け方から勉強しないといけませんが・・・。
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