いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開幕しました。連日猛暑日が続く中、日本選手団、世界中から来日された選手団の方々には、猛暑に負けず、それ以上に熱い戦いをみせて欲しいと思います。
本日も尾瀬で観察したコケイラン(小蕙蘭:Oreorchis patens )をご紹介します。
被子植物 単子葉類
学名:Oreorchis patens
別名:ササエビネ(笹海老根)
科名:ラン科(Orchidaceae)
属名:コケイラン属(Oreorchis)
コケイラン(小蕙蘭)は、北海道から九州に広く分布し、海外では千島列島、カムチャッカ半島、サハリン、朝鮮半島、中国大陸にも分布します。
山地やブナ帯などの林内のやや湿った場所に自生します。
草丈は20~30cmで直立し、黄緑色の花柄に比べて色鮮やかな緑色をしており、花の大きさや草丈のわりに茎が少し太い印象です。
葉は通常2枚つけ、長さ20~30cmで線状披針形をしていますが、他の植物に埋もれて咲いていることが多いため、なかなか確認することができません。
花期は5~6月。直立した茎から短く黄緑色の花柄を伸ばし、黄褐色の小さな花を多数(10~40個という資料もあります)つけ、茎の下部から上部へ向けて順に花を咲かせます。
少し粗い写真で申し訳ありませんが、花の部分をアップにした上の写真をご覧いただくと花の形状が確認いただけるかと思います。
よく見ると花の中心から5枚の花弁上のものが伸びているのが判ります。
左右に伸びる下部の披針形の2枚が『側萼片』、中央から真上に伸びる披針形の1枚が『背萼片』となります。その間に挟まれるように斜め上に伸びて赤紫色の細い条が入っているのが『側花弁』となります。
コケイランの花で最も印象的な部分は、花の中央から真下に伸びる真っ白で赤紫色の斑点が付いている倒卵形の『唇弁』です。
少し太めの唇弁が1枚と見えなくもないですが、実は基部で3裂しており、中央の唇弁『中裂片』が大きく目立っているのです。よく見ると、唇弁の基部から白く細い『側裂片』が2枚伸びているのが確認できます。
個体によっては、唇弁に赤紫色の斑点が全くつかないものもあるそうです。
唇弁の上部にやや太めで長く伸びて先端が黄色くなっているものが確認できますが、これは『蕊柱(ずいちゅう)』と呼ばれる部分で雄しべと雌しべが融合(合着)したもので、花粉がたまっているために先端が黄色くなっています。
萼片と側花弁は披針形で長さが10mm弱、一番目立つ唇弁の中裂片は5mmほどと1つ1つの花は非常に小さなものですが、非常に複雑な構造をしている花です。
上の写真で判っていただけましたでしょうか。
今回は尾瀬で観察しましたが上記にも記載したとおり、他の植物に埋もれて咲いており、また唇弁は非常に印象的な色合いをしていますが、全体像としては周りと同化してしまうような色合いをしているため、危うく見逃してしまうほどでした。
林間でフラワーハイキングを楽しむ際には、コケイランの花を見逃さないようにご注意ください。
<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プラン「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。
<おすすめ!! 自然探勝を楽しむツアー>
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅
支笏湖カヌー体験、美瑛の丘やニセコ山麓で専門ガイドと共にネイチャーウォークを楽しむ5日間。
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
“岐阜の宝もの”小坂の滝、天生県立自然公園、五色ヶ原の森と名勝・上高地を専門ガイドと歩く5日間。
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
専門ガイドと共に寺社仏閣を巡り、由緒を知り、御朱印をいただく旅。また、自然美溢れる鬼無里でもガイドウォークを楽しむ5日間。