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ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

本日は、「ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)」をご紹介します。高山植物と調べると、よくハクサンイチゲが群生する写真が掲載されていたり、様々な資料で「高山植物の代表種」として紹介される花の1つです。

 

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone narcissiflora
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

ハクサンイチゲ(白山一花)は、本州の中部以北から東北地方に分布し、亜高山帯から高山帯の湿った草地に自生する日本固有のキンポウゲ科イチリンソウ属の多年草です。
7月の「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」に同行させていただいた際、中央アルプスの宝剣岳の麓にある千畳敷カール、北アルプスの乗鞍岳の麓にある乗鞍・畳平にて観察することができました。

 

草丈は15~60㎝で直立し、葉は無柄で4枚の葉が輪生し、それぞれが手のひら状に2~3回深裂し、裂片の先が尖っているのが特徴です。ハクサンイチゲは、茎、葉柄、葉、花柄に粗い毛が確認できます。

 

花期は6~8月。花茎の先端は数本に分かれて各々に1つずつ、2~5個の花を散形状に、直径2~2.5cmほどの花を咲かせます。
「イチゲ」とは、通常は1株に1つの花をつける花のことですが、ハクサンイチゲなどイチリンソウ属の植物に多く付けられる名前のため、花が一輪でなくてもイチゲの名前が付いています。

 

真っ白な花弁が印象的・・・と言いたいところですが、ハクサンイチゲには花弁はありません。
花弁に見える真っ白の部分は花弁ではなく「萼片」で、少し先端が尖った形状の萼片は5~7枚付けます。花の中央部には黄色の雄しべ、緑色の雄しべが密集します。

 

近縁種や変種として、エゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花:北海道から東北地方北部の高山帯に分布し、葉の幅が広く先端が尖らない)やシコクイチゲ(四国一花:四国山地の岩場(石鎚山など)に分布し、複散形に咲く)があります。
また、日本第二の高峰・北岳にしか咲かないキタダケソウに似ていると紹介されることもあり、キタダケソウは花弁の先端が尖らず、窪んでいる点が違いです。
また、私も知りませんでしたが、萼片が緑色に変わった「ミドリハクサンイチゲ( f. viridis )」と呼ばれるものもあるそうです。是非一度観察してみたいものです。

 

ハクサンイチゲをはじめ、「ハクサン」という名のつく花が多いですが、ご存知の方も多いと思いますが、石川県の白山のことです。
色々と調べていると、興味深い資料があったのでご紹介します。
日本の植物研究は古くからあったようですが、西欧文化を受け入れ、植物学として発展したのが明治時代。その後、高山が研究対象となり、登山道があり山の案内人のいる山で調査が始まったそうです。白山は江戸時代から山岳信仰として登られてきた歴史があるため、当時の植物研究家は白山で多くの植物を発見し、植物に白山の山の名を付けたことが理由とのことです。
その後、日本中の高山が登られるようになり、白山以外でも同じ高山植物が発見されましたが、一度つけた名前は簡単には変えられず、ハクサンという名のつく花が多く残っているとのことです。
因みに「ゴゼン」という名の付く花も多いですが、白山の御前峰のことです。

 

ハクサンイチゲは、その色合い、花の美しさから群生すると見事な花畑の風景となります。群生したハクサンイチゲをのんびり眺めるだけでも幸せな気持ちになります。

 

ハクサンイチゲ(白山一花:Anemone narcissiflora)

 

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シラタマノキ(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

先日、「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング」に同行させていただき、屋久島の亜熱帯植物や照葉樹林の植生を楽しみ、黒味岳の1泊2日の登山では屋久島固有の矮小化した高山植物や様々な苔類の観察を楽しむことができました。

 

以前、シラタマノキの実をご紹介しましたが、本日は「シラタマノキの花(白玉の木:Gaultheria pyroloides)」をご紹介します。

 

シラタマノキの花(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gaultheria pyroloides
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:シラタマノキ属(Gaultheria)

 

