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シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)

我が家の周辺では、春の楽しみの1つであるコブシや桜も例年より早く咲き誇り、WBC日本代表の活躍に夢中になり過ぎて今シーズンはこぶしの満開時期を逃してしまいました。現在ではシャガの花が見頃を迎えています。

 

本日は、シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)をご紹介します。今回使用する写真は、弊社東京本社・村上が北海道・羊蹄山で撮影したものを拝借しております。

 

シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Glaucidium palmatum
別名:ハルフヨウ(春芙蓉)、ヤマフヨウ(山芙蓉)
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:シラネアオイ属(Glaucidium)

 

シラネアオイ(白根葵:Glaucidium palmatum)は、キンポウゲ科シラネアオイ属に属する多年草です。
以前は、シラネアオイ科として独立し1属1種として分類されていましたが、現在ではキンポウゲ科に分類されています。

 

本州・中部地方以北から北海道にかけて分布し、多雪地の山地や亜高山帯などの草地や明るい林内で地下茎を伸ばして自生・群生します。

 

草丈は花の咲くころには20cmほどで直立し、頂に薄紫色の花冠を1つ付けます。
葉は葉はカエデに似た形で、根生葉1枚と花冠付近に茎葉を3枚付け、茎葉は下2枚、上1枚に分かれます。
下の2枚は茎から長い柄を伸ばし、掌状に葉を広げ7~11中裂し、幅が20cm前後となります。上の1枚(最上部の茎葉)は柄を持たず葉が茎を取り囲むように付けます。花冠付近の3枚の葉は、柄の有無で見分けることができます。
根生葉も長い柄を持ち、掌状に5-11裂、裂片の先が鋭く尖り、不揃いな鋸歯が確認できます。

 

花期は5~7月。花茎の頂に直径5~10cmほどの薄紫色の花を1つ咲かせます。
4枚の花弁に見える薄紫色の部分は萼片で、花弁はありません。これらはキンボウゲ科の特徴の1つと言えます。
中央には雄しべを多数つけ、雌しべ(花柱)が2つ確認できます。
花後には扁平な果実をつけ、秋になると弾けて種子を飛ばします。

 

花名は日光白根山に多く生息し、タチアオイ(立葵:アオイ科の多年草)に似ているところから『シラネアオイ(白根葵)』と名付けられたとされています。「シラネアオイなのに薄紫色?」と思われていた方も、和名の由来を聞くと納得いただけるかと思います。
因みに、この種には白花種もあり『シロバナシラネアオイ』(白根葵:Glaucidium palmatum f. leucanthum)と呼ばれます。

 

花は比較的大きく、草丈も20cmと高いこともあり、登山道の片隅に淡い紫色のシラネアオイが群生して咲く姿を見ると疲れが一気に吹っ飛びます。
シラネアオイに出会った際、葉の付き方や中央部の2本の雌しべなどに注目して観察してみてください。

 

群生するシラネアオイ(白根葵)

 

<シラネアオイに出会えるツアー>
花の羊蹄山とニセコ縦走トレッキング・樽前山&オロフレ山

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白亜の大砂丘レンソイスで見つけた可憐な花

久々の花ブログの更新です。長らく更新ができず、申し訳ありませんでした。
お客様からも最近更新しなかったことで「もうやらないの?」という声も多数いただきました。中には「退社したの?」という方も(そう思っていた社員も)・・・まだまだ辞める予定は有りませんので、ご安心を。
ネタはたくさんあるのですが、種(写真)がなく、花を咲かせること(ブログ更新)ができなかったのが理由でした。
これからものんびりとしたペースで更新していきますので、お楽しみに。

 

本日は、数年ぶりに海外の花、2022年に訪れたブラジル・レンソイスで観察した「アメリカコトリミミカキグサ(Utricularia subulata L.)」をご紹介します。「えっ、レンソイスでお花?」と思われた方もいるのではないでしょうか。

 

アメリカコトリミミカキグサ(Utricularia subulata L.)

