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日本・世界に咲くフウロソウの花々

3月に入り、通勤の道中にあるコブシの花の蕾が少しずつ膨らみ始め、ようやく春の訪れを感じられる季節となりました。これからはコブシの花を始め、彩り豊かな通勤路の風景が楽しめるようになり、楽しみで仕方ありません。

 

先日までフウロソウ科の花を続けて紹介していましたが、色合いや微妙な形状の違いをご覧いただくため、本日はこれまでご紹介したフウロソウ科の花の写真を掲載させていただきます。色合いなど、多少の個体差がありますので、ご了承ください。
※花ごとの詳しい解説は、花名をクリックしてみてください。

 

被子植物 双子葉類
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)
花期:7~8月

 

■チシマフウロ(千島風露:Geranium erianthum)
チシマフウロ(千島風露)は、本州北部では亜高山帯や高山帯に分布し、北海道は海岸地帯にも分布・生育します。海外ではサハリン、千島列島、北太平洋沿岸域からカナダ北西部まで分布します。

 

■エゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yesoense var. yesoense)
エゾフウロ(蝦夷風露)は、北海道の太平洋側の海岸線沿いや原野、本州中部まで分布する日本固有種で、ハクサンフウロの基本種です。

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)
ハクサンフウロ(白山風露)は、本州(東北地方~中部地方、伊吹山まで)に分布し、亜高山帯~高山帯の草地に自生し、学名からも判るとおり日本固有種です。和名は石川・岐阜両県にまたがる白山に因んで名付けられました。

 

■グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)
北海道、本州(中部地方以北:福島県・磐梯山から滋賀県・伊吹山に分布と記載の資料もあり)に分布し、山地~亜高山帯の草地に自生します。科名のグンナイ(郡内)とは、山梨県東部にあった都留郡(つるぐん:現在の北都留郡、南都留郡)で最初に発見されたことが由来です。

 

■ゼラニウム・ピレナイクム(Geranium pyrenaicum)
ピレナイクム(pyrenaicum)という種小名は「ピレネー山脈の」という意味で、花図鑑によっては「ピレネーフウロ」と紹介されています。原産国はスペイン・ピレネー山脈ですが固有種ではなく、ヨーロッパ・アルプスや北欧など広く分布します。

 

■ゼラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)
ヨーロッパ各地に分布し、平地の草原や山岳地帯などに自生し、日本の図鑑で「クロバナフウロソウ(黒花風露草)」と紹介され、暗紫色が印象的なフウロソウです。

 

■ゼラニウム・サクサチレ(Geranium saxatile)
最後は、中央アジアのキルギスに咲く「ゼラニウム・サクサチレ(Geranium saxatile)」です。パミール川とワハーン川の合流地点を眺めながらゾルクル湖を目指す道中で満開に咲く風景を観察できました。こちらの花は、いつの日かご紹介します。

満開に咲くゼラニウム・サクサチレ(Geranium saxatile)

 

■注目! 4月29日出発 催行決定まであと一歩!!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森にミズバショウが咲く季節です!

 

■注目! 5月23日出発 催行決定まであと一歩!!
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※シャクナゲの花咲く季節!興味深い植生の屋久島へご一緒しませんか?

 

■注目! 7月10日出発 催行決定まであと一歩! 6月26日出発コースは満席!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※尾瀬に咲く花が最盛期を迎える季節です!

 

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ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)

本日は「ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)」をご紹介します。

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium yesoense var. nipponicum
別名:アカヌマフウロ
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)は、フウロソウ科フウロソウ属に分類される多年草です。
和名は石川・岐阜両県にまたがる白山に因んで名付けられましたが、母種はエゾフウロ(蝦夷風露、学名:Geranium yesoense)となり、ハクサンフウロは変種となります。

 

本州(東北地方~中部地方、伊吹山まで)に分布し、亜高山帯~高山帯の草地に自生し、学名からも判るとおり日本固有種です。
今回掲載の写真は、弊社の山ツアー班の堤、楠が朝日連峰や北岳で観察したものです。

 