ツツジ科の常緑小低木であるシラタマノキ(白玉の木)は、本州・中部地方の以北から北海道にかけて分布し、海外でも東北アジアからアラスカにかけて広く分布します。亜高山帯~高山帯にかけて、比較的乾燥した岩石地、林縁 草地などに自生します。

 

茎は地を匍い、草丈が10~20cmほどになります。葉は1.5~2.5cmの楕円形で少し厚みもあり、少し光沢も確認できます。葉の縁の鋸歯、葉の表裏にくっきりとした葉脈があるのが特徴です。

 

花は枝分かれした茎の上部に花柄を伸ばし、2~5個ほどの花が垂れ下がるように付いています。大きさは0.5cmほどと小さく、丸みのある壺型で花の先端がキュっとしぼんだ形状が何とも言えない愛らしさを感じます。よく観察すると、キュッとしぼんだ先端部分が浅く5裂していることも判ります。

 

シラタマノキは、9月を過ぎると1cm弱の小さく、白い球状の実を付けます。この事が和名「シラタマノキ」の名の由来であり、別名を「シロモノ」とも言います。
因みに、同じツツジ科でアカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)という花もあり、白い花を咲かせますが、赤い実を付けることから「アカモノ」と呼ばれます。
上の写真は、6月に群馬県中之条町のチャツボミゴケ公園を散策している際に観察したものですが、遊歩道を挟んで向かい側にアカモノの花も咲いており、振り返りながら2つの花を見比べることができました。

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

 

シラタマノキの実は、筋肉疲労などの塗り薬でも使われる「サロメチール(サリチル酸)」の匂いがすることで有名ですが、一粒摘み採り口に入れると、わずかな甘味と清涼感が口に広がるそうですが、生食より果実酒に利用されるそうです。ある資料に焼酎に漬け込み、3ヶ月後に実を出して熟成させるとあり、花以上に興味のある情報でした。

 

シラタマノキの実(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

 

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タテヤマリンドウ(立山竜胆:Gentiana thunbergii var. minor)

今回の花ブログが更新される頃、私は屋久島の高山植物を求めて黒味岳を目指す登山ルートを歩きながら、屋久島の固有種・固有変種の花々の観察を楽しんでいるところです。

 

本日は「タテヤマリンドウ(立山竜胆:Gentiana thunbergii var. minor)」をご紹介します。こちらも6月の尾瀬で高層湿原の尾瀬ヶ原を歩いている際に観察・撮影を楽しむことができた花の1つです。

 

タテヤマリンドウ(立山竜胆:Gentiana thunbergii var. minor)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gentiana thunbergii var. minor
科名:リンドウ科(Gentianaceae)
属名:リンドウ属(Gentiana)

 

タテヤマリンドウ(立山竜胆)は、北海道から本州(中部以北・日本海側)に分布し、高山や亜高山帯の湿地に自生する1〜越年草です。母種ハルリンドウ(春竜胆:Gentiana thunbergii)の高山性の変種とされています。

 

草丈は5~15cmと低く、根元から数本の茎が直立します。
葉は卵形でロゼット状に広がり、花期に残る根生葉を持ち、茎葉は5~10cm弱で披針形の小さな葉が茎を抱くように上向きに付いています(対生)。
よく似た高山に咲くミヤマリンドウ(フデリンドウの高山種)の茎葉は横に展開しますが、タテヤマリンドウの茎葉は横に展開しない点が見分け方の特徴です。

 

花期は5~7月。長さ1~2cmの花冠は5裂し、裂片間に副片があり茎頂にそれぞれ1つ漏斗状の淡青紫色の花を上向きに咲かせます。花の萼裂片は反り返りません。
色はミヤマリンドウや母種のハルリンドウに比べて薄いのが特徴です。

 

リンドウ科の花は、陽があたる時だけ花を開き、曇天・雨天時は筆先の形をした蕾状態になって閉じた状態となります。これは花粉を間持つためと言われています。今回は幸いにも天候に恵まれたので、尾瀬ヶ原の各所で花の開くタテヤマリンドウの観察を楽しむことができました。

 

