根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ

Report by 今堀魁人 / 2023年6月15日~17日

1日目

初日は中標津空港から出発です。この日は野付半島に向かい、野鳥を探していきます。野付半島に入り、少し走ると右手にタンチョウのペアが。車を停め観察すると、足元には雛の姿も確認できます。しかし足元の草丈が高く、なかなかしっかりとは姿が見えず。少し粘ってやっと顔を見ることができました。

タンチョウの親子
タンチョウの親子

その後走っていくとなかなか野鳥には会えず。ノビタキなどはいますが警戒心が強く、容易に観察させてくれません。野付半島突端部まで探しに行くと、草原をひらひらと飛ぶ猛禽が。チュウヒです。追いかけながら観察と撮影を試みましたが、探餌しながら風に乗るチュウヒは早い。車で先を越しては止まりを繰り返し、なんとか数回だけ観察ができました。遠いですがエゾシカと一緒にいる風景は野付らしい光景です。

チュウヒ
エゾシカとチュウヒ

2日目

午前中は観光船に乗り、海鳥やシャチを探していきます。天気が悪く、視界が確保できないなか探していきます。途中フルマカモメが船の真横を並走し遊んでくれました。きっと千島列島で繁殖している個体がここまで餌を取りに来ているのでしょう。

フルマカモメ
フルマカモメ

しばらくすると他船からシャチ発見の一報が。私達も同じ方向へ向け船を走らせます。遠くに目を凝らすとシャチの背びれを確認です!複数の群れがいるようですが、どれも臆病な群れのようでものすごいスピードで泳いでいっています。

シャチ
シャチ

他船が一つの群れを追いかけていると、別な群れが奇跡的にこちら側へ来てくれました。短い時間でしたが、しっかりとシャチの親子連れも観察することができました。

シャチ
シャチ

天候と時間によりタイムアップ。そろそろ港へ戻りましょうとゆっくり戻っていると、数は少ないですがハシボソミズナギドリも観察できました。ギリギリまで船長も粘ってくれ、なんとこの日は予定を30分オーバーしてのサービス運航。船長ありがとうございました。

ハシボソミズナギドリ
ハシボソミズナギドリ

午後は知床峠へギンザンマシコを探しに行きましたが残念ながら声も姿も見られず。明日以降に期待です。

3日目

3日目は早朝から知床峠でギンザンマシコ探しです。峠ではアマツバメが気持ちよさそうに飛び交っています。双眼鏡でじっくりギンザンマシコを探しますが、残念ながら今日も見られず。旭岳で見られることに望みをかけ、一路オホーツク海側へと向かいます。途中立ち寄った小清水原生花園ではエゾセンニュウが大きな声でジョッピンカケタカ!と鳴いていますが姿を見ることはできず。その反対側でチーチヨチヨと鳴きながらハマナスの枯れ木に擬態するシマセンニュウを全員で探しながら観察しました。

シマセンニュウ
シマセンニュウ

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

冬の道東でバードウォッチング三昧!【後編】

Report by 吉成才丈 / 2022年2月8日~13日

 

4日目
この日の朝は、風連湖の凍結した湖面でのワシ撮影からスタートです。うす暗いうちから周辺にスタンバイするワシの姿がありましたが、給餌の時間が迫ると飛来する個体も増えてきました。そして待望のお食事タイムが到来すると、ワシの乱舞が始まりました! ワシが飛翔するたびに、皆さんの夢中でシャッターを切っていたようです。

オジロワシとオオワシ
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)

迫力あるワシを堪能した後は、森に入って小鳥を狙いました。すると、前日までは1時間に1度しか飛来しなかったというシマエナガが、なんと出ずっぱり! 写真もバッチリお撮り頂けました。参加者の皆さん、もってますね!

シマエナガ(大野一郎様 撮影)
シマエナガ(大野一郎様 撮影)
シマエナガ(森久美子様 撮影)
シマエナガ(森久美子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)

午後は周辺の港をめぐり、美しいカモたちを狙いました。今年は冬鳥が少なく、道東のカモたちも例外ではありませんでしたが、コオリガモやクロガモなどもゲットできました。

コオリガモ(森久美子様 撮影)
コオリガモ(森久美子様 撮影)
クロガモ(大野一郎様 撮影)
クロガモ(大野一郎様 撮影)

5日目
この日は落石ネイチャークルーズの午前便に乗船。幸いにも海は穏やかで、ウミバトやケイマフリなどの海鳥を堪能することができました。やはり、海鳥は船に乗ると近くで観察できますね。

ウミバト(大野一郎様 撮影)
ウミバト(大野一郎様 撮影)
ケイマフリ(大野一郎様 撮影)
ケイマフリ(大野一郎様 撮影)
シノリガモ(大野一郎様 撮影)
シノリガモ(大野一郎様 撮影)

そして愛くるしいラッコも登場。お約束のポーズで貝を割る仕草のほかに、子供を抱いた個体も見られました。

ラッコ(森久美子様 撮影)
ラッコ(森久美子様 撮影)

午後は羅臼までロングドライブし、夕食後にシマフクロウにトライ。最近は朝方に出るということで、残念ながらこの日は、早い時間帯には出でくれませんでした。明日は日の出前からワシのクルーズなので、早めに切り上げました。

6日目
いよいよ最終日です。今朝は早起きして真っ暗な内に宿を出て、羅臼港へ向かいました。流氷ウォッチングのクルーズ船に乗り込み、流氷に向けて出港。流氷の近くに船を停めて夜明けを待ち、美しい朝焼けとワシを堪能しました。この美しい景色と迫力満点のワシを見たら、寒さも忘れてしまいますよね。

オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)

そして、この旅の最後に訪れたのが野付半島です。野付半島ではユキホオジロが時折観察されているのは知っていましたが、今回は滞在時間も短いため、正直なところ見られるとは思いませんでした。でも、残り時間が15分もない頃、偶然に偶然が重なって見られちゃったんです。じっくり観察や撮影ができずに残念でしたが、我々を見送るように、すぐに遠くへ飛んで行ってしまいました。

今回は鳥見に特化したコースを設定してもらったため、かなり効率的に見られたと思います。

ユキホオジロ(大野一郎様 撮影)
ユキホオジロ(大野一郎様 撮影)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

3日目は日の出前からメインであるハクガンを探しに行きます。到着後何やら騒がしいと外を見ると、ガンが乱舞しています!