 

被子植物 双子葉類
学名:Utricularia subulata L.
別名:スブラタ と紹介される資料もありました
科名:タヌキモ科(Lentibulariaceae)
属名:タヌキモ属(Utricularia)

 

2022年8月に「白亜の大砂丘レンソイス縦断ハイキング」へ添乗員として同行させていただいた際、誰もいないレンソイスの⾵景にも驚きましたが、⼀番驚いたのが砂丘の上に咲く⼩さな花の存在でした。私⾃⾝そんなに何度もレンソイスに訪れている訳ではないですが、日帰り観光で数回訪れた中で花の存在を確認したことがなかったので、本当に驚きました。⾼⼭植物好きな私にとってはラグーンの⾵景以上に興奮した瞬間でした。

 

アメリカコトリミミカキグサ(Utricularia subulata L.)は、タヌキモ科タヌキモ属に属する食虫植物です。
「タヌキモ」と「ミミカキグサ」という名前は耳にすることがありますが、両方ともタヌキモ科タヌキモ属。「ミミカキグサとタヌキモは同じ」と思っている方も多いようです(私もその一人でした)。
タヌキモ属(ウトリクラリア:Utricularia) には、①水中に浮遊するものと②湿地に生えるものの2タイプが存在し、①をタヌキモ、②をミミカキグサという和名で区別しているそうです。

 

アメリカコトリミミカキグサは、南米、中米、アフリカ、東南アジア、オーストラリア大陸東部など広く分布し、同属の中では最も広く分布する種と紹介される資料もありました。また、日本でも帰化されたもの(外来食虫植物)があるそうで、私が調べたもので北海道、岡山県などで確認がされているとのことでした。

 

私が観察したのは、ほんのりと地下水が染み出たレンソイス砂丘の麓でした。
花序は直立し、高さ15~20cmほど、花柄が上向きに数本伸びており、その先端に1cmに満たない小さな黄色い花を咲かせます。
花弁は他のミミカキグサにも見られる上唇部と下唇部に分かれており、アメリカコトリミミカキグサは上唇は広卵形、下唇は深く3裂しています。
アメリカコトリミミカキグサは一年草に分類される種で、夏に黄色の花を咲かせ、秋には種を実らせて株は枯死するそうです。自然に種子が飛び散り、繁殖する性質を持っており、その繁殖力はすさまじいようです。
アメリカコトリミミカキグサ(タヌキモ科)は、過酷な環境の中で地下茎(地表に張り付くように茎を横に伸ばしているそうです)や葉に捕⾍嚢(ほちゅうのう︓捕まえるための袋状の器官)を付けていて、⼩さな⾍などを捕⾷して⾃⽣しています。

真っ青な青空の中、真っ白な大砂丘に咲く可憐な花。雄大な景色を堪能していると、見落としてしまうかもしれません。
白亜の大砂丘に咲く可憐な花に出会うため、是非レンソイスへ訪れてみてください。日帰りで訪れる観光では観察できないかもしれませんので、是非縦断ハイキングへ。

 

ミミカキグサと言えば、数年前にギアナ高地のあるテプイ(卓状台地)の上でどんでもない種を観察したのを思い出しました。ご紹介は・・・またいずれ。

 

<アメリカコトリミミカキグサを観察したツアー>
白亜の大砂丘レンソイス縦断ハイキングと大瀑布イグアスの滝
※ツアーでは2泊3日のハイキング(1日3~4時間)をしながら白亜の大砂丘レンソイスを満喫!

白亜の大砂丘でハイキングを楽しむ
星降るレンソイスでキャンプ泊
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フタリシズカ (二人静:Chloranthus serratus)

本日は、先日ご紹介したヒトリシズカ(一人静:Chloranthus quadrifolius) の近縁種である「フタリシズカ (二人静:Chloranthus serratus) 」をご紹介します。

 

フタリシズカ (二人静:Chloranthus serratus)

 

被子植物 双子葉類
学名:Chloranthus serratus
科名:センリョウ科(Chloranthaceae)
属名:チャラン属(Chloranthus)

 

フタリシズカ (二人静:Chloranthus serratus) は、ヒトリシズカ(一人静)と同様にセンリョウ科チャラン属に属する多年草です。
日本では北海道から九州、海外でも東アジアに分布し、山野の林床に自生します。
今回掲載した写真は5月に屋久島を訪れた際、黒味岳を目指す淀川登山口で観察したものです。

 

ヒトリシズカ(一人静)は、花を静御前の美しい舞姿に例えられ、名付けられたものですが、フタリシズカ(二人静)は2本の花序を源義経を愛した静御前の亡霊が舞う能楽『二人静』における静御前とその亡霊の舞姿にたとえたものに由来します。

 

草丈は30~60cmで直立し、茎はヒトリシズカのような紫褐色の部分も確認はできる個体もありましたが、全体的に葉と同様に緑色です。
葉は茎の上部に2~3対がほんの少し間隔をあけて対生します。
ヒトリシズカは葉が2対の葉が十字対生するのに対し、少し間隔をあけて対生する点が違いの1つです。

 

葉は5~15cmの楕円形~卵状楕円形で縁全体に鋸歯が確認でき、葉に光沢はありません。上の写真は光沢があるように見えますが、雨天だったことで雨に濡れて輝いているだけです。
葉に光沢があるのがヒトリシズカ、光沢が無いのがフタリシズカとなり、この点も違いの1つです。