タテヤマリンドウは、花の中央部付近に暗紫色の斑点が多数ついているのも特徴の1つです。ある資料に「ソバカス美人」という表現をするものがあり、まさにその表現がピッタリの姿をしています。

 

タテヤマリンドウの花は、雄性先熟という性質を持ちます。
最初は雄しべが先に成熟して花粉を放出する「雄性期」。次に花粉を放出しきった雄しべを押しのけて雌しべが成長し雌しべが成熟する「雌性期」となります。
雄しべ雌しべの成熟時期をずらすことで自家受粉を避け、昆虫が運んでくれる他の株の花粉で受粉、子房に種子を作ります。
今回の2枚の写真は、共に「雄性期」の花ですが、雌性期となると真っ白で先が2裂する雌しべが確認することができます。

 

<タテヤマリンドウとミヤマリンドウの見分け方>
①花の中央部付近の斑点の有無
タテヤマリンドウには斑点が付き、ミヤマリンドウには斑点がない
②茎葉の違い
タテヤマリンドウは横に展開しない、ミヤマリンドウは横に展開する
③5裂した花冠の間の副花冠(副片)
ミヤマリンドウは細長く、先が不規則に裂ける、タテヤマリンドウは先は避けず短い

 

広大な尾瀬ヶ原で可憐に咲くタテヤマリンドウ。
草丈も低く、花冠の大きさも小さいため、そばに近づくまで花の開花に気付かないことが多いですが、一度見つけると辺り一面にたくさん咲いており、可憐なタテヤマリンドウに心を奪われることもしばしばでした。

 

タテヤマリンドウ(立山竜胆:Gentiana thunbergii var. minor)

 

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キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環:Aquilegia buergeriana var. buergeriana f. flavescens)

先日、オオヤマオダマキ(大山苧環)をご紹介しましたが、本日はヤマオダマキの黄花種である「キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)」をご紹介ます。
6月「花の尾瀬フラワートレッキング」で宿泊した草津温泉のホテル敷地の森、さらに7月「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」では駒ケ岳ロープウェイの山麓・しらび平駅周辺や奥上高地自然探勝ハイキング時(明神エリア周辺)に観察することができました。

 

草津で観察したキバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aquilegia buergeriana var. buergeriana f. flavescens
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:オダマキ属(Aquilegia)

 

キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)は、ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana var. buergeriana)の黄花種です。キバナノヤマオダマキとヤマオダマキは花の色以外、基本的な部分は同じです。

 

草丈は30~60cmで直立し、上部でいくつかに枝分かれし、直径3~4cmの花を下向きに咲かせます。
葉は、根生葉が2回3出複葉(葉柄から三つの小葉を出し、その小葉がさらに3つの小葉に分かれるもの)、小葉は2~4cmの扇形で2~3裂します。

 

花期は6~8月。枝分かれしたそれぞれの茎の先端部に直径3~4cmほどの花を下向きに付けます。
形状は前回ご紹介したオオヤマオダマキ(大山苧環)と同じですが、キバナノヤマオダマキも花弁状の萼片(横に広がる5枚の萼片)、中央部の花弁(長さ1~1.5㎝、花弁も5枚)に分かれ、花弁状の萼片はやや白に近い淡黄色、花弁の方が若干濃い黄色という印象です。

 

先日、ヤマオダマキとオオヤマオダマキの違いをご紹介しましたが、少し追記です。
・オオヤマオダマキ(大山苧環)
→萼と距が赤茶色、花弁は淡黄色、距の先端が下向きのもの
・キバナノオオヤマオダマキ(黄花の大山苧環)

→オオヤマオダマキの黄花種。
 萼、距、花弁ともに淡黄色、萼の先端が下向きのもの

 

・ヤマオダマキ(山苧環)
→萼と距が赤茶色、花弁は淡黄色、距の先端が真っすぐのもの
・キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環

→ヤマオダマキの黄花種
 萼、距、花弁ともに淡黄色、萼の先端が真っすぐのもの

 

