やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2024年9月8日~11日

下見中に熱帯低気圧が発生してツアー期間中すべて雨予報でしたが、不思議と撮影時間には雨が止みヤンバルクイナに関しては昼夜を問わずしっかりと撮影ができてみなさまとても満足をされていました。残念なのは天気のせいか、アカヒゲの出現が極めて少なく結局撮影ができませんでした。ノグチゲラも同様でしたが、最終日の朝ヤンバルクイナを待っているポイントで偶然撮影ができたのはラッキーでした。時間調整用のシギ・チドリのポイントは水が無くなり壊滅状態、干潟は悪天候で行く事ができなかったのは残念でしたが全体的にはメインのヤンバルクイナがしっかりと撮れたことで昨年よりは1日増やしたことで大成功だと言っていいでしょう。

<1日目>

13時に無事みなさん集合されたので、専用車で宿へ向かいました。本来なら喜如嘉へシギ・チドリを狙いに行くのですが今年の喜如嘉は耕作放棄地が目立ち、鳥たちがさっぱりなのでパスしました。宿へ荷物を降ろしてすぐにヤンバルクイナのポイントへ向かいます。30分ほど待っていると出てくれました。時間的に違う場所へすぐ移動して待つ事10分、予想通り川をゆっくり渡る姿を撮影することができました。

川を渡るヤンバルクイナ
川を渡るヤンバルクイナ

宿へ戻りすぐに食事を食べていただき、20時からは夜の撮影レクチャーです。昨年はここでヤンバルクイナとリュウキュウコノハズクが撮れたので期待をしましたが、残念ながら撮影はできませんでしたが撮影の方法は習得していただけたようです。

<2日目>

5時30分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、まだ暗い中さっそく1羽が出現します。しかしすぐにいなくなってしまいました。ポイントでアカヒゲが出てくれることを期待しましたが、声のみ。その後待ちくたびれていると、ヤンバルクイナは音もなく現れ撮影ができました。

ヤンバルクイナ
音もなく現れたヤンバルクイナ

雨風が激しいので一旦宿に戻り建物の庇からヤンバルクイナを待ちますが出ないまま11時になったので町に昼食と明日の朝食の買い出しを出かけました。その時参加者から「天気が悪いのでヤンバルクイナ生態展示館クイナの森」へ行きたいとリクエストが出たので食後はそちらでヤンバルクイナの「クー太」君を見に行きましたが、眠っていてこちらに出てくれません。ようやく出てくれても今度はアクリル板の前でまた寝てしまう(笑)手強い!ほかにも資料展示があるのを見て宿に向かい、休憩に入りましたが風雨がまったく収まる気配がないので夕方と夜を中止にいたしました。

 

<3日目>

5時30分に出発。昨日より早い準備を完了。風が強いのでシートは張らずにそのまま静かに待ちます。シートが無いのでちょっと警戒をしないかと不安を感じましたが、3回ポイントでのんびりする姿を撮影することができました。ダメ元で時間まで川沿いのポイントへ移動しますがヤンバルクイナは出ませんでしたが、みなさんトビハゼやコメツキガニやシオマネキを撮って楽しんでおられました。

雨の止み間を活かして宿に併設されている観察路で生き物を探します。昨年はアカヒゲもノグチゲラもよく出てくれたのですが、この日は風が強いせいか出が悪いです。鳥はさっぱりでしたが、オキナワキノボリトカゲ・シリケンイモリ・ヤンバルヤマナメクジ・リュウキュウアオヘビを観察撮影ができました。11時に食事に向かう途中いつもリュウキュウツバメとツバメがとまっている電線にとまっていれば撮影をする予定でしたが、1羽もいません。風が強すぎたせいでしょう。

リュウキュウアオヘビ
リュウキュウアオヘビ
オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ

食事後は近くの田んぼでセイタカシギとタカブシギを撮った後、夜もあるのでお昼寝タイムです。15時45分にヤンバルクイナを探しに行きますが、今日はいつもと違いなかなかポイントへ出てくれません。それでも17時30分近くに2回出てくれ、道路を渡る姿も確認できました。最後は川へ移動します。すぐに出たので期待をするとすぐに草むらに隠れてしまいました。15分過ぎた時でしょうか1名の方が高速連写で何かを撮っています?他の方もカメラを構えています。私の位置からは何も見えないので車の影に隠れてドライバーさんに「出てる?」と聞くと出てないよの答え。よく見るとレンズはかなりの下?後で聞くとカニを撮っていたようです「騙された!爆」

もう一度いつもの場所へ戻るとすぐにヤンバルクイナが出てくれました。みなさんに場所を小声で伝え、狙ってもらいます。ヤンバルクイナは採餌しながら川の中に移動してあちこち歩き廻った後、水浴びをゆっくりとしてくれました!

