渡り鳥の楽園・春の飛島2024

Report by 簗川堅治 / 2024年5月11日~13日

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所狭しとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今春は……?

 

1日目。一足早く島に入っていたガイドの簗川ですが、なんて言うことでしょう!島に鳥がいません。珍鳥どころか、普通種もいない有様。本当にほとんどいません。原因は晴天続きなことが考えられます。鳥が島に降りるのは、理屈上は天気が悪い時です。大海原を渡っている時に天気が崩れると、緊急避難的に島に降ります。逆に天気がいいと、島には降りませんし、島にいたものは飛び立っていきます。そんな中でのスタートとなりました。まずは昼食をとりながら、小さなダムでムシクイやヒタキ待ち。しかし、コサメビタキが出てきたくらいで、芳しくありませんでした。

コサメビタキ(撮影・大林様)
コサメビタキ(撮影・大林様)

続いて、校庭方面へ。到着早々、シマアオジ♀タイプを見ることができました。これはラッキー!コホオアカもいましたが、なかなかいい所に出てきませんでした。

シマアオジ♀タイプ(撮影・大林様)

今度は移動し、マミジロキビタキ♂待ち。しかし、これは出てこず、もしかしたら渡っていったのかもしれません。さらに移動し、ダム湖畔へ。コサメビタキ、エゾビタキが乱舞していました。イスカが上空通過。奥には飛島的珍鳥のセイタカシギの姿も。最後はまた校庭へ行き、コホオアカを観察できました。

 

2日目。早朝は希望者のみ校庭で観察としましたが、結局、全員集合しました。シマアオジとコホオアカが並んで採餌していました。

シマアオジ♀タイプ(左)とコホオアカ (撮影・大林様)

鼻戸崎、ヘリポートもほとんど鳥影なし。マミチャジナイが梢に止まったくらいでした。寂しい限りです。しかし、宿に入る直前、またまたシマアオジ♀タイプが現れました!

シマアオジ♀タイプ(撮影・高橋様)

朝食後は南からスタートです。定番のアマツバメ、ハヤブサを観察。ハヤブサは♀が食事中でした。

アマツバメ(撮影・高橋様)

1の畑、2の畑もほとんど何もいません。昼食がてら、荒崎へ行きました。名物のカンムリウミスズメの姿はありませんでしたが、ツメナガセキレイの亜種キタツメナガセキレイ夏羽だけは、何とか見ることができました。四谷ダムのメンバーは昨日とほぼ同じでした。ただ、セイタカシギは抜けたのか、姿はありませんでした。山グラウンドで休憩していると、ぽつぽつと雨が!鳥もほとんどいないし、予定を変更し、校庭に寄って宿に戻ることとしました。校庭はコホオアカやノジコがいたくらいで、この日を終えました。

コホオアカ(撮影・高橋様)
ノジコ(撮影・大林様)

3日目。朝から雨です。欠航かと思いきや、無事、出航でしたので、時間がもったいないこともあり、雨の中、校庭方面へ向かいました。道中、カラスバトを見て、運よく撮影できた方もいました。

カラスバト(撮影・大林様)

校庭では、シマアオジ♂が一瞬でしたが、目の前に下りてきてくれました。

シマアオジ(撮影・大林様)

鼻戸崎やヘリポートも回りましたが、特に鳥はいませんでした。でも、綺麗なオオルリが印象的でした。

オオルリ(撮影・高橋様)

天気が良すぎて生憎、鳥はいませんでしたが、これも離島の宿命です。次回はきっといい鳥に出会えることを期待しながら、解散しました。

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2021年5月6日~11日

 

出発前の予報では、予定通り初日の7日は出航するものの、帰りの日の9日、そしてその次の10日は欠航の可能性が高いようでしたが、ツアーは予定通り行うこととなりました。

 

まずは初日。この日は全国的に暖かくなる予報で、穏やかな中、スタートしました。宿泊先前には昨日まで珍鳥セグロサバクヒタキ♀がいたのですが、渡っていってしまったようで、その姿はありませんでした。残念!

キビタキ(撮影:樽井一郎様)

お昼をとりながら、ダムサイトでヒタキやムシクイの観察です。早速、キビタキ♂が現れました。

なかなか奥から出てきませんでしたが、最終的には目の前で見ることができました。他、エゾムシクイなども見ることができました。

キマユホオジロ(撮影:樽井一郎様)

続いて3の畑です。コウライウグイス情報がありましたが、現れず。小休憩をしたあと、お花畑と呼ばれる畑へ。道中、現れたのは珍鳥キマユホオジロです。草地にいて、なかなかじっくりと観察撮影できずにいたところ、珍鳥コホオアカも登場。なんと珍鳥2羽並んでの採餌を見ることができました。さすが飛島ならではの光景です。肝心のお花畑は、お目当てのシマノジコはいなくなっていたようです。その後、マミジロキビタキやムギマキ情報があったので立ち寄りましたが、残念ながら見られず。最後は校庭で、コホオアカ、ホオアカ、ノジコなどを見て、この日を終えました。

 