ハクガンとシジュウカラガンの飛翔

降りた沼を見に行くとハクガンとシジュウカラガンが見られました。その後何度も1000羽ほどのハクガンが上空を旋回してくれたり、車内から比較的近距離で観察できたりと、とても贅沢な時間を過ごすことができました。

ハクガンとシジュウカラガン
ハクガンの飛翔

午後は2日目とは別なエゾフクロウのポイントに行きましたが、残念ながら出会えませんでした。公園ではエゾリスがチョロチョロと姿を現し、可愛い姿が見られました。

エゾリス
エゾリス

夕方再度シジュウカラガンを探した時は、朝とは全く違うところにおり、夕方の光の中美しい光景が広がっていました。

シジュウカラガン
夕暮れの空を舞うハクガンとシジュウカラガン

4日目は山にナキウサギを探しに行きました。午前中静かに待っていると、鳴き声とともにちらっと姿を見せてくれました!途中ガサッという音とともに遠くにヒグマの姿を確認したため安全のため下山しました。帰り際車の近くで探すと、ここでも姿を現し皆さん大興奮です。

ナキウサギ
ナキウサギ

山から下山し、午後はエゾリス探しです。イチョウの黄葉の絨毯に佇む可愛らしいエゾリスの姿を見ることができました。

エゾリス

夕方はリクエストのあったエゾライチョウ探しです。写真には撮れませんでしたが、目の前をオスのエゾライチョウが飛んでいくシーンは格好良かったです。日高山脈に沈む夕日を展望台で眺め、この日は終了です。

日高山脈のシルエット

最終日は再度日の出前にハクガンを探しに出発しましたが、何やら沼が静かです。日が昇ると沼には1羽もガンがいません。どうやら一昨日の夕方を最後に、本州へ渡っていってしまったようです。見ることはできませんでしたが、静かになった沼を見て渡っていったハクガンの無事を祈りました。

沼の日の出

最後は帯広市内の公園で小鳥を探します。今回のツアーではまだ観察していなかったアカゲラやハシブトガラ、ゴジュウカラなどの定番の小鳥を間近で観察し、さらにエゾリスも観察できました。

アカゲラ
ハシブトガラ
ゴジュウカラ

今回のツアーでガン類を合計7種観察することができました。日本で見られるガン類の多くを一度のツアーで全て見られるのは渡りのシーズンと、その観察ポイントに簡単に移動できる北海道ならではではないでしょうか。春には残雪の残った風景とともにガンが帰ってきますので、ぜひお迎えをしにまたお越しください。皆様お疲れ様でした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

秋深まる野付半島から十勝平野へ
~ハクガン・コクガンの群れとナキウサギ~【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年10月26日~30日

ツアー初日はあいにくの曇り空ですが、穏やかな風のなかスタートです。集合が予定よりも早くできたため、余った時間で最初に中標津の公園を歩き、現在人気爆発中のシマエナガを探します。落ち葉を踏みしめ、秋を感じながらの散策となりましたが、残念ながらこの時に会うことはできませんでした。

 

気を取り直して野付半島に移動です。今回のツアー最大の目的であるガン類を探します。野付半島は天然記念物にも指定されているコクガンの渡りの中継地として有名で、最大で一度に5000羽前後が見られることもあります。野付湾を見ていると、黒く少し大きめな鳥が何羽も浮いています!車を停め、観察してみると早速目的のコクガンです。距離は遠いですが、ざっと見ただけで周囲に1000羽を超す群れが確認できました。

コクガンの群れ

観察後さらに進んでいくと、ハクチョウが近場に浮いています。今回2種目のガンとなるかなと観察すると、オオハクチョウの群れの中に2羽だけ少し小さく嘴の黄色い模様が丸い個体がいました。コハクチョウです。今回3種目のガン類です。

コクガンと採餌するオオハクチョウ
コハクチョウ

さらに進むと海岸線には冬鳥であるシロカモメがいます。北海道で普通種であるオオセグロカモメとの違いもはっきりと分かり、その大きさもわかって頂けたでしょうか。

シロカモメ

帰り際にはキタキツネやメスシカを追いかけるオスシカも見られ、野付半島を満喫しながら根室へ向かいました。

キタキツネ
メスシカを追いかけるオスシカ

2日目は風蓮湖畔の宿レイクサンセットからスタートです。すぐそばの春国岱に行くと、遠くにタンチョウのペアやオナガガモの群れを観察できました。ここから車で鶴居村へ向かいます。道中少し寄り道をすると、エゾフクロウに出会えました。お昼ごはん中には突如上空をハイタカが旋回し、ゆっくりと姿を見せてくれましたが、この時期はごはん中でも油断禁物と気を引き締めます。

ハイタカ

午後からは鶴居村でタンチョウを観察します。紅葉は最終盤ですが、カラマツの黃葉がまだ残っており、とてもきれいでした!

タンチョウ
タンチョウの飛翔

最後にはペアがダンスもしてくれ、最高のシーンでした。
美しいタンチョウに後ろ髪を引かれながら、十勝へと向かいました。

タンチョウのダンス

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!