川を渡るヤンバルクイナ
川を渡るヤンバルクイナ
水浴びをするヤンバルクイナ
水浴びをするヤンバルクイナ

夕食時間もあるのでヤンバルクイナが草むらに入ると同時に宿へ向かいました。夕食後は20時に夜の生き物探しに出発です。走り出してすぐに1羽のヤンバルクイナを見つけたのですが時間が早い事と近すぎたことで逃げられてしまった。その後はさっぱりでちょっと焦りが出ます。それでもオリイオオコウモリのいるポイントへ向かい撮影をしてもらいました。下見ではここにリュウキュウオオコノハズクがいたので期待をしましたが見つかりません、残念!集落内からはリュウキュウアオバズクの鳴き声が聞こえますが集落内なので探しに行くのはやめました。

リュウキュウオオコノハズク
下見では観察できたリュウキュウオオコノハズク

さて再び移動しながら生き物を探すと森の奥からリュウキュウコノハズクの「コホッコホッ」の鳴き声が!鳴きまねをして近くまで来てくれることを期待しましたが来てくれませんでした。さてここからがえらいことになります。もう眠っているヤンバルクイナだらけ!いた!ここにもいた!と6羽までは確認して撮影をしていましたが、その後は角度が悪い、止まり位置が悪いと撮影をせず移動という贅沢すぎる状況です。ペアのとまりも確認できた時だけは撮影に熱が入りました。その後も3羽ほどは見つけたと思いますが全部で10羽以上発見しました。下見の2日は1羽しか見られなかったのに信じられない夜です。

ヤンバルクイナ!いた!
ヤンバルクイナ!いた!
ペアのヤンバルクイナ
ペアのヤンバルクイナ

*ヤンバルクイナの夜間撮影は10分以内で通常5分を目安にストレスを極力かけないようにしています。その後はフクロウ類の発見はないまま終了となり11時過ぎには宿に戻りました。

 

<4日目>

5時30分に出発してルーティーンで鳥たちを待ちます。ヤンバルクイナはなぜか出ません。ポイントの奥からはノグチゲラやアカヒゲの声は聞こえますが姿は見えず。ヤンバルクイナはその後出てくれましたのでほっと一息。1名の方が「カニが撮りたいから行っていいか?」と言われたのでヤンバルクイナも今までしっかり撮れているのでOKを出しました。彼女が出ていて10分もしたでしょうか?参加者の男性が上にカメラを向けています。そのあたりを見ていると黒い鳥が木の幹にとまっています・・・ノグチゲラです!めっちゃ近いのでみなさんに「ノグチゲラだから撮って!」と伝えました。結構長く出ていてくれみなさん撮れたと喜んでいます。最初に狙っていた方が「これノグチゲラだよね?」とモニターに映っている鳥はイソヒヨドリのメス?どうやら2羽出ていて私はイソヒヨドリに気がついていなかったようで、彼は本命ではないものをずって撮ってしまっていたようでした。

ノグチゲラ
ノグチゲラ
イソヒヨドリ
イソヒヨドリ

その後はシギ・チドリを狙う予定が2か所とも激しい雨風で外に出られそうもないのでそのまま空港に向かい終了となりました。

今回は過去最高というか私もびっくりするくらいのヤンバルクイナとの遭遇&撮影ができただけでなく最後はノグチゲラのサービスもありフクロウ類やアカヒゲは残念でしたが120点の内容だったと思います。