 

花期は4~6月。茎頂に長さ5cm前後の穂状花序を1~5本つけます。長さ5cm前後の花序には直径2~4mmの真っ白な花を幾つも付けていますが、実は、ヒトリシズカと同様、フタリシズカの花にも花弁、萼がありません。
真っ白な花のように見えるものは、雄しべの花糸の部分。3つの花糸がくっついて椀状(野球のグローブの様)になっています。
色々と調べてみると、内側に雌しべ(子房、柱頭)があり、外側の花糸に葯が付いているそうですが、直径2~4mmの形状からこれらを観察するにはルーペが必要ですが、次回はこの点は観察したい、宿題です。

 

あるブログ記事に、ヒトリシズカ(一人静)とフタリシズカ(二人静)の違いを判りやすくまとめていたものがありましたので、ここでご紹介します。

 

<ヒトリシズカとフタリシズカの違い>
■花序の数
ヒトリシズカは1~2つ、フタリシズカは1~5つ
■花の形(花弁は無い)
ヒトリシズカは細長い雄しべ、フタリシズカは丸い雄しべ
※この点が見た目に違いが明確です。
■葉の光沢
ヒトリシズカは光沢があり、フタリシズカは光沢がない
■草丈
ヒトリシズカは10~30cm、フタリシズカは30~60cm

 

上記「花の形」の違いから一目瞭然のため、イチリンソウとニリンソウの違いほどややこしくはありませんが、観察の機会がありましたら、是非見比べてみて下さい。

 

ヒトリシズカ (一人静:Chloranthus quadrifolius)
フタリシズカ (二人静:Chloranthus serratus)
※葉は雨に濡れているだけです
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ヒトリシズカ (一人静:Chloranthus quadrifolius)

約3ヶ月、ブログ更新が途絶えておりました。その間、添乗員とし手同行させていただいた岐阜県・北飛騨の森でミズバショウを観察し、屋久島で固有種の花の観察を楽しませていただいていました。
また、海外渡航における水際対策も大きく緩和され、秋~年末年始のツアー造成に励んでおり、私も8月にブラジルレンソイス縦断ハイキング、9月にカナダ・アルゴンキン州立公園でカヌートリップへ同行させていただきます。また、先日パタゴニア関連ツアーを発表しましたので、是非ご覧ください。

 

本日は、ヒトリシズカ (一人静:Chloranthus quadrifolius) をご紹介します。

 

ヒトリシズカ (一人静:Chloranthus quadrifolius)

 

被子植物 双子葉類
学名:Chloranthus quadrifolius
別名:ヨシノシズカ(吉野静)
科名:センリョウ科(Chloranthaceae)
属名:チャラン属(Chloranthus)

 

ヒトリシズカ (一人静:Chloranthus quadrifolius) は、センリョウ科チャラン属の多年草。日本では北海道から九州まで幅広く分布し、山地の林床などに自生します。

 

花名(一人静)は、花を静御前の美しい舞姿に例えられ、名付けられたものです。
ある資料には、古くは「吉野静」と呼ばれ、『和漢三才図会』(1712年) に「静とは源義経の寵妾にして吉野山に於て歌舞のことあり。好事者、其美を比して以って之に名づく」とその由来が記されている、とありました。

 

茎は紫褐色で直立し、高さは20~40cmほどまで伸び、茎にいくつかの節が見られるのが特徴です。葉は茎頂に4枚の葉が輪生状に対生します。芽吹き始めた当初は赤褐色ですが、次第に上写真のように緑色に変化します。
資料によっては茎も成長すると緑色に変化するとありましたが、私が観察した時には茎は紫褐色でした。
4枚の葉は短い葉柄を持ち、大きさは3~4cmほど、楕円形~卵状楕円形で縁全体に鋸歯が確認でき、先端が尖っているのが特徴です。
葉は非常に色鮮やかな濃緑で、光沢もあります。色々と調べていると大半の資料に「葉には艶がある」と表記されています。このあたりは静御前の美しさを意識して「艶」という言葉を選んでいるのかな、と勝手に推測しています。
でも、「艶」という言葉がぴったりなほど、色鮮やかな葉が印象的です。

 

花期は4~5月。私がヒトリシズカ(一人静)を観察したのはGW、岐阜県の宇津江四十八滝の遊歩道でした。
茎頂に輪生状に対生する4枚の葉の中央に長さ3cmほどの穂状花序を1つ付けます。
ヒトリシズカの花には花弁、萼がありません。1本の雄しべ(白く伸びる花糸)が3分岐し、通常花糸の先端に付く葯(花粉を貯める袋)は花糸の基部についているのが特徴です。よく観察すると白く伸びる花糸の基部に淡い黄色の葯も確認できます。
ある資料には、3分岐する雄しべの花糸のうち、基部に葯が付くものは2つ、中央の花糸には葯はない、とありました。この点は次回の観察時の宿題です。

