先日、キキョウ科の「バルバタ・ホタルブクロ(Campanula barbata)」をご紹介しましたが、本日は同じキキョウ科でも日本には自生していないタマシャジン属の「タマシャジン(Phyteuma orbiculare)」をご紹介します。
被子植物 双子葉類 時期:6~8月
学名:Phyteuma orbiculare
和名:タマシャジン 英名:Round-Headed Rampion
科名:キキョウ科(Campanulacees) 属名:タマシャジン属(Phyteuma)
タマシャジンはヨーロッパ・アルプスでは名花として紹介されていることが多く、花の美しさ、花の形状のユニークさもあり、一度観察したら思わず夢中になってしまう花の1つです。私もこのタマシャジンを初めて観察したときは、驚きとともに撮影に夢中になってしまいました。
ヨーロッパ・アルプスをはじめ、ピレネー山脈、アペニン山脈(イタリア半島を縦貫する山脈)、バルカン半島など、広く分布する多年草で、標高2,000~2,500mの主に石灰岩質の草地や岩場などに生息します。
草丈は20~50㎝で、根元の葉も、茎から出る葉も幅広い剣状をしており、茎頂にいくつもの小花が集まり球状となって咲き、中には長く伸びるものもあります。
このタマシャジンと出会えた際、注目すべきはその小花の部分です。
小花は、暗紫色のカーブした管状花が15~20個集まっており、開花しても完全に開くことはなく、管状花が先端で裂開し、そこから雄しべ、雌しべの順で飛び出しています。そして管の根元だけが開き、雌しべの基部だけが外から観察できるという、非常に変わった咲き方をしています。
日本では、近縁種のシデシャジン(キキョウ科シデシャジン属)がありますが(北アルプスで観察した記憶があります)、花びらの先端は合着しないそうです。
花全体が、細かい糸状の花びらが複雑なカーブを描き、繊細で美しい花のように見えるため、とても印象に残る花となります。ヨーロッパ・アルプスでタマシャジンに出会った際には、花の全体像だけでなく、その繊細な形状にも是非注目してみてください。
■オバトゥム・タマシャジン(Phyteuma ovatum)
同じタマシャジン属の花の中では、草丈40~100㎝と比較的大型の種です。
集まった小花が偏平に広がるタマシャジン(Phyteuma orbiculare)とは異なり、高く伸びた茎頂に咲く黒くて大きな花の形状は少し衝撃的な印象です。
掲載した写真は下から徐々に管状花が広がり始めている状態のものです。
オバトゥム・タマシャジンと似たような形状をしたもので、スピカトゥム・タマシャジン(Phyteuma spicatum)という種もあり、これはオバトゥム・タマシャジンと似たような形状ですが、黄白色~緑白色をしており、他のタマシャジン属とは違った魅力がある花です。
※写真がなく、また観察できたときに掲載します。
<タマシャジン属の花々に出会えるツアー>
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