撮れた鳥
ヤンバルクイナ・セイタカシギ・タカブシギ・ノグチゲラ・リュウキュウヒヨドリ・リュウキュウメジロ・リュウキュウコゲラ・リュウキュウシジュウカラ・スズメ・イソヒヨドリ・オキナワキノボリトカゲ・シリケンイモリ・リュウキュウアオヘビ・ヤンバルヤマナメクジ
オリイオオコウモリ

見れた鳥・さえずりが聞けた鳥
ミサゴ・カラスバト・ズアカアオバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・リュウキュウアカショウビン・カワセミ・ツバメ・リュウキュウツバメ・リュウキュウサンショウクイ・ホントウアカヒゲ・ウグイス・リュウキュウハシブトガラス・クマネズミ・リュウキュウヤマガメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2023年9月8日~10日

昨年ばっちりと撮影できた場所を下見で確認に行くと1か所は放棄地となって草が茂ってヤンバルクイナがいたとしても見られる状況ではなかった。周囲にはペアがいるが、場所が民家前なので使用を中止した。夕方のポイントも出現はするが、昨年に比べて出現が悪いのも悩ましかった。夕方のポイント周辺はヤンバルクイナの個体群が多いようで最低5ペアはいると思われる。

夜間は1日がヤンバルクイナ6羽、フクロウ類0、2日目はヤンバルクイナ0、フクロウ類0と厳しい状況で本番を迎えることになる。

ヤンバルクイナ下見

<1日目>

空港で皆さんをピックアップして喜如嘉へ。期待をしたがやはり少なく、シギやチドリが遠くすぐに引き上げて宿へ向かう。各自部屋へ荷物を置いてもらい、すぐに夕方のポイントへ移動します。とりあえずシートのブラインドを張るが、ブラインドの自重でうまく張れなかったせいか?人がたくさんいてオーラが出すぎたせいか、ヤンバルクイナは超速で道路を通過してしまい、薄暗くなるまで出現はなかった。そのまま夕食を食べてから夜間撮影の練習をしました。撮影は3段階での撮影をする練習をマスターしてもらったので、周囲になにか生き物はいないか探しに出ました。「以前ここにヤンバルクイナが眠っていたんだよね」とライトを当てると・・・いた!まさか本当にいるとは!この個体がまた逃げないし、すごく撮影がしやすい場所でがっつり撮影をしてもらいました。さて戻りましょうかと歩き出すとリュウキュウコノハズクが近くで鳴いているので探すと、これまた近くにとまっていたのでしっかり撮影をしてもらいました。予想外の撮影ができてみなさんルンルンで部屋に戻られました。

ヤンバルクイナ
コノハズク

<2日目>

5時半集合出発で夕方のポイントへ向かい、今回は2名が外でブラインド、4名は専用車の中からヤンバルクイナを待ちますが、残念ながら出ませんでした。本来回るコースを専用車で回ると道路上で1度だけ遭遇しましたが、撮影はできませんでした。Uターンする場所ではヤンバルクイナだけではなく、ホントウアカヒゲも近くで出るので20分待機しましたが近くまで声が近づきますが姿を現さなかった。一旦宿へ戻り、敷地内のトレッキングコースで鳥を探すと小鳥の混群が現れたのでリュウキュウメジロ・リュウキュウシジュウカラ・リュウキュウキビタキ、リュウキュウコゲラを撮影できました。

キビタキ
コゲラ

ノグチゲラの気配はするのですが、出会うことはできませんでした。カラスバトのうめき声を聞きながらトレッキングコースを歩いているとオキナワキノボリトカゲが出現したので撮影をしてもらいます。11時になったので一旦辺士名へランチを食べに行きます。下見の時にリュウキュウツバメがいたのでカメラは携帯してもらいます。食後は待っていたようにリュウキュウツバメが定位置にとまったところを撮影できました。

オキナワキノボリトカゲ
ツバメ

宿に戻る途中でリュウキュウイノシシのウリ坊が道路わきに出たので撮影してもらおうとしたのですが、さすがに6名も出てくると山へ逃げ込んでしまいました(笑)

