先日ネットニュースで福岡県八女市にある樹齢600年を超えた国の天然記念物「黒木の大藤」を観賞する『八女黒木大藤まつり』がコロナウィルスの影響で中止、悲しいことに藤の花が刈り取られてしまったということでした。
外出自粛のゴールデンウィークも終盤となりました。そんな中、非常事態宣言が5月末まで延長されました。近所の花や、世界各地での高山植物の鑑賞などを楽しむことのできる日が1日でも早く訪れることを願いながら、頑張って乗り越えましょう。
本日も前回に引き続き、ギアナ高地の食虫植物の1つ「ドロセラ・ロライマエ(Dorosera roraimae)」をご紹介します。
被子植物 双子葉類
学名:ドロセラ・ロライマエ(Dorosera roraimae)
和名:モウセンゴケ(毛氈苔)
科名:モウセンゴケ科(Droseraceae) 属名:モウセンゴケ属(Drosera)
ドロセラ・ロライマエ(Dorosera roraimae)は、ブラジル、ガイアナ、ベネズエラ原産、ロライマエという学名でお気づきの方も多いかと思いますが、ギアナ高地固有のモウセンゴケです。
今回掲載させていただく写真は、2018年11月にギアナ高地のチマンタ山塊(ベネスエラ)で観察・撮影をしたものです。
1~2㎝ほどの葉柄(ようへい:葉身と茎を接続している小さな柄状の部分)がロゼット状に伸び、先端に腺毛(せんもう:先が球状になった毛のこと)のある丸い捕獲葉をつけています。腺毛からはネバネバとした酸性の粘液を分泌し、小昆虫を捕まえ消化吸収し、栄養源として育ちます。
ドロセラ・ロライマエの茎の高さは5~10㎝弱と短く、他の地域の種と大きな差はありません。
ただ、他の地域の種と違い、古くなった(枯れた)捕獲葉が下向きに垂れた後に株立ちした状態になり、その株立ちとなった部分から新たなドロセラ・ロライマエが自生し始めるのが特徴です。
古い株立ちの上に自生するドロセラ・ロライマエを観察すると、茎丈が非常に高い種であると勘違いしてしまいそうになります。現地で、株立ちの状態のドロセラ・ロライマエを観察した際、お客様と「高床式モウセンゴケ」と名付けたのを覚えています。
モウセンゴケの花といってもあまりイメージできない方も多いと思います。私もモウセンゴケというものを初めて観察した(立山・弥陀ヶ原でした)際には、捕獲葉自体が花と思っていました。
ドロセラ・ロライマエは、茎の根元近くで直立または湾曲した長さが8〜20cmの軸の先に白またはピンク色の小さな花を咲かせます。
私は蕾の状態までしか観察したことがなく、小さな花の開いたドロセラ・ロライマをいつの日か観察したいものです。