写真をご覧いただくと、「距」(花の後ろに突き出した中空の角状のもの、花弁や萼が変化したもの)が真っすぐに伸びているので、「ヤマオダマキの黄色種」であることが判ります。
また、上写真の距のあたりをご覧いただくと、少し赤味の残る部分が確認できます。中にはもう少し濃く残る個体もありますが、ヤマオダマキやオオヤマオダマキの萼片(赤茶色)の色合いに比べると明らかに濃淡の差がありますので、見分けるにあたり、ややこしい点ではありません。

 

苧環という和名は、距が伸びた花の様子が苧(カラムシ)や麻(アサ)などの繊維を巻いた管に似ていることが名の由来です。

 

前回に続き、ヤマオダマキの仲間をご紹介しましたが「ヤマオダマキ(山苧環)」「オオヤマオダマキ(大山苧環)」「キバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)」「キバナノヤマオダマキ(黄花の大山苧環)」など、見分け方は難しくはないので、次回しっかりと観察してみてください。
因みに「ミヤマオダマキ(深山苧環)」は・・・また機会(撮影ができれば)があればご紹介します。

 

上高地で観察したキバナノヤマオダマキ(黄花の山苧環)
オオヤマオダマキ(山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

 

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オオヤマオダマキ(大山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

本日も尾瀬で観察した「オオヤマオダマキ(大山苧環:Aquilegia buergeriana)」をご紹介します。
尾瀬でフラワートレッキングを終え、ゴール地点の大清水周辺に広がるニッコウキスゲの群落で観察することができました。

 

オオヤマオダマキ(山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aquilegia buergeriana var. oxysepala
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:オダマキ属(Aquilegia)

 

オオヤマオダマキ(大山苧環)は、北海道~九州、海外では朝鮮、中国、シベリア東部に分布し、温帯~亜寒帯の山地の草地や林縁などに自生する多年草です。

 

草丈は40~80cmほどで直立し、茎頂付近で枝分かれし、それぞれの先端に直径3~4cmほどの花を下向きに咲かせます。
葉は、根生葉が2回3出複葉(葉柄から三つの小葉を出し、その小葉がさらに3つの小葉に分かれるもの)、小葉は3~4cmの扇形、先端が2~3中裂し、さらに2~3浅裂します。

 

花期は6~8月。枝分かれしたそれぞれの茎の先端部に直径3~4cmほどの花を咲かせますが、その花の形状は非常にユニークです。
花弁のように広がるのは萼片で赤茶色で5枚。花の中央の先端部が淡黄色(クリーム色)のものが花弁で長さが1~1.5㎝、花弁も5枚です。
オダマキの仲間で最も特徴的な部分は後ろ方向に突き出す花弁の一部である「距(きょ)」と呼ばれる部分です。距の先端部が球状になっているのも面白い形状です。
※距とは、花の後ろに突き出した中空の角状のものをいい、花弁や萼が変化したもの。

 

オオヤマオダマキは、ヤマオダマキ(Aquilegia buergeriana var. buergeriana)の変種ですが、形状はほとんど変わりません。「大(オオ)」という頭文字がつきますが、大きさもほぼ同じです。
この2つは、花が開いた時の「距」の部分に違いあり、そこが見分けるポイントとなります。

 

・距の先端が下を向いたまま→オオヤマオダマキ
・距の先端が真っすぐ伸びたもの→ヤマオダマキ

 

下の写真をご覧いただくと、オオヤマオダマキの距が下を向いたままという状態がよく判ります。資料によっては、内側に巻き込んだ状態と表記するものもあります。
6月の尾瀬では「ヤマオダマキ」と紹介し、終了後にお送りした旅日記でも「ヤマオダマキ」と記載してしまいましたが、今回花のブログを作成する際に色々と調べていると、この2つの見分け方を知りました。

 

花弁の中央に雄しべ(先端部が黒い)を多数つけ、よく見ると中央に雌しべが1つ伸びているのも確認できます。

 