2日目。朝食前に校庭に行きました。風がやや強いです。鳥影はあまりなく、種類も昨日とあまり変わり映えしませんでした。そんな中、寺島の住人、ハヤブサが現れ、小鳥たちは一斉に藪へと消えました。朝食後はカラスバトに挑戦です。とあるポイントで待つことしばし。「グルル……グルル……」と飛翔時に発する独特の鳴き声を出しながら、カラスバトが現れ、枝に止まりました。ちょっと枝被りながらも姿が見えるところに止まってくれ、全員姿を見ることができました。

 

アマツバメとウミネコの営巣地を見たあとは、ハヤブサです。子育て中と思われるハヤブサ。苦労の末、こちらも見ることができました。今度は畑を回ります。しかし、晴れ続きなので鳥影はまばらです。離島の宿命です。ムギマキのさえずりや綺麗なオオルリを確認したくらいでした。お昼になり、ダムサイトで昼食をとりながら、鳥待ちです。ここでも現れる鳥たちは昨日と変わり映えしませんでした。どうにも、うまくいきません。すると、オジロビタキ♂情報が入ったので、現場へ向かいました。

コサメビタキ(撮影:浅井賢治様)

現場到着。複数のコサメビタキを中心に、キビタキ、センダイムシクイ、エゾムシクイなどがフライングキャッチをしている姿がありました。

ムギマキ(撮影:浅井賢治様)

目の前まで飛んできては虫を捕らえ、翻って戻っていきます。軽業です。すると、ムギマキ♂が現れました。しかし、全員ゆっくりと見ることはできず、どこかへ行ってしまいました。また、肝心のオジロビタキ♂も見当たらず。小休止を挟み、山グランドでムギマキを探します。複数いるとの情報です。探し始めて間もなく、まずは1羽目。♀の若い個体のようです。それにしても、止まったと思うとすぐに飛んで、なかなか思うように観察できません。そうこうしているうちに、2羽目、♂の若い個体が出てきました。しかし、これもじっとしてくれません。今度は♂の成鳥が来ました。少なくとも3羽はいたようで、なんとかじっくり見ることができました。

 

続いてはヘリポートです。休憩しながら鳥待ちしていると、またムギマキが出てきました。綺麗な個体です。今年はムギマキの当たり年のようです。鼻戸崎も鳥影は少なかったものの、珍鳥シマゴマが鳴いてくれたので、藪から出てくることを祈りつつ、しばし待ちました。3度鳴いてくれたものの、結局、現れず。最後は校庭です。朝よりもさらに鳥影は減り、ホオアカを見た程度で2日目を終えました。

 

3日目。早朝は自由行動とし、みなさん、それぞれに楽しまれたようです。朝食中に「本日の定期船は海上荒天のため、欠航となりましたのでお知らせします」の島内アナウンスが流れました。1泊の延長を余儀なくされました。朝食後、1の畑でムギマキ♂を見て、西にある御積島が見える展望台へ寄り、2の畑へ行きました。オオルリ、キマユムシクイ、キマユホオジロがいました。3の畑でトイレ休憩をした時に、上空をツミが通過していきました。そのうが膨らんでいたので、食事直後のようでした(この時刻のちょっと前に、違う場所でツミがアカハラを捕食した場面を撮影した別のバーダーがいて、どうやら同一個体のようです)。この日は林道を歩くことにしました。しかし、全く鳥影なしでした。

オジロビタキとムギマキ(撮影:吉田徹様)

昨日、ムギマキやムシクイがたくさんいた四谷ダムへ向かいました。昨日同様、コサメビタキやムギマキ、ムシクイ類がたくさん出てきました。珍鳥オジロビタキ♂、発見です。時折「ジジジジ……」と鳴いては、比較的近くまできました。オジロビタキの後ろにムギマキが止まった場面も。楽しく、あっという間の時間を過ごしました。

カラフトムジセッカ(撮影:吉田徹様)

法木では、珍鳥カラフトムジセッカが道路に出てくる場面に遭遇しました。山グランドやヘリポートでムギマキ♂なども見ました。鼻戸崎ではコルリ♀、カラスバトを観察。最後は校庭へ行きましたが、いい鳥はいませんでした。

チゴモズ(撮影:簗川堅治)

4日目。この日も残念ながら欠航です。希望者のみ、案内することとなりました。朝、ヘリポートへ行ってみると、5月下旬に出るチゴモズがもう来たという情報が入りました。しばしチゴモズ待ちです。結果として、出たは出たのですが、一部の方だけが見れたようです。それでも、珍鳥コウライウグイスが飛んできて、みなさん騒然となった場面もありました。続いて珍鳥アカガシラサギ情報が入り、今度はそれを探します。しかし、残念ながら会えず。最後は再びチゴモズ狙いでヘリポートへ。到着早々、チゴモズに出会うことができました。

 

島流しに遭い、2日も延泊となったツアーでしたが、みなさんそれぞれにいい鳥に出会え、楽しいひとときを過ごすことができたようです。離島での鳥との出会いは、やはり格別です。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!