お昼休みとしてる時間も皆さん活発に動いておられたようで、2名ほどが部屋のベランダからノグチゲラが撮れたようで報告を受けました。17時になったのでヤンバルクイナのポイントで待ちます。この日は道路の反対側をゆっくり歩いてきたのですが「これから」という時に車が来て叢へ入ってしまった。その後いつの間にか水路で水浴びをしていたようでちょっぴり出たがまたしても叢へ。そして最後は足早に通過してタイムアップ!いったん宿に戻り食事と準備をして夜間撮影を開始です。昨日ヤンバルクイナが眠っていた場所にはいませんでした。しばらく走ると道路を走る哺乳類が?なんとこちらに向かってくる?ケナガネズミです。車を止めて撮影してもらおうとしたのですが・・・茂みに消えてしまいました、残念。コース1/3でヤンバルクイナのペアを発見!しかし時間が早いせいか枝から降りてしまった・・・。

その後はオリイオオコウモリを撮影するために集落内の公民館で撮影をしていると鳥が???電線にアオバズクがとまったので撮影をしてもらいました。これはラッキーでした。その後も1羽を見つけるがこれまた逃げられてしまった!Uターン位置まで行ったので、そのまま引き返しながら探しますが見当たりません。諦めかけた時にライトが枝の上の塊を一瞬捉えました。車を止めてもらい探すが見当たらない?おかしいなぁとふと5歩ほど下がると枝に隠れていた塊をライトが照らします。なんとリュウキュウオだったのです。皆さんに撮影をしてもらっている間にまぶしかったのか横向きになってしまい、私は横姿しか撮れなかったが、皆さんは撮れたようで興奮をされていました。しばらく進むとまたしてもケナガネズミ!なんて日でしょう2頭も見られるとはアンビリーバボーです。まずまずの成果で事故もなく無事帰宅です。

オリイオオコウモリ
オオコノハズク

<3日目>

5時半集合出発で夕方のポイントへ向かい、今回は全員でブラインドからヤンバルクイナを待ちますが、なんと・・・家族連れのお父さんがヤンバルクイナの通り道でカメラを構えてうろうろする!参った・・・まさかこんな状況になるとは!30分ほどで切り上げてくれたが、陽が強く照りだしてきたので早めに切り上げて宿に戻ることに。敷地内に入り、駐車場に入ろうとしたら近くにヤンバルクイナのペアが!以前もここで出現したことがあったが・・・出るとは不覚だった。一度茂みに入ると出てこないので、皆さんには部屋に戻りパッキングをしてもらい車に積み込んでもらいます。皆さんを待っていると?ノグチゲラの声が近くで聞こえるので、荷物を積みに来た順番でそちらへ行ってもらいました。全員が荷物を積み込んだので私も行ってみると?誰もいない?反対側へ飛んで行ったそうで皆さんそちら側にいました。そのまま探しに行くと道路わきの地面からノグチゲラが飛び出すがとまった場所が竹や木の茂みで撮れそうで撮れない!トレッキングコースを途中まで歩き、ベンチがある場所で出発までの時間までフリーで行動をしてもらうことに。少人数とはいえ7名でぞろぞろと歩くだけで鳥との出現率は下がるので皆さん納得です。さて私はトイレに行きたいので施設に戻る途中、足元でガサゴソと何かが動く音が。すぐにノグチゲラと分かったので近くにいる人に伝えますが、またしても近いけれど撮れない!元来た道に戻り、皆さんに声を掛けました。そして私はトイレに(笑)戻って皆さんが何かを狙っているので聞くとホントウアカヒゲを狙っているようでした。時間になったので専用車に乗って喜如嘉へ。期待をしたのですが、パッとした結果は得られませんでしたがセイタカシギ・タカブシギは何とか撮ることができました。

ホントウアカヒゲ
タカブシギ

そして最後の時間調整地「三角池」へ。下見ではもう少し鳥たちがいたのですが、クロツラヘラサギ・ヘラサギ・アカアシシギ・アオアシシギ・キアシシギ・トウネン・ヒバリシギ・バン・コチドリを軽く撮影して空港へGo!怪我も事故もなく、皆さん無事帰路に就かれました。お疲れさまでした!

