節分も終わり(西南西を向いて恵方巻は食べましたか?)、まもなく春を迎えようとする中、寒い日が続きますが、体調を崩されずにお過ごしでしょうか
突然ですが、皆さんは『ブルーポピー』を観察したことはありますか?
ブルーポピーと言っても、多種多様。
ブルーポピーと呼ばれる種は、俗にケシ科メコノプシス属に属するもので西ヨーロッパ、中央アジア、ヒマラヤの高山地帯(パキスタン、インド北部、ネパール、ブータン、中国・チベット自治区)、中国の青海省、甘粛省、雲南省と隔離分布し、50種近くの草本が確認されています。
メコノプシス属は花弁が青色の種だけではなく、青紫色、紫紅色、紅色(淡~暗)、白色、黄色など多彩で、気象条件などで色の変化も多いのが特徴です。また、近縁種と交雑しやすいと言われ、同定すること、個体ごとに花名を見極めるのは困難と言われています。実際、辞書を片手に観察しても混乱することがあります。
本日は、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州で観察できるブルーポピー『メコノプシス・アクレアタ』(Meconopsis aculeata)をご紹介します。
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被子植物 双子葉類
学名:メコノプシス・アクレアタ(Meconopsis aculeata Royle)
科名:ケシ科(Papaveraceae)
属名:メコノプシス属(Meconopsis)
メコノプシス・アクレアタ(Meconopsis aculeata)は、西ヒマラヤ~チベット、インドでは北部のカシミール、ウッタラーカンド州の東側のクマーウーン、ヒマーチャル・プラデーシュ州などに分布します。
今回は、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州を訪れるツアーで観察したものをもとに解説します。
直立して伸びる花茎は20~40cmほどで、高山帯の岩場や岩の割れ目、岩礫質の草地などで自生し、花茎全体に赤褐色の毛が確認でき、よく観察すると刺毛であることが判ります。
私も観察したことはないですが、資料には「地下にゴボウ状の根が長く伸びる」とあります。観てみたい気もしますが、現場でブルーポピーを掘り起こす添乗員、ガイドが居たら・・・想像しただけでも恐ろしいです。
基部には、長さが5~10cmほどの柄を付けた長円形の葉をつけ、葉の長さは5cmほどで羽根状に深裂し、裂片には丸みが確認できます。基部の葉に比べて上部の葉は小さい印象で、基部の葉とは違い無柄であるのも確認できます。また、花茎と同様、葉全体にも赤褐色の刺毛が確認できます。
花期は自生エリアによって前後はありますが、6~9月と言われ、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州では7月に観察できました。
1つの花茎に5~10個ほどの花を咲かせ、花弁は丸に近い卵型の花弁を4枚付け、色は淡青色で光の加減で透きとおった色合いが何とも印象的なものです。
ただ、このメコノプシス・アクレアタの花弁の色は淡青色だけではなく、淡紫紅色の個体もあります。写真(下の写真の方が判りやすいかも)をご覧いただくと、ブルーポピーらしい淡青色の一部分に淡紫紅色の色合いが確認できます。観察する際「ブルーじゃないから残念」と言わず、色合いの違いを楽しんでください。
メコノプシス属のすべての種がそうではありませんが、このメコノプシス・アクレアタは一回結実性(1世代に1回しか開花・結実しないで結実後は自然に枯死してしまう植物のこと)です。
花の中央部に山吹色の雄しべが密集しているのが確認できますが(山吹色は雄しべの葯の部分)、その中央部分に白色の花柱(雌しべ)が確認できます。花の周辺にイガグリのように見える子房(雌しべの下部の膨らんだ部分)も確認できます。
次回ブルーポピーを観察する際に是非注目してほしいのが、雄しべ葯の部分を支える花糸の部分です。ご存じの方もいるかもしれませんが、この花糸も「青色」なのです。花弁に比べて少し濃い青色ですが、ブルーポピーというのは、花弁だけが蒼い訳ではないのです。私もこのことを現地フラワーガイド(四姑娘山麓の日隆のガイドだった記憶が・・・)に教えてもらったときは衝撃的でした。
今回は、インドのヒマーチャル・プラデーシュ州で観察できるメコノプシス・アクレアタ(Meconopsis aculeata Royle)をご紹介しましたが、ブルーポピーは奥が深いもの。またいつか別の種のブルーポピーをご紹介したいと思います。
<メコノプシス・アクレアタに出会えるツアー>
花の西部ヒマーチャル 最奥のパンギ渓谷を訪ねて
※多く高山植物の観察ができる7月限定ツアーで、催行間近(2月現在)です。
メコノプシス・アクレアタをもとめて西部ヒマーチャルへ出掛けてみませんか?
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