オオヤマオダマキ(オダマキ属の仲間全般)は、下向きに花を咲かせるので観察・撮影に苦労します。
細く背の高い茎の先端部に、比較的大きめの花を咲かせるので、どうしてもお辞儀したように花を咲かせるので仕方ありませんが、こちらを向いて、程よい角度のオダマキを探すのも大変ですが、次回観察する機会がありましたら、是非細かい部分もじっくりと観察してみてください。

 

オオヤマオダマキの距は、下を向いたままの状態

 

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ツルコケモモ(蔓苔桃:Vaccinium oxycoccos)

本日も尾瀬で観察した「ツルコケモモ(蔓苔桃:Vaccinium oxycoccos)」をご紹介します。
ツルコケモモ(蔓苔桃)も、前回ご紹介したヒメシャクナゲ(姫石楠花)と同様に「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」を造成する際、尾瀬を訪れて観察したいと強く思った花の1つです。

 

ツルコケモモ(蔓苔桃:Vaccinium oxycoccos)

 

被子植物 双子葉類
学名:Vaccinium oxycoccos
英名:Common Cranberry、Northern Cranberry(クランベリー)
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:スノキ属(Vaccinium)

 

ツルコケモモ(蔓苔桃)は、本州の中部地方以北から北海道にかけて、海外では北欧、北アジア、北米など、北半球の寒い地域に広く分布し、亜高山帯~高山帯の高層湿原でミズゴケ類の中に自生する常緑低木です。

 

草丈は10cmほどで細い濃赤紫色の茎を伸ばしますが、茎は所々で根を出し、ミズゴケの上を這うように広がり、先端部が立ち上がる形状です。葉は互生し、1cm前後で狭披針形~楕円形、葉の先端はそれほど鋭さは感じない程度に尖っているという印象です。葉の縁はほんの少し裏側の方へ反り返っており、葉裏は白みを帯びています。葉は秋には赤褐色に紅葉します。

 

花期は6~7月。細く伸びた濃赤紫色の茎から同色で短毛が確認できる花柄を1~4本伸ばし、その先端に直径1~2cmほどの淡いピンク色の小さな花を1つずつ咲かせます。
花冠は基部から4裂し、長さ7~9mmほどの裂片はカタクリの花のように外側に反り返るのが最大の特徴です、
特徴的な反り返った花弁も面白い形状ですが、その中央から突き出た部分にも注目です。
根元の濃赤紫色(花柄より少し濃い印象)の部分が子房で白い(花弁の淡いピンクに近い色)筋が入っているのが確認できます。また、子房の先端にオレンジ色の部分が束になった雄しべ、さらにその先端から雌しべが1本伸びており、まるで「芯が飛び出したシャーペン」のような形状が非常にユニークです。ただ、ツルコケモモは想像より小さな花のため、細かな形状を確認するには腹這いになって観察するか、ルーペが必要かもしれません。

 

ツルコケモモは9~10月に花の大きさでは想像できない直径1cmほどの赤く球体の実を付けます。ツルコケモモの実はその近縁種と共に「クランベリー」としておなじみで、花の大きさでは想像できない直径1cmほどの赤く球体の実を付けます。ジャムやジュースなどとして利用されます。
ある資料には、湿原は栄養分が少ないこともあり「全ての個体で花や果実を付けるわけではない」とありました。

 

ミズコケの生える湿原に咲く淡いピンク色、さらに想像より小さな花であるため、尾瀬フラワートレッキングの際にも危うく見逃してしまいそうな場面もありましたが、ツルコケモモの花を見つけるとその形状や花の美しさに魅了され、思わず撮影に夢中になってしまう花でした。

 

ツルコケモモ(蔓苔桃:Vaccinium oxycoccos)②

 

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ヒメシャクナゲ(姫石楠花:Andromeda polifolia)

先日「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」へ同行させていただきました。
中央アルプス・宝剣岳の直下に広がる千畳敷カール、長野県と岐阜県の県境に位置する北アルプス・乗鞍岳の登山口でもある乗鞍・畳平では高山植物の花々を楽しみ、北アルプス・穂高連峰の麓に広がる上高地では3日間滞在し、上高地の植生や自然風景を堪能することができました。

 