 

ご存知の方もいるかもしれませんが、「フタリシズカ(二人静)」という名の花もあります。私も先月屋久島で観察しました。
その違いは・・・次回ご紹介します。

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ネコノメソウ(猫の目草:Chrysosplenium grayanum)

長らく更新が途絶えておりました。月末あたりに皆様のお手元に届く予定の西遊通信に掲載する日本国内・海外ツアーの新企画の造成などに励んでいました。カナダでカヌートリップ白亜の砂丘レンソイスで縦断ハイキングなど、是非注目してみてください。

 

その間、我が家の近所にコブシ(モクレン科)の花が満開となり、さらに通勤路の途中の銀行の脇に設置された花壇にフッキソウ(ツゲ科)が満開に咲き誇っていました。本格的な春の到来を感じられた1週間でした。

 

本日は、ネコノメソウ(猫の目草:Chrysosplenium grayanum)をご紹介します。

 

ネコノメソウ(猫の目草:Chrysosplenium grayanum)

被子植物 双子葉類
学名:Chrysosplenium grayanum
科名:ユキノシタ科(Saxifragaceae)
属名:ネコノメソウ属(Chrysosplenium)

 

ネコノメソウ(猫の目草)は日本固有の花で北海道、本州、九州北部に分布(本州以北という資料もあり)し、主に沢沿いや湖畔などの湿った場所に自生します。私も昨年5月に長野県・中綱湖の湖畔で群生するネコノメソウ(猫の目草)を観察しました。

 

草丈は5~20cm。匍匐茎(ほふくけい:植物において、地上近くを這って伸びる茎:走出枝とも)をマット状に伸ばし、匍匐茎の節から根を下ろします。
少し太い印象の花茎から、5mm程度の葉柄を伸ばして卵円形で可愛らしい茎葉を出し、直径が5~15mmほどの小さく可愛らしい葉が対生しています。形状としては基部が丸みを帯びており、丸い鋸歯があるのが特徴です。

 

花期は4~5月。花序を包むように苞葉(蕾を包むように葉が変形した部分)がつき、茎葉と同じ形状・大きさですが黄緑色を帯びているのが印象的です。花後には苞葉は緑色に変化していきます。

 

中央部分に小さな花の部分がありますが、ネコノメソウ(猫の目草)には花弁はありません。
ネコノメソウ(猫の目草)の形状としては、長さ0.5mmほどの4本の雄しべを包み込むようにして周りの苞葉に比べて黄色味の強い色合いをした4つの萼裂片(長さ1mmほど)が直立しています。雄しべの葯の部分はその萼裂片よりさらに黄色味が強く、どちらかと言えば山吹色のような色合いをしています。
雌しべはさらに短く、2本の花柱が直立し、花柱の下位に子房(受粉して果実になる部分)も確認できるそうですが、ほとんど目立ちません。

 

『猫の目草』という面白い和名ですが、果実が深く、細く裂開した様子が同行が縦に狭くなった昼間のネコの目に似ていることが名の由来とのことです。
ここまで観察するにはピンセットとルーペが必要なレベルの小ささです。興味がある方は花を傷つけないよう、ご注意ください。

 

花後に近いネコノメソウ(猫の目草:Chrysosplenium grayanum)

 

■注目! 4月29日出発 催行決定! 5月16日出発も間もなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング

※北飛騨の森にミズバショウが咲く季節です!

 

■注目! 5月23日出発 催行決定まであと一歩!!
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※シャクナゲの花咲く季節!興味深い植生の屋久島へご一緒しませんか?

 

■注目! 7月10日出発 催行決定まであと一歩! 6月26日出発コースは満席!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※尾瀬に咲く花が最盛期を迎える季節です!