草丈は30~80cm、茎には下向きの伏毛(ふくもう:茎や葉などの面に密着して寝ている毛)が確認できます。
葉は掌状に5深裂し、裂片はさらに細かく2~3中裂しており、大きさは5~10cmほどです。葉には毛が多く、表面には細毛、縁や裏面脈上には粗い毛が確認できます。秋には紅葉し、花が終わった後にも楽しみが待っています。

 

花期は7~8月。葉腋から伸びた柄に直径2~3cmほどのピンク色の花を2つずつ咲かせます。色はピンク色ですが、個体によって色の濃淡に差がある印象です。
前回ご紹介したグンナイフウロ(郡内風露)ほどではありませんが、花弁基部には白い軟毛も確認できます。
花弁は5枚で花弁の先端には切れ込みは見られません。花弁にある5~7条の脈は花弁の色よりほんの少しだけ濃いピンク色や淡い紫色の脈が見られます。
雄しべは花冠の中央に10本並び、まずは5本が先に熟すそうです。萼にも花弁の表面のような5~7条の脈があり、下向きの伏毛が確認が見られ、花柄にも向きの屈毛(先が曲がった毛)が見られます。
私も萼の部分の毛の形状まで確認をしたことがありませんので、次回の宿題です。
因みに、イブキフウロは、萼に開出する毛が見られるそうです。

 

フウロソウ科の花は北海道も含め、種類が多く紛らわしいですが、中部地方の方で観察できるフウロソウでピンク色のものはハクサンフウロとイブキフウロのみとなるという資料もありました。

 

フウロソウの見分け方は正直難しいです。ただ、どれも可憐な花であることに変わりはありませんので、正直「フウロソウ」とひとまとめで覚えてしまっているところもあります。1つのフウロソウの特徴をゆっくりと観察し、違いを確認するのも楽しいかもしれません。
次回、これまで紹介したフウロソウの花を一気にご紹介したいと思います。

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)

 

<春~夏の花の観察ツアー>
5月23日出発 催行まであと一歩!!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 催行決定!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く
※5月は上高地にニリンソウが、宇津江でクリンソウが咲く季節

 

6月26日出発 催行決定!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング
※尾瀬ヶ原でウラジロヨウラクやナガバノモウセンゴケの観察へ!

 

7月10日出発、7月17日出発 間もなく催行!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

 

※7月18日出発、7月25日出発 間もなく催行!
花の北海道フラワーハイキング
※世界遺産・知床から「神々の遊ぶ庭」大雪山の花園をめぐる

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グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)

■注目! 6月26日出発コース 催行決定!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※尾瀬に咲く花が最盛期を迎える季節です!

 

■注目! 催行決定まであと一歩!!一緒に植生観察を楽しみませんか?
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)

 

花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※4月29日出発 まもなく催行!(北飛騨の森にミズバショウが咲く季節)


 

本日は「グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)」をご紹介します。

 

グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium onoei var. onoei f. onoei
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

グンナイフウロ(郡内風露)は、フウロソウ科フウロソウ属に分類される多年草です。科名のグンナイ(郡内)とは、山梨県東部にあった都留郡(つるぐん:現在の北都留郡、南都留郡)で最初に発見されたことが由来です。

 

北海道、本州(中部地方以北:福島県・磐梯山から滋賀県・伊吹山に分布と記載の資料もあり)に分布し、山地~亜高山帯の草地に自生します。
今回掲載の写真は昨年7月に上高地の河童橋から徳沢を目指す奥上高地自然探勝ハイキングを楽しんでいる際に観察したものです。

 

草丈が30~50㎝ほど。
葉は花に比べて比較的大きく、幅5~12cmほどで掌状に5~7深裂し、それぞれの裂片がさらに浅裂(細かくギザギザ)しています。
おもしろいのが葉の付き方です。基本は茎葉は互生しているようですが、最上部では対生しているそうです。私もそこまで深く観察したことがないので、次回じっくり観察してみたいと思います。

 

茎、葉柄には開出毛(かいしゅつもう:茎や葉などの面に対して直角に伸びている毛)と腺毛(せんもう:先端が小球状に膨らんでいて液体を分泌する毛)が確認できます。資料によっては茎の上部は腺毛が多いとのことでした。また、葉の両面にも開出毛が確認でき、裏面には腺毛が混じるそうです。
この点も「粗めの毛がつく」という認識だったので、直角に伸びる開出毛、腺毛の違いなど、次回の観察の際の宿題としないといけません。