本日も尾瀬で観察した「ヒメシャクナゲ(姫石楠花:Andromeda polifolia)」をご紹介します。

 

ヒメシャクナゲ(姫石楠花:Andromeda polifolia)

 

被子植物 双子葉類
学名:Andromeda polifolia
別名:ニッコウシャクナゲ(日光石楠花)
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:ヒメシャクナゲ属(Andromeda)

 

ヒメシャクナゲ(姫石楠花)は、北海道、長野県以北に分布、海外では北半球の寒冷地に分布し、亜高山帯~高山帯のミズゴケの生える湿原などに自生するツツジ科の常緑(落葉)小低木です。

 

草丈は5~25cmと低いですが、根元では茎が地上を這うように伸び、上部が斜上しています。
葉は互生し、長さ1.5~3cmほどの細長い葉(広線形~狭長楕円形)をつけ、葉の縁が全体的に裏面の方に向けて反り返り、葉裏は白っぽいのが特徴です。

 

花期は6~7月。花は散形花序で茎頂に2~6個ほど小さなピンク色の花を付け、直径が5㎜ほどで、(私はギャンブルは一切しませんが)パチンコ玉より一回り小さいイメージです。
壺型の花の先端はおちょぼ口のようになり、先端が5裂し、ほんの少しですが先端が外向きに反り返っています。全体的に下向きに花を咲かせますが、ある資料に「花粉をアリやハエに盗まれないようにするための工夫」とありました。また、同じ資料に「恥ずかしがり屋は下向きに花を咲かせる」とあり、こちらの方がイメージにピッタリかもしれません。

 

萼と花柄も花と同色という資料が多い中、確かに同色と感じる個体もありましたが、個人的には萼、花柄の方が花本体に比べると若干濃いピンク色だった印象です。
雄しべは10本、雌しべは1本付け、上写真では雌しべの部分のみが残っている花も確認できます。また、果実は直径3~4mmの蒴果となるそうです。

 

6&7月ツアーとして設定した「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」を造成する際、尾瀬を訪れて観察したいと強く思った花の1つが「ヒメシャクナゲ(姫石楠花)」でした。湿原に咲く小さなヒメシャクナゲの花を見つけた時の喜びは今でもハッキリと覚えています(と言っても、まだ一ヶ月しかたっていませんが)。

 

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屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
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※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

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フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)

今回のブログが公開される頃、私は「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」へ同行し、お客様とともに尾瀬に咲く高山植物を楽しんでいる頃です。どんな花が観察できたか、後日報告させていただきますので、お楽しみに。

 

本日は「フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)」をご紹介します。

 

フッキソウ(富貴草:Pachysandra terminalis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pachysandra terminalis
英名:Japanese spurge
科名:ツゲ科(Buxaceae)
属名:フッキソウ属(Pachysandra)

 

5月に信州へ訪れる前、色々と調べている際に観察できる花の1つとして「フッキソウ(富貴草)」が紹介されていました。その時は「フッキソウ(富貴草)」という花のことは知りませんでした。
実際、信州へ訪れると白馬村の姫川源流自然探勝園では雨水に濡れたフッキソウを、飯綱町では土手下に群生するフッキソウなど、その他鬼無里や戸隠などでも観察することができ、非常に印象深い花の1つとなりました。

 

フッキソウ(富貴草)は、ツゲ科フッキソウ属の常緑小低木で、常緑の葉が生い茂る様子が「繁栄」と表すとされ「富貴草」と名付けられたのが由来とのことです。
日本の北海道から九州に、海外では東アジアに分布し、低地から山地の林内などに自生します。
草丈は20~30㎝の低木で、茎の上部は地面を這い、上部は斜上し立ち上がります。
葉はほんの少し厚みと硬さを感じ、やや光沢のある革質。葉柄を持ち、長さ3~5㎝ほどで倒卵形、先端部にほんの少し鋸歯が確認できます。写真をご覧いただくと多数の葉が輪生しているように見えますが、葉の付き方は互生。ある資料には「葉がらせん状につく」とあり、その表現はぴったりかもしれません。

 

