076

リシリソウ(利尻草:Zygadenus sibiricus)

ここ1ヶ月、社員一丸となって年末年始や冬シーズンの日本国内ツアーの造成に励み、私も冬の北海道で流氷ウォークやスノーシュー体験を楽しむ「冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界」や南九州の2つの半島を巡る「錦江湾に浮かぶ桜島と鹿児島の2つの半島を巡る旅」を造成させていただきました。近日中には西遊通信も皆様のお手元に届く予定ですので、是非ご検討ください。

 

本日は「リシリソウ(利尻草:Zygadenus sibiricus)」をご紹介します。

 

リシリソウ(利尻草:Zygadenus sibiricus)

 

被子植物 単子葉類
学名:Zygadenus sibiricus または Anticlea sibirica
科名:シュロソウ科(Melanthaceae)
属名:リシリソウ属(Zygadenus)

 

本日ご紹介する「リシリソウ(利尻草)」の写真は弊社ツアー「花の季節に訪れる北海道最北の旅」に同行した弊社米谷が撮影したものです。

 

北海道は高緯度に位置していることから本州の3,000メートル級の山岳に匹敵する自然環境があり、様々な高山植物の観察を楽しむことができます。そのような自然環境の北海道では、北海道の中央に位置する大雪山国立公園と並ぶ花の名所が「利尻礼文サロベツ国立公園」です。
道北エリアの離島である利尻島は利尻富士を主体とした高山植物の宝庫であり、さらに日本最北の離島である礼文島は「花の浮島」とも呼ばれ、300種もの高山植物が観察できます。それぞれの島には固有種が多いのも特徴です。

 

「リシリソウ(利尻草)」は、その名の通り「利尻島」で最初に発見されたことが名の由来です。ただ、実際は利尻島で観察するのは難しく、礼文島の方がよく観察できると言われています。実際、今回の写真も礼文島・桃岩展望台で観察したものだそうです。私も西遊旅行入社前、礼文島でも観察しました。
その他、北海道の内陸部にも分布し、海外ではシベリアから中国東北部、東アジアに分布、亜高山帯~高山帯の草地に自生します。
国内ではリシリソウは、環境省のカテゴリで絶滅危惧ⅠA類に指定されています。

 

リシリソウ(利尻草)は、以前はユリ科に属していましたが、現在はシュロソウ科(Melanthaceae)に属します。
従来の分類ではユリ科に属していましたが、最近の研究で旧来のユリ科に含まれていた属は疑系統的であることが判明し、シュロソウ属、リシリソウ属、ショウジョウバカマ属、シライトソウ属、ツクバネソウ属、エンレイソウ属はシュロソウ科へ移されました。

 

草丈は10~30cmで直立し、葉は広線形で10~20㎝ほどの長さ、ほとんどが根元につき、茎葉はごく稀に数枚つきますが、無いことの方が多いです。

 

花期は7~8月、茎の上部に直径が2cm弱の小ぶりな花を総状花序(円錐形または円柱形に並び、下から咲いていく)に10個前後を付けます。
淡黄白色(または白色)の花被片が6枚つき、花被片の内側には黄緑色の大きな斑点のような腺体が(せんたい:葉や茎の表面に見られる粒状のもので、多くは匂いを持つ物質や粘液などを分泌する)ついており、印象的な色合いとなっています。
※私が観察した際、この斑点が「ハートの形」をしていると盛り上がったのを覚えています。

 

リシリソウは、有毒成分のベラトルムアルカロイドが含まれおり、謝って口にしてしまうと呼吸困難や嘔吐などの症状が出るそうです。

 

一見するとリシリソウは地味な花ですが、上述したように花被片の表面に見られる黄緑色の斑点が非常に印象的な色合いで、同じシュロソウ科のバイケイソウの花にも似ていて、気付けば心を奪われてしまう品のある花です。

リシリソウ(利尻草:Zygadenus sibiricus)②