 

花期は6~8月。高原に咲くハクサンフウロ(白山風露:次回紹介予定)などより、1ヶ月ほど早く花を咲かせると言われています。
茎の上部で枝分かれした花枝の先に集散状(10個前後)に直径2.5~3cmほどの花を咲かせ、雄しべは5本ずつ2列に並びます。
花の色は淡紫色~濃紫色と個体によって変異があり、今回掲載した上高地で観察したもの(それぞれ別の場所で観察)は白色と言ってよいほど淡い色合いでした。
資料によっては、白花のものは「シロバナグンナイフウロ(白花郡内風露)」と紹介されており、これも一種の変異とされているとのことでした。
フウロソウ科の花の特徴ともいえる花弁にある5~7条の脈もグンナイフウロでも確認できますが、上高地で観察したものは白色に近い花弁に淡い紫色の脈が付いており、何とも言えない上品さを感じる色合いの組み合わせでした。

 

花柄、萼(卵型で先端が尖る形状)にも葉柄などと同じく開出毛と腺毛が確認できます。また、ユニークなのが花床(花の中央部)に長く白色の軟毛が確認できる点です。これは他のフウロソウ科の花にも見られますが、ここまで明確に確認できるのは他にはないかもしれません。

 

[近縁種]
■タカネグンナイフウロ:高山性で花色が濃く。葉裏の脈上にのみ毛がある。
■エゾグンナイフウロ :毛が少なく花色が濃い。

 

フウロソウ科の花は、ひとまとめに「フウロソウの花」として覚えてしまいがちですが、1つ1つの違いを見分けてみると興味深いものです。
今回のグンナイフウロ(郡内風露)と見分けていただくため、次回はハクサンフウロをご紹介します。

 

グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)

 

<春~夏の花の観察ツアー>
まもなく催行!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く
※5月は上高地にニリンソウが、宇津江でクリンソウが咲く季節

 

6月26日出発 催行決定!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング
※尾瀬ヶ原でウラジロヨウラクやナガバノモウセンゴケの観察へ!

 

7月10日出発、7月17日出発 間もなく催行!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

 

※7月18日出発、7月25日出発 間もなく催行!
花の北海道フラワーハイキング
※世界遺産・知床から「神々の遊ぶ庭」大雪山の花園をめぐる

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エゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yesoense var. yesoense)

先日、長野県の白馬村観光局のホームページを見ていると、フクジュソウの花が咲き始め、フキノトウもあちらこちらで見られるようになってきたというニュースが掲載されていました。
フクジュソウと言えば、春の花の代表格。いよいよ春の花のシーズン到来を感じさせる嬉しいニュースでした。

 

本日は「エゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yesoense var. yesoense)」をご紹介します。

 

エゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yesoense var. yesoense)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium yesoense var. yesoense
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

エゾフウロ(蝦夷風露)は、北海道の太平洋側の海岸線沿いや原野、本州中部まで分布する日本固有種です。
エゾフウロは、ハクサンフウロの基本種です。

 

草丈は生育環境によって差はありますが、30~80㎝で直立し、茎部分には下向きに粗めの毛が確認できます。
葉は掌状で細かく、深く5裂、さらに2~3中裂しており、裂片部分の幅が広いのが特徴です。また、葉全体と葉柄には軟毛も確認できます。

 

花期は7~8月。枝先に2.5~3cmほどの小さな淡紅紫色の花を2つずつ咲かせます。ある資料には散らばるように咲くのが特徴とありました。
花弁は5枚、雄しべは10本で先端にある濃紫色の葯の色合いが印象的です。中央には雌しべが1本あり、先端が5裂します。上の写真をご覧いただくと、赤色(ピンク色)の雌しべの先端が5裂しているのがハッキリと判ります。
フウロソウの花のと言えば、花弁にある筋模様です。エゾフウロの花は、淡紅紫色の花弁に濃い紫色の筋模様がはっきりとしており、花の色合いをより一層印象的なものにします。
以前、フウロソウの花の紹介をする際に「血管が浮いているように言えるのがフウロソウ」と紹介した時に「あまり良い表現ではないよ」とお客様にご指摘を受けたことを覚えています。それ以降、ご紹介する際には注意するようにしていますが、どうしてもそのように表現してしまいます。
フウロソウの花弁の基部、花柄の部分、花を支える萼の部分にも軟毛が確認できます。