花期3~5月。茎頂に長さ3~5㎝穂状花序をつけ、上部に雄花、基部に雌花を咲かせます。
フッキソウ(富貴草)は、雄花・雌花とも花弁はありません。
雄花には3~4本の白く太めの雄しべが伸び、雄しべの先端がピンク~茶褐色の葯が確認できます。写真で確認できる大半の部分が雄花です。
雌花は、基部につきますが、花柱の先端が2裂しているのが特徴です。下の写真が唯一雌花が映りこんでいた写真です。

 

信州では、ニリンソウやカタクリ、リュウキンカなどの観察がメインとなり、フッキソウは目立たず、少し地味に感じる花でしたが、何度も観察しているうちに見分けもつくようになり、次第に可憐な花に感じ始めた、印象深くも不思議な魅力をもつ花でした。

 

フッキソウ(富貴草)の雌花、どこにあるか判りますか?

 

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※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

 

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リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

「西遊通信」はお手元に届きましたでしょうか。日本国内の新企画ツアーも続々と発表しており、ホームページにも掲載しております。ご興味あるツアーがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング 
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秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
秋色に染まる尾瀬・奥日光・谷川岳を撮る

 

本日は「リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)」をご紹介します。

 

リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Caltha palustris var. nipponica
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:リュウキンカ属(Caltha)

 

リュウキンカ(立金花)は、日本では本州と九州に分布し、海外では朝鮮半島や中国にも分布します。
湿地や水辺などに自生するリュウキンカ(立金花)は、雪融けのシーズンにミズバショウの傍らで咲くことも多く、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」では水辺に咲く水芭蕉とリュウキンカ、さらには群生するニリンソウの傍らにリュウキンカが群生する素晴らしい光景を楽しむことができました。

 

草丈は15~50㎝ほどで少し太めの茎が直立します。茎は中空ですが、なかなか観察時に確認することはできません。ナイフを入れて確認してはいけませんよ。
葉は長い葉柄(葉柄を持たないものもあるという資料もあり)を持ち、長さ5~10㎝ほどで丸い葉で少し光沢が確認でき、縁には少し鋸歯も確認できます。茎の上部(茎葉)になるにつれて少し小型のものを付けます。

 

花期は5~7月。茎頂や葉腋から少し長めの花柄を伸ばして、光沢はありませんが非常に鮮やかな黄色い花を咲かせます。ミズバショウの傍らに咲くとより黄色が鮮やかに感じます。
リュウキンカ(立金花)には花弁はなく、花弁に見えるのは萼片で「花弁状の萼片」と紹介されます。花弁状の萼片は5~7枚で、雄しべは多数つけ、雌しべは4~12本と変化が多いのが特徴です。

 

和名「立金花」は、直立した茎に黄金色の花をつけることが由来です。
ブログを作成の際に色々と調べていると、「球磨焼酎」でおなじみの熊本県球磨郡にある「あさぎり町」がリュウキンカを町の花に指定しており、町の天然記念物にしていされているそうです。また、日本における自生の南限も球磨郡あさぎり町と紹介されていました。

 

雪融けの季節、水辺や湿地で色鮮やかなリュウキンカの群生に出会うと思わず気持ちが高揚します。5月に長野県飯綱町のむれ水芭蕉園に訪れた際、それまでも幾度かリュウキンカを観察できたツアーだったのですが、3日目にしてようやく晴れ間が広がったタイミング、これまで以上の群生だったので、皆さんと共にリュウキンカの群生を楽しむことができました。

 

ミズバショウの傍らに咲くリュウキンカ
リュウキンカとニリンソウの群生地

 

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※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

一旦満席!
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※高山植物の宝庫・千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキングと静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。
※7月12日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

先日、弊社ツアー「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング(8月23日出発)」の催行が決定しました。屋久島の固有種、固有変種の観察ができ、「ヤクシマ」と名のついた高山植物の観察が楽しみです。まだ残席もありますので、是非ご一緒しませんか?