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日本・世界に咲くフウロソウの花々

3月に入り、通勤の道中にあるコブシの花の蕾が少しずつ膨らみ始め、ようやく春の訪れを感じられる季節となりました。これからはコブシの花を始め、彩り豊かな通勤路の風景が楽しめるようになり、楽しみで仕方ありません。

 

先日までフウロソウ科の花を続けて紹介していましたが、色合いや微妙な形状の違いをご覧いただくため、本日はこれまでご紹介したフウロソウ科の花の写真を掲載させていただきます。色合いなど、多少の個体差がありますので、ご了承ください。
※花ごとの詳しい解説は、花名をクリックしてみてください。

 

被子植物 双子葉類
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)
花期:7~8月

 

■チシマフウロ(千島風露:Geranium erianthum)
チシマフウロ(千島風露)は、本州北部では亜高山帯や高山帯に分布し、北海道は海岸地帯にも分布・生育します。海外ではサハリン、千島列島、北太平洋沿岸域からカナダ北西部まで分布します。

 

■エゾフウロ(蝦夷風露:Geranium yesoense var. yesoense)
エゾフウロ(蝦夷風露)は、北海道の太平洋側の海岸線沿いや原野、本州中部まで分布する日本固有種で、ハクサンフウロの基本種です。

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)
ハクサンフウロ(白山風露)は、本州(東北地方~中部地方、伊吹山まで)に分布し、亜高山帯~高山帯の草地に自生し、学名からも判るとおり日本固有種です。和名は石川・岐阜両県にまたがる白山に因んで名付けられました。

 

■グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)
北海道、本州(中部地方以北:福島県・磐梯山から滋賀県・伊吹山に分布と記載の資料もあり)に分布し、山地~亜高山帯の草地に自生します。科名のグンナイ(郡内)とは、山梨県東部にあった都留郡(つるぐん:現在の北都留郡、南都留郡)で最初に発見されたことが由来です。

 

■ゼラニウム・ピレナイクム(Geranium pyrenaicum)
ピレナイクム(pyrenaicum)という種小名は「ピレネー山脈の」という意味で、花図鑑によっては「ピレネーフウロ」と紹介されています。原産国はスペイン・ピレネー山脈ですが固有種ではなく、ヨーロッパ・アルプスや北欧など広く分布します。

 

■ゼラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)
ヨーロッパ各地に分布し、平地の草原や山岳地帯などに自生し、日本の図鑑で「クロバナフウロソウ(黒花風露草)」と紹介され、暗紫色が印象的なフウロソウです。

 

■ゼラニウム・サクサチレ(Geranium saxatile)
最後は、中央アジアのキルギスに咲く「ゼラニウム・サクサチレ(Geranium saxatile)」です。パミール川とワハーン川の合流地点を眺めながらゾルクル湖を目指す道中で満開に咲く風景を観察できました。こちらの花は、いつの日かご紹介します。

満開に咲くゼラニウム・サクサチレ(Geranium saxatile)

 

■注目! 4月29日出発 催行決定まであと一歩!!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森にミズバショウが咲く季節です!

 

■注目! 5月23日出発 催行決定まであと一歩!!
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※シャクナゲの花咲く季節!興味深い植生の屋久島へご一緒しませんか?

 

■注目! 7月10日出発 催行決定まであと一歩! 6月26日出発コースは満席!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※尾瀬に咲く花が最盛期を迎える季節です!

 

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ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)

本日は「ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)」をご紹介します。

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium yesoense var. nipponicum
別名:アカヌマフウロ
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)は、フウロソウ科フウロソウ属に分類される多年草です。
和名は石川・岐阜両県にまたがる白山に因んで名付けられましたが、母種はエゾフウロ(蝦夷風露、学名:Geranium yesoense)となり、ハクサンフウロは変種となります。

 

本州(東北地方~中部地方、伊吹山まで)に分布し、亜高山帯~高山帯の草地に自生し、学名からも判るとおり日本固有種です。
今回掲載の写真は、弊社の山ツアー班の堤、楠が朝日連峰や北岳で観察したものです。

 

草丈は30~80cm、茎には下向きの伏毛(ふくもう:茎や葉などの面に密着して寝ている毛)が確認できます。
葉は掌状に5深裂し、裂片はさらに細かく2~3中裂しており、大きさは5~10cmほどです。葉には毛が多く、表面には細毛、縁や裏面脈上には粗い毛が確認できます。秋には紅葉し、花が終わった後にも楽しみが待っています。

 

花期は7~8月。葉腋から伸びた柄に直径2~3cmほどのピンク色の花を2つずつ咲かせます。色はピンク色ですが、個体によって色の濃淡に差がある印象です。
前回ご紹介したグンナイフウロ(郡内風露)ほどではありませんが、花弁基部には白い軟毛も確認できます。
花弁は5枚で花弁の先端には切れ込みは見られません。花弁にある5~7条の脈は花弁の色よりほんの少しだけ濃いピンク色や淡い紫色の脈が見られます。
雄しべは花冠の中央に10本並び、まずは5本が先に熟すそうです。萼にも花弁の表面のような5~7条の脈があり、下向きの伏毛が確認が見られ、花柄にも向きの屈毛(先が曲がった毛)が見られます。
私も萼の部分の毛の形状まで確認をしたことがありませんので、次回の宿題です。
因みに、イブキフウロは、萼に開出する毛が見られるそうです。