 

フウロソウは、10本の雄しべの先端の葯から花粉を出し、その間は雌しべの柱頭は閉じて受粉できないようになっています。
花粉が終わった頃に赤い柱頭が5裂し、受粉が可能となります。まもなく葯が落ちたら、花の中央は雌しべだけになります。
これらは、自家受粉を避ける工夫で、他の植物でも行われている工夫の1つです。
次回、エゾフウロなどのフウロソウを観察する際、その点を注目すると面白いかもしれません。

 

フウロソウの仲間は非常に見分けが難しいですが、ある資料に判りやすい情報がありました。
エゾフウロには、3変種、北海道と東北地方に分布するハマフウロ、本州の高山に自生するハクサンフウロ、伊吹山と東北地方に分布するイブキフウロがあります。
・ハマフウロは日本海側に多く、毛が少なく、葉の切れ込みが浅い
・ハクサンフウロは、高山に自生。色合いが濃紅紫色が特徴。
※個人的には、花弁の基部が細くなり、他種に比べ隙間があるような印象です。
・イブキフウロは、淡紫色で色はエゾフウロに似ていますが、花弁の先が3裂するのが特徴。

 

見分けの難しいフウロソウの花ですが、群生すると辺り一帯が淡い色合いに染まり、心和む風景となります。また、1つ1つの花も美しく、是非次回は花の中央部分の雄しべ、雌しべにも注目して観察してみてください。
他のフウロソウの花を見比べるのも、楽しいものです。是非、ブログ内の「フウロソウ属」の別の花もご覧ください。

 

エゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yesoense var. yesoense)

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地を巡る
※春の花の代表格ともいえる水芭蕉やカタクリの花の観察を楽しむため、厳選した花の名所を訪れ、春の花を心ゆくまでご堪能いただける4日間です。

 

春をつげる雪割草を求めて 早春の佐渡島
※南北に大佐渡、小佐渡の山地が連なり、中央には国中平野が広がる佐渡島。大佐渡山麓と世阿弥の道にてゆっくりとフラワーハイキングをお楽しみいただきます。

 

佐渡島・花咲く金北山縦走トレッキングと佐渡周遊の旅
※春の花咲くシーズンの佐渡の山旅。絶景ロッジ・ドンデン山荘に宿泊し、佐渡の最高峰金北山を目指し、花咲く楽園・アオネバ渓谷のハイキングも楽しみます。

 

花の利尻・礼文島とサロベツ原生花園
※6月から7月にかけて高山植物の開花の季節となる利尻・礼文島。専門ガイドの案内で、フラワーウォッチングや様々な植物の観察を満喫する5日間。

 

花の利尻・礼文島から世界遺産・知床半島へ
※5月下旬から高山植物の季節が始まる利尻・礼文島から、オホーツク海沿岸を走り世界遺産・知床へ。利尻島・礼文島、知床半島を一度に楽しむ旅。

 

花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※専門ガイドとのんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。

 

花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
※高山植物の宝庫として知られる千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキング。旅の後半は、専門ガイドと共に静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。

 

日本各地で高山植物などの花々を楽しむツアーも続々と発表しております。ご興味のあるコースがありましたら、是非お問い合わせください。
「花の季節」に訪れるツアー 一覧へ

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ゼラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)

先日23日、「尾瀬国立公園の山開き」というニュースを見ました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、尾瀬保護財団や環境省などは当面の入山自粛を求めている中、尾瀬ヶ原周辺では雪解けが進み、ミズバショウが見頃を迎えているそうです。
尾瀬は私が高山植物に興味を持ったきっかけとなった場所の1つ(北海道・大雪山、北海道・礼文島、尾瀬国立公園の3ヶ所への添乗がきっかけでした)ということもあり、1日でも早く気兼ねなく「遥かな尾瀬のフラワーハイキング」を楽しめることを願うばかりです。