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

奄美大島・固有種を狙う撮影三昧の4日間 【2本目】

Report by 戸塚学 / 2023年4月9日~12日

世界遺産になってからの初めての奄美大島ツアー2本目。
1本目と打って変わり天気は基本晴れ。奄美大島とは思えないほど乾燥した空気でさわやかな気候に戸惑いましたが、最終日は雨上がりの蒸し暑い奄美大島本来の空気を感じられたと思います。1本目に続き2本目も予定をしていた種類を2日目でほぼクリア!残念だったのはナイトツアーでアマミノクロウサギ以外は出現率が低く、リュウキュウコノハズクは見られただけ、アマミヤマシギに至っては出現すらないというのは残念な状況でしたが、それも自然相手のことなので仕方がありませんが、他の固有種の鳥たちはがっつりと撮影ができたようでみなさま笑顔でお帰りいただきました。

 

絶景

1日目

空港へ到着するとすでにほとんどのみなさんが到着されていました。全員そろったのでジャンボタクシーに乗り込み現場へ向かいます。まずは森に入る前に注意事項を伝えて、各ポイントを廻りました。とりあえずはアカヒゲから狙いましょうと話して歩きはじめると私の足元から何か「コツコツ」という音が???下の草むらに目を移すと?オオアカゲラが!慌てて、そして静かに離れ参加者のみなさんに手招きして撮影を楽しんでもらいます。かなり愛想のいいメスでしっかりと撮影をすることができました。アカヒゲポイントに行く前に思わぬうれしいハプニングでした。

 

さてアカヒゲポイントへ到着するもさえずりは聞こえて来ません。静かにさえずりが始まるまで待つこと10分、さえずりが始まりました。声のする方へ移動しながらじっと目を凝らしながら待ちます。手前の低木の葉の奥に小さな黒い塊を見つけたので双眼鏡で覗くとアカヒゲのオスです。みなさんを集めて場所の説明をするのですが、だいたい1ヶ所に1人しか見えるすき間が無いので苦労します。あちこち探して、撮影できるすき間を探してなんとか全員確認はできたようでほっとします。あとはさえずった後に移動するので同じように探して撮影をしてもらいました。

 

アカヒゲ

 

次は問題のオオトラツグミです。ポイントに到着した時に「ぼ~っと」周囲を見てください。じっと1点を凝視しても見つかりません。動いたらオオトラツグミですから撮影してくださいと伝えました。何度も出てくれるのですがこれがやはり手強い。それでもとりあえず全員撮れたとのことでほっとします。ルリカケスは目視となんとなく枝被りしつつも撮影はできたようなので明日以降に持ち越しという事で終了しました。

 

オオトラツグミ

 

2日目

5時にホテルを出発して薄暗い森を進み絶景ポイントで朝陽を待ちます。その後はここでお弁当を食べて出発です。まずは人でごった返す前にオオトラツグミを狙います。近くにルリカケスがやって来るのでなんだろうと見ていると木の洞に入った?その後落ち葉をくわえて入った?2羽で入った?どうやら巣を造っているようです。あまりこちらを気にはしていないようなのでこちらも刺激をしないようにオオトラツグミを待ちます。やはり5回ほど出るも近くに来ない。あと1回来たらポイントを移動しましょうと言った後、来た!どんどん近づきこちらの前に!いやぁ~ついてるわ。

 

大満足でアカヒゲポイントへ移動します。こちらも昨日同様アカヒゲが良く出てくれます。昨日の「ちょっとだけよ」ストレスも完全に吹き飛んだようです。そして水場の近くでルリカケスを待ちますがなかなか下に降りてくれません。そのうちチャンスがあるから後回しにしましょうと歩き出すとまたしても私の足元で「コツコツ」黒い頭が上下しています。オーストンオオアカゲラです。今日は昨日よりも長時間移動をしながらしっかりと近くで撮影を楽しめました!残念なのはオスも近くに飛んできたのに撮影ができなかったこと。二兎ならぬ二鳥を追うもの一鳥も得ずを実感してしまった。この日は夜にナイトツアーがあるので12時に終了して夜まで休憩にします。

 

オーストンオオアカゲラ・♀

 

21時30分ホテルのフロントに集合してナイトツアーのジープを待ちます。少し早い時間に到着したので乗り込み出発です。コースの入り口でナイトツアーの注意事項や説明を聞いてジープが走り出すとすぐにヒメハブを発見!