 

フウロソウ科の花は北海道も含め、種類が多く紛らわしいですが、中部地方の方で観察できるフウロソウでピンク色のものはハクサンフウロとイブキフウロのみとなるという資料もありました。

 

フウロソウの見分け方は正直難しいです。ただ、どれも可憐な花であることに変わりはありませんので、正直「フウロソウ」とひとまとめで覚えてしまっているところもあります。1つのフウロソウの特徴をゆっくりと観察し、違いを確認するのも楽しいかもしれません。
次回、これまで紹介したフウロソウの花を一気にご紹介したいと思います。

 

ハクサンフウロ(白山風露:Geranium yesoense var. nipponicum)

 

<春~夏の花の観察ツアー>
5月23日出発 催行まであと一歩!!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 催行決定!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く
※5月は上高地にニリンソウが、宇津江でクリンソウが咲く季節

 

6月26日出発 催行決定!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング
※尾瀬ヶ原でウラジロヨウラクやナガバノモウセンゴケの観察へ!

 

7月10日出発、7月17日出発 間もなく催行!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

 

※7月18日出発、7月25日出発 間もなく催行!
花の北海道フラワーハイキング
※世界遺産・知床から「神々の遊ぶ庭」大雪山の花園をめぐる

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グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)

■注目! 6月26日出発コース 催行決定!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※尾瀬に咲く花が最盛期を迎える季節です!

 

■注目! 催行決定まであと一歩!!一緒に植生観察を楽しみませんか?
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)

 

花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※4月29日出発 まもなく催行!(北飛騨の森にミズバショウが咲く季節)


 

本日は「グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)」をご紹介します。

 

グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)

 

被子植物 双子葉類
学名:Geranium onoei var. onoei f. onoei
科名:フウロソウ科(Geraniaceae)
属名:フウロソウ属(Geranium)

 

グンナイフウロ(郡内風露)は、フウロソウ科フウロソウ属に分類される多年草です。科名のグンナイ(郡内)とは、山梨県東部にあった都留郡(つるぐん:現在の北都留郡、南都留郡)で最初に発見されたことが由来です。

 

北海道、本州(中部地方以北:福島県・磐梯山から滋賀県・伊吹山に分布と記載の資料もあり)に分布し、山地~亜高山帯の草地に自生します。
今回掲載の写真は昨年7月に上高地の河童橋から徳沢を目指す奥上高地自然探勝ハイキングを楽しんでいる際に観察したものです。

 

草丈が30~50㎝ほど。
葉は花に比べて比較的大きく、幅5~12cmほどで掌状に5~7深裂し、それぞれの裂片がさらに浅裂(細かくギザギザ)しています。
おもしろいのが葉の付き方です。基本は茎葉は互生しているようですが、最上部では対生しているそうです。私もそこまで深く観察したことがないので、次回じっくり観察してみたいと思います。

 

茎、葉柄には開出毛(かいしゅつもう:茎や葉などの面に対して直角に伸びている毛)と腺毛(せんもう:先端が小球状に膨らんでいて液体を分泌する毛)が確認できます。資料によっては茎の上部は腺毛が多いとのことでした。また、葉の両面にも開出毛が確認でき、裏面には腺毛が混じるそうです。
この点も「粗めの毛がつく」という認識だったので、直角に伸びる開出毛、腺毛の違いなど、次回の観察の際の宿題としないといけません。

 

花期は6~8月。高原に咲くハクサンフウロ(白山風露:次回紹介予定)などより、1ヶ月ほど早く花を咲かせると言われています。
茎の上部で枝分かれした花枝の先に集散状(10個前後)に直径2.5~3cmほどの花を咲かせ、雄しべは5本ずつ2列に並びます。
花の色は淡紫色~濃紫色と個体によって変異があり、今回掲載した上高地で観察したもの(それぞれ別の場所で観察)は白色と言ってよいほど淡い色合いでした。
資料によっては、白花のものは「シロバナグンナイフウロ(白花郡内風露)」と紹介されており、これも一種の変異とされているとのことでした。
フウロソウ科の花の特徴ともいえる花弁にある5~7条の脈もグンナイフウロでも確認できますが、上高地で観察したものは白色に近い花弁に淡い紫色の脈が付いており、何とも言えない上品さを感じる色合いの組み合わせでした。

 

花柄、萼(卵型で先端が尖る形状)にも葉柄などと同じく開出毛と腺毛が確認できます。また、ユニークなのが花床(花の中央部)に長く白色の軟毛が確認できる点です。これは他のフウロソウ科の花にも見られますが、ここまで明確に確認できるのは他にはないかもしれません。

 