 

前回に引き続きフウロソウ科フウロソウ属の一種、今回は珍しい色合いのフウロソウである「ゼラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)」、日本の図鑑で「クロバナフウロソウ(黒花風露草)」と紹介されてる種を紹介します。

 

ゼラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium pyrenaicum 和名:クロバナフウロソウ(黒花風露草)
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

世界各地に分布するフウロソウ科の花は淡い色合いのものが多いですが、今回ご紹介するゼラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)は暗紫色が印象的なフウロソウです。
ヨーロッパ各地に分布し、平地の草原や山岳地帯などに自生します。私が観察したのはスペイン・ピレネー山脈でフラワーハイキングを楽しんでいる時でした。

 

草丈は50~80㎝で根茎をもち、茎は上部で枝分かれし、全体的に長めの白毛が確認できます。

 

根生葉はロゼット状につき、掌状に広がり15㎝ほどの大きさで5~7つに裂けています。
茎葉は互生(ごせい:茎の一つの節に1枚ずつ方向をたがえてつくこと)につき、葉に紫褐色の斑紋が広がっていることも確認できます。撮影をした際はあまりの花のキレイさに気を奪われすぎで、葉の撮影を忘れてしまったことが心残りです。

 

花期は5~8月、花は2~3㎝ほどの大きさで5枚の花弁をもち、若干後ろ向きに反り返っているのが特徴です。
暗紫色の花弁の色合いが特徴ですが、中央のおしべが突出し、おしべの周辺が白くなっており、そのことでゼラニウム・ファエウムの美しさを際立たせているように感じます。

 

開花後は他のフウロソウ科の花と同じく蒴果(さくか:果実のうち乾燥して裂けて種子を放出する裂開果のうちの一形式)をつけます。

 

日本を含む世界各地で様々なフウロソウ科の花が観察でき、各地で群生している風景は何とも言えない美しさです。
3回続けてフウロソウ科フウロソウ属の花を紹介させていただきましたが、群生するフウロソウを観察するだけではなく、一度1つのフウロソウをゆっくり、じっくりと観察してみてください。

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ゼラニウム・ピレナイクム(Geranium pyrenaicum)

今朝、朝のニュースでコロナウイルスの影響に伴う自粛規制のため休園している各地域のフラワーパークの映像が流れていました。各フラワーパークは休園期間中も解除後の来園客のため、来シーズンも同様に満開の花々を来園客に観てもらうため、現在も手入れを続けているそうです。
1日でも早く、安心してフラワーパークなどへ出掛けることができるよう、私たちも気を付けて生活しなければいけないと感じた朝でした。

 

前回に引き続きフウロソウ科フウロソウ属の一種である「ゼラニウム・ピレナイクム(Geranium pyrenaicum)」花の図鑑によっては「ピレネーフウロ」と紹介されてるフウロソウの花をご紹介します。

 

ゲラニウム・ピレナイクム(Geranium pyrenaicum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium pyrenaicum 和名:ピレネーフウロ
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

学名のピレナイクム(pyrenaicum)と聞いてお気付きの方も多いかと思いますが、種小名は「ピレネー山脈の」という意味です。
先日、フウロソウ属の多くは、国内ではハクサンフウロやエゾフウロなど「地域の名前○○+フウロ」というふうに呼ばれているとご紹介しましたが、ゲラニウム・ピレナイクムはその名のとおり原産国はスペイン・ピレネー山脈ですが、固有種ではなく、ヨーロッパ・アルプスや北欧など広く分布します。上の写真は私がスイスに添乗した際に撮影したものです。

 

また、ブログ作成時に調べていると、日本では北海道でも帰化・定着し、北海道のブルーリスト(北海道に定着している外来種)に選定されているそうです。

 

地中海沿岸地方の山岳地帯で、牧草地や草原、乾燥した土壌に自生します。
草丈は30~60㎝、根元に根生葉を出し、ロゼット状に広がっています。
葉の形状はほぼ円形で5~7つの深い切れ込みがあり、対生(葉が茎の一つの節に2枚向かい合ってつくこと)します。

 