 

ヒメハブ

 

その後は道路が乾燥しているせいかカエルが見つかりません。イシカワガエルに出会えるか少し心配になります。そんな心配をよそに次々とアマミノクロウサギが出てくれますが、あまりじっとしてくれず撮影に苦労します。

 

アマミノクロウサギ・仔ウサギ

 

そしてリュウキュウコノハズクは鳴いてはいますが、なかなか発見できません。ようやく見つけたのですが、小さいし木の枝のこぶにしか見えないので、説明中に飛ばれてしまい・・・それっきり見つけることはできませんでした。期待しているアマミヤマシギも出ません。一番期待のダートコースもクロウサギは出ますがヤマシギはさっぱり・・・痛い。乾燥&気温が低いことが関係しているのか?それともすれ違った一般観光客の2台の車が来たせいかわからなかった。今回のナイトツアーは生き物の少ない結果となってしまった。

 

3日目

昨夜が遅かったのでこの日はゆっくりと9時に出発します。アマミヤマシギ・リュウキュウコノハズクは夜しか期待できないので諦めるとしても他はすでにいい感じに撮れています。ので、今日は自分の「狙いたいものをがっつり狙う」日にします。私は各ポイントを廻りアドバイスしたり、探す手伝いをしつつポイントを移動する作戦です。これのいいところは少人数とはいえ6人でぞろぞろ歩いたり、待ったりするよりもより少人数の方が撮影チャンスが高くなるのです。お昼を挟んで約9時間たっぷり時間を取ったことでしっかりと撮影できたとみなさん満足顔でした!

 

4日目

夜にしっかり降った雨がまだ少し残っているようでしたが、現場手前では止んでしまいました。しかしちょっと気になるのは標高が高いので「霧」が気になります。予想通り標高が上がると車のヘッドライトに霧が反射してほとんど前が見えません。ノロノロ運転で進んでゆくとドライバーさんが「ハブよ!」と車を停めて道路わきを逃げて行くハブを見ることができましたが・・・。ちょっぴり心配になります。ようやく到着です。まずは荷物を降ろして雨がしのげる庇の下で待機しますがキリが濃すぎるし夜明け前で暗い。霧のせいで視界は悪いし、何よりもハブを見ちまったのでうかつに森を歩けません。6時を過ぎるとだいぶ明るくなったのでお弁当を食べます。そして6時30分移動開始です。絶景ポイントは景色も足場周辺も視界があるのでここで1時間待機。ようやく視界が開けてきたので昨日同様各自好きなポイントで撮影をしてもらいます。

 

9時を過ぎると一気に霧がはれてきました。絶景ポイントではルリカケスが群れで飛びまわったり、リュウキュウサンショウクイ、カラスバトも確認できました。

 

ルリカケス
ルリカケス

ルリカケス
ルリカケス

リュウキュウサンショウクイ

カラスバト

 

残念ながらサシバの渡りはピークを過ぎてしまったようで1羽だけ確認ができました。他にもリュウキュウメジロ・アマミシジュウカラ・アマミヤマガラも出てくれ撮影もできました。森の中では二ホンミツバチの分蜂を一部の参加者と見ることもできました。そしてオオアカゲラはなぜか私が遭遇するのはメスばかり!

 

リュウキュウメジロ

 

時間になったので空港に向かいます。しっかり撮れてハイテンションで明るい車内となるはずが、みなさん疲れて眠りこけたまま空港到着してしまいました(笑)そしてそれぞれ帰路に付かれました。ご参加していただいたみなさまお疲れまでした!

 


撮影できた鳥・生き物
アマミコゲラ・オーストンオオアカゲラ・リュウキュウサンショウクイ・アマミヒヨドリ・アカヒゲ・シロハラ・アトリ・オオトラツグミ・アマミヤマガラ・アマミシジュウカラ・リュウキュウメジロ・ズアカアオバト・ルリカケス・アマミノクロウサギ・ヒメハブ・シリケンイモリ・二ホンミツバチ
見られた鳥・生き物
リュウキュウツミ・リュウキュウキジバト・リュウキュウツバメ・ツバメ・ダイサギ・リュウキュウハシブトガラス・アカハラ・アマミトゲネズミ・クマネズミ(外)

 

