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グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)

先日『花咲くカナディアンロッキー・ハイキング 黄色いグレーシャー・リリーをもとめて』へ同行させていただき、残雪の影響で予定のハイキングトレイルを歩けない日もありましたが、私個人の念願だった黄色いカタクリ「グレーシャー・リリー」をはじめ、カナディアンロッキーに咲く花々を存分に楽しむことができました。

 

本日はツアータイトルにも謳い、私自身の念願だった『グレーシャー・リリー』(Erythonium grandiflorum)をご紹介します。

 

グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)

 

被子植物 単子葉類
学名:Erythonium grandiflorum
英名:グレーシャー・リリー(Yellow Glacier Lily)
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:カタクリ属(Erythronium)

 

カタクリと聞くと、日本に咲く淡い紫色の花をイメージされる方が多いと思います。観察されたことのない方は、同ブログ内の『カタクリ』をご覧ください。

 

日本で観察できる淡い紫色のカタクリ(Erythronium japonicum)は、日本(北海道~九州)、北東アジア(朝鮮半島、サハリン、千島列島)に自生する品種で、今回ご紹介する『グレーシャー・リリー』(学名:Erythonium grandiflorum)も同じユリ科カタクリ属の多年草です。

 

『グレーシャー・リリー』(学名:Erythonium grandiflorum)は、北米大陸のカナダ南西部(ブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州)、アメリカ合衆国西部(ニューメキシコ州、カリフォルニア州)に分布し、今回はカナダ・アルバータ州のカナディアンロッキーのバンフ国立公園にて観察することができました。

 

標高などによって異なりますが、一般的に花期は5~7月。日本のカタクリと同様に雪解けを迎えた林床で花が咲き始めます。

 

草丈は10~30cmで日本のカタクリよりは若干草丈は高い印象。長い茎の先端(頂部)に花をつけて前屈みのような姿は同じでした。
花弁は6枚でツアータイトルでは「黄色」と表記しましたが、実際は非常に鮮やかで「レモン色」(レモンイエロー)と表現する方がイメージに合う色合いで、6枚の花弁が外向きに大きく反り返る特徴は同じでした。

 

葉は2枚の根生葉を付け、長さは10~15cmの披針形。若干の光沢が確認できましたが、日本のカタクリのような斑模様(古い株につく模様)は確認できませんでした。実際、グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)の葉には斑模様は付かないそうです。
ただ、現場でハイキングを楽しんでいる際に『斑模様の付く黄色いカタクリ』を確認しました。
帰国後に調べてみると、同じ北米大陸に自生する黄色くカタクリには葉に斑模様をつける『アメリカ・カタクリ』(Erythronium americanum )という種類もあるそうです。

 

実際にカナディアンロッキーのバンフ国立公園で観察した斑模様を付けたものが『アメリカ・カタクリ』(Erythronium americanum)のものだったのか・・・来年以降の宿題とします。

 

その他、黄色いアツモリソウ『イエロー・レディース・スリッパー』や白いアツモリソウ『マウンテン・レディー―ス・スリッパ―』、黄色いチョウノスケソウ等々、様々な花を観察しましたが、それはまた次回のお話・・・。

 

葉に斑模様のないグレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)
葉に斑模様のつくのは『アメリカ・カタクリ』(Erythronium americanum)??
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カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)

新年あけましておめでとうございます。
2021年も日本各地、世界各地の花をご紹介させていただきます。
一日でも早く安心して旅行が満喫できる日が、各地で花々の観察が楽しめる日が訪れることを願うばかりです。

 

2021年、最初の投稿は代表的な春の花の1つである「カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)」をご紹介します。

 

カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)

 

被子植物 単子葉類
学名:Erythronium japonicum
古名:堅香子(カタカゴ)
(万葉集では、大伴家持がカタクリの花を「堅香子」と詠んでいます)
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:カタクリ属(Erythronium)

 

カタクリの花は、雪解けを迎えた落葉樹林の林床でニリンソウなどと共に真っ先に花を咲かせることから、春の花の代表格として紹介されます。
日本では、北海道から九州まで、特に中部地方以北に多く分布します。海外では、北東アジア(朝鮮半島、サハリン、千島列島)い分布します。
私もしばらくの間、カタクリの花は観察していませんが、三重県・鈴鹿山脈の藤原岳で観察したことを覚えています。
今回の写真は、弊社東京本社の堤が福島県三春にて観察したものです。

 

カタクリの鱗茎は長さ5~6㎝あり、毎年更新を続け、開花株では鱗茎は地中深くにもぐります。
カタクリの名の由来は、かつて鱗茎が栗の片割れに姿が似ていることから「片栗」と名付けられたといわれ、カタクリの鱗茎から抽出した澱粉が「片栗粉」です。

 

草丈は20~30㎝で直立しますが、花の大きさ(重さ)で前屈みのような状態のイメージです。
カタクリは淡い紫色の花弁の色合いが印象的ですが、葉の色合いも特徴的です。
葉は茎の根元に通常2枚(若い株は1枚のものも)つけ、長い柄を持ち、長楕円形で長さは6~10㎝と大きめです。
やや厚みを感、淡い緑色の葉には紫褐色のまだら模様が葉の色合いの印象を強いものにします。

 

カタクリは、種子で繁殖しますが、発芽から開花までは10年近くを要します。
花期は4~6月。茎頂に直径5㎝ほどの薄紫、淡いピンク色の花を1つ下向きに咲かせ、稀に白い花を咲かせる個体もあり、シロバナカタクリ(Erythronium japonicum f. leucanthum)と呼ばれます。
花弁は非常に細長い5㎝ほどで6枚、大きく反り返った花弁がカタクリの花の最大の特徴とも言えますが、是非注目してもらいたいのが花弁の基部です。
葉と同じく濃紫色のまだら模様(W字型と表現する資料も)があり、三重県で観察していた際、このまだら模様がハートの形に見えると盛り上がったことを覚えています。

 

カタクリの花は晴天時に朝日を浴びると開花し、夕暮れには閉じてしまいます。
また、1年のうちで地上に出ているのは春先の2ヶ月足らずで、開花の期間は2週間ほどと短い間だけとなります。その短い間に光合成をし、栄養分を鱗茎に蓄えます。その後、葉を枯らし、次の春を迎えるまで土中の鱗茎は休眠して過ごします。
カタクリの花が「春の妖精」や「スプリング・エフェメラル」と呼ばれる植物の1つと紹介される所以、エフェラルは「はかない命」という意味です。

 

様々調べていると、種子の散布に「蟻」が強く関係しているそうです。
種子にはエライオソームという蟻が好む物質が付着しているため、蟻が種子を運ぶことによって生息地を広げているそうです。
これは、スミレにも見られるため、「蟻は紫色の花が好きなのかな?」と思ってしまいました。

 

万葉集(大伴家持の一首)にも読まれていたカタクリの花、群生した風景は驚きと共に、心癒される素晴らしい風景です。

 

<おすすめ!! 春の花、カタクリが観察できるツアー>
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春をつげる雪割草を求めて 早春の佐渡島
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※春の花咲くシーズンの佐渡の山旅。絶景ロッジ・ドンデン山荘に宿泊し、佐渡の最高峰金北山を目指し、花咲く楽園・アオネバ渓谷のハイキングも楽しみます。

 

カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)②