[近縁種]
■タカネグンナイフウロ:高山性で花色が濃く。葉裏の脈上にのみ毛がある。
■エゾグンナイフウロ :毛が少なく花色が濃い。

 

フウロソウ科の花は、ひとまとめに「フウロソウの花」として覚えてしまいがちですが、1つ1つの違いを見分けてみると興味深いものです。
今回のグンナイフウロ(郡内風露)と見分けていただくため、次回はハクサンフウロをご紹介します。

 

グンナイフウロ(郡内風露:Geranium onoei var. onoei f. onoei)

 

<春~夏の花の観察ツアー>
まもなく催行!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く
※5月は上高地にニリンソウが、宇津江でクリンソウが咲く季節

 

6月26日出発 催行決定!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング
※尾瀬ヶ原でウラジロヨウラクやナガバノモウセンゴケの観察へ!

 

7月10日出発、7月17日出発 間もなく催行!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

 

※7月18日出発、7月25日出発 間もなく催行!
花の北海道フラワーハイキング
※世界遺産・知床から「神々の遊ぶ庭」大雪山の花園をめぐる

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センジュガンピ(千手岩菲:Lychnis gracillima)

■注目! 催行決定まであと一歩!!一緒に植生観察を楽しみませんか?
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)

 

花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※4月29日出発 まもなく催行!(北飛騨の森にミズバショウが咲く季節)


 

本日は「センジュガンピ(千手岩菲:Lychnis gracillima)」をご紹介します。

 

センジュガンピ(千手岩菲:Lychnis gracillima)

 

被子植物 双子葉類
学名:Lychnis gracillima
科名:ナデシコ科(Caryophyllaceae)
属名:センノウ属(Lychnis)

 

「センジュガンピ(千手岩菲)」は、ナデシコ科センノウ属の多年草。
センノウ属はあまり聞きなれない属名ですが、京都市右京区、五山送り火の一つ鳥居形が点火される曼荼羅山(まんだらやま)の山頂にかつて建てられていた仙翁寺(せんおうじ)に咲く「仙翁花(せんのうげ/せんのうけ)」というナデシコ科の多年草(学名:Lychnis bungeana Senno)が由来とされています。元々は中国原産とされ、古くより観賞用、特に茶花として栽培されてきたそうです。
本州内の中部地方から東北地方に分布し、山地、亜高山帯の林内などに自生します。
私も昨年7月に上高地の河童橋から徳沢を目指す奥上高地自然探勝ハイキングを楽しんでいる際に観察しました。

 

草丈は30~100cm。細い茎が真っすぐに伸び、よく観察すると茎に軟毛が確認できます。5~15㎝ほどの細長い披針形で先が鋭く尖る葉が対生し、葉柄はありません。

 

花期は7~8月。まっすぐに伸びた茎の頂に直径約2cmほどの小さく白い可憐な花を数個咲かせます。
花弁は5枚で花弁の先端が浅く2裂、それぞれの裂片がさらに浅く不規則に裂けています(歯牙状と表記される資料も)。個人的には「ナデシコの花は花弁が2裂や不規則(ギザギザ)に裂けている」というふうに覚えています。
5枚の花弁には、各花弁に2枚ずつ付属帯と呼ばれる短く小さな花弁のようなものも確認できます。雄しべは2列に分かれ、計10本ついています。
花の直径が2㎝ほどと小さいため、各花弁に付く付属帯や雄しべなどを確認するのは大変でルーペが必要なほどですが、是非確認してみてください。

 

センジュガンピ(千手岩菲)は、中国産の「ガンピ(岩菲)」の花によく似ており、栃木県日光・中禅寺湖の西端にある千手ヶ浜(日光開山の祖である勝道上人が、かつてそこで千手観音を見て建てたといわれる千手観音堂があった場所)で発見されたことが名の由来です。
名の由来の千手ヶ浜のことを調べていると、6月にはクリンソウが咲き誇るスポットのようです。

 

白く小さな花は散策道中では見逃しやすいですが、センジュガンピは草丈が高いため、比較的目立つ花の1つです。夏に上高地など林間でのフラワーハイキングを楽しむ際には、見逃さずじっくりと観察してみてください。

 

センジュガンピ(千手岩菲:Lychnis gracillima)

<春~夏の花の観察ツアー>
まもなく催行!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
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※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

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※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く
※5月は上高地にニリンソウが、宇津江でクリンソウが咲く季節

 

6月26日出発 まもなく催行!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング
※尾瀬ヶ原でウラジロヨウラクナガバノモウセンゴケの観察へ!