 

本日は「フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)」をご紹介します。
フクジュソウ(福寿草)といえば、個人的には三重県の鈴鹿山脈・藤原岳へ雪解けの頃に訪れ、泥だらけになりながら福寿草を求めて登山したこと、泥だらけになってでも登った甲斐があり素晴らしい群生を観察できたことを今でも覚えています。

 

フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

 

被子植物 双子葉類
学名:Adonis ramosa
別名:ガンジツソウ(元日草)、エダウチフクジュソウ
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:フクジュソウ属(Adonis)

 

フクジュソウ(福寿草)は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。これまでご紹介したカタクリキクザキイチゲなどと同じくスプリング・エフェメラルとして紹介される花の1つです。
春を告げる花の1つであり、元日草朔日草(ツイタチソウ)という別名をもります。また、和名「福寿草」というのが信州を祝う意味もあり、縁起物として古くから栽培されてきました。
ある資料では、江戸時代から続く古典園芸植物と紹介されており、ミチノクフクジュソウとかけ合わせた「福寿海」など、緋色や緑色の花をつけるものなど多数の品種があるそうです。

 

草丈は15~30㎝。やや太めで紫褐色の茎が直立します。フクジュソウの茎は中実(ちゅうじつ)と解説されることがあり、茎の中身が詰まった断面をしており、ミチノクフクジュソウとの見分け方との事ですが・・・実際の観察時には断面を見るためにナイフを入れないようにして下さい。
葉は長めの葉柄を持ち、3~4回羽状複葉で細裂しています。葉裏には若干の毛が確認できるものもありますが、無毛のものもあります。

 

花期は早春の3~4月。花弁は20~30枚と多く、鮮やかな光沢があるのが特徴、資料によっては金属光沢という表現もありました。
直径3~4㎝ほどの小さな花を枝先に1~数個、上向きに咲かせます。
下の写真で若干判るかもしれませんが、花の一番外側に紫緑色の萼片が5~10枚あり、花弁より少し長い印象です(花弁と同じ長さという資料もあり)。

 

フクジュソウは、日当たりの良い時は良く開き、日当たりの悪い時は花を閉じ、また「向日性(こうじつせい)」を持つ花の1つで、花、葉、茎が太陽光の動きに合わせて動きます。
パラボラアンテナのような形状の花は、太陽の熱を効率よく集めることができ、花弁内は外気温より温かくなります。そうすることで花弁に集まった虫へ熱と花粉を与えます(ホットカーペットのような役割)。その結果、虫も体温があがり、受粉活動を活発に行うことができる仕組みです。
ある資料には、蜜腺を持たないフクジュソウが受粉活動を行う虫をおびき寄せるために発達した仕組みであると紹介されていました。

 

以前、「フクジュソウの向日性」について、社内で説明する機会があったのですが、ある社員から「自宅にある福寿草が見るタイミングによって向いている方向が違うことが疑問だった点が解消された」と言ってくれ、説明した甲斐がありました。それにしても、自宅で毎年フクジュソウを観察できるのは羨ましいい限りです。

 

フクジュソウについては、エダウチフクジュソウの事を指しますが、下記のフクジュソウ4種の総称である場合もあります。
違いに関しては、非常に難しく、実際に見分けるのは・・・簡単にご紹介します。

①フクジュソウ(エダウチフクジュソウ):自生地が北海道から九州。茎が中実。
②キタミフクジュソウ:自生地が北海道東部のみ。多毛。茎が中実。花は一株1輪。
③ミチノクフクジュソウ:自生地が東北~九州。茎が中空。萼が花弁の半分程度。
④シコクフクジュソウ:自生地が四国及び九州の一部。全草無毛。茎が中空。

 

今回掲載した2枚の写真は長野県の「姫川源流自然探勝園」にて観察したものです。当日は天気が悪く、花の開きがイマイチでしたが、それでも鮮やかな黄色いフクジュソウ(福寿草)をみつけた際には、雨など気にせず観察を楽しむことができました。

花弁の外側に暗紫色の萼片が確認できます。蟻ではありませんよ。

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! 8月23日出発が催行決定!!
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屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。