冬の九州鹿児島カツオドリと出水の万羽鶴・撮影三昧

Report by 戸塚学 / 2024年12月10日~14日

今年も鳥インフルエンザの緊急事態で、出水では過去最高の規制が厳しく敷かれ撮影が心配になりました。しかし一昨年よりも被害が少ないが、これ以上被害を拡大させないため動ける場所が少なくなってしまったが、撮影ができる場所で撮影することで定点の良さを実感できたのは良かったと思います。

 

鹿児島では初日は快晴でカツオドリの飛び込みの撮影を楽しむことができました。天気予報では最終日も晴れの予報が曇りから雨になってしまい1時間早めの終了になりましたが、その代わりドライバーさんのプチ鹿児島市内観光を楽しむことができました。

12月10日 1日目 鹿児島市 晴れ

空港で集合後、そのままカツオドリのポイントを目指します。その前に近くにある物産館で食事を各自でしてもらいました。時間があったので物産館に入ると・・・お弁当やお持ち帰りのお寿司の品ぞろえがハンパなく驚いた!これは最終日は食堂ではなく、ここで買ってもらって撮影することを決意(笑)。現場は平日なので釣り客の車が少ない分?カツオドリも少ない?昨年はカンムリカイツブリとハジロカイツブリもいたのですが、この日は見つけられなかった。ミサゴは飛んできますが飛び込んでくれません。14時30分ごろ貨物船が入港してくるとなぜか?アオサギとカツオドリが船にまとわりつくように飛翔しながら港へ入ってきた!ここからカツオドリが20羽以上になったので16時までカツオドリの飛び込みと飛び出しを撮影してもらいました。夕食は駅ビルの飲食街に行ったのですが、どの店も美味しかったので来年もここで各自食べてもらうのが良さそうだと思いました。

カツオドリ
カツオドリ
カツオドリの飛び込み
カツオドリの飛び込み
カツオドリの飛び出し
カツオドリの飛び出し

 

12月11日 2日目 鹿児島市~出水市 曇りのち晴れ

朝は曇り。出水は晴れ予報なので期待をして出発します。出水に近づくと徐々に空は明るくなり到着時には晴れてくれた!まずは観察センターで簡単なレクチャーを受けたのち、建物の2階の展望所で飛翔を狙ってもらいますが・・・時間が遅いのでツルが飛んでくれないのが悩ましい。天気も曇りなのでここで「流し撮り」の撮影練習をしてもらいます。晴れているとNDフィルターを付けないとできないので、これは曇りの天気だからこそできる撮影方法です。みなさん「難しい」と言いながらも真剣に飛翔するツルたちを狙っていました。一旦、お昼になったので切り上げ定食屋に行くが満席で断念。翌日行く予定のうどん屋さんへ行くと何とか入れました!お客様が皆「安くておいしいので明日もここがいい!」というので翌日もここに決定してしまった(笑)。昼食後は東干拓に移動してまず、翌朝撮影する場所で説明をしました。ツル監視所に行くと、監視所前にカナダヅルのペアがいたのでがっつりと撮影をしてもらいました。このカナダヅルのペアが強気で、ナベヅルの家族に対して威嚇や追廻を撮ることができてよかった。

カナダヅル

このポイントでは水路にヘラサギ類がいないか探しますが見当たらない。遠くに見えるツルのねぐらを双眼鏡で見ますが見当たらない・・・いつもなら探しに行けるのに規制で探しに行けないのがつらい。再び観察センター前で夕陽を狙っていると、それまで曇っていた空から夕陽が雲間から光を放ち太陽の姿を拝むことはできないものの、夕焼雲の中を飛翔するツルたちを撮影することができました!

夕焼雲の中を飛翔するナベヅル

12月12日 3日目 出水市 晴れ

6時30分にホテルを出て朝陽狙いのポイントへ移動します。気温が低いので霧が出ているのですが薄っすらなのがさみしい。東の空には雲が無いので朝陽は期待できそうです。それまでは色づいた空を飛翔するツルたちの飛翔をシルエットで狙ってもらいます。朝陽が山から顔を出すとみなさんに「太陽に入るツル」の撮影方法を説明して狙ってもらいます。しかし・・・一番いい時間にツルたちが飛ばない!!!残念。ここで一旦ホテルに戻り朝食にします。ただこの時間がもったいないので来年はポイントにより近いホテルにした方がいいと感じた(規制があるのでホテルからポイントまでのルートがかなり遠回りになるため)。

太陽とナベヅル

9時30分から周囲を探しながら車内から撮影をして観察センターへ。昨日に比べて時間が早いのでツルたちの飛翔がよく見られ青空での撮影を楽しんでもらいます。「きゅ~」とかわいい声が聞こえたので、声のする方を探すとミヤマガラスの群れの端にいました!今回の目玉の一つ、かわいいコクマルガラスです。成鳥は白黒の配色で「パンダガラス」とも呼ばれています。みなさんにしっかりと撮ってもらいました。