声が聞かれた
アオバズク・カラスバト・リュウキュウコノハズク

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

やんばるの森に生きる固有種を撮る

Report by 戸塚学 / 2022年9月11日~13日

 

台風11号が去った9月7日から下見に入ると、同日夕方台風12号が発生!本島直撃の予報が出て催行可能か?中止か?のギリギリまでバタバタしましたが飛行機も飛びスタートしましたが、結果的には台風12号はそれて天気的にも野鳥的にも恵まれました。
今回のレポートで使用する写真はツアー中に撮影したもの以外、下見時に撮影したものを利用しております。理由は基本が車内からの撮影が多く、お客様の撮影を優先するため私の撮影ができないことが多いのでご理解いただければと思います。

<1日目>

13時に無事みなさん集合されたので、専用車でまずは喜如嘉の農地でシギ・チドリの撮影を楽しみました。下見の時はたくさん入っていたのですが、かなり抜けてしまったのは残念でした。

タカブシギとコアオアシシギ
タカブシギとコアオアシシギ ※下見時に撮影


下見の時に夕方ヤンバルクイナが出るポイントを見つけたので、宿に荷物を降ろし17時30分~18時30分ヤンバルクイナの撮影に出ました。下見の時はひんぱんに&のんびりとヤンバルクイナが出ていた場所で目隠し用のシートを張り待ちました。ですが、この日は1度道路を通過したのみで出てきません・・・おかしいなぁと思ったら、見えない場所に先客がいて観察をしていた影響かもしれない?とりあえずは数羽のヤンバルクイナを見ることはできたものの、撮影的にはあまり良くなかった。
夜は翌日の夜間撮影のためにライトを木の葉や枝にライトを当てて高感度での撮影やスローシャッターの撮影のレクチャーをしたのち宿周辺を約1時間散策しました。

<2日目>

5時30分に出発してポイント近くで車のスライドドアを開けて、目隠し用のシートを張り一時的に「動くブラインド」にしてポイントで待ちます。待つ事10分、車の前からではなく、車の後ろから現れ、参加者の方へ移動します。ところが6人のオーラが強すぎたか?途中で引き返しそれっきり戻ってこなかった。この場所ではアコウの木に実が成っているのでメジロ、ズアカアオバト、ヒヨドリがやって来ますが、私の位置からは撮影ができない。しかし一部の方は撮影ができたようです。ヤンバルクイナを近くで観察はできたのですが撮影はイマイチだったようです。

リュウキュウメジロ
リュウキュウメジロ ※下見時に撮影

その後はゆっくりと車で流しながら生き物探しをするとヤンバルクイナ1羽が道路の斜面にいましたが車に気が付き草むらへ消えていったしまった。昨年アカヒゲ&リュウキュウアカショウビンがいたポイントで朝食&休憩です。蝶が好きな方は蝶を撮影できたと喜んでいました。「ホントウアカヒゲはたくさんいるし、どこにでもいるので出れば人を気にしないので簡単に撮れるんですヨ」と伝えると本当に近くでオス・メスが出て撮影できました。

ホントウアカヒゲ
ホントウアカヒゲ ※下見時に撮影

宿に戻り、ここから周辺を歩いて生き物探しをします。ホントウアカヒゲは声はすれども姿は見れずでしたが、ノグチゲラが2羽で喧嘩しながら近くにとまりました!しかしなんともならないブッシュの中でシルエット劇場になってしまいました。トレッキングコースではすでに時間が遅いのでセミの鳴き声が森に響き渡るだけで生き物が見つかりません。あと少しで終了という場所でキノボリトカゲが2頭出たので撮影を楽しんでもらいました。

オキナワキノボリトカゲ
オキナワキノボリトカゲ

この後は夕方まで休憩としていました。休憩時間中も一部の方は宿の周辺で撮影を楽しまれたようで、スコールの後にホントウアカヒゲがばっちり撮れた!という方もいました。

17時30分に集合して昨日のポイントへ向かいます。この日は先客もいなかったようで期待も高まります。目隠しシートを張りスタンバイすると2羽のヤンバルクイナが道を渡って行きました。そのうちの1羽が道路わきをゆっくりとエサを探してこちらに向かって移動をしてきます。車が通過しても全く動じません!とうとう私たちのまえまで来て、私たちの存在に気が付くと、何気ないふりをしてゆっくりと草むらの中へ消えて行きました。もう出ないと思われるし暗くなってきたので切り上げました。