開花時期は5~9月、花は直径2㎝弱と小さく、紅紫色の5枚の花弁をたくさんつけます。
花弁の先端が少し深めに裂けているため、見た目には「紫色のミミナグサ(ナデシコ科)かな?」と思わせる形状です。ある資料には「先端が裂けているため、遠目には10枚の花弁があるように見える」とありました。フラワーハイキング中にゼラニウム・ピレナイクムを発見すると、確かにそのように見えます。

 

開花後は0.5㎝ほどの蒴果(さくか:果実のうち乾燥して裂けて種子を放出する裂開果のうちの一形式)をつけます。

 

前述したように「紫色のミミナグサ?」または日本の伊吹山や三重県の鈴鹿山脈(福寿草がきれいな場所です)などに分布する同じフウロソウ科フウロソウ属の「ヒメフウロ(姫風露:Geranium robertianum)かな?」と思わせるゼラニウム・ピレナイクム。
その色合い、小ぶりの形状、ハート型の花弁など、発見するとゆっくり観察したくなるフウロソウの花です。

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チシマフウロ(Geranium erianthum)

昨日、日本では緊急事態宣言が39県で解除されました。また、世界の一部の国・地域でも6月や7月から国境をオープンするという緩和情報も入ってきておりますが、国境オープンという情報があっても、国際線の再開や空港オープンの明確な情報はありません。
日本全体で回復傾向であるというニュースも多いですが油断はせず、世界各国の渡航緩和がされた際、「日本からの渡航者なら問題なし」と思ってもらえるよう、今一度気を引き締めて頑張らなければいけないと、ニュースを観て感じました。

 

本日はフウロソウの一種である「チシマフウロ(Geranium erianthum)」をご紹介します。

 

サハリンで観察したチシマフウロ(Geranium erianthum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium erianthum  和名:千島風露
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

フウロソウ科(Geraniaceae)は花は約420種ともいわれ、日本の低地から高山帯、世界各地にも分布します。
フウロソウ属の学名はGeraniumですが、日本国内で「ゼラニウム」と呼ばれる品種の多くがテンジクアオイ属です。フウロソウ属の多くは、国内ではハクサンフウロやエゾフウロなど「地域の名前○○+フウロ」というふうに呼ばれています。

 

チシマフウロ(Geranium erianthum)は、本州北部では亜高山帯や高山帯に分布し、北海道は海岸地帯にも分布・生育します。海外ではサハリン、千島列島、北太平洋沿岸域を回りこんでカナダ北西部まで分布します。

 

日当たりの良い草地や砂礫地に自生し、草丈は20~50㎝。
葉は掌状に5~7裂に裂け、切れ込みは浅く裂片の先はそれほど鋭く尖らない形状をしています。姿がそっくりのエゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yezoense)の葉は切れ込みが深いため、見分けるポイントと言われています。

 

花は茎頂に直径3㎝ほど、5枚の花弁で左右対称で青紫色の花をいくつか咲かせます。花期は6~8月です。
北海道の中央高地では淡い色のチシマフウロが多いという資料もありました。

 

花弁に比べ、葯(やく:おしべの一部で花糸の先端に生じ花粉形成が行われる袋状の部分)の部分が若干濃い紫色であるため、この色合いの違いが花の美しさであると個人的に思っています。

 

花弁の基部や萼(がく:花全体を支える役割の花弁の付け根にある緑色の小さな葉のような部分)には産毛のような白毛が確認できます。学名の「erianthum」は「軟毛の生えた花の」という意味を持つそうです。

 

フウロソウ科は日本を含め、世界各地で観察ができます。そのため、それぞれを見分けることが非常に難しく、お客様へも「フウロソウですよ」と説明しがちになり、まだまだ勉強が必要です。
北海道の中央高地にはチシマフウロの花色の淡いものが「トカチフウロ(Geranium erianthum f. pallescens)」として区別され、完全な白花品をシロバナノチシマフウロ(Geranium erianthum DC. f. leucanthum)とされています。
色々と調べていると、この3種を「チシマフウロの三兄弟」と表現されているブログがあり、非常に印象的な面白い表現で、私もいつしかこの三兄弟の観察・撮影を楽しみたいものです。

 

チシマフウロ(Geranium erianthum)