コクマルガラス

11時を過ぎるとツルたちも個々に餌場に向かいさみしくなったので、東干拓へ移動します。到着すると水路脇の土手に白い鳥が休んでいます?双眼鏡で覗くとクロツラヘラサギです。車を停めてからしっかりと撮影をすることができましたが、水路の奥を見るとクロツラヘラサギとヘラサギの群れが10羽ほど水中に嘴を突っ込み左右に振って魚を探しています。ただし遠いので一旦カナダヅルを狙ってもらいます。私は時々水路を覗きながらヘラサギ類の動きをチェックします。30分ほどすると採餌をしながらどんどんこちらに向かってきているので、みなさんを呼んで撮影を楽しんでもらいました。ふと時計を見ると13時です!うどん屋さんは14時で閉まってしまうので食事にすることにしました。食事後再び東干拓に戻りますが、ヘラサギたちはねぐらに移動して、カナダヅルのペアも遠くに行ってしまいました。さてどうしようかな?と思っているとヘラサギ類の群れがこちらに向かって飛んできました!青空バックに白い鳥は何と美しい事か!

ヘラサギの飛翔

完全に遠くに飛び去ったので、観察センターへ移動する途中にタゲリを撮影しますが、逆光で厳しい!この日は西の空に雲が無いので夕焼雲は望めませんが、かわりに逆光に輝く2番穂の中のツルたちを狙っても対ます。途中である事に気がつきました!昨日はなかった蜘蛛の糸が逆光で輝いているのが見られたのでできるだけ蜘蛛の樹とナベヅルが絡むシーンを狙ってもらいます。そして最後の最後、この逆光の中ナベヅルのペアが鳴き交わしとディスプレイをしてくれた!まさにアンビリーバボーでした!まさにみなさん持っています!

ナベヅルの鳴き交わし

 

12月13日 4日目 出水市―鹿児島市 晴れのち曇り~雨

天気予報では朝が曇りだったので悩みに悩んだ末、出発を1時間遅らせ、朝食を摂ってからの出発にしたのですが・・・晴れてる!やっちまったが仕方ない。まだ太陽は低い位置なので朝露のついた草を絡めた撮影をしてもらいます。また昨日逆光で苦しんだタゲリもリベンジで撮ることもできました。途中の川の中にセイタカシギがいたのでそちらもしっかり撮ってもらいました。

セイタカシギ

観察センター前の給仕場へ行くとわっさりとツルたちが集まっていたので群れから顔を出す姿を狙ってもらいます。

マナヅルの群れ

群れがばらけ出すと時計はちょうど9時です。ここで終了をして鹿児島へ移動です。カツオドリの撮影前に物産館でお弁当を買ってもらったのですが、全員「お鮨」!味も良く安くて最高でした。みなさん車内で食べている時が天気も良くカツオドリも近くに飛び込んでいたのに、撮影を始めるとだんだんと黒い雲に覆われ・・・13時過ぎには雨が降り出したので少し早いのですが切り上げて、空港に向かいました。途中下道で移動したのでタクシーのドライバーさんが市内の名所などの説明をしてくれて「プチ観光」も楽しむことができました。

 

鳥インフルエンザの影響で出水ではとても厳しい規制でどうしたものかと悩みましたが、ツルたちはいるので、今までとは違う狙い方で楽しむことができる事を再確認しました。カツオドリも相変わらずたくさん見られたことでみなさんとても楽しんでいたと思います。

あとはもう少しプラスアルファを考えたいと思いました。規制によるルートが決まっているために遠回りをすることでホテルとポイントの移動に時間がかかってしまうためホテルをポイント近くにすることで温泉を楽しむことができればと思いました。

撮れた鳥

カンムリカイツブリ・カツオドリ・ヒドリガモ・マガモ・コガモ・ハシビロガモ・オナガガモ・カルガモ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・オオバン・ヘラサギ・クロツラヘラサギ・カナダヅル・マナヅル・ナベヅル・クロヅル・タゲリ・イソシギ・タシギ・セイタカシギ・ミサゴ・トビ・コクマルガラス・ミヤマガラス・モズ・ジョウビタキ・

見られた&声を聞かれた鳥

カワウ・キジバト・ドバト・セグロカモメ・ミヤマガラス・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヒバリ・ヒヨドリ・スズメ・ハクセキレイ・キセキレイ・タヒバリ・カワラヒワ・スズメ・ムクドリ・カワセミ・ツグミ・シロハラ・イタチ

 

月とナベヅル

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員