ヤンバルクイナ
夕方に現れたヤンバルクイナ

夕食後は夜間撮影です。ゆっくりと車を走らせながらライトで生き物を探しますがなかなか見つかりません。ようやく飛翔するリュウキュウコノハズクやリュウキュウアオバズクが出ても近くにとまってくれません。集落内の公園へリュウキュウオオコノハズクを探しに行くも見当たりません。

リュウキュウオオコノハズク下見
リュウキュウコノハズク ※下見時に撮影

何気なく帰り際ライトを当てた木の枝にヤンバルクイナのペアが!みなさんに声をかけて「すぐに撮って!」と撮ってもらいました。普段なら眠っていると動かないのですが、満月近くの月が明るいせいか、すぐに動き出してしまったのでここで中止にします。そう、嫌がったら終了としています。&集落内なので「ヤンバルクイナをいじめている」と集落の方に思われるのも困るのでみなさんにも理解していただきました。その後も探すがフクロウ類が見当たりません。ようやく見つけたヤンバルクイナもやはりすぐに動き出し撮影ができませんでした。結局残念な夜間撮影になってしまった。

ヤンバルクイナ夜下見
ヤンバルクイナ ※下見時に撮影

<3日目>

5時30分に出発。昨日より早い準備を完了。後部ハッチを開けて風通しがいいようにします。昨日はこれをしなかったので蒸し暑くて大変だった。待つ事10分、車の前の耕運機の横から出現!昨日と違い、この日はゆっくりとこちらに近づき採餌を繰り返し、しっかりと撮影できたようです。このポイントの凄いことは近いと3m!超望遠レンズだとヤンバルクイナがはみ出しちゃう。ヤンバルクイナは一旦車の後ろ方向に消えていった。その後一度現れるがすぐに草陰へ。しばらくすると2羽で現れ近づいてくるが、こちらの殺気を感じてか?奥へ入ってしまいそれっきりだったので終了して、昨日朝食を食べた場所で朝食&休憩したのち宿へ戻り荷物を車に積み込むみシギ&チドリの撮影で喜如嘉へ。

ヤンバルクイナ朝
ヤンバルクイナ

途中下見の時に見つけたクロハラアジサシのポイントへ立ち寄りましたが、抜けたようでいなかった。喜如嘉もパッとせず早々に切り上げ、時間調整用の三角池へ向かいます。時間調整用に立ち寄ったのですが、クロツラヘラサギが4羽近くにいたので早速撮影してもらいました。

クロツラヘラサギ
クロツラヘラサギ

他にはアオアシシギ・アカアシシギが対岸に群れていましたが、少し遠い。20分ほどすると潮が引いて干潟が出始めた水路に移動を始めます。撮影ができそうだったのでみなさんに声をかけてそちらに静かに移動します。干潟にとまるキアシシギ、アカアシシギを近くでばっちりと撮ることができました!喜如嘉を早めに切り上げての移動は正解でした。空港まではすぐ近くで余裕綽々で最後の最後まで撮影を楽しむことができました!


撮れた鳥
クロツラヘラサギ・コサギ・アマサギ・ヤンバルクイナ・コチドリ・ヒバリシギ・アカアシシギ・アオアシシギ・キアシシギ・コアオアシシギ・タカブシギ・セイタカシギ・ズアカアオバト・ツメナガセキレイ・リュウキュウヒヨドリ・ホントウアカヒゲ・オキナワシジュウカラ・リュウキュウコゲラ・リュウキュウメジロ・リュウキュウハシブトガラス・アカマタ・オキナワキノボリトカゲ

見れた鳥・さえずりが聞けた鳥
クロサギ・チュウサギ・ダイサギ・カルガモ・バン・イソシギ・チュウシャクシギ・ジシギSP・リュウキュウキジバト・リュウキュウコノハズク・リュウキュウアオバズク・カワセミ・ノグチゲラ・ツバメ・リュウキュウサンショウクイ・リュウキュウサンコウチョウ・イソヒヨドリ・ウグイス・セッカ・スズメ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員