 

7月10日出発、7月17日出発 間もなく催行!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

 

※7月18日出発、7月25日出発 間もなく催行!
花の北海道フラワーハイキング
※世界遺産・知床から「神々の遊ぶ庭」大雪山の花園をめぐる

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ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔:Drosera anglica)

■注目! 催行決定まであと一歩!!一緒に植生観察を楽しみませんか?
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※5月23日出発  まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)

花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※4月29日出発  まもなく催行!(北飛騨の森にミズバショウが咲く季節)

 


本日は食虫植物の1種「ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔:Drosera anglica)」をご紹介します。

 

ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔:Drosera anglica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Drosera anglica
科名:モウセンゴケ科(Droseraceae)
属名:モウセンゴケ属(Drosera)

 

ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔)は、モウセンゴケ科に属する多年草です。
「苔(コケ)」と名が付いていますが、花が咲き、種子も作る高等植物に分類され、コケ類ではありません。

 

北半球の寒帯、低地~亜高山の湿地に生息し、日本では北海道の一部(サロベツ原野、大雪山系)、本州以南では尾瀬にしか生息していません。海外では、アメリカ北部、カナダ、ヨーロッパに自生する稀少種です。
私がナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔)を観察したのは、昨年6月に訪れた尾瀬ヶ原でした。
ある資料には、ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔)の南限は尾瀬とされていたそうですが、「ハワイのカウアイ島の高所で新たな生息地が発見された」とありました。

 

葉は全て根生し、直立または斜上し、長さ5~10cmほどの濃紅色で長い葉柄を延ばした先端に長さ3~4cmほどの葉をつけます。
モウセンゴケの葉と言えば円形というイメージを持つ方が多いと思いますが、ナガバノモウセンゴケの葉は先端が丸く葉柄に近くなるにつれて細くなるイメージの線状倒披針形で、資料によってはヘラ状と表記するものあります。この形状が「ナガバノ(長葉の)」という名の所以です。

 

線状倒披針形の葉の縁と表面には粘着物質を出す長い腺毛(葉柄と同じく濃紅色)が見られます。印象としては縁の腺毛の方が長く、表面の腺毛は縁のものに比べて半分以下の短さです。
腺毛から出される粘液は甘い香りを出し、香りに釣られてやってきた虫が葉につくと粘液から逃れられなくなり、虫を消化吸収する仕組みとなっています。火山島や湿原などやせた土地では、足りない栄養素を昆虫などから補給し生息します。
不思議なことに葉の裏面には腺毛はついていません。
上の写真をよくご覧いただくと、葉の表裏が分かりますので、ご確認ください。

 

花のブログですが、今回掲載する写真は「ナガバノモウセンゴケの葉」しか写っていません。
花期は7~8月。長さ10~20cmほどの花茎を伸ばし、先端部分で枝分かれし、それぞれの枝先に直径1cm未満で真っ白な花を咲かせます。
花弁は5枚の離弁花で、ウメバチソウに似た可憐な花の姿です。
ある資料には「サソリ花序」と表記されており、「花軸の先端に花がつき、その下から枝が1本出て花をつけ、次は反対側に分枝し、方向が交互に変わるもの」をいうそうです。
ナガバモウセンゴケは、葉の丸いモウセンゴケとの間で「サジバモウセンゴケ(Drosera x obovata)」と呼ばれる雑種を作るそうです。

 

実は、私はナガバノモウセンゴケも含むモウセンゴケ科の花は観察したことがありません。
以前訪れたギアナ高地のチマンタ山塊(ベネスエラ)で観察した同じモウセンゴケ科のドロセラ・ロライマエ(Dorosera roraimae)を観察した際、蕾は観察したのですが、真っ白な花はまだ観察をしたことがありません。

ナガバノモウセンゴケは、尾瀬では6月でも観察は可能ですが、7月中旬ごろにはナガバノモウセンゴケも花も観察ができる可能性があるそうです。
今年の夏は、ナガバノモウセンゴケなど様々な植生を楽しみに、是非ご一緒に尾瀬に訪れてみませんか。

 

ナガバノモウセンゴケ(長葉の毛氈苔):表面に腺毛がないので、葉の裏面です

 

<春~夏の花の観察ツアー>
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5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
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5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く
※5月は上高地にニリンソウが、宇津江でクリンソウが咲く季節

 

6月26日出発 まもなく催行!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング
※尾瀬ヶ原でウラジロヨウラクやナガバノモウセンゴケの観察へ!

 

7月10日出発、7月17日出発 間もなく催行!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
https://www.saiyu.co.jp/itinerary/new/GJNA31/
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

 

※7月18日出発、7月25日出発 間もなく催行!
花の北海道フラワーハイキング
※世界遺産・知床から「神々の遊ぶ庭」大雪山の花園をめぐる